コーエーネット、モーションキャプチャーシステム「ビジュアライズ3000」販売を発表
「決戦II」、「ギタルマン」、「真・三國無双2」などで使用

7月19日 発表



 株式会社コーエーネットは、7月19日、都内のホテルにおいて発表会を開催した。その中で、カナダのフェニックス・テクノロジーと3Dモーションキャプチャーシステムの国内総代理店契約を結び、同社が開発した「ビジュアライズ3000」を国内で販売することを明らかにした。

 この「ビジュアライズ3000」は、光学式によるリアルタイムモーションキャプチャーシステム。モーションキャプチャーシステムの代表的な方式は、磁界の変化を捉える磁気式と、キャプチャーポイントを各所に取りつけたものをカメラで追う光学式の2タイプ(古くからの方式としてはワイヤーなどで稼動部分を接続し、稼動量を計測する機械式もある)があるが、それぞれのシステムには一長一短があった。この「ビジュアライズ3000」の特徴は以下のようなものになっている。
3脚式のトラッカー。ターゲットモジュール(LED付属)の光を捉える受光部(3つ)を水平に並べた形になっている。画面は「Film Box」を利用し、取り込んだデータをリアルタイムで動かしている様子

  • 3Dデータの収集精度を向上

     小型のLED付きマーカーを、モーショントラッカー(マーカーのデータを収集する機械)が瞬時に認識。そのサンプリングレートは秒間3,300回(シングルモード時)。LEDの位置を検出するので、表情や指などの動きも正確にキャプチャできる。誤差は0.8mm。マーカー同士が交差したり、マーカーが隠れてしまった場合でも、データを正確に判別し自動で補完する。さらに、キャプチャしたデータをリアルタイムにアニメーション表示可能。

  • トラッカーのキャプチャ可能領域の広さ

     水平、垂直方向にわたって上下角度45度のキャプチャが可能で、これは世界最大の認識可能角度。従来のシステムの約3倍の広さという。これにより、省スペースでモーションデータを収集できる。障害物のある場所などでもキャプチャが可能。

  • 低コスト

     データ収集精度の向上によるキャプチャ後のポスト処理(ノイズ除去、マーカー喪失によるデータ補完など)の減少や、単体での低価格などによる低コスト化を実現。さらに、「Film Box」、「Softimage」、「3DStudio MAX」、「Maya」などのアニメーションソフトなどにも対応しており、テクスチャを張り込んだキャラクタもリアルタイムに動かすことができる。

 冒頭のあいさつで、コーエーネット取締役会長・襟川恵子氏は、NASAに2年在籍していたというフェニックス・テクノロジーの代表取締役社長であり工学博士でもある、クリス・マー氏のプロフィールを紹介し、フェニックス・テクノロジーによるこの新キャプチャシステムによって、コーエーで制作している各3Dゲームの制作にかかるコスト、時間が短縮されたことを強調した。

 続いてクリス・マー氏から「ビジュアライズ3000」について具体的な解説が行なわれた。

 まず、LED付きの小型マーカーは512個まで同時にキャプチャでき、トラッカーは最大24台まで連結できること。キャプチャ方式は、各々のマーカーのLEDの発光をリアルタイムで制御し、1つ1つを認識することで、複数のモーションアクターが接触したり重なったりするようなときも、複数のマーカのデータを誤認識することがないという、光学式では不可能だったことを実現していること。そして、トラッカーの認識能力の高さにより、モーションキャプチャスタジオを作る必要がないことなどを説明し、「この製品は世界でNo.1であると確信している」とアピールした。

 その後、ホテルのルーム内で実際にリアルタイムキャプチャのデモが行なわれた。2人の女性が上下2ピースのアクタースーツを着て登場。コーエーでは、1人当たり50個のマーカーを付けて撮影しているという。このキャプチャシステムの最大の特徴は、Windows NT環境で動作可能という制御ソフトと、モーションアクターが取りつけている受信機を組み合わせた制御により、各部のマーカーは瞬時には1つだけが点灯していること。この方式では、マーカー同士が接近したりしても、マーカーの位置情報を見失うことがないことが実演された。また、リアルタイムに設置されたモニタに動きが映し出され(わかりやすいようにワイヤーフレーム表示にしたとのこと)、スムーズにキャラクタが動いていた。

 最後にマイクを取ったコーエーネット代表取締役社長・伊藤通宏氏によれば、この「ビジュアライズ3000」を1システム4,000万円ほどで販売し、年間4億円の売り上げを見込んでいるという。また、コーエーのプレイステーション 2タイトルである「決戦II」、「ギタルマン」、そしてこれから発売される「真・三國無双2」にも使用されているという。

フェニックス・テクノロジーの代表取締役社長クリス・マー氏 クリス氏の席に置かれていた発信機、受信機、そしてマーカー(ターゲットモジュール) クリス氏が解説しながらリアルタイムモーションキャプチャの実演
2人の女性モーションアクターが曲に合わせて踊る その様子がリアルタイムに表示され、ワイヤーフレームながらスムーズにキャラクタが動いているのが映し出された 「決戦II」のものと思われるモーションデータも再生。こちらはワンスキンモデルのキャラクタがテクスチャを未実装ながらキレイに動いていた
キャプチャデモが行なわれたのはホテルの宴会場の一角。省スペース性をアピール 最後はクリス氏とコーエーネット取締役社長・伊藤氏が握手

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□コーエーネットのホームページ
http://www.koeinet.co.jp/
□フェニックス・テクノロジーのホームページ
http://www.ptiphoenix.com/
□ニュースリリース
http://www.koeinet.co.jp/ir/pdf/010719_phenix.PDF
□関連情報
【7月16日】最新スクリーンショットを多数掲載! コーエー「真・三國無双 2」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010716/musou.htm

(2001年7月19日)

[Reported by 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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