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★ GBAゲームレビュー ★
もはや「ストII」シリーズについては、読者の方々のほうが一過言あると思われるので、今回は、この「スーパーストリートファイターIIX リバイバル」の作り込み具合をチェックし、携帯機用作品ならではの魅力を探ってみたい。筆者は一応、業務用スパIIXの基板を今だに所有している、というぐらいの人間であることを念頭において記事を読んでいただけると幸いだ。最大の懸案として考えられるのは、やはりボタンの数の変化による操作性。そしてオリジナル要素ということになるが……はたしてそのデキはいかに?
■ 「同時押しモード」と「ため押しモード」で4ボタンに対応した操作系 まず最初に、6ボタン仕様であったスパIIXを、どう4ボタンで実現しているのか? という点だが、デフォルトでは、Aボタンが弱キック、Bボタンが弱パンチ、Lボタンが強パンチ、Rボタンが強キックと割り振られている。さらに、Aボタンを長く押すことによって中キックが、Bボタンを長く押すことによって中パンチが繰り出せるようになっている。これが「ため押しモード」。 そして、オプションモードなどでボタン設定を表示し、LかRボタンを押して変更できるのが「同時押しモード」である。こちらはAボタンが弱キック、Bボタンが弱パンチは共通だが、Lボタンが中パンチ、Rボタンが中キックになっており、さらにA+Rボタンの同時押しで強キックが、B+Lボタンの同時押しで強パンチという仕様になっており、好みで選択できるようになっている。それぞれのボタンは任意に振り分けが可能なので、あまり使わない技が多いボタンを同時押しやため入力に振り分けてカスタマイズすることで、操作系はかなりシンプルになる。 また、必殺技コマンドも通常は業務用と同じ仕様だが、プレイ中にセレクトボタンを押すことで、「カンタンコマンド」に変更できる。例えば、波動拳は右+パンチというように、方向ボタン1方向+攻撃ボタンという簡易入力が可能で、方向ボタンを長く押すことで通常の方向ボタンと同じ機能を果たすことになる(例えば、しゃがみ弱パンチを打ちたいときは、多少長めに下方向にボタンを入力してから弱パンチを入力する必要がある)。また、スーパーコンボはA+Bの同時押しで発動できる。 レスポンスに関しては非常によくできている。コンボ(連続技)も練習すればカンをとりもどすのは造作もないだろう。自分のスタイルに合わせて、またプレイしながら調整を加えれば、通常技に関してはほとんどのキャラでそこそこ使えるレベルにセットできるはずだ。この設定の豊富さは、苦肉の策というより、むしろ計算して構築された仕様と感じられる。本当に極まった対戦では、技の相関関係を考えると常にすべてのボタンをレディにしておかねばならないところだが、携帯機というプラットホームを考えた場合、この4ボタンだけで十分戦えると思われるからだ。 必殺技に関しては、やはりコマンド入力系は難しい。技によっても入力のクセがあるので、すべてとはいわないが出しづらいものがあった。そういうときはカンタンコマンドを使う、もしくはためコマンドのキャラクタを使ってみてもいいだろう。筆者の場合、ちょっと「トレーニング」モードで練習したところ、ガイルなら対ザンギエフにめくり弱キック~しゃがみ弱パンチ×2~立ち弱パンチ~弱サマーソルトキックぐらいまでは決められるようになった。
ちなみに、セガサターン版「ストリートファイターコレクション」などでも再現されていたが、業務用の時にあった「歩き千裂脚」などもちゃんと再現されていることを付記しておこう。
■ 新規に起こされたグラフィックはハイクオリティ オープニングや、勝利画面、そして対戦時のビジュアルはすべて新規に起こされたもので、キャラクタのイメージをより拡大させる豪快なアングルのものが多数採用されている。また、いくつかのキャラのステージビジュアルも新規に描かれており、ヒットマークなどのエフェクトも新規に起こされたもの。スーパーコンボで相手を倒したときのエフェクトも完全に新しいものになっている。
いずれも非常に認識しやすく、かつインパクトのある画像で、業務用と遜色ないできばえ。地面、背景ともにスクロールし、ちゃんとアニメーションもする。個人的には、リュウステージの看板や、ケンステージのドラム缶なども再現してほしかったが、別に闘いに影響が出るわけもなし、なくても問題ないだろう。
■ 1人プレイでも遊べるゲームモード この作品、業務用よりパワーアップしているといえるのがこのゲームモード。CPUとの対戦を楽しめる「アーケード」、設定を変更する「オプション」、通信ケーブルを利用して対戦できる「タイセン」、コンボなどの練習に役立つ「トレーニング」の4つが用意されているが、業務用譲りの戦いっぷりをみせるCPUと戦える「ストーリーモード」のエンディングも新規に描き直されていて、つい自分のお気に入りのキャラを最後まで遊んでしまった。 なによりうれしかったのは「アーケード」の「車」「タル」のボーナスラウンドの復活だ。「ファイナルファイト」の直系ともいえるストIIの歴史において、「スーパーストリートファイターII」まで入っていたこのボーナスラウンド、「スパIIX」になって廃止されたが、コンボの練習にもなって、個人的に気に入っていたので、この復活はうれしいかぎり。 さらに、モードメニューの下に表示されている「VS.POINT」。これは、各モードで遊ぶごとに溜っていくシステムになっており、これが一定数たまるといいことがある。増えた要素も十分楽しめるものだった。 専用の通信ケーブルを利用しての「タイセン」モードは、ラグもなく、すぐに始まりすぐ終われるというクイックレスポンスが気持ちよかった。ちょっと残念だったのは、毎回対戦後にキャラクタや設定がデフォルトに戻ってしまうところ。
スーパーコンボゲージを次のラウンドにもちこめる「EXTRA」設定もあるので、同じ組み合わせならそのままコンティニューできるようにしてもらえるとなおベターだっただろう。
■ ガチンコ勝負には……だが、ワイワイ楽しむならアリ 操作性の部分はやはりハードに対する個人の対応力の問題があるので、本当に業務用でガチンコ勝負をしていた感覚でプレイするのは、多少ストレスを感じないわけにはいかない。が、GBAは携帯ゲームマシン。その気軽さを考えて、カンタンコマンドのフォローを計算に入れると、気軽に豪快に遊べるという便利さは捨てがたい(必殺技の暴発に慣れさえすればOKだし)。 なにしろ、当時切望されていたSFCへのスパIIXの移植は実現されなかったのだ。それが今、GBAで遊べる。しかも、かなりのレベルの再現度+αのオマケつきで。当時3DOを購入しようか悩んだほど遊んでいた人は懐かしさを、今までスパIIXを触っていなかった人にはシステムのシンプルさをぜひ堪能してもらいたい。空中ガードもない、ガードキャンセルもない、オリジナルコンボもブロッキングもないというのはものさびしいということではなく、むしろシンプルさゆえに、携帯ゲーム機への移植の成功につながっているのではないかと思えてならない。
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□カプコンのホームページ (2001年7月18日)
[Reported by 佐伯憲司] |
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