ECTS 2001 現地レポート

任天堂、「THE NINTENDO SHOW 2001」でヨーロッパ戦略を発表
わずか70グラムの超小型携帯ゲーム機『Pokemon mini』を初公開

会期:9月1日(現地時間)

会場:Westminster Central Hall (ウェストミンスター・セントラル・ホール)

 翌2日から始まるECTS 2001だが、昨年までとは一変、Micorosoft、NINTENDO of EUROPE(NOE)、SONY COMPUTER ENTERTAINMENT EUROPE(SCEE)の三社が揃って出展を見合わせる結果となった。そのため、この機を狙ったプラットホームレベルでのアナウンスはないものと危ぶまれていたが、NOEはそのなかで唯一プライベートショウ「THE NINTENDO SHOW 2001」を開催。ロンドンのほぼ中央、ウエストミンスター寺院にほど近いウェストミンスター・セントラル・ホールに、ヨーロッパ地域を中心としたメディアや関係者を招待して、今後一年間のヨーロッパ市場における戦略を発表した。

■ 超小型携帯ゲーム機『Pokemon mini』を初披露

 今回のショウで初お目見えとなったのが、超小型の携帯ゲーム機「Pokemon mini」。プレゼンテーションのなかばで、岩田聡氏のズボンの右ポケットから取り出され、機能の紹介が行なわれた。そのサイズはリリースによれば58×23×74mm (幅×奥行き×高さ)で、実際に手にしてみるとお馴染みのポケット・ピカチュウよりもひとまわり大きいだけという印象だ。表示画面にはモノクロのLCDパネルを採用している。

 しかし本体には、十字ボタンとA,Bボタンをはじめとして、サイドにはCボタンも装備。およそ1メートルの範囲をカバーする赤外線通信機能と、バイブレーション機能も搭載している。ゲームはGAMEBOYのように背面にセットするカートリッジ式で、本体同様これまた小さい。カートリッジ自体のサイズは公式には発表されていないが、一般的な切手サイズぐらいととらえればわかりやすい。

 このカートリッジの交換で、四種類の新しいポケモンゲームが楽しめる。ひとつは「Pokemon Party mini」。走ったりジャンプしたりという、さまざまなアクションを必要とするミニゲームの集合体だ。赤外線通信機能を使って4人までが同時にスコアを競い合うことができるらしい。他にも「Pokemon Pinball mini(仮題)」、カードゲームの「Pokemon Zany Cards(仮題)」、「Pokemon Puzzle Collection(仮題)」が発表されている。

 展示会場では、実際にこれらのゲームを試してみることができた。バイブレーション機能が効果的に機能していて、パズルやカードゲームでもブルブルと振動する。デモ機は、カートリッジ部分が赤外線ポートともにロックされていて、カートリッジの交換や、赤外線通信機能を試すことは残念ながらできなかった。また、デモ機の写真撮影も許可されていないので「Pokemon mini」の本体写真はNOEから提供された公式画像のみ。

 ポケット・ピカチュウやポケット・ピカチュウ・カラーにもミニゲームが含まれていたが、携帯ゲーム機というだけあって、「Pokemon mini」ではゲームの種類や複雑さなどが大きくパワーアップしている。いまのところゲームの素材はポケモン一色で、まさにポケモンファンのための、超小型携帯ゲーム機といったところだ。

 具体的な価格や発売日などは公表されていないが、ヨーロッパでは2002年の春に出荷を予定しているという。期待される日本国内における発売については、任天堂からの発表待ちということになる。

これが「Pokemon mini」だ。任天堂伝統の十字ボタンとA、Bボタンが左右に配置されている。中央にはPowerとリセット。ニュースリリースでは、ゲームボーイアドバンスを半分にしたよりも、もっと小さいと紹介されている 斜め上からのカット。赤外線通信ポートと、背面に差し込まれているカートリッジを見ることができる。ゲーム画面は、どうやらピカチュウとラッタのかけっこのようだが…… 向かって右側面の画像。ここにCボタンが配置されている。3つ目のボタンが存在することで、よりゲーム性の高いゲームの存在をうかがわせる。具体的な使い途についてはまだ不明だ

紹介する岩田氏の指先におさまるサイズながら、ゲームカートリッジが交換式ということにビックリ 本体上部には赤外線通信ポート。およそ1メートルの範囲をサポートしているらしい ヨーロッパ地域では2002年の春に発売。さて、日本ではいつになるのだろうか?


■ GAME CUBEのヨーロッパラウンチについて具体的な日付や価格の発表はなし

 ヨーロッパのメディアが注目していたのは、米国でのE3、そして日本での任天堂スペースワールドと、それぞれの地域で明らかにされてきたニンテンドーゲームキューブに関する情報だ。この機にここヨーロッパでの具体的な発売日や価格がアナウンスされるものと期待を集めたが、2002年春とこれまでどおりの発表にとどまった。詳細は、9月14日の日本、そして11月18日のアメリカでのラウンチを終えてからということになるらしい。

 上映されたゲーム画面のムービーやデモンストレーションは、先日開催された任天堂スペースワールドのものとほぼ同様である。現時点では、ヨーロッパ地域独自というタイトルは明らかにはされていない。

 ヨーロッパでも任天堂の顔である取締役開発本部長の宮本茂氏は、ビデオ映像で登場した。昨年のECTS以来、一年ぶりのロンドンということでどうにか参加したかったものの、ゲームキューブでまだまだ追い込みをしている部分があり、そこに全力投球したいということで、ビデオで来場者にメッセージを送った。この宮本氏によるメッセージからは、やはり先日上映されているゲームキューブ向けのタイトル「マリオ・サンシャイン(仮題)」と「ゼルダの伝説GC(仮題)」の映像が紹介された。すでにインターネットなどではこれらの映像が一部流出していることもあって、メディア関係者などはさすがに初見というわけではないのか、日本での初公開時のように熱狂的に歓声があがることはなかったが、それでも会場のあちこちから歓喜の声や嘆息が漏れていた。

 日本では宮本氏が行なったゲームキューブとゲームボーイアドバンスの連携による「コロコロカービィ2」のデモンストレーションは、岩田氏が担当。実際に操作している映像が見られるためか、来場者の反応は前出のマリオやゼルダの映像より高く感じられた。

 カードeリーダーは、スクリーンを使って機能を紹介。これもヨーロッパでは2002年春の出荷を予定している。展示会場は実際にカードをスライドさせてデモが体験できる。

 ヨーロッパにおけるクリスマスまでのスケジュールは、ヨーロッパ地域のセールス&マーケティングを統括するDAVID GOSEN氏より発表されている。6月22日に出荷を開始しているゲームボーイアドバンスについては、現行のタイトルに加えてクリスマスまでに更に41タイトルを投入するという。既存のゲームボーイカラーについても、人気のゼルダシリーズ「Oracle of Seasons」と「Oracle of Ages」(日本では「ふしぎの木の実」の“時空の章”、“大地の章”として発売済み)と、「Pokemon Crystal」が発売される。ゲームボーイカラーとゲームボーイアドバンスの位置づけとしては、前者をエントリーレベル、後者をティーンエイジャーなどをメインターゲットとしていく考えのようだ。またゲームボーイアドバンス購入者のコアは18歳程度という興味深いデータも併せて紹介されている。

ビデオ映像での登場となった宮本茂氏。「マリオ・サンシャイン(仮題)」と「ゼルダの伝説GC(仮題)」の最新映像を紹介するとともに、ゲームキューブへの意気込みをヨーロッパの来場者に熱く伝えた ゲームボーイアドバンスをゲームキューブのコントローラにする連携は岩田聡氏が紹介。日本でのデモンストレーションと同様に、開発中の「コロコロカービィ2」を使って、その楽しさとプレイ方法を紹介した。実際にプレイの様子を見られるためか、マリオやゼルダの映像以上に来場者の反応は良好に感じられる
日本と米国でのゲームキューブの発売日。これを受けてヨーロッパ地域での発売日や価格のアナウンスが期待されたが、2002年春との発表にとどまった。詳細は、日本と米国での発売以降になる模様 キャッチフレーズの「GAMING 24:7」は、一日“24”時間、一週間“7”日間、ずっーっとゲームを楽しんでねというメッセージ。上映されたヨーロッパでのゲームボーイアドバンスのCMは、トイレのなかでもゲームを続ける男性が登場 発売からおよそ2カ月、ゲームボーイアドバンスの出荷状況を報告するDAVID GOSEN氏。通貨単位がユーロになっている。ちなみにここイギリスは、来年1月のEU通貨統合には参加せず、当面はポンドのまま
ゲームボーイカラーとゲームボーイアドバンスの位置付け。市場における住み分けと考えてもよさそう ゲームボーイアドバンス購入者の平均年齢が18歳という非常に興味深いデータ ステージの演出はゴスペルソングの合唱。オープニング、エンディングなどを盛り上げた


会場となったウェストミンスター・セントラル・ホール。有名なウェストミンスター寺院や、ビッグベンのすぐそばにある ホール正面に位置するステンドグラスには、マリオの姿が見える発表会終了後に開放された試遊ゾーン。来場者が思い思いにゲームキューブのタイトルなどを楽しんだ。出展されているタイトルは、ファーストパーティを中心に日本でのスペースワールドで公開したモノとほぼ同じ

□NINTENDO OF EUROPEのホームページ
http://www.nintendo.de/

(2001年9月2日)

[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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