セガ、「CONSUMER CONFERENCE 2001」で新情報続々発表
「2003年に全世界で3,500万本を販売する!」

ズラリ揃ったセガグループの面々
10月12日 発表

 株式会社セガは東京ゲームショウ2001秋に合わせ、幕張メッセにおいて関係者向けの発表会「CONSUMER CONFERENCE 2001」を開催した。セガの今後の戦略が明らかにされるとともに、まったく新しい新作の発表がラッシュのように続いた。

 開始時刻の30分前から発表会を前に'98年に制作されたかなり貴重なビデオ「仁義ある戦い」が公開された。これはドリームキャスト発売当時、秋本康氏が制作したもので、セガ関係者が総登場し、ゲーム機戦争を映画「仁義なき戦い」に見立てて制作したもの。今思えばかなり笑える内容だが、今回これを関係者に公開した意図を香山氏は「ビデオの中で入交氏が『1,000万台目指す』と発言しているが、今回北米で出荷したぶんを含めて達成できた。そしてここで描かれている通信の世界を切り開くという点でセガは早すぎたのかもしれないが切り開いてきたのだと思う。そしてセガにはこのビデオにあるような熱いソウルがある」とコメントし、本題のセガの戦略の話題に移った。

 セガの2003年までの戦略は単純明快で、アミューズメントの世界だけでなく、コンシューマのソフトの世界でも世界一を達成すること。具体的には2003年に3,500万本のソフトの販売を全世界で達成すること。香山氏によれば改革1年目ですでにソフトの開発体制に関しては整理が完了しており、後は現場サイドで進めていくだけだという。各プラットフォームに合致したソフト、売れるソフトをリリースしていくという。

 そういった中で具体的なひとつの試案がSEGA SPORTの強化である。米国では全ゲームの20%がスポーツと言うこともあり、ここは無視できないジャンルだ。すでに「NFL2K」、「NBA2K」といったタイトルではEA SPORTSに肉薄、もしくは売り上げで上まわっているという。もちろん日本における「つくろうシリーズ」に関しても積極的に展開。ハードに偏ることなく全プラットフォームでリリースしていくつもりだという。

 また、セガの持つ資産の活用も積極的に行なっていく。例えばキャラクタやシステム、世界観の活用である。例えばバーチャファイターのキャラクタでアドベンチャーゲームを制作したらと言った活用のしかただという。同時に1,000にも及ぶこれまでのセガの持つソフト資産をうまく活用したい意向だ。会場で公開されたスライドでは「スペースハリアー」や「NiGHTS」、「Dの食卓」、「エネミーゼロ」といったタイトルが例として上がっていたが、これらの新作がすぐに登場するかと言えばかなり怪しい部分がある。意味合いとしては、マークIIIで制作された「ファンタシースター」をDCで「ファンタシースターオンライン」として復活させたのと同じ様なことを意味するのだという。

概要の説明を行なう香山哲氏。淡々と重要な説明を行なった 2003年度までに全世界で3,500万本のソフトを販売する戦略図 ビンテージソフトの資産を活用したいというセガの戦略。ここにあるラインナップはかなりイレギュラーなもののようで、これが作品化されるかは微妙

 来期においては全ソフトのうち約30%においてはチャレンジ精神の溢れるソフトを投入していくという。そういったソフトをうまくブランドタイトルとして育てていき、さらにその次の年度には30%の新しいソフトを上積みしていく。秋にSCEIとかなり大がかりなプロモーションを展開する「Rez」や、GC版が好評な「スーパーモンキーボール」などがこういったチャレンジソフトに当てはまる。このほかディズニーなど他社のキャラクタのライセンスに関しても話が進行中だとしているが、近々発表するとしており、現状では発表されなかった。

 セガが力を入れている分野のひとつネットワークゲームに関して香山氏は「ドリームキャストでノウハウを蓄積しているし、ライブラリも持っている。サーバーに関しても自社で運営できるし、有料コンテンツの成功事例も持っている」としたうえで、「ジャンルで一番のソフトを作る。たとえば、ネットワークRPGの世界で有力なソフトが出れば一番のファンタシースターオンラインがさらに売れていくという構図がある。これをほかのジャンルでも適応するべく強力なタイトルを投入する」という。

 このあと「PCソフトでコーエーを抜いて一番になる。海外ではEAとHavas Interactiveを抜いて一番になる」といったかなり大きな話が飛びだした後、携帯コンテンツではVF.NETの成功が報告され、他のコンテンツでも同じ様なモデルを増やす意向があることを明らかにした。

 最後に各プラットフォームについてどのような対応を行なっていくかが明らかにされた。SCEIに間しては「セガにとってメインフォーマットだ」と言いきった。これは単純にシェアが圧倒的な点が理由だという。ただし、HDDの装着率が低い点などを挙げて、セガとしてHDDの装着率を上げるようなソフトや、久夛良木氏が言うような新しい感覚のソフトなどをリリースしていきたい」という。
 Xboxに関してはソニックチーム、SEGA-AM2の開発会社2社の参入が発表されると共にXboxを使った基板をセガが制作していくという。NAOMI2との差別化については図っていく方針で「NAOMIで出来ないことはあるので、そこを狙ったソフトを投入する」としている。また、米国においてネットワークシステム“ZONE.COM”を使ったソフトの開発、PCソフトにおける連携などを積極化させるという。
 任天堂に関しては「任天堂が素晴らしいコンテンツメーカーであり、そのクオリティは一番厳しい」としており、「そのクオリティに合わせてセガのソフトを健全に進化させる指標となる」とコメントした。

 最後にドリームキャストに関しては、「ユーザーに申しわけないが」と言うコメントと共により一層の縮小が発表された。ひとつは完成しているにもかかわらず発売中止が決定した「プロペラ・アリーナ」と「MSR」。そしてプラットフォームの変更が決定された「ダービーオーナーズクラブ オンライン」と「THE HOUSE OF THE DEAD 3」の2作品。販売チャネルがネットワークだけに限定される可能性があるのが、DC版「スペースチャンネル5」と「NFL2K2」、「NBA2K2」。本当に残念ながら、ある意味、現実的な最後の幕引きに向けてセガは動き出したことになる。

毎年、新しいキャラクタやソフトを制作し、それを次年度からはメジャータイトルとして展開していく 縮小傾向にあるドリームキャスト。残念な結果に終わったソフトタイトルも…… Xboxプラットフォームには新たにソニックチームとSEGA-AM2が参入表明

□セガのホームページ
http://www.sega.jp/

(2001年10月12日)

[Reported by 船津稔]

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