★ PCゲームレビュー ★

雅やかな平安時代が舞台
和風恋愛アドベンチャー第2弾登場

遙かなる時空の中で2

  • ジャンル:和風恋愛アドベンチャー
  • 発売元:コーエー
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me
  • 発売日:9月28日(発売中)


 2000年4月にPS版で発売されて大旋風を巻き起こした、女性向け和風恋愛アドベンチャーの続編。
 主人公は現代でごく普通の生活を送る、高校1年生の少女。それがある日突如「龍神の神子(みこ)」として、異世界「京」に召還されてしまう。この時から主人公は神子としての使命を背負い、数々の決断を迫られる中で八葉との出会いを果たしながら、怨霊のはびこった町を浄化していく。「京」に災いをもたらす者との戦いの中で、自然に生まれる八葉との恋の感情……和風ネオロマンスの名が示すとおり、時空を超えた運命の恋が今ここに再び始まる。


■ 女性をのめり込ませる要素がぎっしり

 本作で共に戦うこととなる新しい八葉との出会い方は、前作よりも更に劇的になっていて期待感をあおってくれる。しかし、前作と大きく違うのは、八葉同士が2つの勢力に分かれて反目し、互いに認め合おうとしないところ。これもあって、プレーヤーの選択によって物語は冒頭から様々な方向に分岐し、何度でも楽しめる作品になっている。

【龍神の神子を守護する八葉たち】
まずは八葉をみつけるところから始めよう。八葉とは、「京」の東西南北を守護する聖獣「四神」の加護を受ける者。天と地に分かれた立場を持ち、龍神の神子を守る者。東をまもる天と地の青龍、西を守る天と地の白虎、南を守る天と地の朱雀、北を守る天と地の玄武で合計8人存在する。

 ゲームを進める目的は、大雑把に言って「京」に災いをもたらす敵を倒すことと、主人公がもとの世界に戻ることだ。しかし、怨霊との長い戦いのさなかに育まれる、八葉とのラブロマンスがこのゲームの真骨頂。八葉とは、龍神の神子を守る役目を与えられた8人の男性のことで、最初は本人たちがそのことを自覚していない。彼らと出会って仲間になってもらい、信頼と絆を深めつつ来るべき決戦のために力を蓄えていくのだが、このとき生まれる彼らとの触れ合いは、時にはプレーヤーを心地良い気分にしてくれたり、時には理解しにくい言動で翻弄したりする。

 恋愛と名の付くカテゴリーのタイトルに重要なキャラクタの魅力は十分あり、ぐいぐいと引き込んでくれるシチュエーションも数多い。性格も歳も様々な八葉は、8人それぞれ主人公へのアピールの仕方も違っていて、女性プレーヤー層を広くカバーしている。水野十子の描く美麗イラストは、キャラの感情にあわせて何枚も用意されていて適宜切り替わるし、豪華な声優陣の演技もプレーヤーを熱中させてくれる。戦闘シーンやミニゲームに至るまで、女性の心理をくすぐる演出がこれでもかというくらい、ふんだんに盛り込まれているのだ。八葉の存在を身近に感じさせる工夫が、全編を通して細部からも感じ取れるのが好印象だ。

想う心と、信じる心のゲージは、情報コマンド/人物で確認できる。これが蓄積してくると、八葉の言動にも変化が現れる。
 では、この八葉と具体的に仲良くなるには、どうすればいのだろうか。主人公への八葉の気持ちは、好意を意味する「想う心」と、信頼を意味する「信じる心」で表される。例えば会話の中で主人公が選んだ選択肢に八葉が好感を持った場合、「キラーン! 」という効果音と共に、赤色の星が上昇して想う心がアップしたことを教えてくれる。赤い星は想う心を現し、信じる心は緑の星で現される。八葉の性格を考えて選択肢を選び、うまくゲージを上げていこう。マメに八葉を引き回し、連れ回し、会話や戦闘を重ねることがゲージをアップさせるカギだ。

 他には、八葉の好みの物を使用して気を引くという方法がある。たとえば八葉の好みのお香を焚くことや、好みの紙に好みの花を添えて文を送ることなどで、八葉の気を引くのだ。八葉が時折ぽろりと吐露する好きな物をチェックしておき、それをうまく利用するのがポイントだ。

 より一層深くなった物語は、ゲーム全体の流れを進める「メインストーリー」部分と、八葉それぞれとの関係を深める「恋愛ストーリー」部分から成り、この2つが絡み合いながら「遙か2」の物語は展開していく。八葉の中にひとりでも気に入った相手が見つかれば、どんどんのめり込めるだろう。また、特に固執するキャラがいない場合などは、途中で仲良くなった八葉と自然の流れに身を任すのもいいし、メインストーリーのみを追ったストイックな攻略をするのももちろんアリだ。
 恋愛ストーリーは、自分のとる選択肢によって多種多様に変化していき、敵側のキャラとの「障害のある禁じられた恋」や、味方同士での「お互いを大切に想う恋」など、様々な恋愛の形を見ることができて驚くほどだ。

■ 甘く切ない物語が、今始まる

 ゲームがスタートしたら、主人公の名前、誕生日を入力しよう。主人公は星の一族紫姫の館を拠点として活動を開始する。町の様々な土地を散策して、早く八葉を集めよう。

PCゲームになったのに、キーボードでの名前入力を受け付けない。これを親切と感じるかどうかは、人によるところだろう。 活動のメインとなるのは「外出」。京の町で情報を収集したり、怨霊の取り付いた土地の穢れを払おう。八葉を見つけていれば、外出するときに同行する八葉を2人まで選択することができる。

 舞台となる「京」とは、一体どのような場所なのだろうか。この時代の「京」は「院」の勢力と「帝」の勢力が対立し、貴族達を巻き込んで町を2分している。平穏とは言えない状況にあるこの町同様、八葉も2勢力に分かれている。主人公はと言うと、やはりどちらかの勢力につくことになるため、反対派勢力の4人は最初はなかなか仲間になってくれない。また町では、主人公とは違う少女が龍神の神子であるとの噂が流布していて、みなが神子とは認めてくれないのだ。初っぱなは多少厳しい状況が続くが、しばらくは院と帝双方の八葉に強力を得るために「京」を東奔西走しよう。

どの四神の加護を受けることになるかは、最初の選択で決定する。
 ここで「マルチサイトストーリー」の仕組みについて説明しよう。マルチサイトストーリーとは、主人公が院と帝のどちらについているかによって、1つの物語を違う視点からたどって展開していく仕組みのこと。つまり、どちら側にいるかによって、話の見え方が変ってくるというものだ。これによって、後々の八葉との恋の行方にも影響が出てくる。1度のプレイでは見えてこない物語がたくさんあるので、様々なシチュエーションを試してみよう。
 どちらの勢力につくかは、最初の選択が重要なキーになっている。まず最初の選択によってどの四神の加護を得るかが決定し、更にその少し後の2択によって、天と地どちらに付くかがきまる。天なら院側、地なら帝側に属することになる。つまり、この選択で最初に出会う八葉も変わってくるというわけだ。


■ 雅やかな京の町、ここで行なう様々なこと

 それでは、「京」の町で行なうことをもっと突っ込んで見ていこう。具体的には、怨霊の退治、町に住む人々からの情報収集、ミニゲームで道具を入手することの3つになる。町の中での移動は、特別な場合を除けば1日に3ヵ所まで移動することができ、土地に怨霊が居て戦闘をした場合は1回の移動とみなされる。3回移動すればその日は暮れて終了し、紫姫の館に戻らなければならない。

 怨霊を退治すれば、やっとその土地に入ることができる。怨霊は五行の力を使って封印しない限り、時間の経過とともに復活してしまうが、封印できるようになるのは暫く後なのでとりあえず様々な土地の怨霊を退治して、八葉に術を習得させていこう。
 また、町ではそこに居る人々から次に行くべき場所などの情報を聞ける場合がある。次に行くべき場所は、マップ上に目的地を示すマークが表示されるので、このマークを頼りに移動すれば物語はスムーズに進む。しかし場合によっては、町の人がくれる情報の中に特定の八葉を連れていかなければならない等の条件も含まれていることがあるので、情報は読み飛ばさないように気を付けたい。
 怨霊が居ない土地に入って、イベントが何も無い場合は、ミニゲームが始まる。ミニゲームでは、戦闘中に使用できる回復などの戦闘札や、八葉の気を引くのに有効なお香などのアイテム類を手に入れるチャンス。前作では1種類しかなかったが、本作では後半になるほど種類が増え、4種類のミニゲームが用意されている。

前作の神経衰弱系のミニゲームから、さらにゲーム性が上がったものが加わっている。手札やアイテムをうまく増やそう。 ゲーム開始直後は、行ける場所が限られている。主人公がついている勢力(院か帝)と逆の勢力の土地へ行くには、そちらの勢力の八葉に同行してもらわなければならない。
新しい技を習得すると、戦闘中に八葉それぞれの技を使用することが可能となる。 京の穢れのために八葉が失ってしまった心のかけらには、大切な思い出や記憶が詰まっている。


■ 緊張感あふれる戦闘中の応援システム

 メインストーリーを進めるにあたって、戦闘シーンは避けて通れない。この面倒になりがちな戦闘シーンにも、ロマンスの要素が盛り込まれていて飽きさせない。
 それでは、この「応援システム」について説明しよう。これは戦闘中に八葉を応援することで戦いを有利に展開していくというもので、前作から引き続き今作では更に強化されている面白いシステムだ。戦闘中に「攻撃」、「術」などのコマンドと並んで「応援」というコマンドがあり、これを選ぶと応援語の選択肢が現れ、選んだ応援語によって八葉の気力が上がったり下がったりする。同じ言葉でも、八葉によっては気力が上がるとは限らないため、相手の性格を考慮して応援語を選ぶ必要がある。このため、八葉の存在を身近に感じることができるのだ。

2回続けて1人を応援して、様々な組み合わせを試そう。次は何と声をかけるか? 慎重に選択しよう。 戦闘に勝利することでも「想う心」と「信じる心」がアップする。

 また、本作から「応援合詞(おうえんあわせことば)」というシステムも加わっている。簡単に言うと1人の八葉に連続して応援語をかけてコンボを成功させれば、気力増大の効果が上がるというシステム。その八葉に適した応援語を組み合わせて、効果的に気力を増大させよう。


 ある部分では、実際の世界で自分が取るべき言動を示唆してくれ、またある部分では現実ではありえない夢を叶えてくれる。八葉を身近な存在に感じさせてくれるのが丁寧に作り込まれている証だと思うし、ファンの支持の多さもそれを示している。
「ネットワーク遙けし京(みやこ)」へアクセスすれば、おまけイベントをダウンロードすることができたり、ユーザー同士で交流を深めたり、「遥か」専門のオンラインショッピングもできる。もちろん、本編の方もしっかり遊びながら、PCというプラットフォームによって更に広がる「遙か2」の世界も存分に味わい尽くそう。


(c)2001 KOEI Co.,Ltd.
イラスト/水野十子 (c)白泉社

□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「遙かなる時空の中で」の公式ページ
http://www.gamecity.ne.jp/haruka/
□「ネットワーク遙けし京」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/miyako/entrance.htm

(2001年10月5日)

[Reported by 河本 真寿美]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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