★ PCゲームレビュー ★

探検の酸いも甘いも詰め込んだ
ロマン全開の探検シミュレーションゲーム

探検道
~THE NEW FRONTIER~

  • ジャンル:探検シミュレーションゲーム
  • 発売元:日本クリエイト
  • 価格:オープンプライス
  • 対応OS:Windows 98/Me
  • 発売日:7月13日(発売中)


 個性的なシミュレーションゲームの開発には定評がある日本クリエイトから、またまたユニークなSLGが登場した。「探検道~THE NEW FRONTIER~」は、“探検家”と呼ばれる極めてロマン度の高い専門職をモチーフにした探検シミュレーションゲームだ。


■ 新聞社の見習記者が、ある日突然探検家になる

プロローグでは社長が日記を入手するいきさつが紹介される
 ゲームの舞台は19世紀のアフリカ。主人公ラリー・トラヴィスはイギリス ロンドンに本社を置く新聞社の見習記者で、ある日突然社長室に呼ばれ、社長にアフリカ奥地の遺跡のことが書かれた古びた日記を見せられる。そして社長から、アフリカの奥地に踏み込み、その遺跡を探し当て、記事にすることを頼まれる。記事が書けることを何よりの魅力に感じた主人公は、ふたつ返事で引き受け、単身アフリカに赴くことになる。

 このあたりのバックグラウンドストーリーは、ニューヨークヘラルド紙の特派員スタンリー(幻の民ピグミー族を発見)やイギリス王立地理学会のリビングストン(ナイル川の水源探索)といった伝説的な探検家たちの影が露骨に見え隠れしていて、のっけからアフリカ探検ロマン全開で大いに興味をそそられる。逆にいうと、この時点で多少なりのアフリカ探検に対する沸き立つ思いを感じなければ、このゲームを楽しむの難しいかもしれない。「探検道」はそれぐらい探検一直線のゲームなのだ。

 ところで史実の探検家は、先述したように大会社なり国家なりの強力な後ろ盾を得て探検を推進していったわけだが、この点は「探検道」も同じ仕組みで、主人公が出発する際に、新聞社からまとまった金額が入るようになっている。しかし、隊を編成し、それを維持していくためには莫大な金額が必要になる。ゲームでは資金を獲得する方法はひとつしかなく、それはアフリカ奥地に潜む秘宝や秘跡のたぐい(これをオブジェクトという)を探し当て、記事にして新聞社に配信すること。その記事の程度により、新聞社から新たな資金が提供され、主人公は探検を続けていくことができるわけである。

 とはいえ、そう調子のいい具合に飛びきり財宝が転がっているわけもなく、資金繰りは常にカツカツだったりする。このあたりの事情もやっぱり史実を踏襲しているらしく、ときにはあまりの厳しさに「ゲームバランスが悪いんじゃないか」などと、よほど見当違いのセリフのひとつも口走りたくなってくる。探索過程に置ける苦しみがあってこそ、財宝発見時の喜びも生まれるわけで、最初こそツライ展開だが、慣れてくるとその絶妙のバランスに唸らされる。ともかく、探検に関するあらゆる要素をバランス良く組み合わせて丸ごとシミュレートしたゲームが「探検道」というわけである。

【プロローグ】
社長に隊長としてアフリカ行きを頼まれる。第1章では、教育係兼副長として活躍してくれるエリック・クロフトのいうことを聞いていればいい


■ 出発前に食料と武器を買い込み、探検隊を組織する

探検の拠点となる街
 ゲームは章仕立てで進むが、出発地点は常に出先の街からとなる。探検前の下準備は、非常にシンプルかつ明快なシステムを採用しており、最初の街で周囲の情報収集や隊員の雇用、物資の購入、駐在(街に宿泊する)といったことがまとめて行なえる。

 探検道では、フィールドを歩いているとランダムエンカウントで敵が出現し、フルオートで戦闘が行なわれる。この際、戦闘力に優れた隊員がいなかったり、そもそもの隊員数が少なかったりすると、隊員たちが次々にやられ、とても探検どころではなくなってしまう。隊員数が4人以下になるとゲームオーバーで、これを防ぐためにも隊員数は多めに雇って置いた方がいい。で、何人雇えばいいのかというと、これがかなり悩ませる。多ければ多いほど隊としての性能は向上するが、それだけ莫大な維持費(雇った隊員に対して、毎日食料と賃金を与えなければならない)が掛かる。かといって頭数を切りつめると探索行動が十分に行なえなくなってしまう。また、人数が少ないと、それだけ物資の運搬能力が下がるのも痛い。

【戦闘】
戦闘シーンは結構頻繁に発生する。戦闘を担当する「前衛」が弱いと、負傷者が続出し、ときには死亡することも

 ちなみに隊員のポストには、副長(事実上のリーダー)、前衛(探索担当)、歩哨(戦闘担当)、コック(食料担当)、医者(治療担当)があり、隊長1名、副長1名、ほか任意で合計8名まで割り振ることができる。第1章では優秀なガイド役の人間が副長になってくれるため、最初に雇用するのは「8名が最適」といえそうだ。

 商店で買うべき物資は食料、医療品、武器など。このうち重要なのは食料で、これがないと隊は一歩も立ちゆかない。食料は、狩場で狩猟をすることにより、ある程度稼げるが、基本は街での大量購入でまかなうことになる。マップは数百画面程度はありそうなぐらい途方もなく広いので、いくら買っておいても無駄になるということはない。マップ上に配置された新しい街にたどり着き次第、常に物資は満載状態にしておきたい。

 また、酒場での情報収集は軽く見がちだが、必ず押さえておいた方がいい。方角を間違えるとそれだけで10日間ぐらいは無駄になる(=10日分の食料と賃金を消費する)ので、アバウトな情報でもかなり役立つのだ。ちなみに酒場で得た情報はいつでも参照できるので、メモを取る必要はない。

【街での行動】
左から順に隊員の雇用、商店での物資購入、酒場での情報収集。駐留を行なうと、隊員の体力が全回復する


■ いざ出発! 探検ロマンを堪能しつつ、ほうぼうに足を伸ばそう

キラキラ光るポイントを発見。この瞬間の心の高ぶりこそが本作の醍醐味だ
 探検の進め方は非常に簡単。行きたい方角を左クリックすると、その方向に隊が進んでいく。すると黒い霧に包まれていた地形が少しずつ明らかになっていく。途中、マップ上にキラキラ光るポイントがある。光源ポイントまで隊を移動させると、自動的に探索を始め、オブジェクトを発見した旨のダイアログが表示される。この時点で、記事が自動作成されるので、ここで右クリックを押してメニューから「持ち物」を選択し、「記事」に追加されたアイテムをダブルクリックすると、発見した記事を新聞社に送信することができる。記事に対する資金提供は、街に行くことで受けられるという仕組みだ。

 最終目的は、章の始めに社長から受けた任務(超一級のオブジェクトの発見)を達成することにあるが、こういった細々としたオブジェクトを記事化することによる資金提供を受けなければ、目的を達成するのは難しい。

【オブジェクト発見】
オブジェクトは純粋な財宝から、珍しい生物、土着の民族などさまざま

記事を書いて部数を伸ばし、新たな資金を獲得する。部数が線グラフで表示されるのでなかなか燃える
 探検中は、こういったオブジェクトの発見のほかに、事故が発生して隊員が負傷したり、土民や盗賊、どう猛な獣の集団などに襲われて負傷者が続出したりと、マイナスイベントが連続して起こる。ゲームには時間の概念があり、探検を行なえる時間帯は7~22時までで、ただし18時を過ぎても探検を継続すると隊員たちの忠誠度がガクンと下がる。一定以下まで忠誠度が低下すると隊を脱走するので、野営コマンドは極力18時までに行なった方がいい。さらに、野営した次の日が嵐だったりすると、出発は延期され、その場で1日を無駄にすることになる。

 こう書くと、ツライばっかりのゲームに思えるかも知れないが、事実ツライゲームである。探検道は「ツラさこそがおもしろさである」といったふうな独特の哲学で構築された数少ないシミュレーションゲームのひとつといえそうで、その代わりに秘境までたどり着いた際の感激や秘宝を発見した際の喜びが途方もなく大きいものになっている。先にも触れたが、本作は章仕立てで構成されており、章の目的を達成するたびにシナリオが2つに分岐していく。つまり、一度プレイしただけではすべての謎が解き明かせるわけではなく、繰り返しプレイにその醍醐味が隠されているといえそうだ。

 雇用できる隊員たちの顔グラフィックに使い回しが多いとか、メニューが小さくて使いづらいとか、戦闘シーンやサウンドまわりが単調だとか、まだまだ改良の余地の残るゲームだが、アフリカ探検をシミュレートするという点では、古今無双のクオリティと言い切っていい。万人向けではないが、探検そのものに多少なりのロマンを感じられる人にはぜひお勧めしておきたいタイトルである。

【イベント】
このイベントが楽しい。「おおぉ」と思わずため息が漏れてしまうものから、気味の悪い物まで、これまたたっぷり用意されている

【ナナ・ウィンシップ】
途中から仲間になるヒロイン ナナ・ウィンシップ。コックにしか任命できないが、その能力は優秀

(C) 2001 日本クリエイト


【動作環境】
  • CPU:Pentium 233MHz以上
  • メモリ:64MB以上
  • HDD:500MB以上
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
  • 解像度:800×600ドット固定


□日本クリエイトのホームページ
http://www.nihon-create.co.jp/
□「探検道」の公式ページ
http://www.nihon-create.co.jp/game/tankendo/index.html
□関連情報
【5月31日】「探検道」プロモーションムービー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010531/demo0531.htm
【4月12日】「探検道」アイテムネーミングコンテスト開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010618/demo0618.htm
【3月5日】未知の世界を探検し歴史を刻め PC用探検シミュレーション「探検道」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010305/creat.htm

(2001年7月13日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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