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Electronic Entertainment Expo 2001現地レポートニンテンドウゲームキューブ、実機が遂に公開される |
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会場:Biltmore Hotel
2000年8月に、幕張で開催された任天堂スペースワールドで発表されて以来、長い沈黙を破りゲームキューブの詳細なゲームタイトルが発表された。一言で言ってどのタイトルも「ワクワク」するゲームへと仕上がっている。同じようなテイストを持ったゲームでもひと味違い、プレイする者を虜にする“任天堂マジック”とでも呼べそうなタイトルに完全に飲み込まれた会場は終始大きな拍手に包まれていた。
■ 今年の合い言葉は「the Nintendo difference」
発表会はまず、岩田氏とNintendo of Americaの副社長を務めるPeter Main氏の両氏によるプレゼンテーションから始まった。今年のキーワードは“the Nintendo difference”。いわゆるどう言った点が他社とは違うのか? その違いについて数々の証明をしてみせるというパターンだ。Main氏は壇上に登るやいなや「我々は20年間の積み重ねに基づいた製品を発表することで、大きな成功を確信している。どんなメーカーが何をしても」とSCEAとMicrosoftを牽制した。そのうえで、任天堂は「クオリティへの執着」、「マリオなどの強力なキャラクタを持っていること」、「自社開発が優れていること」などをあげた。
続いて壇上に上がった岩田氏は「業界を救う奇跡的なマシンを開発した」と自信たっぷりにニンテンドーゲームキューブを紹介。岩田氏は任天堂を「ゲームを基本とするエンターテイメント企業」と表現し、他社との違いについて「他社はエンターテイメント企業ではなく、 (高機能や速いマシンを作る) テクノロジ企業だ」と言い切った。また、同氏はハル研究所におけるゲームの開発時の教訓として「マシンの技術革新についていくゲームを開発することは不可能だ」とコメントし、ゲームキューブの開発思想“枯れた技術を使いボトルネックをなくすことで、常に安定した性能を発揮する”事の重要性を語った。
また、現状のゲーム業界についても従来通り危機感を感じたコメントを残した。「ゲーム業界はグラフィックスへの傾倒 (マシンの発展によりグラフィックで驚かすことはほとんどできない) や、スマッシュヒットゲームの続編を乱発することで似たようなゲームがあふれかえる現状において、ゲームはどれも同じものとユーザーに受け取られつつある。その状況では価格しか選択肢が無くなってしまう。ゲームは生活必需品ではないため、面白くなければ売れない」という自説を展開し、「われわれはこうした状況と戦う必要がある」と締めくくった。
さらに、パナソニックが開発中であることが伝えられているゲームキューブ互換マシンのモノクロ写真が初めて公開された。形はゲームキューブを模しているのかキューブ状で、若干縦長といった感じ。CDやDVD-Videoが再生できるため、マシン上部に液晶パネルなどが設けられているようだ。
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パナソニックが制作中のゲームキューブ互換マシン。マシンの下の方には“dts”のロゴも見える | 司会進行を務めたPeter Main氏。E3ではおなじみの顔だ | 全世界で任天堂の戦略を担当する岩田氏 |
■ ついに公開された「ゲームキューブ」タイトル
つづいて壇上に登場したのは、任天堂のゲームデザイナーとしておなじみの宮本茂氏。片手にはゲームキューブ、片手にはコントローラを持ち、自慢げに差し上げながら入場した。海外での任天堂信仰はすさまじいものがあるが、今回もしばらくは熱狂的な拍手が鳴りやむことはなかった。宮本氏はまずは英語で「新しい『ベイビー』を紹介します」とコメントし「小さいけど (ファンが) うるさいですよ」と語り会場の笑いを誘った。
まず最初に、「どんなキャラをデビューさせようかと考えた」末の作品として、任天堂オールスター総出演の「SUPER SMASH BROS. MELEE」が紹介された。これまでの作品に比べると圧倒的に巨大なキャラクタがスムーズに動くだけでなく、カメラワークやアクションのタイミングなども実に任天堂らしい作品となっている。登場キャラもマリオやピカチュウ、カービィやリンクといった常連だけでなく、「MOTHER」の主人公の少年や、「アイスクライマー」のキャラまで登場する楽しいものとなっている。
つづいて紹介されたのは、前回のスペースワールドでもムービーで登場したマリオの弟ルイージ初主演作品となる「LUIGI'S MANSION」。懸賞で大豪邸の当たったルイージ達だったが、先に行ったマリオがいなくなってしまった。実はその屋敷はお化け屋敷で、ルイージはお化け退治に出かけることとなる……というストーリー。ゲーム自体は懐中電灯でお化けを脅かし、その隙に映画「ゴーストバスターズ」のような掃除機でお化けを吸い込んでいく。右下には時間が表示されていることから、時間と場所によっていろいろなイベントが発生するのではないだろうか。
ここで宮本氏はコントローラや媒体の説明を行なった。基本的にはスペースワールドで行なわれたものと同じだが、ワイヤレスコントローラ「WAVEBIRD」の操作可能範囲について、「10mでも大丈夫だけど、控えめに5mと言っておきましょう」と発言した。しかしなんと言ってもすごかったのは、実際に8cmの1.5GBディスクをゲームキューブ本体にセットしゲームを起動するところまで実演してみせたところ。起動時間に関しては瞬間的といってもいいほど。まず最初にゲームキューブのロゴが最後まで表示されるまでが5秒から6秒程度。その後ゲーム画面が表示されるのだが、それはほぼ瞬間だった。
ゲーム自体は、3Dで制作されているがなんとなく2D的な画面構成で、アクションもコミカルかつかわいらしく、どんな人でも楽しめそうな印象だった。
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ゲームキューブを誇らしげに掲げて登場した宮本茂氏 | 8cmのディスク。よく見るとルイージの絵が描かれている | 自らゲームをプレイしながらプレゼンテーションしてみせた宮本氏 |
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左がWAVEBIRDで、右が通常コントローラ | コントローラの各機能を紹介する宮本氏。黄色いスティックはこれまで4つあったCボタンのかわり | ゲームボーイアドバンスがコントローラになるのだが、その機能については来年の発表となるそうだ |
そして、映像は公開されなかったが一覧表を見た限りでは、セガがファンタシースターオンライン Ver.2を移植するようだ。詳細は不明だが、かなりの期待作となるだろう。
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「LUIGI'S MANSION」 | 「SUPER SMASH BROS. MELEE」 | |
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「METROID PRIME」 | 「STARFOX ADVENTURES: DINOSAUR PLANET」 | 「WAVE RACE: BLUE STORM」 |
■ 不思議な魅力があふれた「PIKMIN」
最後に宮本氏がプロデュースしている新しいタイトルが発表された。その名は「PIKMIN」。発想は“アリの群れ”だという。舞台はまさにアリほどの小さな世界。プレーヤーはPIKMINという草のような生命体を使って宇宙船を作り上げ、その星から脱出することが目的。ちいさなPIKMINをどんどんたくさんたくさん仲間にしていき、群れをなして数々の難関をクリアしていく。
プレーヤーキャラは「MOTHER」に登場する土星さんのような風貌でかわいらしい。また群れをなして動き回るPIKMINも不思議な魅力だ。これらの群れはある程度制御可能で、たとえば敵が現われた場合 (何倍もある巨大で奇妙な敵が登場!) 敵の後ろに回り込んで倒す事ができる。また、PIKMINは頭の上に草の葉があるのだが、それが状況によって花などが成長していく。宮本氏曰く「壁を壊したり、ちょっとずつ世界を変えていくゲーム」としている。こういった不思議だけど新しいゲームを考え出すところが「the Nintendo difference」かもしれない。
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これだけズラズラと引き連れて歩くまでにはけっこうかかるらしい。 | 向こうの方にあるのが宇宙船。PIKMINは赤、青、黄色と3種類いてそれぞれ違うらしい。 | PIKMINの何倍もある敵をこのようにワラワラとよってたかってやっつけていく。ちょっと怖い気もする |
(2001年5月17日)
[Reported by 船津稔]
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