|
SIGGRAPH2001現地レポート傑作CG映像が勢揃い |
Eve Solal |
---|
(c)Attitude Studio / Marc Miance |
会場:Los Angeles Convention Center
SIGGRAPH会期中はCourseと呼ばれるセミナーをはじめ、ユーザーグループの会合、あるいは各種のパーティなど公式、非公式を含めさまざまな催しが開かれているが、参加者すべてが楽しみにしているイベントがComputer Animation Festival(コンピュータ・アニメーション・フェスティバル)だ。
コンピュータ・アニメーション・フェスティバルには、世界中から映画、CM、テレビゲーム、そして個人の作品まで数多くのCGムービーが集まる。今年はそのなかで、SIGGRAPHの選定委員会が秀作と認めた約120本が上演されている。ちなみに、今年の選定委員会でChairを務めたのは、Sony Pictures ImageworksのSande Scoredos氏。
上演される映像のうち、約80本はコンベンションセンター内に設置された3つのTheaterを使って終日ローテーションで公開されているが、特に選出された40本余りは、ロサンゼルス市内にある映画館を利用して上演される。これが「Electronic Theater」だ。マチネーと称して昼下がりの上演スケジュールもあるが、メインはやはり夜。セミナーなど今日のスケジュールを終えた参加者が、期待に顔をほころばせて会場となった「Shrine Theater」前に行列を作る。入り口にはちゃんと赤いカーペットが敷かれていて、いかにもアメリカという雰囲気。SIGGRAPH参加者にはひとりに一枚ずつ入場チケットが提供され、会期中の希望する曜日、時間帯に一度だけ観に行くことができる仕組みだ。
開演は午後7時だが、6時過ぎからはプレ・ショウとしていくつかの映像が流されている。内容はCGに関するトリビアになっていて「JPEGフォーマットのJ、P、Gは、なんの略?」とか「'85年に発表された、サイエンティフイックなCG技術は?」(ちなみに答えはフラクタル)、など業界人なら思わずニヤリとする……逆にわからなくて焦る人もいるかもしれないが……問題が続々と登場。まだ思い思いに席を探したり、飲み物やポップコーンをほおばっているが、時折「どっ」とウケたりしている。終盤には、ALIENのオープニングをパロった映像も流れ、シガーニー・ウィーバー(本人?)も出てきたりしてこれまた楽しい。
Electronic Theater本編は、例年どおりOpening Sequensからスタート。今年の制作はBlur Studioで、「2001: A DIGITAL ODYSSEY」。その名のとおり、「2001年宇宙の旅」のパロディだ。猿人達が奪い合う例のブツがキーボードになっていたり、彼らの頭上に現れるのがティー・ポットだったりと(念のために書いておくと、3Dモデリングの習作で最初に作るのがこれ。この辺は関係者が集まる場所ならではのコンセンサス)ウケまくった後、壮大なるオチに向かっていくのである。
Electronic Theaterで上演される作品は、いずれも数分間のショート・ショートが中心。商業映画に使われたCGシーンなどは、一般公開では観ることができないメイキングを中心に数分間に編集してある。例えば「102」でダルメシアン犬が登場するシーンで一頭をワイヤーフレームにしたまま流すなど、いわば種明かし的なものだ。間もなく公開される「Shrek」では、キャラクタの内部に普通は目にできない筋肉や骨格まで(体の動きの物理シミュレーションのためだろうか?)が作り込まれていることもわかる。他にも「キャスト・アウェイ」や「パール・ハーバー」など公開中の映画もあって、「えっ、あそこがCGだったの?」と思わせる部分が次々と登場する。
CMや個人の作品は短いものが多いので、ほとんど全編を観ることができる。技術を前面に出したものもあるが、CGならではの一発ギャグをかましてくれる作品も多く、場内は笑いが絶えない。ノンストップで上映が続くが、一作品終えるごとに会場は拍手に包まれる。約2時間の上映時間もあっと言う間だ。
ショートストーリーが中心で、またCG映像ゆえに、個々の作品を言葉で紹介することはしない。本稿では、一部の作品のスクリーンショットを掲載するが、いずれも機会があれば、是非とも鑑賞して欲しいものばかりだ。
会場ではElectronic TheaterをはじめAnimation Theaterの映像が、DVDとビデオテープで販売されている。また国内では一部の作品が、9月19日から幕張メッセで開催される「シーグラフ東京/フォーラム2001」(WORLD PC EXPO 2001に併催)で「フィルムショー」として上演されることになっている(受講料1,000円)。興味のある人は、是非足を運んで欲しい。
掲載した画像はすべて、ACM SIGGRAPHよりメディア向けに提供されている「Madia Images CD-ROM」に収録されている素材を利用している
□SIGGRAPH2001のホームページ
http://helios.siggraph.org/s2001/
□DVD、ビデオのセールスについてのページ
http://www.siggraph.org/publications/video-review/SVR.html
□シーグラフ東京 / フォーラム2001 フィルムショー
http://www.wpc-bp.com/ja/index.html
(2001年8月16日)
[Reported by 矢作 晃(akira@yahagi.net)]
|
GAME Watchホームページ |