「大江戸鉄拳夏祭り」開催

シャオ・ユウ優勝! 鉄拳スペシャリストの戦いを見よ
~大盛況に終わった「鉄拳」ファン感謝デー~

9月2日 開催

会場:両国・国際ファッションセンター(KFC)



  「鉄拳4」日本一の座は誰の手に? 9月2日、両国・「国際ファッションセンター(KFC)」にてナムコが開催した「大江戸鉄拳夏祭」には、最強の座を狙おうとするプレーヤーをはじめ、多くの「鉄拳」ファンが集まった。

 もちろん当日最大の見どころは初の全国大会イベントである「THE KING OF IRONFIST TOURNAMENT 2001」。「鉄拳4」の発表から1ヶ月経った今、5,000人の中から勝ち上がってきたIRON FIST(鉄拳プレーヤー)たちの戦いはどのように激化しているのか……。その1日をレポートしてみた。


全国大会の出場枠をかけ、1000戦以上もの激闘が行われた当日予選

 夏休み最後の日ということもあり、開幕前から大賑わいとなった「大江戸鉄拳夏祭」。「鉄拳4」初の全国大会ということもあるが、これだけ多くの人が集まったのはやはり「全国大会への出場権を得られるチャンスがある」からこそ。実は、今大会の決勝は、日本全国から選ばれた15名の各エリア代表者以外のほかに「当日参加枠争奪戦(当日予選)で勝ちあがった者が全国大会(本線)に出場できる」という特別ルールが採用されている。全国レベルの猛者との戦いが本戦で待っているとはいえ、当日の会場からダークホースが登場する可能性は非常に高い。

 13時、ついに会場がオープン。メインステージとロビーの2ホールに分かれた会場内にどっと人が入り込む。「ふるい落とし用に」32台もの「鉄拳4」筐体が用意された競技ステージは、開場直後から一気にお祭りムードだ。当日予選のルールは「負けても再挑戦できるかわりに連勝しないと上位に入れない」という、シビアな勝ち抜き戦。しかも「今のところ連勝記録のトップは12、まだイケル!」、「勝ち抜くには勢いのあるキャラがイイらしいぞ」といった情報が会場内でリアルタイムに入ってくる。参加者側からすれば、この状況はいやがおうにもヒートアップするのは当たり前。2時間半続いた予選終了直前の熾烈なデッドヒートは、見ている側にとっても白熱する内容だった。

当日の予選とも言える参加枠争奪戦は、A~Hまでの計8つの競技ブロックに分かれて行われた。この予選では三島一八、ポール、スティーブといった定番キャラクタが人気。たまに強いキングやマードック使いも見かけたが、連携中心でゴリ押しする対戦相手にあっさり負けてしまうことがあり、連勝数を稼げなかったようだ。勝ち抜き戦というルールは、スティーブやクリスティにとってやや有利だったかも


「鉄拳ファン感謝イベント」といった雰囲気のロビー会場

 ところで、こうした生き残りの真剣勝負が行なわれていた予選ステージとは対照的に、無料で遊べるフリープレー台が置かれるロビーホールは終始なごやかムード。ロビー会場では'99年「鉄拳タッグトーナメント」大会覇者の判籐氏と対戦できるエキシビジョンマッチイベントが行われていたが、勝負そのものよりも「鉄拳4」はこうした遊び方ができますよ、といったレクチャータイムといった感じ。すでに本戦出場を決めているエリア別代表者も予選中は出番なしということでまったりと「鉄拳」談義。コアな鉄拳プレーヤーはこちらで「鉄拳4」をサカナに楽しく盛り上がっていたようだ。

ロビーに置かれた2組のフリープレー台のうち、1組は判藤氏とのエキシビジョンマッチ用に開放されていた。'99年「鉄拳TT」大会覇者と戦えるとあって、記念に対戦台に座る人も……(?)

 また、ひさしぶりの鉄拳イベントということもあってロビー会場には“新作”を披露しに来た鉄拳コスプレーヤーも多く見られた。予選を終えたメインステージでは、15時30分から鉄拳コスプレイベントが行われ、早くも新キャラクタであるクリスティ、髪を下ろしたポールといった「鉄拳4」ならではのキャラが登場。また、人気のシャオ(?)、を筆頭に、初代ミシェールといったコスプレーヤーなども会場に華をそえ、「鉄拳」キャラクタ人気の健在ぶりをうかがわせた。

全国大会の前に、まずは鉄拳コスプレーヤー有志によるイベントショーはいかが? こうしたお祭りノリが、「鉄拳」イベントのいいところ。個人的には、三島一八のコスプレーヤーさんのなりきりぶりが気に入りました


さすがに全国レベルは見どころ多し! ~決勝トーナメント

当日参加枠争奪戦から勝ち上がってきた9名を加え、決勝トーナメント表がついに発表。シード権を得たプレーヤーもいるが、こうした組み合わせ順の妙もトーナメント戦の醍醐味
 16時ちょうどから、コスプレイベントも無事終了し、ついにメインイベントの「THE KING OF IRONFIST TOURNAMENT 2001」本戦がスタートした。決勝トーナメントの出場者は、全国から選ばれたエリア代表15名と、当日争奪戦で勝ち残った9名の計24名。当日参加とは言え、当日予選メンバーは先ほど行われた予選で15~30連勝オーバーという驚異的な記録を叩き出した強者ばかり。ベスト8に絞り込まれてからはステージ中央に用意された対戦ステージに舞台が移り、多くの観客が見守るなかでの決戦となった。

 と、ここまで書いたところで、ちょっと話題を大会から「鉄拳4」の話に戻してみよう。今回発表された「鉄拳4」は、各ステージの地形を利用した攻防(高低差や障害物)をはじめとした“シリーズ初の新要素”を数多く含んだ意欲作となっている。新要素満載ということは、それだけゲームバランスにも変化が起きる。そしてバランスが変わるということは、それはつまり、「『鉄拳4』の新要素は、今までのシリーズの良さをスポイルしてないか? 」という心配でもあった。

準々決勝からは、ステージ中央に置かれた対戦台で1戦ごとに試合が行われることに。ハイレベルな攻防には観客も大きな歓声をあげ、プレーヤーを盛り上げていた
 そういった意味で本大会での全国ランカーの戦いは“はたして「鉄拳4」はどんな「鉄拳」なのか?”という心配に答えてくれる充実したものだった。予選・本戦の試合を通して観戦して感じたのは、強力な連携を使った派手な猛攻、至近距離からの打撃戦、そして攻め攻めムードでガンガンと相手に迫るプレーヤーの勢い……。「鉄拳4」の戦い方は、鉄拳シリーズならではの豪快な攻めがそのまま見事に受け継がれていた。

 「鉄拳4」らしさも感じたのは、ステージを使った攻防だ。たとえば壁を背にすると不利なことも多いかわり、逆に相手の攻撃の幅を狭めることができるし(軸移動の攻撃などに有効)。中下段をおりまぜた連携で迫るスティーブの突進力、相手を壁に貼り付けた状態でのクリスティの爆発力も、位置取り次第ではその長所が消えるシーンがあった。地形を利用してこちらの攻めるチャンスを増やす、たぶんこうした戦い方は「鉄拳4」ならではの面白さなのだろう。

 逆に追い込まれた側になったときは、壁ヒットを見極めて冷静に受け身などの対処を行なうことで道が開けてくることもあり、今までのように、浮いたら何も考えず空中コンボを出し切っていればいい、というわけにはいかない。実際、途中で壁によってコンボが入らず、空振りを逆襲されて戦いの流れが変わってしまったなどというシチュエーションが多数見受けられた。

左から、準優勝“石井千聡”氏、優勝“垂れ乳厳竜”氏、3位“馬乗りジェニファ”氏。優勝した垂れ乳厳竜氏には、「鉄拳4」アーケード基盤が贈られた。ちなみに惜しくも準優勝となった石井氏は、当日の参加枠争奪戦から勝ち上がってきたひとり。その怒涛の追い上げには、目を見張るものがあった
 さて、話をもとに戻そう。激戦となったトーナメント戦を最後まで勝ち残ったのは“垂れ乳厳竜(リン・シャオユウ)”氏。「今大会勝候補No.1」という前評判通り、バクチを避けた軸移動の最低限な動きに加え、相手が不利な状況下になると見るや徹底的に攻め込む堅実な戦いは「なんか、シャオじゃなくても強そう……」と思わせるほど。さらにの流れを読んだ攻守の切り替えも抜群にうまく、準決勝では0-2と追い込まれてから一気に逆転、決勝では3-0のストレートで快勝と、余裕すら感じる強さを見せていた。優勝後には「負ける気はしなかった」といった強気のコメントも飛び出していたが、そういった勢いも含め、「新たな“鉄拳王”がついに誕生したな」と思わせる一日であった。

 今回の取材を振り返って感じたのは「大江戸鉄拳夏祭」というイベント名からもわかるように単なる“全国大会決定戦”ではなく、“ファンに向けた夏最後のお祭り”として楽しい思い出になるようナムコ側がサービス精神を発揮していたことだった。大会終了後、ナムコの販売推進課・田井氏は「今日来ている皆さんのために、このイベントを開きました! これからも鉄拳4をお願いします」とファンに感謝の挨拶。その言葉通り、温かみのあるいいイベントとなっていた。

【決勝トーナメント一覧】
[GAME Watch調べ]
※★の付いたプレーヤーは当日予選突破者


全国トップレベルの「鉄拳4」の今

 「鉄拳4」が稼動を開始してはや1ヶ月経つが、今大会は開催までの日が浅いにも関わらずレベルの高い試合が接近戦多く見られた。これについて、'99年鉄拳タッグトーナメント覇者であり、現在はナムコのスタッフとして活躍している判籐氏は「最新作の「4」は、全キャラクタの打撃バランスをきちんとまとめたことで接近戦がより楽しめるような造りになっているんですよ。プレイ感覚としては、前作の「TT」より「2」に近い」とコメント。ちなみに、今大会で筆者が見た限りでの、目立ったキャラについての雑感は以下のようになる。ちなみにこれは独断と偏見によるものなので、ホンキで反論しないでください。お願いします。

  • 「優勝は意外なキャラが……~シャオ」
     ゲーセンでの暴れっぷりから上位陣は三島一八とポール使いで占められるのでは……と懸念していた「鉄拳4」だったが、実際そんなことは全然なく、むしろ均等に全キャラクタが勝ちあがってきた。しかし驚いたのが、テクニカルキャラの代表であるシャオ(決勝は4名がエントリー、使用キャラ率2位)の大活躍。試合中劣勢になることは多々あるが、多彩な軸移動や出の早いLPを主軸にした効果的な連携を駆使することで一躍トップに。コスプレでも人気だったが、今後のシャオ人気はさらに高まる気配がする。

  • 「誰かヤツを止めてくれ!~スティーブ」
     予選で一番人気だったのがスティーブ(決勝は6名がエントリー、使用キャラ率1位)。素早いコンビネーションでゴリゴリと勝ちまくる強さがあり、トーナメントの序盤~中盤戦では「まさか上位進出全員スティーブに!?」と思ってしまうほどの勢いがあった。さすがに全国ランカーはスティーブの長所をうまく消していたが、各地のゲーセンではまだまだ暴れそうな雰囲気満々である。

  • 「三島家の復興を願う!!~三島財閥の栄光見られず」
     大事件だ。「鉄拳」シリーズは今まで例外なく“三島”の名がつくキャラはバランスを無視したような強さを誇っていた(はずだった)。ところが今回、三島一八(決勝は3名がエントリー、使用キャラ率3位)でベスト8に残ったのは1人のみ。今まで「三島強すぎ」と憎まれ口を叩いてはいたが、弱いのもなんだかなあ……主人公だし。と思うので、ぜひ次回の大会には三島ファミリーに大暴れしてほしいです!!


「“垂れ乳厳竜”を倒せ!~実はナムコからの勅命?

 今大会で優勝した鉄拳王“垂れ乳厳竜”氏だが、実はナムコの田井氏は優勝のお祝いでこういったコメントも残していた。「優勝おめでとうございます。ただ、今大会の優勝者として各メディアに“垂れ乳”という言葉があちこちに載ると思うと……(笑)」そう、田井氏が言っているとおり、おかげでこのGAME Watchの記事でも“垂れ乳”なる言葉が掲載されてしまうのである(笑)。ナムコの悩みを今後吹き飛ばすためにも(?)、次回の大会では打倒“鉄拳王”を目標に多くのプレーヤーの活躍を期待したいところだ。




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□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□製品情報
http://www.namco.co.jp/home/aa/am/vg/tekken4/
□関連情報
【9月2日】ナムコ、AC「鉄拳4」日本一決定戦「大江戸鉄拳夏祭」を9月2日に開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010829/namco.htm

(2001年9月4日)

[Reported by 小林仁]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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