Electronic Entertainment Expo 2001現地レポート

EAがまたオンラインゲームの世界に新提案
(GT+UO)×1970年代=「Motor City Online」

会期:5月19日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 「Motor City Online」は自動車レース(モータースポーツ)を中核としたオンラインタイプのコミニュティ・シミュレーションゲームである。といっても、何のことだかよくわからないだろう。それは至ってノーマルな反応である。開発元のEAの方でも試行錯誤を繰り返している状態だからだ。

 EAは「ウルティマオンライン(UO)」の成功から今求められているオンラインゲームの最重要エレメントを絞り出した。それは「プレーヤー間で仮想空間を共有する感覚」というものだ。このエレメントをRPGの手法で生かしたのがUOであり、EAは別の手法でこのエレメントの活用を研究中なのである。現時点でその実験モデルともいえるのがこの「Motor City Online」(モーター・シティ・オンライン、以下MCO)だ。本稿では、EAのクローズドブースにて日本のプレス向けに行われた発表内容から、MCOの全貌に迫っていこう。

■ 日々変化する自動車ジャンキーの町「Motor City」

モーターシティにログインした直後の画面。日刊モーターシティというイメージで、まずはここで情報をチェックするところからこのゲームでの生活が始まる
 MCOはオンライン専用のゲームになる予定で、ゲームをただ起動しただけではゲームは始まらない。仮想空間「Motor City」にインターネット経由でダイブする必要があるのだ。
 サーバーにアクセスし、いざゲームを開始すると各プレーヤーは最初にある程度のお金とベーシックな車を与えられる。一般的なモータースポーツゲームではここで対戦相手を見つけてレースバトルを繰り広げるという流れになるのだが、MCOではそうならない。

 プレーヤーがMCOにアクセスすると、その日のMotor Cityの状況が画面に表示され、自動車のオークション、レース開幕のお知らせ、レーシングチームへのお誘いの告知などが表示される。プレーヤーはその日のモーターシティの状況をチェックすることから始めるのだ。
 このMotor Cityで流されるさまざまなニュース類は、プログラムされたゲームシナリオではない。上の例を流用して解説するとすれば、オークションされる車は別のプレーヤーの持ち物であり、レース開催についてはサーバー運営者(つまりはEA)や特定のプレーヤーが主催するレーシングチームが告知したものであり、レーシングチームへのお誘いは俗に言う「ギルド」「クラン」のメンバー募集のようなものだ。つまり、モーターシティは世界中のプレーヤー1人1人よって構成され、日々変化していくのである。  この世界は車(モータースポーツ)至上主義の仮想空間であり、速いレーサーや、性能の高い車を持つプレーヤーの地位が高い。ウルティマオンラインと同じように、その仮想世界の中でのレベルアップを図るためにプレーヤーは、何らかの行動を起こし、キチンとした実績を残さなければならない。
 そこでプレーヤーは自分の車を使ってレースに挑むことになる。レースに勝てば賞金が獲得でき、その賞金で車のパーツを買ったり、チューニングしたりして愛車の性能を上げることができる。車の性能や自分のドライビングテクニックが上がれば、より賞金の高いレースに参加できることになる。このあたりのシステムはPS2の「グランツーリスモ(GT)」に近い。

■ コミュニティが生み出すモータースポーツのもうひとつのおもしろさ

このゲームの魅力について熱く語るプロデューサーANDY BEAUDOIN氏
 ただ、MCOにはグランツーリスモにはない個性的なゲームシステムが盛り込まれている。それはクラブとよばれるレーシングチームのシステムだ。各プレーヤーは自分の意志で好きなプレーヤーの主催するレーシングチームに所属し、たとえばレースをチーム単位で参加したり、チームの総当たり戦で楽しんでみたり、多種多様なスタイルでレースが楽しめるのだ。

 「ここで、コミュニティという発想がゲームをよりおもしろくさせるんだ!」とプロデューサーのANDY BEAUDOIN氏は熱く語る。
 たとえばクラブ対抗レースでメンバーの一人の車が性能的に劣るとする。これではレースに負けてしまう。しかしクラブのメンバーがお金を出し合って、そのプレーヤーの車をパワーアップしてあげれば、レースに勝てるかもしれない。クラブ代表者対抗レースならば、クラブ最速のプレーヤーがクラブの全資金をはたいて強化したモンスターマシンにのって参加…という作戦も考えられる。

 このように従来のレースゲームではあり得なかった、チーム内での有機的な連携やチーム単位での対抗意識というものが生まれるわけだ。
 「もちろん、レースをしないでクラブ(レーシングチーム)を主催することだけを楽しむこともできる。」とBEAUDOIN氏。この場合そのプレーヤーにとってはレーシングチーム経営ゲームとしてプレイすることになるわけだ。
 「クラブに参加しない一匹狼もいいかもしれない」 日本でも有名なそんなレース漫画がある。そういった気分を堪能するのもいいだろう。
 ウルティマオンラインが「ただのオンラインのRPG」で終わらなかったのと同じ要素と可能性をMCOも秘めているわけだ。

■ コミュニティが生み出すモータースポーツのもうひとつのおもしろさ

 MCOに登場する車は約100種類のパーツからなり、それぞれのパーツがいくつかのバリエーションを持つため非常に多彩な車のカスタマイズができるとのことだ。
 執り行われるレースシステムは現在、二種類を考えているとのこと。一つはスポンサー付きのレース、そしてもう一つはルール無用のキャッシュレース(賭レース)だ。
 前者は定められたレギュレーションの元で執り行われるものになるらしい。個人単位での参加も可能で,モーターシティのルーキー達はここで腕を磨くことになる。後者はアマチュア公道レースのようなもので,自慢のマシンをブン回してライバルをぶっちぎることを目的としたもの。詳しくは語られなかったが,それらのレースに対して「賭け」ができたりするとさらにおもしろいかもしれない。

 日本での発売も前向きに考えているとのことだが、問題は'70年代という時代設定だ。登場する車が'70年代のアメ車というのがどう日本のプレーヤーに受け止められるかのどうかだろう。

一匹狼として毎回バトルに挑むわけではなく、チームを結成して、チーム同士が戦うというシチュエーションこそMCOの醍醐味。「Quake」などのCLAN戦のようにレーステクニックを練習したり、個々の車のチューニングなども話しあってみたりなど、コミュニティの概念が外せないゲームデザインといえる

(c) 2001 EA.com. All Rights Reserved.

□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/

(2001年5月20日)

[Reported by トライゼット 西川善司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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