ヨーロッパ各社のとびきりの新作を紹介!
SUNFLOWERS、JoWooD、Arxel Tribe

会期:9月2~4日(現地時間)

会場:ExCeL London

 ヨーロッパのゲームには、日米のゲームにはない独特の雰囲気がある。それはディテールに対する妙なこだわりであったり、恐ろしく大風呂敷を広げた仕様であったりと、場合によってメリットにもデメリットにもなるが、間違いなくいえるのはそれこそがヨーロッパのゲームの魅力のひとつということだ。本稿では、ECTSの会場で見かけたそんな愛すべきヨーロッパ勢の新作タイトルをまとめて紹介していく。

■ 「ANNO 1502」を大々的に展示 ~SUNFLOWERS

ここまで自然でリアルに中世の港を表現したゲームはこれまでにない
 ドイツに本拠を置くSUNFLOWERSが放つシリーズ最新作「ANNO 1502」は、16世紀のヨーロッパをモチーフにしたリアルタイムストラテジーだ。日本ではズーが日本語版の発売を予定しており、海外での発売元はElectronic Arts。発売は来春とまだ先であるにもかかわらず、「ANNO 1503」1色に染め上げたブース内容で、同社の自信のほどが伺える。

 ANNO 1502は、前作「ANNO 1603」をプレイした人ならご存じのとおり、物資の交易を軸に文明の繁栄ぶりを丁寧に描いた作品だ。今作では、それぞれ文化の異なる9つの人種が登場。彼らと戦争を興すことも可能だが、その過程として必ず必要になるのが文明の育成というか国家の繁栄で、自らが育てた文明の繁栄ぶりを神の視点からゆっくり眺めるのが本作最大の醍醐味となっている。

 前作から半端ではなかった各オブジェクトの描き込み具合は、今作でさらに進化し、究極とまでいえそうな箱庭世界を実現している。ゲームエンジンは2Dのままながら32bitグラフィックを採用し、建物の細やかな陰や街頭沿いの木々1本1本に至るまで、彫り込むような力強さで描かれている。

【ANNO 1502】
ルネサンス期の中世をモチーフにした本作だが、アステカやアフリカン、インディアンなど、まだ原始的な生活を営む新世界を相手に手広く交易を行なっていくことになる

■ 商談メインながら粒ぞろいの新作を多数発表 ~JoWooD

JoWooDのブース
 オーストリアのゲームメーカーJoWooDは、ブースの3/4ほどを商談スペースに当て、新作の出展は3タイトルのみと少な目だったが、ひっきりなしに来場者が訪れる盛況ぶりを見せていた。配布されたプレスキットの中身を見てその人気ぶりも納得。PC、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンス向けに15タイトルもの新作を抱えているのだ。

 中でも要注目なのが、前作が日本でも話題になった箱庭型の都市育成シミュレータ「Industry Tycoon 2」。2では、20世紀のアメリカをモチーフにし、鉄道と機関車を軸とした産業の発展により、徐々に繁栄していく街の様子を眺めるのが非常に楽しい作品となっている。グラフィックは2Dながら多段階で拡大縮小でき、機関車や産業施設の煙突から発生する煙の表現へのこだわりが実にいいリアリティを生み出している。まさしく箱庭ゲームの王道といった内容だ。発売は年末の予定。

 そのほかにも、先日のニュースで取り上げたリアルタイムストラテジー「World War III」や、これまたグラフィックに独自のこだわりを見せるファンタジーRPG「The Legacy of The Dragon」、ミニクーパーを初めとした11車種のクラシックカーでラリーレースが楽しめる「Rallly Trophy」、これも以前DEMO&PATCHのコーナーで取り上げたアクションシューティング「ZAX」などが発表された。

【Industry Tycoon 2】
ミッションによって、産業に適した土地やまったく不向きな土地、すでに荒れ果てた土地などさまざまなシチューエーションが用意される。それをいかにして発展させていくかがプレーヤーに与えられた使命だ

【Gorasul:The Legacy of The Dragon】
Baldur's GateライクなファンタジーRPG。ビデオ出展のみだったが、細かく書き込まれたキャラクタのリアルな動きと、Baldur's Gateより派手なスペルエフェクト、そしてスチル表示に切り替えての謎解き要素など、かなり興味深い内容だった

【Rallly Trophy】
クラシックカーにあまり興味のない人でもこの劇的なゲーム映像の数々は気に入るはずだ。リリースでわかる範囲では、フィンランド、ケニア、ブラジル、スイス、ロシアといったコースを用意しているようだ。発売は9月予定

■フランスの地から飛び出した超弩級のRTSを見た!~Arxel Tribes

Axel Tribesのブース。目玉の「Death Bowl:The Gladiator」は奥にあった
 フランスのゲームメーカーArxel Tribesのブースの奥にひっそりと展示してあったリアルタイムストラテジーに惹かれるものを感じ、マウスを使って慣れない手つきでプレイしていると、開発担当者が現れデモンストレーションをしてくれるとのこと。了解してさっそくマウスから手を離すと、彼はマウスには見向きもせず、奥にあったゲームパッドをつかみ、ユニットたちを縦横無尽に動かし始めたではないか。この「Death Bowl:The Gladiator」は、このゲームパッド操作の例のみならず、桁外れな要素だらけなのだ。

 まず、数回聞いてもこのピンと来ないこの「Death Bowl」というタイトル名。日本語にすると“死の闘技場”とでも訳せそうだが、どこを見渡してもそれらしき建物も入り口も見あたらない。マップの端までいってようやくすべてわかった。このゲーム、一見普通の現代要素を織り交ぜたSFリアルタイムストラテジーに思えるが、実はこの戦場はひとつの巨大な闘技場になっており、マップ端に行くと観客席がどこまでも続いているのだ。プレーヤーはグラディエーターとして虎の子の部隊を率い、皇帝の見ている前で彼が誇る軍を撃破するのが目的。この大風呂敷さ加減とシチュエーションのおもしろさは、最高に素晴らしい。

 掲載した画面を見てもらえればわかるが、グラフィックも1級の出来映え。「Black & White」のような案配でスムーズに画面の拡大縮小が行なえ、遙かな俯瞰図からも指揮を執ることが可能。発売は来年末とまだまだ先だが、先のゲームパッド操作でもわかるようにPC版のみならずXbox版の発売も決定している。いやはや凄いゲームが登場したものだ。

【Death Bowl:The Gladiator】
ゲームパッドの操作の場合、画面の拡大縮小はラクだが、部隊の移動は基本的に1種類のみか全軍操作のみで細かい操作までは難しい。が、パッド対応そのものが珍しいだけに、始めて見たときはかなりびっくりした

□ECTSのホームページ
http://www.ects.com/
□SUNFLOWERSのホームページ
http://www.sunflowers.de/
□JoWooDのホームページ
http://www.jowood.com/
□Arxel Tribesのホームページ
http://www.arxel.com/

(2001年9月5日)

[Reported by 中村聖司]

I
【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.