|
★ PCゲームレビュー ★
「GIANTS CITIZEN KABUTO」に初めて触れたのは、一昨年のE3だったように記憶している。その際にInterplayブースのスタッフから聞いた話で今でもはっきり覚えているのは、兜という名の巨人が主役であること、3種族3つ巴のマルチプレイが楽しいゲームであるということ、そして非常にユニークな雰囲気のアクションゲームになるということだ。その当時は正直言って、なんともヘンテコでとりとめもないアクションゲームだと思った。そのインプレッションは今でも少しも変わらないが、2年経っていざ発売の段になってみたら名実ともに優れたビッグタイトルに仕上がっていた。 「ジャイアンツ シチズンカブト完全日本語版」(以下、ジャイアンツ)はイマジニアが満を持して放つ、久々の大作アクションゲームだ。 ■ 長~く楽しむための次世代テクノロジがてんこ盛り! ゲームの説明に入る前に、まずは機能的な面から見ていこう。3DグラフィックにはDirect3Dを採用し、オプションとしてGeForceシリーズでお馴染みの「Hardware T&L」とDirectX 8.0で本採用された「Per Pixcel Shading」に対応している。そのいずれにも対応しているGeForce2 GTSにて撮影した掲載画面を見てもらえば、3Dグラフィックのクオリティの高さが実感できるはずだ。
サウンド周りは、DirectSound3Dのほか、Sound Blaster Live! シリーズの「EAX(Environment Audio Extension)」に対応し、視界外の音も位置情報を含めて察知できる3Dサウンドで、臨場感の高いゲームプレイが堪能できる。さらに、Pentium 4の「SSE2(ストリーミングSIMD拡張命令)」やAthlonの「Enhanced 3D Now!」といった最新のマルチメディアテクノロジにも対応するなど、現行のハイエンドマシンのパワーを100%活かしきれる圧倒的なポテンシャルを備えている。同社によれば、将来的にはGeForce3もパッチにて最適化を行なうとのこと。余談だが、本作は将来に備えて表示解像度に上限を設けておらず、モニタの性能とビデオカードの搭載メモリ量に応じて、どこまでも解像度を上げられるようになっている。編集部で確認できたのは2,048×1,536ドット/32ビット表示までだが、ここまで出すとPentium IIIやGeForce2ですらも、完全に力不足となる。いやはや大変なゲームが出たものだ。
■ よく練り込まれたシングルプレイモードがいいぞ! それではゲームの紹介に入ろう。ゲームの舞台となるのは、シーリーパーと呼ばれる女系魔族に支配された“アイランド”と呼ばれる銀河系の彼方に位置する惑星。彼女らが惑星を守るために創造したクリーチャーがカブトで、やがてこの巨人が反旗を翻し、支配関係が逆転してしまう。そんな島に不時着したのがメッカリン。これら3種族の勢力争いを丁寧に描いたのがシングルプレイモードである。 発売が延び延びになったのは、実はシングルプレイモードを作り込むためだったのではないかと思えるほど、このモードは良くできている。メッカリンが不時着し、はぐれた仲間を探していく「メック編」から始まり、「シーリーパー編」「カブト編」と順々にプレイできる。シナリオ総数は45本もあり、それぞれ個性的なシナリオとマップで充実したシングルプレイが堪能できる。
各ストーリーに共通して登場するのが先住民族“スマーティー”で、各種族ともスマーティを仲間にすることで(カブトの場合、食べることで)、新たな武器や基地、道具、呪文などが入手できる(カブトの場合、なぜだか子供が産める)。ストーリーでスマーティーは、背に担がれたり、魔法のバブルの中に入れられたり、ピラニアやカブトに食われたりと壮絶な目に遭うが、精神的にかなりタフな種族のようで、少しもへこたれた様子もなく、元気に各種族ごとの目的遂行に協力してくれる。一見、話の組み立ては滅茶苦茶なようだが、スマーティーを軸として丁寧に紡がれていくシナリオは実に優秀な出来映えだ。
各シナリオごとに用意されるマップは、とてつもなく広く、自由度の高い行動が可能になっている。そのため、目的達成までの道筋もアイデア次第でいくらでも発見できる。正攻法で攻めると弾幕の嵐でとても進めそうにない場合でも、崖を伝ってとか、島の浅瀬からとか、意外なところから侵入できたりする。この移動経路を探す試みが非常に楽しい。また、激しい戦闘の後にふと周りを見渡すと、ため息がでるほど美しい景観が広がっていることがある。そのためシナリオごとに適当な崖を見つけると、美しい景観を見たいがために、その崖に登りたくなってしまうこともしばしばだ。かつてないほどにリアルで、美しく、そして広大に描かれた“アイランド”ならではのおもしろさといえるだろう。ついでながら述べておくと、ジャイアンツの雰囲気は、QUAKEシリーズを始めとした3Dアクションシューティングで感じられる殺伐とした暗さがなく、どこまでも快活としてあか抜けた印象で、長時間プレイでの精神的な疲労感というものがほとんどない。これは武器で相手を殺戮するゲームとしては、かなり珍しい特徴だといえるのではないだろうか。
■ チームプレイが楽しい! マルチプレイモード
マルチプレイで決定的に重要なのは、カブト、メック、シーリーパーという3種族は「まったくバランスが取れていない」ということだ。言うまでもなくカブトが圧倒的に強く、1対1ではまず勝てない。メックとシーリーパーは、火器系と魔法系とタイプこそ違え、いずれも人型ということで、バランスは取れているようだ。ジャイアンツのイメージイラストには、カブトの周りを複数のメックたちが取り囲み一斉に攻撃しているものがあるが、カブトはまさしくハンデ戦のために用意された特別種だと考えた方がいい。逆に言うと、カブトで勝ってもぜんぜん自慢にならないわけである。
ちなみに、海外での発売元Interplayでは、Mplayer.comでのプレイを推奨しているが、この原稿を執筆している時点で、すでに海外版とはバージョンが異なっているため、日本語版をインストールしただけでは、海外のユーザーと対戦できないので注意したい。日本語版に英語版のパッチを当てる起動しなくなるなどのトラブルが発生する恐れがあるので、IRC等で仲間を見つけてIPを取り交わして対戦するか、会社や大学のお昼休みにでもLAN環境を使って対戦を行なうのが安全だ。
ジャイアンツは、かなりハイスペックなマシン環境を要求するハードルの高いアクションシューティングだが、久しぶりに万人向けにオススメできるアクションタイトルでもある。ぜひ、一度鮮やかな色彩をした素晴らしい世界で、豪快なアクションを楽しんでいただきたい。
(c)2000-2001 Planet Moon Studios. All Rights Reserved. Planet Moon and the Planet Moon logo are trademarks of Planet Moon Studios. Giants, Giants:Citizen Kabuto, Interplay, the Interplay logo, "By Gamers. For Gamers.", Digital Mayhem and the Digital Mayhem logo are trademarks of Interplay Entertainment Corp. All Rights Reserved. Exclusively licensed and distributed by Interplay Entertainment Corp. All other copyrights and trademarks are the property of their respective owners.
□イマジニアのホームページ http://www.imagineer.co.jp/pc/ □「ジャイアンツ シチズンカブト」のホームページ http://www.imagineer.co.jp/pc/products/kabuto/top.html (2000年4月13日)
[Reported by 中村聖司] |
I |
|
GAME Watchホームページ |