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★PS2ゲームレビュー★
『バイオハザード』シリーズ、『鬼武者』に続くカプコンのPS2用アクションアドベンチャー。舞台は中世を彷彿とさせる古城。魔界の侵蝕が進む城内で、仇敵である魔界の帝王ムンドゥスを目指して並み居る悪魔どもを切り倒していく。“スタイリッシュハードアクション”というジャンル名にもあるように、剣と銃によるコンビネーションで爽快なアクションが思いっきり楽しめる快作。 ■ ひたすら痛快! アクションゲームとしての高い完成度 カプコンのこのタイプの作品といえば、まず『バイオハザード』が思い浮かぶが、本作は『バイオハザード』よりも『鬼武者』に近い、アクション性を深く追求した作りになっている。もちろんゲームを進めるうえでキーとなるアイテムや謎解き要素はあるが、あくまでメインとなるのは敵との戦闘。同じ場所を何度も行ったり来たりする局面や、アイテムが持ちきれずに悩むようなことはない。主人公ダンテの持つ2つの武器、剣と銃によるアクションが本作の肝であり、痛快で最高に気持ちいい部分でもある。弾数等の制限もないので、思う存分攻撃に徹することができるのがうれしい。ジャンプや移動の基本操作もストレスなく行なえ、左右に転がって敵の攻撃をかわす回避行動などもある。これらを駆使して群がる敵をなぎ倒していくのだ。
剣による攻撃は3種のコンビネーションと、敵を打ち上げる特殊技ハイタイムが基本。銃攻撃は通常の射撃のみだが、銃の種類によって弾速や威力が大きく異なっている。なお、各攻撃は空中で行なうことも可能だ。剣で切り払い、銃で追い打ちする……これが最初は基本的なコンビネーションになるだろう。ゲームが進めば武器の種類や技も増え、敵に合わせた戦略をとることも可能になる。
最初に装備している銃は、エボニー&アイボリーという二丁拳銃。威力は低いが高速連射が可能なので、コンボを狙うにはこの武器が最適だ。ただしすべての敵に効くわけではないし、ゲームが進むと手に入るショットガンは、単発ながら近距離で当てれば非常に威力が高い。状況に応じて使い分けていくことも大切だ。
■ デビルトリガーで悪魔の能力を発動
これらのダンテのアクションに、さらにメリハリをつけているのがデビルトリガーという能力だ。これを発動するとダンテは魔人に変身してオーラを身にまとい、剣攻撃、銃攻撃ともにエフェクトのついた強力なものになる。ゲーム序盤でアラストルという雷が宿った剣を入手できるのだが、こうした属性武器を装備すれば発動できる。ほかに炎魔人に変身できるイフリートという篭手なども存在する。
デビルトリガーはライフの下にあるデビルトリガーゲージが3つ以上あれば発動でき、変身後はゲージが時間で徐々に減少していく。また、変身中に特定の技を出すことでも消費する。ゲージがゼロになると自動的に変身は解ける(任意解除も可能)。敵を攻撃する、敵の攻撃を受ける、またはアイテムなどでゲージは増加していく。 デビルトリガー発動中は攻撃力、防御力がアップするほか、敵のガードを無効化することもできる(一部効かないものもある)。変身中しか使えない専用技や、モーションが変化して強力になる技も多数存在し、さらに少しずつライフが回復していく効果まである。メリットは非常に大きいので、ボスなどの強敵と相対したときは迷わず使うべきだろう。
■ レッドオーブを集めてパワーアップせよ ダンテのパワーアップは、レッドオーブというアイテムと引き換えに行なわれる。わかりやすくいえば、レッドオーブという通貨で買い物をする感覚だ。扉を開けるためにこれが必要になる場面もある。レッドオーブは敵を倒せば必ず落とすほか、マップ上に始めから配置してあったり、甲冑や机などの設置物に隠されていたりする。また、本編はミッションという単位で細かく区切られて進行していくが、各ミッションのクリア時にもボーナスとしてレッドオーブが入手できる。このとき合計タイムやコンボ数に応じてランク評価(5段階)がなされ、これが高いほどもらえるレッドオーブも多くなる。
ミッションスタート時か、各所に配置された“時空神像”なる砂時計を持った像を調べればパワーアップ画面へ。交換できるのは戦闘で役立つ消費アイテムや、アラストルとイフリートの特殊技、ダンテのライフゲージ、デビルトリガーゲージをアップさせるアイテムなどだ。特殊技以外は、入手回数に応じて必要なレッドオーブの数も多くなっていくので、消費アイテムはなるべく無駄遣いのないよう使用回数を抑えたいところだ。
■ 敵も強力! 自由度が高いからこその緊張感と達成感
ダンテの行なえる動作が多いだけに、敵の攻撃のほうもなかなかに苛烈である。場面場面で攻略法をしっかり考えていかないと、ダンテの復讐劇は遅々として進まない。とくにボスクラスの敵は攻撃力も高く、繰り出す攻撃の種類も実に豊富。各攻撃をきちんと覚えて対処しなければ、イエローオーブ(復活できる消費アイテム)があっという間に底をつくだろう。
どうしても倒せない敵が現れたら、同じ場所を行き来してレッドオーブを稼ぐのも手だ。ザコ敵は部屋に入るたびに復活するので、何度でも戦うことができる。これを繰り返してレッドオーブを集め、パワーアップしてから再戦を挑んでみよう。敵はときどきグリーンオーブ(ライフ回復)も落とすので、多少のダメージは気にならない。さらに多くのコンボを決めると落とすレッドオーブの量が増えるという特典もあるので、コンボの練習をしたいなら一石二鳥だ。 ■ 魔界という舞台が生み出す魅力的な世界観 霊的な存在や巨大クリーチャーなどが自然に登場できる「魔界」なればこその演出も光る。仮面をつけ、巨大なハサミを持って浮遊するシンシザースや、液体状、槍状、鋸状などさまざまに形態を変えて襲い掛かるシャドウなど、敵キャラクタの存在感も強烈だ。冥府と現世の境界が希薄になっていく過程や、壁や絵の中から敵が登場するシーンなどの演出は、現実にはありえない世界ではあるが(“だからこそ”かもしれない)「リアルさ」を感じる。戦いの舞台も城内だけでなく、円形闘技場や霧に包まれた森など、ファンタジー色の強いさまざまなフィールドが用意されている。
しかしそれでもなお、快適で爽快なアクション性がやはり際立っている。極端な例になるが、仮にムービーや謎解き部分を完全に削除し、ステージクリア型のアクションゲームにしたとしても『デビルメイクライ』の魅力はさほど色あせないだろう。見るもおぞましい数多の魑魅魍魎が登場する本作だが、「怖さ」はあまり感じない。ダンテが非常に強く、頼もしい存在であるのがその要因であろう。 (C)CAPCOM CO.,LTD.2001 ALL RIGHTS RESEVED.
□カプコンのホームページ (2001年8月30日)
[Reported by 氏家雅紀] |
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