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★ PCゲームレビュー ★
この夏期待のリアル系MMOFPS(多人数FPS)「オペレーションフラッシュポイント(以下OFP)」の日本語マニュアル付き英語版が、今月27日にイマジニアから発売される。最近のFPSは、一発の銃弾でプレーヤーが死亡してしまうようなリアル系と呼ばれるものが主流となっているが、OFPはそんなリアル系の新作として特に期待されている一本だ。開発元がチェコのゲーム会社ということもあり、ヨーロッパでは先行して6月に発売されている。ヨーロッパ諸国での人気は非常に高く、近来まれに見る良作だと評判だ。
物語の発端となるのは、冷戦状態が続く核戦争への緊張感真っただ中の'85年ソビエト連邦。当時、国内ではミハイル・ゴルバチョフ書記長の主導によるペレストロイカが行なわれていたが、これに賛同せず、反旗をひるがえした軍部の一勢力が「kolgjev」と呼ばれる戦略拠点を占拠した。同時にkolgjevに設置された戦略核兵器のコントロールも反乱軍に握られてしまう。ゴルバチョフ書記長はこの緊急事態に対して有効な打開策を見出せず、アメリカ大統領ドナルド・レーガンと急遽会見。本件に対するNATO(北大西洋条約機構)軍の介入を了承し、世界秩序の維持をNATO軍にゆだねることにした。というのがOFPのバックグラウンドストーリー。プレーヤーはNATO軍の一兵士となり、与えられる一連のミッションをこなし、紛争を解決していく。 ■ 広大な戦場とリアルなダメージ感をリアルに再現した「戦場の緊張感」が最大の醍醐味
一方、OFPは「Rainbow Six」シリーズのように、戦場を飛び交う5.56mm弾が、自キャラの急所にヒットすれば、あっさり「死」を迎える。足に当たれば当然動けずに、地面を這いずることになる(おまけに悲鳴まで上げる)。要するに「痛い」のである。リアル系FPSにおけるゲーム性とリアル感は相反するものと筆者は考えているが、OFPは特に「リアル感」を重視して作られているFPSだ。そのリアル感は今までのFPSに慣れ親しんだプレーヤーに、痛烈な一発をお見舞いしてくれる。リアル系FPSでは、リアル感+緊張感が常に求められる。OFPでは戦場での緊張感、兵器のリアル感、怪我などのダメージ表現が十分に考慮されている。「戦争ごっこ」を楽しみたいミリタリー系PCゲーマーにとっては福音ともいうべき一作と言っても過言ではないくらいだ。
プレーヤーは、ミッションにおいて少ない被害で最大限の戦果を上げ、なおかつ作戦を完遂するために努力していくことになる。作戦中に使用する武器は、自分の銃の弾が切れれば撃ち倒した敵の銃を奪って使うこともできるし、戦場に転がる敵車輌を奪って利用してもいい。敵をすべて打ち倒す必要もない。要するにステージにあるすべての武器・車輌・人員を使って作戦目的を遂行する。この選択肢の多さが、OFPにおけるゲーム性といえそうである。 ゲーム自体はミッションブリーフィングでメモした地点まで赴き作戦目的を遂行、その条件をクリアするとまた次の地点へ移動、というステップを繰り返すミッションクリア型。新兵である前半は行動の選択肢が少なく、スクワッドリーダー(小隊指揮官)の指示に従って行動をしていく。しかし、作戦が進んで軍隊内での階級が上がり、自分がスクワッドリーダーになると指揮下にある兵隊に対して、RADIOチャット(実際にしゃべるのではなく、数字キーによってしゃべりたい言葉を選ぶ)を使用した指示を出すことで自分の思い通りにゲーム内の兵士たちを動かすことができる。それまでの作戦と先輩指揮官から培ったノウハウを使って、有利に作戦を運ぼう。目標地点に直進するもよし、左右から回りこんで安全を確保してから突っ込んでもよし。また、先行して潜入した友軍と連携作戦を取るシナリオも存在してる。ゲーム中のRADIOには耳を傾けたほうがいい。
■ お作法の必要な武器が満載! 戦車もガンガン操作できる!!
リアルなのは車輌だって同じこと、アメリカ軍制式戦車「M1A1エイブラムス」などは実在のものから、通信手を除いた戦車長・砲手・運転手の3名で運用される。戦車長となって指示を出せば、戦車を駆ってフィールドを思うとおり動くことが可能だし、HEAT弾(対戦車成形炸薬弾)とSabot弾を相手車輌によって、使い分けることもできる。戦車搭乗の際も「正確に敵車輌に弾を当てるためには、撃つ瞬間は止まる必要がある」といったお作法があって、ミリタリーマニアの血を騒がしてくれること請け合いである。しかし、そんなOFPにも不満点がある。兵器を思うとおりに動かせるのは結構なのだが、逆にその余りのリアルさに「そこのレバーを実際に動かしてくれ!」とか「そこのペダル踏ませて!」という欲求不満でのたうち回ってしまうのだ。今まで以上にリアルだったが故の贅沢な悩みと言われればそれまでではあるが。
■ やっぱり面白いのは連携作戦が成功したとき!
OFPで用意されているシングルミッションや、インターネットで配布されているユーザーミッションには「漢なら燃えてしまう」シチュエーション大爆発の内容が多い。そのどれもが、OFP本来の面白さを体現できるミッションで、全てを一通り終わらせるだけでも優に数カ月は必要だろう。おまけに、マウスだけでシナリオを作成できるミッションエディタも搭載されているので、自分で「燃えるシチュエーション」を再現してみるのもいい。というより、やらないともったいなさ過ぎる。
■ 本格的な大規模戦闘は9月からスタート
ただ、残念なことに現在のバージョンのOFPに搭載されているマルチプレイモードは、一人のプレイヤーのゲームに他のプレイヤーが参加する「ホスト型」のマルチプレイしか利用できない。OFPのウリは「50人×50人が広大なフィールドでドンパチ!」だが、これを実現するためにはPCをOFP専用サーバーとして動かす「Dedicated」モードで動かす必要がある。しかし、現在発売されているヨーロッパ版、並びに27日に発売予定の日本語マニュアル版ではDedicatedモードはサポートされていない。これは開発が6月までに間に合わなかったため。9月に発売される北米版や、今秋発売予定の完全日本語版ではDedicatedモードがサポートされる予定だ。ちなみに、Dedicatedモード対応版が出るのと同時に現行の製品に対するサーバーパッチがリリースされる予定なので、今からシングルマッチで操作法や世界観になれておくのもいいだろう。
最後に、断る必要もないと思うが、舞台がソビエト、主役はNATO軍ということで、ゲーム内では英語とロシア語が飛び交っている。一応英語の字幕は入るが、これがわからないと次の目標がわからないし、ストーリー背景がわからなくて楽しみ半減だし、と散々な目に会ってしまう。英語に自信のない方は素直に日本語版を待つか、あるいは近日中にイマジニアが公開する予定の「ファンサイト検索エンジン」を利用してゲームを進めていくことをお勧めしておきたい。
(C) 2001 Bohemia Interactive Studio and The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters"(R) and the Codemasters logo are registered trademarks owned by Codemasters. "Operation Flashpoint"(TM), "FADE"(TM) and "GENIUS AT PLAY"(TM) are trademarks of Codemasters. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners. Developed by Bohemia Interactive Studio. Published by Codemasters.
□イマジニアのホームページ http://www.imagineer.co.jp/pc/ □「オペレーションフラッシュポイント コールドウォークライシス」の公式ページ http://www.imagineer.co.jp/pc/products/ofp/index.html □関連情報 【6月20日】イマジニア、「OPERATION FLASHPOINT」の独占販売権を取得 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010620/ofp.htm (2001年7月25日)
[Reported by Tyokuta] |
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