ARTS、中小メーカー支援を目的とした
「ゲーム振興基金」設立などを提案

5月15日 発表

 テレビゲームソフトウェア流通協会(ARTS)は、5月15日に開催した「中古ソフト裁判」記者会見の席上で、ゲーム市場の活性化を目的とした「ARTSプラン」を発表した。「ARTS」プランは「柔軟な販売政策の試行」、「ゲーム振興基金の創設」、「ゲーム博物館創設の呼びかけ」の3点を柱としたもので、メーカーとのパートナーシップを再構築するとともに市場の活性化を図っていくという。

 ARTS側がTVゲーム周辺の競合市場と位置付ける「インターネット」や「iモード」について、サービスおよび価格の多様性でユーザーを取り込み急成長を続けていると分析。その一方で、硬直化した流通政策をメーカー主導で取りつづけたことが、ゲーム市場における「価格の硬直化」、「販売促進能力の低下」、「中小ソフトメーカーの販売不振」を招いたとし、後者2点については小売店の利益圧縮による余力の低下も原因であるとしている。

 協会では、市場活性化のためにはメーカーとのパートナーシップの再構築が必要であるとし、ソフト拡販およびユーザーサービスの拡充を目指すためのアプローチとして「ARTSプラン」を提案している。

【柔軟な販売政策の試行】
 店頭における品揃えのリスクをメーカーと分担。店頭におけるユーザー育成。中小ソフトメーカーの販促に最大限協力。レンタルやレベニュー・シェアリング・システム(収入分配制度)などのシステム導入によりメーカーの市場参入を容易にし、競合市場と対抗していけるだけのサービス充実を図る
【ゲーム振興基金の創設】
 小売店が単独でゲームを作ることはできないが、資金を集めてインディーズ系が提案する優れた企画をメーカーと一緒に売り出すことは可能であるとの観点から、中小ソフトメーカーの仕入れとインディーズ系市場参入を支援するため、1店舗あたり月5,000円程度の積み立てを行なう。今年7月からの徴収を目処に、早期開始を目指す。開始当初1,200店舗が対象。最終目標は3,000店舗
【ゲーム博物館創設の呼びかけ】
 過去に発売された全ソフトを収蔵する「ゲーム博物館」の創設を提案。ゲームの進化が一目で把握できる展示内容。過去のソフトでも市場に十分通用することを立証し、将来的には店舗を通じたネット販売にも活用する

 「ARTSプラン」の提案は、メーカー各社および社団法人コンピュータエンタテンメントソフトウェア協会(CESA)に対して行なわれる予定。大手メーカーとの裁判を理由に、協調関係に基づいたプラン実現を危ぶむ声については、裁判中のメーカー数社と現在も取引があると主張。また、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 (ACCS) は著作権団体であることから、提案そのものを行なわないとしている。

 なお、「ゲーム振興基金」とゲーム中古裁判の関連については「中古売上の還元金とはリンクしない」としている。

□ARTSのホームページ
(5月16日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.arts.or.jp/

(2001年5月16日)

[Reported by 北村孝和]

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