Electronic Entertainment Expo 2001現地レポート

Westwood Studios「Earth and Beyond」~
プレーヤー1人1人が壮大なスペースオペラの主人公となる

会期:5月19日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 オンラインゲームの先駆者として名を馳せるEAは、「仮想世界の共有」すなわち「コミュニティ」というエレメントを「大宇宙」「銀河」といった世界観にフィーチャーした壮大なオンラインゲームを計画中だ。それがこの「Earth and Beyond」(以下E&B)である。このE&Bも「MOTOR CITY ONLINE」と同じくEAのクローズドブースにて日本メディアに公開された。

■ 仮想宇宙空間で繰り広げられる筋書きのない物語

ゲーム中、基本的に人物キャラクターが表示されることはなく、「自己表現はスペースシップの外観や装備で」ということになるらしい
 プレイヤーは大宇宙に住む1人の知的生命体となる。この宇宙は恒星間航行が可能になったことから大航海時代を迎えており、異星文明間の交流が盛んに行なわれている。プレイヤーはゲーム開始直後に基本的な性能を備えた宇宙船を与えられ、この銀河で生活をしていくことになる。

 「E&Bの世界は非常に自由度を高く設定している。エイリアンを撃ち落とすだけのスペースコンバットゲームではない。この仮想銀河での生活そのものを楽しんでほしい」とE&BのプロデューサーRade Stojsavljevic氏はいう。

 E&Bにおける経済活動は大まかに分けると3種類。交易、探検、そして戦闘だ。プレイヤーがこの3つのいずれかの行動をとると、それが経済行動としてみなされ報酬が与えられるようなゲームシステムになっているらしい。

ゲームの舞台は宇宙空間だけでなく大気圏内や地表にまで及ぶ
 交易はたとえばある物品を別の星系へ送り届ける…という仕事だ。一見簡単そうにも思えるが、その運搬しているものがもし、高価なものだとしたら? あるいは強力な新兵器だとしたら? この積み荷を狙う宇宙海賊に襲われる可能性がでてくる。そう、そしてこの宇宙海賊は別のプレイヤーである可能性があるのだ。この自分に襲いかかってきた宇宙海賊が賞金のかけられた札付きの悪だったとして、これを撃退すれば賞金を得られることとなり、これも経済活動になる。

 あるいは積み荷をそのまま持ち逃げして自分で利用してしまうとか、別の組織やプレイヤーに転売してしまうというような行動も考えられる。ただし、そういう行動をしたとたんに、プレイヤーは依頼主から賞金をかけられ、バウンティハンターを生業とする別のプレイヤー達につけ狙われることになるだろう。

 このように仮想銀河に生息する様々なプレイヤー達の一人一人の行動によって複雑な社会性が生み出されていくこととなる。
 「先が全くわからない、筋書きのない物語が楽しめるんだ」
 物語を楽しむ…というよりは、仮想銀河にダイブしてログオフするまでプレイヤーが行った行動そのものが物語となる…と表現した方が正しいかもしれない。

■ 大宇宙を駆けめぐるプレイヤー間ネットワーク

宇宙ステーションには様々な種族、職業のエイリアン(プレイヤー)達が集まってくる
 「E&BでもやはりCLANのようなプレイヤー同士の組織作りを奨励するし、これをサポートする」という。こうした組織作りはE&Bというゲームにおいてどのような役割を果たすのだろうか。

 たとえば、探査機能に優れた宇宙船をもつメンバーだけで構成された「宇宙探検隊」のような組織を作るとする。この組織はきっと星域探査ミッションなどを効率よく行なえることだろう。戦闘に特化した宇宙船を持つプレイヤーで構成された軍隊のような組織は、宇宙海賊になれるかもしれない。宇宙海賊が増えればいずれ宇宙海賊同士のなわばり闘争などが勃発する可能性もある。あるいはその戦闘力を活かし正義の警備組織などを形成し、交易活動をするプレイヤーを宇宙海賊から護衛する任務を生業とすることもできるだろう。

 さらには、有力な通商組織と戦闘集団が連合を作り、一大勢力に発展していく…などという展開も見えてくる。(これはそのままスターウォーズ・EPISODE Iの世界観に発展する?)
 このように、E&Bにおけるプレイヤー同士の組織は、E&Bというゲームの楽しさの幅を広げ、それと同時に、非常に広大で「疎」のイメージのある銀河宇宙の中で「密」な人間関係を体感する楽しさをプレイヤーに与えてくれるのである。

■ 日本での発売は未定だが検討中

このクオリティのグラフィックスがリアルタイム・オンラインゲームでグリグリ動くというのだから期待せずにはいられない
 プレイヤーはゲーム開始時に「Terrans」「Progen」「Jenquai」の3種族から1つを選択することになる。それぞれ交易、戦闘、探検を得意としているが、必ずしもそれを職業としなくてもいいらしい。たとえば、Terransで戦闘に特化したスペースシップを所有すれば戦闘能力を兼ね備えた宇宙商人になるようなことも可能なようだ。

 またマイ・スペースシップは自由にカスタマイズでき、変更した箇所は視覚的に反映されるという。E&Bでの個人識別(≒見た目の自己表現)はほとんどスペースシップで行われるために、この部分は相当な力を入れているようだ。

 キャンペーンやミッションは、上で述べたプレイヤー間の契約によるもの以外に、ゲームシステム側で用意されるものもあるとのこと。具体的にはNPCなどが登場して依頼してきたりする模様。1つの銀河は1つのサーバーによって運営され、1銀河あたり3,000人が同時に参加できるサービスを考えているようだ。

 発売は2001年秋を予定。パブリッシングとプロデュースはEAだが、開発制作はWestwood Studios、それも大人気シリーズ「Command & Conquer」のクリエイター達が行っている。日本でのリリースは未定だが検討中のようだ。

貨物船とバトルシップとの交戦の模様。輸送ミッションでも気は抜けない グループ同士の闘争、協力プレイもこのゲームの魅力のひとつ エピックスケールな宇宙グラフィックスは息をのむほど美しい

(C)2001 Electronic Arts Inc. Westwood Studios is a trademark or registered trademark of Electronic Arts in the U.S. and/or other countries. All rights reserved.

□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□「Earth and Beyond」の公式ページ
http://ebweb.westwood.ea.com/preview/index.html

(2001年5月21日)

[Reported by トライゼット西川善司]

I
【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.