★ PCゲームレビュー ★

舞台は'85年、冷戦時代のソ連邦
君の放った一発の弾丸が歴史を変える……

オペレーションフラッシュポイント
コールドウォークライシス

  • ジャンル:3Dアクションシューティング
  • 日本発売元:イマジニア
  • 価格:7,800円
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000
  • 発売日:7月27日


 この夏期待のリアル系MMOFPS(多人数FPS)「オペレーションフラッシュポイント(以下OFP)」の日本語マニュアル付き英語版が、今月27日にイマジニアから発売される。最近のFPSは、一発の銃弾でプレーヤーが死亡してしまうようなリアル系と呼ばれるものが主流となっているが、OFPはそんなリアル系の新作として特に期待されている一本だ。開発元がチェコのゲーム会社ということもあり、ヨーロッパでは先行して6月に発売されている。ヨーロッパ諸国での人気は非常に高く、近来まれに見る良作だと評判だ。

 物語の発端となるのは、冷戦状態が続く核戦争への緊張感真っただ中の'85年ソビエト連邦。当時、国内ではミハイル・ゴルバチョフ書記長の主導によるペレストロイカが行なわれていたが、これに賛同せず、反旗をひるがえした軍部の一勢力が「kolgjev」と呼ばれる戦略拠点を占拠した。同時にkolgjevに設置された戦略核兵器のコントロールも反乱軍に握られてしまう。ゴルバチョフ書記長はこの緊急事態に対して有効な打開策を見出せず、アメリカ大統領ドナルド・レーガンと急遽会見。本件に対するNATO(北大西洋条約機構)軍の介入を了承し、世界秩序の維持をNATO軍にゆだねることにした。というのがOFPのバックグラウンドストーリー。プレーヤーはNATO軍の一兵士となり、与えられる一連のミッションをこなし、紛争を解決していく。


■ 広大な戦場とリアルなダメージ感をリアルに再現した「戦場の緊張感」が最大の醍醐味

夕闇の中、敵陣地を制圧すべくフォーメーションを組むNATO軍M1A1戦車。燃えるだろ!
 余談だが、リアル系FPSの代表格といえばSierraの「CounterStrike」が特に有名だ。ただ「CounterStrike」は、銃弾を10数発胴体に喰らっても死なないとか、足に銃弾を受けてもHPが0になるまでフィールド内を元気に走り回れたりと、「ゲーム性」を重視するあまり「リアル感」にいまいち乏しいところがある。既存のFPSも程度の差こそあれ、その点に変わりはない。

 一方、OFPは「Rainbow Six」シリーズのように、戦場を飛び交う5.56mm弾が、自キャラの急所にヒットすれば、あっさり「死」を迎える。足に当たれば当然動けずに、地面を這いずることになる(おまけに悲鳴まで上げる)。要するに「痛い」のである。リアル系FPSにおけるゲーム性とリアル感は相反するものと筆者は考えているが、OFPは特に「リアル感」を重視して作られているFPSだ。そのリアル感は今までのFPSに慣れ親しんだプレーヤーに、痛烈な一発をお見舞いしてくれる。リアル系FPSでは、リアル感+緊張感が常に求められる。OFPでは戦場での緊張感、兵器のリアル感、怪我などのダメージ表現が十分に考慮されている。「戦争ごっこ」を楽しみたいミリタリー系PCゲーマーにとっては福音ともいうべき一作と言っても過言ではないくらいだ。

戦車内部で指揮官席から内部砲手を望む。やっぱり指揮官に踏んづけられることが多いのだろうか
 リアル感という点でのもうひとつの大きな特徴が、戦場が今までのFPSに比べて異様に広いことだ。十数キロ四方の作戦区域すべてが戦場で、敵が目視できることなどほとんどない。実際の戦闘同様、銃声を耳にした瞬間に死亡していることも多く(耳元で弾がピュンピュン飛び交う音がするのは心臓に悪い……)、交戦中に敵の増援に囲まれて右往左往、といったシビアな状況を味わうこともザラだ。弾一発でも死亡、どこから撃たれたかわからず、敵の位置が補足できない、といった戦場の原体験を見事に再現したゲームは、ひょっとするとOFPが初めてではないだろうか。

 プレーヤーは、ミッションにおいて少ない被害で最大限の戦果を上げ、なおかつ作戦を完遂するために努力していくことになる。作戦中に使用する武器は、自分の銃の弾が切れれば撃ち倒した敵の銃を奪って使うこともできるし、戦場に転がる敵車輌を奪って利用してもいい。敵をすべて打ち倒す必要もない。要するにステージにあるすべての武器・車輌・人員を使って作戦目的を遂行する。この選択肢の多さが、OFPにおけるゲーム性といえそうである。

 ゲーム自体はミッションブリーフィングでメモした地点まで赴き作戦目的を遂行、その条件をクリアするとまた次の地点へ移動、というステップを繰り返すミッションクリア型。新兵である前半は行動の選択肢が少なく、スクワッドリーダー(小隊指揮官)の指示に従って行動をしていく。しかし、作戦が進んで軍隊内での階級が上がり、自分がスクワッドリーダーになると指揮下にある兵隊に対して、RADIOチャット(実際にしゃべるのではなく、数字キーによってしゃべりたい言葉を選ぶ)を使用した指示を出すことで自分の思い通りにゲーム内の兵士たちを動かすことができる。それまでの作戦と先輩指揮官から培ったノウハウを使って、有利に作戦を運ぼう。目標地点に直進するもよし、左右から回りこんで安全を確保してから突っ込んでもよし。また、先行して潜入した友軍と連携作戦を取るシナリオも存在してる。ゲーム中のRADIOには耳を傾けたほうがいい。

藪にアンブッシュし、敵がサイト内に納まるのをひたすら待つ MISSON ALL OVER。残るのはそこで戦争があったことを示す破壊された車両のみ…… 死亡すると、格言とともに自分を狙った敵兵士がズームされる。おのれ次こそは


■ お作法の必要な武器が満載! 戦車もガンガン操作できる!!

スナイパーライフルのスコープ内に、敵指揮官を補足。“One Shot One Kill”の原則にのっとり、引き金を絞る
 さて、このようなFPSで一番ウケル要因はゲーム内で使用できる装備品が「リアル」であることだ。OFPはその点でも手を抜いていない。ゲーム内では冷戦当時の銃器・車輌・ヘリなどが利用でき、モデリングはこれまでのFPSの中でも群を抜いて精密だ。当然扱うためにいろいろと「お作法」が必要となってくる。銃器などは実際に撃つ場合、銃に備え付けられている「サイト」を利用しないとまず当たらない(要するにサイトの見方を事前に知らないと、ロケットランチャーやグレネードなどの投擲系、スナイパーライフルは当たらない)。サイトを覗かないで撃つなど無駄弾以外の何者でもない。改めて「武器というものは、それなりの手順を踏まないといかんのだな」と感じさせてくれる。

 リアルなのは車輌だって同じこと、アメリカ軍制式戦車「M1A1エイブラムス」などは実在のものから、通信手を除いた戦車長・砲手・運転手の3名で運用される。戦車長となって指示を出せば、戦車を駆ってフィールドを思うとおり動くことが可能だし、HEAT弾(対戦車成形炸薬弾)とSabot弾を相手車輌によって、使い分けることもできる。戦車搭乗の際も「正確に敵車輌に弾を当てるためには、撃つ瞬間は止まる必要がある」といったお作法があって、ミリタリーマニアの血を騒がしてくれること請け合いである。しかし、そんなOFPにも不満点がある。兵器を思うとおりに動かせるのは結構なのだが、逆にその余りのリアルさに「そこのレバーを実際に動かしてくれ!」とか「そこのペダル踏ませて!」という欲求不満でのたうち回ってしまうのだ。今まで以上にリアルだったが故の贅沢な悩みと言われればそれまでではあるが。

AH-60輸送ヘリに乗って、作戦ポイントへ移動中。どことなく小隊長の表情もこわばっている ミッションブリーフィング。自分が何をなすべきか、確実に確認しておくことが重要だ 地平線が霞むほど広い戦場。見える範囲すべてを移動することが可能だ。徒歩だときつすぎる


■ やっぱり面白いのは連携作戦が成功したとき!

夜陰に乗じ、コブラ攻撃ヘリにて敵基地へ打撃を加える。この後地上から車両8台、歩兵4個小隊が進行
 OFPにはシビアなダメージ計算、実在のものに即した武器、広大なフィールド、作戦目的遂行への選択肢の多さなど注目すべき点が幾つかあるが、そのどれも「連携作戦の面白さ」のための小道具に過ぎない。やはりOFP本来の面白さは「作戦をタイムスケジュールに則って遂行し、戦場から引き揚げる」という点に尽きる。たとえば、プレーヤーは人員輸送ヘリUH-60のパイロット、夜陰にまぎれて敵制空権下へ進行。先に潜入した工作員の誘導で特殊部隊「BlackOps」を敵基地へ強襲降下、投下後回収地点にてBlackOpsの到着を待つ。しかし、急遽出現した敵戦車に対抗するため急遽離陸し、これを撃滅する。といった「軍隊という巨大な組織の一員となった一体感」を、一連の作戦をこなすことで味わうことできる点が大きな魅力のひとつとなっている。

 OFPで用意されているシングルミッションや、インターネットで配布されているユーザーミッションには「漢なら燃えてしまう」シチュエーション大爆発の内容が多い。そのどれもが、OFP本来の面白さを体現できるミッションで、全てを一通り終わらせるだけでも優に数カ月は必要だろう。おまけに、マウスだけでシナリオを作成できるミッションエディタも搭載されているので、自分で「燃えるシチュエーション」を再現してみるのもいい。というより、やらないともったいなさ過ぎる。

敵基地近くのブッシュから、遠距離にいる戦車部隊に攻撃目標を伝達。重要地点に榴弾を打ち込ませる ホバリング中のヘリから地上施設をミサイル攻撃。敵の迎撃ヘリが上がる前に目標を全て破壊し、撤収しなければいけないので手際よく目標を破壊していく 同じく敵基地から迎撃に出たT80戦車をTOWミサイルで攻撃。ヘリにとって戦車はいい目標である


■ 本格的な大規模戦闘は9月からスタート

双眼鏡にて前方ブッシュに敵が潜んでいないか偵察。これを怠ると、イキナリ撃たれて死亡する
 ここまで読んできて「あれ、OFPってシングルプレイ専用?」と思われた方もいると思うが、そんなことはない。当然マルチプレーヤー用のモードも用意されており、あらかじめ用意されたシナリオを協力してクリアする「Cooperative」や、フィールド上の戦略地点を一定時間守備しきったら勝ちという「Hold the City」、FPSではお決まりのCaputure The Flag(CTF戦)など5種類が用意されている。さらにこれらに加えてユーザー側が細かくルールを定めてオリジナルゲームを作成することも出来る。

 ただ、残念なことに現在のバージョンのOFPに搭載されているマルチプレイモードは、一人のプレイヤーのゲームに他のプレイヤーが参加する「ホスト型」のマルチプレイしか利用できない。OFPのウリは「50人×50人が広大なフィールドでドンパチ!」だが、これを実現するためにはPCをOFP専用サーバーとして動かす「Dedicated」モードで動かす必要がある。しかし、現在発売されているヨーロッパ版、並びに27日に発売予定の日本語マニュアル版ではDedicatedモードはサポートされていない。これは開発が6月までに間に合わなかったため。9月に発売される北米版や、今秋発売予定の完全日本語版ではDedicatedモードがサポートされる予定だ。ちなみに、Dedicatedモード対応版が出るのと同時に現行の製品に対するサーバーパッチがリリースされる予定なので、今からシングルマッチで操作法や世界観になれておくのもいいだろう。

アパッチ攻撃ヘリにて地上に展開する戦車部隊を急襲。ヘリは戦車の天敵であることを改めて確認
 ヨーロッパ版のマルチプレイでも、10人程度ならストレスを感じずにゲームをすることができるので、友達同士でプレイするには何の問題もない。しかし、ネットワークコードのデキが世界最高峰と言われるTRIBES2でさえ、ストレスを感じないレベルでプレイできるのは64人程度が限界だ。よって、実際のところ100人のプレイヤー+車輌がさばけるかどうかというと多少怪しい。おそらく、今後新しくネットワークコードが書き換えられでもしない限り、100人規模でのマルチプレイは実現する可能性は低いと思われる。OFPのマルチプレイの肝は、大人数のプレイヤーが空陸2軍に分かれ、有機的な連携を見せて敵軍を制圧するところではないかと思っていただけに、この点については一抹の寂しさを禁じ得ない。

 最後に、断る必要もないと思うが、舞台がソビエト、主役はNATO軍ということで、ゲーム内では英語とロシア語が飛び交っている。一応英語の字幕は入るが、これがわからないと次の目標がわからないし、ストーリー背景がわからなくて楽しみ半減だし、と散々な目に会ってしまう。英語に自信のない方は素直に日本語版を待つか、あるいは近日中にイマジニアが公開する予定の「ファンサイト検索エンジン」を利用してゲームを進めていくことをお勧めしておきたい。

地上に展開する敵T72戦車群を、A10サンダーボルト攻撃機にて急襲するの図 手前から手際よく対戦車ミサイルを打ち込んでいく。突然のことに戦車は混乱、反撃に移れないようだ 一旦抜けて砂丘の影に隠れる敵T72戦車を攻撃。低空から進行して一気に敵戦車を撃滅する

M151 A2ジープに乗り、敵陣地の偵察から帰還中。ゲーム内に存在する乗り物のほとんどは自分で操作できる 味方陣地へ帰る途中、上官から本作戦の目標などの説明を受ける。今回の目標は敵レジスタンスにとらわれた人質の奪還とのこと M113 装甲兵員輸送車。敵基地へ緊急展開させる特殊部隊兵士の先導役を務める

(C) 2001 Bohemia Interactive Studio and The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters"(R) and the Codemasters logo are registered trademarks owned by Codemasters. "Operation Flashpoint"(TM), "FADE"(TM) and "GENIUS AT PLAY"(TM) are trademarks of Codemasters. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners. Developed by Bohemia Interactive Studio. Published by Codemasters.


【動作環境】
  • CPU:Pentium II 400MHz以上(Pentium III 600MHz以上を推奨)
  • メモリ:64MB以上(128MB以上を推奨)
  • HDD:770MB以上(スワップ領域を含む)
  • CD-ROMドライブ:8倍速以上 (24倍速以上を推奨、起動時必須)
  • ビデオメモリ:16MB以上(32MB以上を推奨)


□イマジニアのホームページ
http://www.imagineer.co.jp/pc/
□「オペレーションフラッシュポイント コールドウォークライシス」の公式ページ
http://www.imagineer.co.jp/pc/products/ofp/index.html
□関連情報
【6月20日】イマジニア、「OPERATION FLASHPOINT」の独占販売権を取得
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010620/ofp.htm

(2001年7月25日)

[Reported by Tyokuta]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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