★ PS2ゲームレビュー ★

海外産本格派RPGがグラフィックを新たに
プレイステーション2に初登場!

マイト アンド マジック
デイ・オブ・ザ・デストロイヤー

  • ジャンル:ロールプレイングゲーム
  • 発売元:イマジニア
  • 価格:6,800円
  • プレイ人数:1人
  • 発売日:9月6日


 PS2で初登場の割に「第8作目」と言われてピンとこないかもしれない。「マイト&マジック」は、日本で世界三大RPGと称されることの多い海外産RPGだ。AppleIIやCommodore64、IBM PCなどで次々とシリーズ作品が展開され、98年にWindows用に発売されたマイト&マジック6がかなりの人気を博した。また、ファンタジーストラテジーのヒーローズ オブ マイト&マジックとストーリー的なリンクも果して、マイト&マジックワールドとも言える、一大叙事詩な世界を築いている有名なシリーズなのである。


■ 最大5人のパーティプレイ

謎の男によって、街中に大きな水晶の塔が出現したジャデイムの世界では、4元素の精霊の門が開かれてしまい、各地では天変地異が巻き起こる。混乱に乗じて攻め込んできたレグナ海賊との戦いや各地での異変を解決すべく、プレイヤーのパーティは東西奔走する
 「マイト&マジック8」はこれまでのシリーズ作品同様に、複数人でパーティを組み、様々な冒険を経て巨悪を倒すというRPGだ。広大な3Dフィールド内で出会う冒険は驚きと意外性に満ちていて、ファンタジーの中だけでは収まりきらない、いい意味で俗っぽい世界観が魅力的。しっかりしたストーリー、冒険の自由度、キャラクターをちょっとずつ成長させる喜びや、困難なダンジョンを踏破した爽快感などが得られる、非常にプレイしがいのあるゲームである。

 ゲームが始まるとまずキャラクターを作成する。ナイトやクレリック、ダークエルフといったそれぞれに戦闘の得手不得手がある種族の中から一つを選び、能力パラメーターや名前を変更して自分だけのオリジナルキャラクタを作り上げる。

 ただし、マイト&マジック8でプレイヤーが作成するキャラクターは最初の一人だけで、その他のメンツは、冒険の途中で出会うNPC(ノンプレイヤーキャラクター)をその場で仲間にするようになっている。仲間は冒険者ギルドで好きな時に好きなように入れ替えられるので、冒険の深度に合わせて強いNPCをどんどん入れ換えていってもいいし、最初からの仲間を換えずにじっくりと育てることもできる。


■ 自由度の高いクエストと戦闘システム

敵は魔法を使うもの、空を飛ぶもの、肉弾戦に強いものとバラエティに富んでおり、その時々で的確な攻撃方法の判断が必要とされる。戦闘はターン制とリアルタイム制を切り替えられ、じっくり考えて魔法を使ったり、ボタンを連打して敵を打ちのめしたり、好きなように戦える
 キャラクターは戦闘のほか、「クエスト」と呼ばれる様々な事件や町の人々の依頼を完遂することで、経験値とお金がもらえるようになっている。クエストには、ドラゴン一族と同盟を組んだり、精霊の王を救出したりといったダイナミックなものがあれば、世界三大チーズを探したり、海賊の財宝を見つけたりといった変り種もある。

 メインストーリーに関わるクエストをクリアしていくことでゲーム全体のストーリーが進むのだが、それ以外の星の数ほどあるサブクエストはどんな順番で取り掛かってもいいし、解いても解かなくても平気だ。つまり、ゲーム内でプレイヤーは本当の冒険者のように、自由に各地を放浪しながらいろいろな事件やイベントを楽しむことができるのである。

 戦闘のシステムはちょっとユニークで、ターン制とリアルタイム制を切り替えて行なう。フィールドやダンジョン内を歩いていると向こうから敵モンスターがやってきて、そのまま戦闘に突入するので、そこでターン制に切り替えるわけだ。そのため、3Dフィールド内を歩き回っている臨場感はそのままに戦闘に突入し、焦ることなくターン制で戦闘を行ない(リアルタイムのまま戦闘も行なえるがなれないうちは難しい)、そしてゲームに戻れるのだ。

アイテムが豊富なのもマイト&マジックシリーズの特徴だ。アイテムは、武器、防具、魔法の品々、そして不思議なクエストアイテムと多岐にわたっており、これは何に使うのだろうかとワクワクさせられる。自分でポーションを調合できるのも面白い
 経験値を得たキャラクターは、各地にある訓練所でレベルアップすることができる。レベルアップをすると、スキルポイントが得られ、これをキャラクターの職業に合ったスキル(技能)に割り振っていくことで、戦闘に必要な技術を成長させられる。ポイントはすきなように割り振れるので、自分なりのキャラクターを形作れるわけだ。

 スキルのレベルが一定以上になれば、各地にいる技能の師匠に教えを乞い、さらに技能を強化することができる。キャラクターの強さの変化は、モンスターとの戦いでダイレクトに威力を発揮するので、キャラクターの成長はゲームの中で大きな楽しみになっている。


■ コントローラーでの操作性はどうだろう?

キャラクターが最初から持っている技能の他にも、各地の店や寺院で新たな技能を習得できる。ただし、キャラクターの種族によって学べるものと学べないものとがあり、パーティの面々にどんな技能を持たせるのかという点も、ゲーム攻略に深く関わってくる
 さて、いろいろな意味で充実しているマイト&マジック8だが、PS2版での操作性に関してはやや難ありと言わざるを得ない。もともと、PCでプレイした経験があるせいかもしれないが、魔法の指定がワンボタンで行なえない(ただし、ボタン一つには任意の魔法を割り当てられる)、会話の選択肢をいちいちカーソルを動かして選ばなくてはならない、装備品の脱着が面倒、といったようにアナログスティックによるカーソル操作に関してはちょっとストレスを感じた。

 ただ、攻撃や魔法攻撃をボタンを連打して行なえるのは爽快感があったのと、戦闘時のターン・リアルタイムの切り替えがアナログスティックの押し込みで行なえるのが楽だったので、コントローラーで操作すること自体にそれほど不満は感じなかった。特に、アナログスティックで感覚的にキャラクタを操作できるのが気持ちよく、慣れればキーボードよりお気楽にプレイできるだろう。


■ PC版との相違点について

習った技能は、レベルアップ時にポイントを割り振ることで成長させられる。一定以上のポイントをふった技能は、各地にいる師匠にお金を払うことで「見習」や「達人」といったように熟練度をアップでき、さらに大きな効果を発揮できる
 基本的なゲームシステムやストーリーなどはPC版と一緒なのだが、PS2用のプリンター「popegg」に対応しているため、大事なヒントやアイテム、気に入った風景などをワンボタンで手軽にプリントアウトできる。

 ゲームの冒頭にはPC版になかった移動と戦闘の仕方が練習できるチュートリアルも付属している。ただし、これはボタンをグラフィカルに表示をしながら親切に教えてくれるというものでなく、マニュアル片手に実地練習という感じのものだった。

 もう一つの違いは、PC版ではいきなり始まってなんの紹介もなかった主人公の立場に、多少の説明を加える戦闘が挿入されていること。ゲームが始まるとすぐに、キャラバンを襲うパイレーツが目の前に登場し、キャラバンの護衛であるプレイヤーが敵を撃退しなくてはならないという状況が用意されている。これをクリアするとお金と経験値がもらえるので、何もも足されずにいきなりゲーム世界に放り出されるPC版よりかなり親切だし、その後のダガーワンド諸島でのストーリーにすんなり入ることができた。

 また、PC版では固定だったキャラクターウィンドウ枠を、Windowsのツールバーのように好きな時に出し入れできるため、さらに臨場感のある操作が可能になっている。


■ どういった人が楽しめるRPGなのか?

戦闘時に受けたダメージは魔法や寺院で回復でき、死亡した場合も同様に回復できる。しかし、パーティ全員が死亡、または気絶などの戦闘不能状態に陥るとパーティ全滅となり、その場で強制的に街に送還されて、銀行に預けていない手持ちのお金はすべて没収される
 マイト&マジック8は、昨今の日本のRPGと比べるとかなり異色に見えるかもしれない。キャラクターや絵柄がバタくさいので違和感を憶えるだろう。グラフィックスも最新ゲームのそれにやや見劣りしてしまう。

 だが、マイト&マジック8は、キャラクターをちょっとずつ成長させていく喜びや、見知らぬ土地を探険してドキドキするといった感覚が、とびぬけて強いゲームだ。性格も考え方も違う主人公を操作するのでなく、ゲーム内キャラクターが自分の分身であるため、ゲーム世界との一体感も強い。自分がした冒険がストーリーになり、自分自身が主人公であるという、操作キャラクターとのシンクロ性が気分のいいRPGなのだ。

 自分とは違う考え方のセリフをしゃべる主人公に違和感を覚えたり、規定の一本道ストーリーをなぞるだけのRPGに飽きた人にこそお勧めしたいゲームなのである。

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□イマジニアのホームページ
http://www.imagineer.co.jp/pc/index.html
□「マイト アンド マジック~デイ・オブ・ザ・デストロイヤー~」のホームページ
http://www.imagineer.co.jp/ps2/mm/

(2001年8月27日)

[Reported by 西尾ゆき]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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