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★ PCゲームレビュー ★
個性的なシミュレーションゲームの開発には定評がある日本クリエイトから、またまたユニークなSLGが登場した。「探検道~THE NEW FRONTIER~」は、“探検家”と呼ばれる極めてロマン度の高い専門職をモチーフにした探検シミュレーションゲームだ。 ■ 新聞社の見習記者が、ある日突然探検家になる
このあたりのバックグラウンドストーリーは、ニューヨークヘラルド紙の特派員スタンリー(幻の民ピグミー族を発見)やイギリス王立地理学会のリビングストン(ナイル川の水源探索)といった伝説的な探検家たちの影が露骨に見え隠れしていて、のっけからアフリカ探検ロマン全開で大いに興味をそそられる。逆にいうと、この時点で多少なりのアフリカ探検に対する沸き立つ思いを感じなければ、このゲームを楽しむの難しいかもしれない。「探検道」はそれぐらい探検一直線のゲームなのだ。 ところで史実の探検家は、先述したように大会社なり国家なりの強力な後ろ盾を得て探検を推進していったわけだが、この点は「探検道」も同じ仕組みで、主人公が出発する際に、新聞社からまとまった金額が入るようになっている。しかし、隊を編成し、それを維持していくためには莫大な金額が必要になる。ゲームでは資金を獲得する方法はひとつしかなく、それはアフリカ奥地に潜む秘宝や秘跡のたぐい(これをオブジェクトという)を探し当て、記事にして新聞社に配信すること。その記事の程度により、新聞社から新たな資金が提供され、主人公は探検を続けていくことができるわけである。 とはいえ、そう調子のいい具合に飛びきり財宝が転がっているわけもなく、資金繰りは常にカツカツだったりする。このあたりの事情もやっぱり史実を踏襲しているらしく、ときにはあまりの厳しさに「ゲームバランスが悪いんじゃないか」などと、よほど見当違いのセリフのひとつも口走りたくなってくる。探索過程に置ける苦しみがあってこそ、財宝発見時の喜びも生まれるわけで、最初こそツライ展開だが、慣れてくるとその絶妙のバランスに唸らされる。ともかく、探検に関するあらゆる要素をバランス良く組み合わせて丸ごとシミュレートしたゲームが「探検道」というわけである。
■ 出発前に食料と武器を買い込み、探検隊を組織する
探検道では、フィールドを歩いているとランダムエンカウントで敵が出現し、フルオートで戦闘が行なわれる。この際、戦闘力に優れた隊員がいなかったり、そもそもの隊員数が少なかったりすると、隊員たちが次々にやられ、とても探検どころではなくなってしまう。隊員数が4人以下になるとゲームオーバーで、これを防ぐためにも隊員数は多めに雇って置いた方がいい。で、何人雇えばいいのかというと、これがかなり悩ませる。多ければ多いほど隊としての性能は向上するが、それだけ莫大な維持費(雇った隊員に対して、毎日食料と賃金を与えなければならない)が掛かる。かといって頭数を切りつめると探索行動が十分に行なえなくなってしまう。また、人数が少ないと、それだけ物資の運搬能力が下がるのも痛い。
ちなみに隊員のポストには、副長(事実上のリーダー)、前衛(探索担当)、歩哨(戦闘担当)、コック(食料担当)、医者(治療担当)があり、隊長1名、副長1名、ほか任意で合計8名まで割り振ることができる。第1章では優秀なガイド役の人間が副長になってくれるため、最初に雇用するのは「8名が最適」といえそうだ。 商店で買うべき物資は食料、医療品、武器など。このうち重要なのは食料で、これがないと隊は一歩も立ちゆかない。食料は、狩場で狩猟をすることにより、ある程度稼げるが、基本は街での大量購入でまかなうことになる。マップは数百画面程度はありそうなぐらい途方もなく広いので、いくら買っておいても無駄になるということはない。マップ上に配置された新しい街にたどり着き次第、常に物資は満載状態にしておきたい。
また、酒場での情報収集は軽く見がちだが、必ず押さえておいた方がいい。方角を間違えるとそれだけで10日間ぐらいは無駄になる(=10日分の食料と賃金を消費する)ので、アバウトな情報でもかなり役立つのだ。ちなみに酒場で得た情報はいつでも参照できるので、メモを取る必要はない。
■ いざ出発! 探検ロマンを堪能しつつ、ほうぼうに足を伸ばそう
最終目的は、章の始めに社長から受けた任務(超一級のオブジェクトの発見)を達成することにあるが、こういった細々としたオブジェクトを記事化することによる資金提供を受けなければ、目的を達成するのは難しい。
こう書くと、ツライばっかりのゲームに思えるかも知れないが、事実ツライゲームである。探検道は「ツラさこそがおもしろさである」といったふうな独特の哲学で構築された数少ないシミュレーションゲームのひとつといえそうで、その代わりに秘境までたどり着いた際の感激や秘宝を発見した際の喜びが途方もなく大きいものになっている。先にも触れたが、本作は章仕立てで構成されており、章の目的を達成するたびにシナリオが2つに分岐していく。つまり、一度プレイしただけではすべての謎が解き明かせるわけではなく、繰り返しプレイにその醍醐味が隠されているといえそうだ。 雇用できる隊員たちの顔グラフィックに使い回しが多いとか、メニューが小さくて使いづらいとか、戦闘シーンやサウンドまわりが単調だとか、まだまだ改良の余地の残るゲームだが、アフリカ探検をシミュレートするという点では、古今無双のクオリティと言い切っていい。万人向けではないが、探検そのものに多少なりのロマンを感じられる人にはぜひお勧めしておきたいタイトルである。
(C) 2001 日本クリエイト
□日本クリエイトのホームページ http://www.nihon-create.co.jp/ □「探検道」の公式ページ http://www.nihon-create.co.jp/game/tankendo/index.html □関連情報 【5月31日】「探検道」プロモーションムービー http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010531/demo0531.htm 【4月12日】「探検道」アイテムネーミングコンテスト開催 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010618/demo0618.htm 【3月5日】未知の世界を探検し歴史を刻め PC用探検シミュレーション「探検道」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010305/creat.htm (2001年7月13日)
[Reported by 中村聖司] I |
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