AGE OF EMPIRESシリーズのデザイナBRUCE SHELLEYインタビュー
「MYTHOLOGY」は「EMPIRES」の続編ではない!

 BRUCE SHELLY氏は、ご存じリアルタイムシミュレーションのバイブル的存在といえる「AGE OF EMPIRES」シリーズのゲームデザインを手がけた人物。今回、最新作である「AGE OF MYTHOLOGY」がかなりの注目を集めている。

■ AGE OF MYTHOLOGYはAGE OF EMPIRESの続編ではない……

Ensemble Studios、上級ゲームデザイナBRUCE SHELLEY氏
 「AGE OF MYTHOLOGY(以下AOM)」は3Dエンジンの搭載により3D化がなされたが、これによってAGE OF EMPIRES(AOE)シリーズとはどうゲームが変わってくるのか

Shelley氏 3D化されたことで新たなゲーム性が生まれたと言うことはない。あくまで演出面と表現方法の一手段として3Dエンジンを用いた。

 3D化されたことにより、AOEではできなかった新しいことができたか

Shelley氏 3D化されてできるようになったことは多い。例えば地形の処理だ。AOEのときとはちがい、実際に高低差がある地形を作り出しており、そのリアリティは各段に向上している。水などの表現も3Dで行なっており、岸に打ち寄せる波などの表現もリアルになっている。それと、AOMでは天変地異(魔法)という新フィーチャーが登場するが、これを美しいライティング効果で表現したり、地形をダイナミックに変形させるといったことは3Dベースでなくては実現できなかったことだ。

 3D化されたことによってプレイしにくくなった部分はないのか

Shelley氏 3D化されたということは普段のプレイ中、意識してもらう必要はない。視点変更などは確かに自在になっているが、カメラビューの変更を行なわなくてもプレイはできる。

 ノートPCでプレイすることは可能か

Shelley氏 よほど性能の高いものでないと無理だろう。最近は3Dアクセラレーション機能を持ったノートPCも増えてきたのでそれらではプレイできると思う。

 日本のファンが一番気にしていることをズバリ聞くがAOMはAOEの続編として捉えていいのか

Shelley氏 AOMは見た目が似ている部分があるので誤解されやすいが、我々としては全くの新作として送り出すつもりだ。

 するとAOEシリーズはIIでひとまず終わりなのか

Shelley氏 AOM開発に全力を尽くしている現時点でそのことについて具体的に答えるわけにはいかないが、可能性は否定しない。AOE IIIの登場の可能性は将来あるかもしれない。

 AOMがAOEと比べてファンタジーの世界観を導入しているようにみえるのはなぜか

Shelley氏 「ファンタジー(幻想)」とは違う。タイトルにもあるように「MYTHOLOGY(神話)」だ。AOMでは神話の世界に出てくるキャラクタがユニットとして登場する。

 キー操作などの操作系についてはAOEコンパチとなるのか

Shelley氏 キー割り当ては現段階では制作途中のため一致していないが、最終的にはそうなるかもしれない。

■ 新フィーチャーのヒーローユニットとは?

熱心に答えてくれたBRUCE SHELLEY氏
 AOMの新フィーチャーの1つ、ヒーローユニットについて教えて欲しい

Shelley氏 ヒーローユニットが他のユニットと決定的に違うのはゴッドパワーが扱えるという点だ。AOMでは神への信仰心を表すゴッドパワーという概念があり、ヒーローユニットだけがこれを消費して強力な天変地異を起こせる仕組みになっている。

 ヒーローユニットの位置づけは?

Shelley氏 神との交信が可能な特別なユニットという位置づけだ。ヒーローユニットが殺されてもゲームオーバーにはならない。ヒーローユニットが複数の種類ある文明もある。

 プレーヤーが選択できる古代文明はどのように決められたのか

Shelley氏 今回のテーマは「MYTHOLOGY」(つまり神話)なので、この点から選んでいっている。つまり、有名な神話や宗教を持つ文明を選択することにした。ただ、現在にも残っている有名な宗教を取りあげると、宗教上の問題に発展して危険なので(笑)、そのあたりは考慮している。

 文明は何種類あって神は何種類いるのか

Shelley氏 まず、文化として、ギリシャ、エジプト、ノース(古代スカンジナビア)がある。これがそれぞれ3つの文明に分かれているので文明としては3×3=9種類あることになる。ただグラフィック的には3つの文化分、すなわち3種類しかない。神についてだが、プレーヤーはまず文明を選択した時点で神が1つ決まるが、ゲームを進めていくと新たな神が現れることもある。

 文明の上に文化があるというイメージか

Shelley氏 まぁそういうことだ。

 AOMはゲームジャンル的にはどうなるのか? ゴッドシムという感じがするのだが?

Shelley氏 我々はリアルタイムストラテジーと考えている。

 ゲームシステムや世界観が「ポピュラス・ザ・ビギニング」(Bullfrog/EA)に似通っていると思うのだが

Shelley氏 ポピュラスは兵ユニットなどに対して命令することはできなかったが、AOMではそれができる。よって全く異なったゲームだと言えるのではないだろうか。

 プレイできる解像度は?

Shelley氏 現時点ではなんともいえないが、3D化されていることもあり、自在だ。現段階では1,024×768~1,600×1200といっておこう。

 Ensemble StudiosからAGE OF EMPIRES IIのゲームエンジンのライセンスを受けたルーカスアーツが「STAR WARS Galactic Battlegrounds」を発表したが、今後AOMエンジンを活用した他社ゲーム製品が出てくることはあるのか

Shelley氏 Ensemble Studiosは今年5月3日にMicrosoftに買収されてしまったので、今後そういうことは我々の一存では決められなくなる。よってまずないといっていいだろう。

 AOMがXboxなどの別のプラットフォームに移植される可能性はあるか

Shelley氏 Microsoftに買収されたことから、Xbox用のチームが結成されて、なにかXbox用のタイトルを作るようなことは将来的にあるかも知れない。しかし、今のところAOMというタイトルを別のプラットフォームに移植する計画はない。


■ AGE OF MYTHOLOGYというゲームについて

 インタビュー中にSHELLEY氏がAOMはゴッドシムではないと言い切っている。しかし、神という概念を導入している点と、信仰心という資源(?)の発想を適用している点、そしてこれを消費して天変地異を起こすというゲーム性は、ゴッドシムというジャンルの定番要素である以上、すくなくともゴッドシムを意識したゲームデザインがなされている……と言えるのではないだろうか。
 また「ポピュラス・ザ・ビギニング(以下PTB)とは違う」という発言の部分だが、PTBでも剣士、飛び道具を持つ戦士、敵を寝返らせる伝道師といった兵ユニットを複数生成してこれを軍隊として制御することが可能だ。ゴッドパワーを扱えるAOMのヒーローユニットの役割は、PTBのシャーマンと符合する。そういった理由から、ゲーム性がPTBに近いのではないだろうかと筆者は考えたわけだ。

 だからといって、ゲームの面白さ、対戦時の楽しさ、といったゲームの本質的な部分について、こだわりを持った開発/調整を行なうEnsemble Studiosの作品である以上、「ゲームとしての完成度」はかなり期待できると思う。また、3DグラフィックスもPTBよりも年代的に新しいため、より視覚に訴えたビジュアルを我々に見せてくれることは確実だ。

 AOMの発売は2002年春を予定。日本語版もそれほど時間を空けずに登場するとのこと。Windows XPにも完全対応。今から楽しみだ。

(C) 2001 ENSEMBLE STUDIOS


□米Microsoftのホームページ (英文)
http://www.microsoft.com/games/home/default.asp

□Ensemble Studiosのホームページ (英文)
http://www.ensemblestudios.com/

(2001年6月6日)

[Reported by トライゼット 西川善司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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