第39回AMショーに参考出展された |
第39回アミューズメントマシンショーに参考出展された「O.R.B.S.」と「スターブレード オペレーションブループラネット(仮)」は、多くのゲームファンから注目を集めた |
9月20日~22日に東京ビッグサイトで開催された、第39回アミューズメントマシンショー。各社がこぞって新作、話題作を発表展示するなかで、ナムコブースにおいて特に異彩を放っていたのが、大型汎用筐体……「O.R.B.S.」だ。「スターブレード オペレーションブループラネット(仮)」ともども参考出展された「O.R.B.S.」のインパクトは大きく、会場内で存在が認知されるや否や、筐体前には「スターブレード オペレーションブループラネット(仮)」と「O.R.B.S.」を体感せんがために、多くのゲームファンが列を成した。
だが、しかし……ショーが開催された3日間を通して「O.R.B.S.」と「スターブレード オペレーションブループラネット(仮)」を体験できた人数は、わずか200人程度だったという。筐体が1台しかなかったこと、時間が限られていたこと……さまざまな要因はあるが、記者としてはそれが残念でならない。何故なら、筐体横に設置されたスクリーンを眺めるのと、実際に「O.R.B.S.」に乗り込んでプレイしたそれとでは、同じ内容でもプレーヤーに訴えかける映像の迫力には雲泥の差があったからだ。プレイする機会を得た人が多ければ、それに比例するように「O.R.B.S.」の魅力が大きく喧伝されたであろうことは、想像に難くない。だが、ショーが終わってから記者が友人、知人に「O.R.B.S.ってチェックした?」と聞くと「凄そうだったけど、待ち時間が長くて」という返事が大半。必ずチェックはされているのに、未経験。ゆえに伝わらないもどかしさ。そういう意味でも、実に惜しいのだ。
筐体、タイトルともども参考出展。つまり、この時点では正式なプロジェクトとして認可されているのかさえも不明であり、事と次第によっては一般公開は第39回アミューズメントショーで最期……という可能性もある。「O.R.B.S.」をプレイできた(ある意味、幸運な)約200人は、万が一そんなことになったら「えー、あんなに凄いのに、勿体無い!!」と、同音異句に語られるのではないだろうか。記者には、そう思えてならない。
そこで気になるのが、大型汎用筐体「O.R.B.S.」の現在と未来。一般販売の目処など、確かめずには居れまい。はやる気持ちを押さえつつ、早速ナムコに取材の是非を問うと「OKですよ」と、快い返事。
「もちろん行きます、私が!!」そう即答して、10月某日ナムコに取材へとお伺いしたのである。
■ 百聞は一見にしかず。これが「O.R.B.S.」だ!
思い起こせば、アミューズメントマシンショーで「O.R.B.S.」をチェックする時間はほとんどなかった。それに比べれば、今回の取材は天恵としかいいようがない。あー、早く再会したい! とはいえガツガツした態度は禁物だよなぁ、私的情念が発端とはいえ、あくまでも仕事でお伺いする訳だし~、などと考えつつ広報さんに開発ルームへと案内していただく。そしてそこには、あの「O.R.B.S.」が鎮座ましましていたのである!
「O.R.B.S.」とは「Over Reality Booster System」の略称。ちなみに略称を「オーブス」と発声すると既に登録されている某商標とかぶってしまうため、呼び方はあくまでも「オー、アール、ビー、エス」であるとのこと。
【O[ver].R[eality].B[ooster].S[ystem].の外観】 | |||
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プレーヤーが筐体に乗り込む半球の断面側。電動だと停電時などに事故の懸念があることから、イスは手動式になっている | 筐体を半球スクリーン側から見た図。近づいてみると相当な迫力がある | イスを取り外した状態。試作品とはいえ汎用が前提だけに構造はシンプル |
取り外されたイスを激写。開発者の方々は「OverRealityイス(笑)」と呼称。座り心地は固めで、その辺りがOverRealityたる所以か?(そんな訳はない) | プレイ終了後は「ゆっくり椅子を引いて外に出て下さい」と表示される |
【AVIムービー:約2MB】 |
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【気になる部分を細かくチェック!】 | ||
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筐体とイスが接触する部分に貼り付けられた消音兼緩衝材。イスを手前まで引いたときの密閉率はかなりのもの。一般的なゲームセンターであれば外界の音が気になることはほとんどないだろう | 足元から天辺まで空間には相応の余裕がある。ヘヴィ級のプロレスラーでもない限り問題はなさそう |
筐体内に据え付けられた操縦桿。左右にトリガーと上部にボタンをひとつづつ、計4つ配置。左上にあるオレンジのボタンは、酔ったときなどに押す緊急用のエスケープボタン。右上にあるグリーンのボタンはスタートボタン。さらに、操縦桿および、プレーヤーの左右にひとつづつ外付けスピーカーを配置。密閉された空間の中で迫力あるサウンドを奏でる |
半球スクリーンにゲーム画面を投影するためのレンズ。昔のプロジェクタはレンズがRGBそれぞれ3本あって、発熱量と消費電力がハンパじゃなかったなぁ……などと思ったりして |
汎用ということで、「O.R.B.S.」には“システム246”や“NAOMI”など、各社のさまざまなシステム基板が接続できる。ただし、画面出力は半球状のスクリーンを前提としなければならず、ソフトウェア的な専用処理が必要とされる。なお、初代スターブレードで投影テストを行なった際の感触が大変良く、それが今回の企画につながっているとのこと。
コントロール部に取り付けられている操縦桿は、タイトルや用途にあわせてスティックやハンドルなどに置き換えられるようになるそうだ。
■ 「O.R.B.S.」に搭乗してみる!!
手動式のイスにすわり、そのままズイッと前に進む。アミューズメントマシンショー出展時は、万が一事故が発生した場合に備えて“キャスターの段差”でイスを軽く固定する方式が採用されていたが、開発チームでは安全性を踏まえたベストな固定方法を検討しているという。
イスを手前まで引くと、完全密閉とはいかないまでも筐体内はとても静か。まぁ、本当に密閉されたら、酸素云々という話になってしまうのだろうが……。それまで聞こえていた開発ルーム内での会話も、耳をそばだてないと聞こえないレベル。現状でも、一般的なゲームセンターならゲームへの集中を阻害されることはなさそうだ。
真正面を向くと、視界に入るのは全てスクリーンからの映像のみ。半球のスクリーンから受ける圧迫感は相当なものだが、これ以上スクリーンとの距離が開くと(個人差もあるだろうが)迫力が減じてしまうことだろう。製品化されたあかつきには、どのように調整されるのだろうか……などと気にしつつゲームスタート。
スタート直後は、視界の全てがゲーム映像に、聴覚がゲームサウンドに支配されるかのごとき感覚に陥り、とにもかくにも圧倒的な情報量に溺れそうになる。が、慣れてくるごとに、これが信じられないほどの陶酔感へと変貌していく! あれほど遊んだ「スターブレード」における、敵機に照準を合わせてひたすら撃墜するという行為……何度繰り返したかわからないが、それが「O.R.B.S.」という特殊な環境に詰め込まれることで、明らかに別次元のものへと昇華している。照準を合わせて、撃墜する。オブジェクトを破壊する。ただこれだけのことが、とてつもなく気持ちいい。
スクリーン内に投影される全ての映像情報を把握しようと、神経がフル回転しているような緊張感。語弊を恐れずに表現するならば『全身を包む巨大なアイ・トレック』とでもいったところか。人間は外界情報の大半を視覚から得ているというが、「O.R.B.S.」の筐体内に収まって「スターブレード オペレーションブループラネット(仮)」をプレイしていると、それが本当に良くわかる。
筐体内の映像近影……といっても、迫力の一片でも伝わっていれば幸いである |
■ 「O.R.B.S.」の未来
第2回からは開発者インタビューをお届けする予定。「O.R.B.S.」に期待する人は是非チェックしてほしい |
ゆえに、現状ではロケテストなども難しく、一般ユーザーが実際に触れられる機会は今後開催されるアミューズメントマシンショーなどに限られてしまうことが予想される(それすらも確定ではない)。ただし、その機会は「ユーザーの声」によって増える可能性がある。
「スターブレード」シリーズのファンや、こういった夢のある大型筐体ものが好きなゲームファンからの熱い声があれば「O.R.B.S.」が世に出る可能性はグッと高まる。もし、この記事を見て「O.R.B.S.」に興味を抱いた人がいれば、ナムコのホームページ「ワンダーページ」にある読者投稿コーナーやメールで意見や要望を出してみては如何だろうか。
第2回目は、「O.R.B.S.」開発者インタビューをお届けする予定。汎用筐体だけに、ラインナップの話や製品化に向けての具体的なハードルなど、興味深い話がもりだくさん。期待して待っていて欲しい!!
読者の皆様からの「O.R.B.S.」へのご意見を大募集!! |
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(2001年11月2日)
[Reported by 北村孝和]
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