SCEI、鉄道の魅力を凝縮
細かく作り込まれた「THE 山手線~Train Simulator Real」

10月 発売予定

価格:5,800円

演出プロデュースを担当した向谷実氏
 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントは、実写映像を使ったプレイステーション 2用トレインシミュレータ「THE 山手線~Train Simulator Real」を10月に5,800円で発売する。周辺機器としてタイトーの「電車でGO! コントローラ・TYPE2」に対応するほか、ポニー・キャニオンから発売中のPC用「Master Controller II for Train Simulator (19,800円)」も市販のUSB/シリアル変換アダプタを使用することで、プレイステーション 2でも使用することができる。

 「THE 山手線~Train Simulator Real」は、パソコン用ソフトとして22本発売されている実写映像を使ったトレイシミュレータシリーズの制作ノウハウを活かしながらも、プレイステーション 2のパワーを使い、徹底的に凝った鉄道マニアだけでなく誰でもが楽しめる工夫がされたソフトに仕上がっている。制作はフュージョンバンド“カシオペア”のキーボードで有名な向谷実氏。向谷氏の鉄道好きはつとに有名で、今回もそのこだわりが炸裂している。今回収録されたのは東京の環状線「山手線」の外回り。

 収録されているモードは3つあるが、もっとも中心となるのは実際のダイヤを元に山手線を運転する「通常乗務」だろう。ここでは早朝、朝、昼、夕方の4つのダイヤが収録されており、それぞれ難易度が違う。たとえば朝のラッシュアワーより昼の方が難易度が高いがこれは実際のダイヤに基づいての結果だという。実際のダイヤはラッシュアワー時に関しては余裕を持ったダイヤ編成があらかじめされているが、昼は乗客数が落ちることが想定されタイトなダイヤになっているためだという。
 運転中には急病人の発生、荷物が挟まるといった実際の業務上想定される様々なトラブルを収録しており、運転中にトラブルが発生する仕組みとなっている。プレーヤーはそれに対処していかなければならない。トラブルの発生はランダムで、通常乗務で山手線を1周運転する中で2度から3度程度発生するという。かなりの数が収録されており、そう簡単に全てをみることはできないだろうという。ちなみに実際のダイヤに則しているため、通常乗務をプレイすると実際に山手線を1周するのと同じ時間がかかることとなる。

通常画面。ATCによる制限スピードや停止までの残りの距離数、勾配などはすべて表示をオフにすることができる 新橋駅直前。画面下の計器類やマスコンなどは、拡大表示はもちろん、逆に表示させないことも可能 駅などで暗くなると計器類にも影が落ちて見づらくなる

通常運転中にトラブルが発生し、運転がストップしている状態。左上に東鉄指令と交信中とあるように現在音声で確認事項が行なわれている 通常運転中はランダムでトラブルが発生する。画面写真は現在「抑止」中

品川から大崎に向かう途中。鉄橋の上を走っているのが京浜急行。京浜急行の音の素材もきちんと取材していて、この鉄橋の下を通るとききちんとその音がする。ちなみに左がゲーム画面で、右が元素材。DVDを使用しているだけあって容量を気にしていないため、かなりの高画質。VHS同等以上の画質は実現しており、プレイしているときはほぼ気にならない。DVD-ROMで提供されるが、その容量をほぼ使い切っているという

 このほかのモードとしては運転するための基本を学ぶことができる「教習所」や、運転技術を評価してくれる「運転試験」も収録している。運転試験ではかなり難しいものまで収録されているようで、遅れて運行している電車の遅延を4秒まで縮めるテストなどは、かなりの技量が必要だという。

 また、データベースとして山手線205系を動画などで車両紹介、運転台の説明などにとどまらず、実際の駅で鳴っている発車ベルを全て収録するなど各駅のスペック紹介まで収録されている。

 制作を担当した向谷氏は、都内で開催された発表会でこのソフトに制作についての想いを熱く語った。田町駅から品川駅に向かうとき右側に京浜東北線が通ると、右側のスピーカーから実際の京浜東北線の音がする。当たり前のようだが、かなりのこだわりがされているようで、全て実際の音声を取材し、収録しているという。この素材の収集に関しては徹底されており、品川から大崎に向かうとき一瞬交差する京浜急行の音声も実際に収録したのだという。

 ただ、これらの細かいデータの収録や、難しいモードの羅列だけでは一部のマニアしか楽しむことはできないが、向谷氏は「ただ難しいだけではエンターテイメントとして成立しないことは、これまでのソフト制作で学んでいる。プレイステーション 2の市場にこの徹底したシミュレーターが受け入れられるかは不安だが、楽しめるものに仕上がっていると思う」と語っていた。プレイしてみた感じとしては、運転だけを楽しむのであれば決して難しいものではなく、このこだわりが逆にプレーヤーにとって「そうか、こんなところが違うのか!」といった新たな発見となるように思う。

 向谷氏によれば「今回のソフトがヒットすればシリーズ化したいと考えている。山手線は信号機がなくATCによる運転なので、できれば信号がたくさんあるところがいい」と夢を語ってくれた。

モード選択画面。ダイヤに沿って山手線を運転する“通常乗務”、運転の基本を学ぶ“教習所”、運転技術を評価するテスト“運転試験”、そして“環境設定” 教習所の項目。回復運転等かなり難しい項目も用意されている データベースとして運転に必要な項目の説明も用意されている

山手線のすべての駅に関する情報も収録。ここでは発車ベルを聴くことができる。すべて実際に取材した音だとか ポニー・キャニオンから発売中のPC用「Master Controller II for Train Simulator (19,800円)」と市販のUSB/シリアル変換アダプタを使用することで使用可能となる。このほか「電車でGO! コントローラ・TYPE2」にも対応

(C) 2001 Sony Computer Entertainment Inc.
(C) ONGAKUKAN
JR 東日本商品化許諾済

□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□音楽館のホームページ
http://www.ongakukan.co.jp/

(2001年7月24日)

[Reported by 船津稔]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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