Electronic Entertainment Expo 2001現地レポート

Xbox Press Conferenceレポート:
北米でのXboxの発売日と価格が発表される

会期:5月17日(現地時間)

会場:Los Angels Entertainment Center

 発売日は11月8日、価格は$299

 E3開幕に先立つ5月16日の午前8時30分(現地時間)、米Microsoftは米国ロサンゼルスのダウンタウンにあるLos Angels Entertainment CenterにおいてPress Conferenceを開き、同社初の家庭用ゲーム機「Xbox」の北米における発売概要を発表した。

 Press Conferenceの冒頭で、Xboxの同時発売タイトルの中の1本である「Oddworld:Munch's Odyssee」のゲーム内容がプレイアブルデモを交えながら披露され、その後、米Microsoftのゲーム事業担当シニアバイスプレジデント兼CXO(Chief Xbox Officer)のRobbie Bach氏が登場し、Xboxの発売概要の詳細が発表された。

 気になる北米でのXboxの発売日は2001年11月8日、販売価格は$299。初期出荷台数は60万~80万台で、今年中に150万~200万台の出荷を期待しているそうだ。Robbie Bach氏は初期出荷台数について「初期出荷台数はPlayStation2の2倍以上を用意する」と語ったが、昨年末に北米で発売されたPlayStation2が初期出荷台数の少なさで長期間品薄となったような状況はXboxでは決して起こさないという自信があっての発言といえる。

 本体同時発売ソフトについての詳細は発表されなかったものの、15~20種類のソフトを用意するとしている。また、この発表時にはXboxの販売用パッケージとソフトのパッケージも披露された。Xboxのパッケージは、本体の大きさを反映して家庭用ゲーム機としてはかなりの大きさだが、ゲームソフトのパッケージはDVDビデオと同じパッケージを採用するようだ。

 ただ、日本やヨーロッパなど、北米以外の市場での発売時期や販売価格は発表されなかった。3月に開催された「東京ゲームショウ2001春(以下ゲームショウ)」におけるBill Gates氏の基調講演では、日本市場に対する意気込みを語っていただけに、日本における発売概要が全く発表されなかったのは非常に残念に感じた。

壇上に立つ米Microsoftゲーム事業担当シニアバイスプレジデント兼CXOのRobbie Bach氏 Xboxのパッケージ。Xbox本体サイズの大きさに合わせてパッケージもかなり大きくなっている Robbie Bach氏が手に持っているのがXbox向けタイトルのパッケージ。DVDビデオのパッケージとほぼ同じ大きさだ
北米でのXboxの発売日と初回出荷台数。初回出荷台数は昨年末のPlayStation2の2倍を確保するそうだ 今回新たに発表された周辺機器である、Xbox用のヘッドセット「Xbox Communicator」。ネットワークゲーム中に音声でプレーヤー間のコミュニケーションが取れる


 Xbox向けタイトルの新作も発表される

 以上のような販売概要の発表後、Xbox用ゲームタイトルがいくつか紹介されたが、その多くは、3月に米国ワシントン州レドモンドの米Microsoft本社で開催されたゲーム発表イベント「Microsoft Gamestock 2001」や、ゲームショウで発表されたXbox用ゲームタイトルが中心だったが、中には今回が初の発表となるタイトルもいくつか含まれていた。

 初登場のソフトの中で注目されるのが、今回のPress ConferenceでXbox向けゲームの開発を正式に表明したカプコンの3タイトルだ。その3タイトルは、PS2向けソフトとして初のミリオンセラーを達成した「鬼武者」の上位バージョンである「幻魔 鬼武者(仮)」、「ディノクライシス」シリーズの最新作となる「ディノクライシス3」、ネットワークプレイに対応するロボットシミュレータ「BRAIN-BOX(仮)」だ。
 このうち「幻魔 鬼武者(仮)」と「ディノクライシス3」については会場でデモムービーが披露された。このデモムービーはイメージ映像に近いもので、まだゲームとしては完成されていないように感じたものの、どちらも前作を大幅に上回る品質のグラフィックは十分確認できた。また、「BRAIN-BOX(仮)」はゲーム画面は紹介されなかったものの、40~50個のスイッチやレバー、フットペダルなどが用意された専用コントローラを利用してプレイするという、従来の常識を打ち破るゲーム性になるそうで、壇上に登場したプロデューサの三上真司氏も「業界に一石を投じる一作になるだろう」と語った。

 また、Sega of Americaの社長兼COO(Chief Operating Officer)、Peter Moore氏が登場し、Xbox向けタイトルを発表した。セガはすでに東京ゲームショウ2001春でXbox向けタイトルをいくつか発表しているが、今回発表されたタイトルは、Dreamcast向けソフトの中でも特に北米で好評を博しているスポーツゲーム「Sega Sports」シリーズの最新作「Sega Sports 2K3」や「Crazy Taxi」の続編「Crazy Taxi Next」、ガンシューティングゲーム「House of the Dead 3」など、全てが今回新たに発表されたタイトルであった。

 Peter Moore氏は、「1年前は、Dreamcastを使いNBA 2K1のオンラインプレイをこの場所で披露したが、今年は元ライバルで現在はパートナーの米Microsoftと一緒にオンラインプレイ対応の2K3シリーズを発表することとなった」と語った。実は今回このPress Conferenceが行われた会場は、昨年はSega of Americaがプライベート発表会の会場として利用していた場所なのだ。そのためこのような発言となったわけだが、Peter Moore氏は「Xboxはオンラインゲームコンソールと認識しており、今後SegaはMicrosoftと協力してオンラインゲームを発展させ、必ず成功させる」とも語り、標準で通信機能を備えるDreamcastを擁しネットワークゲームを発売してきたSegaのXboxに対する意気込みが強く伝わってきた。

 ところで、会場で最も人気の高かったタイトルは、テクモの「DEAD OR ALIVE 3(DOA3)」だ。既に東京ゲームショウ2001春で発表済みのタイトルではあるが、アメリカではこれが初公開。しかもゲームショウで公開されたデモよりも開発が進んだバージョンのデモが公開され、会場からは大きな歓声と拍手がわき起こった。基本的にはゲームショウのデモがベースではあるが、グラフィックの完成度は明らかに向上しており、パッと見ただけでもその違いは歴然だった。また、中には柔道着を着た新キャラクターも登場していた。プロデューサーの板垣伴信氏は「新参者はその持てる力を過小評価されがちだが、私はXboxの持つ大きなパワーを証明するためにここに来た。Xboxは『DOA3』を動かすことのできる地球上で唯一のハードだ」と、Xboxに最大限の賛辞を送った。

Xboxのネットワーク機能に対応したタイトルの供給を表明する27のソフトメーカー。カプコンやコナミ、ナムコ、タイトーなど、日本でおなじみのメーカーも含まれている Sega of Americaの社長兼COO、Peter Moore氏。昨年は同じ会場でDreamcast向けタイトルの紹介を行ったが、今年はXbox向けタイトルを発表することに
会場で披露された「DOA3」デモで登場した新キャラクター。柔道着を着た女性のキャラクターだ 「DOA3」のプロデューサー板垣伴信氏。Xboxへの期待や「DOA3」に対する自信を熱く語った


 ネットワーク機能を活用する周辺機器が登場

 Xboxは標準でネットワークポートが用意される唯一の家庭用ゲーム機であり、高速なブロードバンドを利用して簡単にオンラインゲームを楽しめると言っていいだろう。もちろん米Microsoftもその点を強調しており、Segaを含め、Xbox用のネットワーク対応ゲームを開発しているメーカーが27社存在していることが会場で発表された。その27メーカーの中には日本でもおなじみのメーカーが多数あり、今後Xboxに魅力的なネットワークゲームが多数登場してくると期待される。また、Segaの2K3シリーズ以外にも、Infogramesが開発中のNASCARをモチーフとした最大16人での対戦プレイが可能なレースゲーム「NASCAR-Heat」や「Tony Hawk Pro Skater3」、「Unreal Championship」、「Tom Clancy's Ghost Recon」といったオンライン対応ゲームが発表された。

 さらに、ネットワーク機能を活用する周辺機器も発表された。それは「Xbox Communicator」というヘッドセットで、オンラインゲーム中に音声でプレイヤー間のコミュニケーションがとれる周辺機器だ。これによって、オンラインゲームの臨場感やゲーム性が飛躍的に高まるだろう。

 多数のオンラインゲームが開発途上にあること、ネットワーク機能を活用する周辺機器が発表されたことに加え、Robbie Bach氏が「マルチプレイによってゲーム業界は新しい世界へと変わっていくだろう」と語ってPress Conferenceを締めくくったことからも、米MicrosoftがXboxのネットワーク機能を重要視し、大きな期待をかけていることがよくわかる。

 今回のPress Conferenceでは、紹介してきたソフトのほかにも、スティーブン スピルバーグ監督の期待作「A.I.」や、ブルースリー主演の映画をモチーフとしたゲームをはじめ、いくつかの新作ゲームが発表されている。Robbie Bach氏は、E3会場のMicrosoftブースにおいて20種類、サードパーティブースで10種類のソフトが公開されると語った。明日以降のレポートで、今回発表されたタイトルを中心にXbox向けタイトルを詳しく紹介していく予定なので期待してほしい。

【スクリーンショット】
XboxのファーストパーティであるBungie Softwareが開発中のXbox向けタイトル「Halo」。既に3月のMicrosoft Gamestock 2001で発表済みだが、今回披露されたものではグラフィックの品質が大きく向上していた
Microsoft Gamestock 2001で発表されたアクションアドベンチャー「Oddworld:Munch's Odyssee」。グラフィックの完成度は以前発表されたものよりもかなり進歩していた
今回新たに発表されたXbox向けタイトルの一つ「Mad Dash Racing」。見た目は「クラッシュバンディクー」と「風のクロノア」を足したようなアクションゲームだが、実際はレーシングアドベンチャーという一風変わったジャンルのゲームだ。制作はEidos Interactive
こちらも新たに発表されたタイトルの「NASCAR-Heat」。アメリカで人気のストックカーレースNASCARを忠実に再現する。ネットワークプレイに対応し、同一コースで2~16人での対戦プレイが可能だ


□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□Xboxのホームページ
http://www.xbox.co.jp/
□関連情報
【3月30日】東京ゲームショウ2001春・Xbox編:Xbox参入メーカー・対応ソフトが続々発表される
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010330/xbox2.htm
【3月14日】Microsoft Gamestock 2001開幕・Xboxの同時発売タイトルなどを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010314/ms1.htm

(2001年5月17日)

[Reported by 平澤寿康]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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