Blizzard、アジア方面の新作説明会を幕張で開催
大作2タイトルがついに日本上陸!

10月12日 開催

 Blizzard Entertainmentは10月12日、幕張メッセ隣のホテルニューオータニ幕張で、日本、韓国、台湾などアジア方面のプレスを対象とした新作説明会を開催した。公開されたタイトルは、MMORPG「World of Warcraft」とリアルタイムストラテジー「Warcraft III:Reign of Chaos」の2本。Blizzardは今回の説明会のために、同社の全プロジェクトを統括するシニアディレクターBill Roper以下、5名のスタッフで来日し、アジア市場にかける同社の熱意のほどが伺われた。

 説明会の内容は、予想どおり先月ロンドンで開催されたECTSと寸分変わらぬもので、デモ機のバージョンもまったく同じだった。これらタイトルの概要はECTSレポートでお伝えしたとおりで、そういう意味で今回の注目点は、説明会の一切の手配を行なったカプコンがこの2本を売るのかどうかという1点につきる。しかし、この点についてカプコンは「ノーコメントです」の1点張りで、はっきりとしたコメントは得られなかった。今回の説明会は、Blizzardがプレスの反応を通じてアジア市場での正否を見定めるという含みもあり、創業以来、日本のゲームメーカー並みの大作志向を貫く同社の戦略的な一手といえそうだ。

 というわけで、今回は「World of Warcraft」「Warcraft III:Reign of Chaos」の続報をお届けする。同社のインタビューを行なうのはこれが2度目だったため、前回より落ち着いて見聞きすることができた。概要についてはECTSレポートを参照いただくとして、今回はより細かい内容について触れていきたい。まずは来春発売予定の「Warcraft III:Reign of Chaos」から。

■ 練り尽くされたゲームデザインで独自のファンタジー世界を創造する
3Dリアルタイムストラテジー「Warcraft III:Reign of Chaos」

Blizzardといえばこの人、両タイトルのシニアディレクターを務めるBill Roper
 Blizzardの名作というと、我々日本人だと「DIABLO(II)」「Starcraft」の印象が強いが、海外では「Warcraft」シリーズの人気がいまなお圧倒的に高い。という事情を踏まえていないと、同社がシリーズ2作を固め打ちする理由がわからない。「Warcraft III:Reign of Chaos」は、同社を一躍ビッグブランドにのし上げた「Warcraft:Orcs and Humans」('94年発売)と「Warcraft II:Tides of Darkness」('96年発売)に続くシリーズ最新作。IIとIIIの間に、日本人にも有名な「DIABLO」「Starcraft」「DIABLO II」といったタイトルが入る。

 「Warcraft III」は、ゲームジャンルとしてはリアルタイムストラテジーになるが、「Warcraft」「Age of Empires」の両シリーズに代表される、とにかく数で押しまくるRTSや、ゲーム後半に指数関数的にユニットの火力が強くなる重厚長大なRTSなどとはまったく趣を別にした、真の意味で次世代のRTSだ。

 Bill Roperは「Warcraft IIやStarcraftとは異なる、少人数で迫力ある戦いを演出してみたかった」と語る。その答えとして出されたのがヒーローシステムで、Warcraft IIIではヒーローを隊長として複数のユニットを率いさせ、それらをひとかたまりとして戦線に投入する形になる。このシステムの利点は、先述したように限られたユニット数で迫力ある戦闘が可能なところと、ユニット増産のための家を必要としないところだ。

HumanのヒーローPaladin。Level8でHPは850、平均ダメージは45。つ、強すぎる
 スタート時はKeepがひとつ置かれた状態で、Keepでヒーローユニットとヒーローに率いさせるユニットの生産を行なう。ヒーローを操るのはプレーヤーだが、一般ユニットはあくまでヒーローに所属し、つまり、それぞれの軍には最低ひとり以上のヒーローが必ずいるわけで、このヒーロー決戦がとてつもなく熱い。ちなみにヒーローが死ぬと配下ユニットもろとも視界から消えてなくなってしまう。これがわかったのはBill Roperが操作を誤ってヒーローを死なせてしまったためだったりする。

 ヒーローの概要についてはECTSレポートでも書いたが、もう一度簡単にまとめておくと、ヒーローはキャラクタごとに異なる3つのAttributes(特殊スキルもしくはスペル)を持ち、さらに使用後はHPが1になるものの、絶大な効果があるUltimate Spell(Skill)を1つ備えている。また、フィールド上の至る所に落ちているアイテムは、ヒーローのみが使用可能な重要要素で、ヒーローひとりにつき最大4つまでバックパックに入れて携帯することができる。アイテムには武器や防具、ヒーローの能力を上げる巻物やHPを回復するポーションなどがあり、それらは好きな時に使うことができる。もちろん、敵のヒーローが何を持っているかはわからないし、敵がどういう部隊編成で、かつどのAttributesで攻勢を仕掛けてくるかは出会ってみるまでわからない。状況によっては複数のヒーローで同時に攻め込むことも可能だということで、戦略の幅はとほうもなく広い。このシステムで楽しみにするなというのが無理な相談だろう。

■ 最大12人によるネットワーク対戦が熱い! Battle.netにも完全対応

1,600×1,200ドット表示の画面。これでテクスチャのアラが目立たないのはさすが
 さて、続いてはシステム的な部分について触れていきたい。Warcraft IIIのゲームモードは、シングルプレイ、マルチプレイ、キャンペーンエディタの2種類。シングルプレイは、各種族(Human、Night Elves、Orcs、Undead)8ステージ程度、全32ステージのキャンペーンシナリオを用意し、「Starcraft」のような濃厚なシナリオが堪能できるという。マルチプレイは、同社の専用サーバー「Battle.net」でのプレイに加え、TCP/IP、LANに対応。最大12人で対戦可能というから楽しみだ。キャンペーンエディタは、マップジェネレート機能を備え、「マルチプレイで達成するクエスト」なども作成可能な多機能エディタだ。

 1ゲームはマップの規模や対戦人数にもよるが、だいたい30分程度で楽しめるという。重厚長大化の傾向にあるRTSにおいて30分というのは異例の短さだ。ここにWarcraftシリーズやStarcraftで培ってきた「短い時間で何度も楽しむ」というBlizzard独特のRTS哲学がある。ちなみにヒーローは1マップ限りの存在で、キャンペーンで育てたヒーローをマルチプレイに持ち越したり、マルチプレイで育てたヒーローを別の対戦で使うといったことはできないようだ。

 来年早々にもβテストを開始予定ということで、発売は来春あたり。冒頭でも触れたようにカプコンから日本語版が発売されるかどうかは未定となっている。ぜひ同社からの前向きな発表を楽しみに待ちたいところだ。

画面左に映っているのがヒーローメニュー。ダブルクリックで直接画面をヒーローに飛ばすことができる。アニメーションの美麗さをムービーで確かめて欲しい(下記リンク参照)

(C) 2001 Blizzard Entertainment. All rights reserved.

□Blizzard Entertainmentのホームページ
http://www.blizzard.com/

□関連情報
【9月7日】「WarCraft III:Reign of Chaos」Gameplay Preview(ムービー)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010907/demo0907.htm
【9月5日】ECTSレポート 「WarCraft III:Reign of Chaos」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010905/ects06.htm

(2001年10月13日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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