★ PCゲームレビュー ★

子供心をいっぱいに膨らませて遊ぼう
ある意味究極のエアライナーシミュレータ

休日は飛行機に乗って
「JAS虹の翼」Professional

  • ジャンル:エアライナーシミュレータ
  • 発売元:テクノブレイン
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:発売中


 「ぼくは航空管制官」シリーズで一躍有名になったテクノブレインが放つ新シリーズ「休日は飛行機に乗って『JAS虹の翼』」にProfessional版が登場した。既存のフライトシムとは一線を画す、マウスによるパネルオペレーションのみで旅客機の全操作を行なうという 斬新すぎるインターフェイスを採用した同シリーズは、Professional版になっていよいよその完成度を増してきたようだ。


 マウスだけで手軽に遊べるフライトシミュレータ

 普通、フライトシミュレータというと、マイクロソフトの「Flight Simulator」シリーズのような本格仕様のゲームタイトルを思い浮かべる方がほとんどだろう。こういったタイトルは、本格仕様であることの代償として、ハイスペックのマシンとジョイスティック、そしてそれなりのテクニックと根気が要求される。

 フライトシムファンにとっては「そんなこと当たり前ではないか」と一笑に付してしまう話かもしれないが、中には「もっと手軽に楽しめないかなぁ」と現状に不満を抱いているお父さんやお母さんもいるに違いない。「休日は飛行機に乗って『JAS虹の翼』」は、まさにそんな人のためのエアライナーシミュレータ。ここで特に“エアライナー”という言葉を使ったのは、本作が大型の定期旅客機のシミュレートのみに徹底的にこだわって制作されているためだ。

 しかも、本作は「JAS虹の翼」の副題が示しているとおり、日本エアシステムの全面協力を得ており、現役就航便とまったく同じデザインをしたJAS機で、就航便と同じ経路、手順、操作で機長気分を味わうことができる。最後の「操作」までシミュレートしているところが最大のポイントで、旅客機の操縦に使用するハードウェアは、なんとマウスのみ。さらにナビゲーションキャラが音声とメッセージで操作手順を丁寧にひもといてくれるため、マニュアルすら不要となっている。

ゲーム中の視点は最適な位置に自動的に変更される。画面の旅客機はJASのAirbus Industrie A300-600R

 さて、このタイトル、何をするゲームかというと、定期旅客機の機長の運行業務を丸ごとシミュレートする、というより正確にトレースしていくゲームなのだ。離陸前の各種手続き、搭乗後の飛行機の各種機能の動作チェックや無線操作、巡航中は管制塔との無線連絡や機内サービスの指示など、乗客が搭乗する前の準備から、乗客を目的地に送り届けるまでの機長に科せられた業務を淡々とこなしていく。たとえば、離陸時はタキシング(滑走路への移動)を行ないつつ、さらにパーキングブレーキ、フラップ、エルロン、スラット、レーダー、トランスポンダーなどを操作し、管制塔との通信チェック、乗客への連絡、通信内容の復唱といったことをひとつひとつ実行していく。

離陸時は、Gこそ感じられないもののつんざくような轟音としきりに管制官と取り交わされる通信とで臨場感抜群
 具体的には、ゲーム画面手前に表示されているオーバーヘッドパネル、メインパネル、コントロールスタンドのパネル操作によって行なっていく。操作すべきパネルやボタンやバーの位置はあらかじめ矢印で示されるため、操縦法がわからなかったり、間違えることはないが、もたもたしていると矢印が消えてしまう。消えた場合は、自動的に実行されてしまい、画面左に表示されているパーセント表示が下がる仕組み。「休日は飛行機に乗って」の醍醐味は、飛行機を操縦することをコンピュータに任せきり、プレーヤーは機長の雰囲気だけを存分に味わえる点にある。

 この点、タイトー「電車でGO!」にやや似ているが、「休日は飛行機に乗って」でもミッション終了後にパーセンテージがスコアに換算され、記録として残るようになっている。先述した2つのパネルとスタンドを操作するには、それぞれ画面(というより視点)を切り替える必要があり、しかも複数の操作を同時に行なう場合もあったりして、矢印が出てからでは間に合わないこともある。そういう意味では覚えゲーに近いが、各パネルの役割を頭にたたき込んでおき、きびきびとした操作が出来はじめると、もう機長気分は全開なのである。

左からオーバーヘッドパネル、メインパネル、コントロールスタンド。ホイール対応しており、上に回せばオーバーヘッドパネルに、下に回せばコントロールスタンドに視点を変えることができる。ホイールボタンを押せばメインパネルに戻ることができる

次々と要求される機体操作の数々。パネル操作は、素早く正確に


 リアルな通信作業と機内アナウンスで臨場感たっぷり

「休日はGPS」とセットでプレイしているところ。巡航中は、途中高速再生されるので、現在位置がわからなくなりがち。これさえ起動しておけば安心なのである
 ゲームモードは、「出発準備」「離陸」「巡航」「着陸」「到着」「出発~到着」の6種類。フライトプランは、「東京国際空港~大阪国際空港(A300-600R)」「大阪国際空港~福岡空港(MD-90-30)」「福岡空港~新千歳空港(A300-600R)」「新千歳空港~東京国際空港(B-777)」の4本(カッコ内は搭乗できる機体の名称)。モードにはそれぞれおおまかな難易度が書かれているので、簡単なものから試していくといいだろう。ちなみに「出発~到着」は実プレイ時間で1時間以上となっており、実体験さながらの緊張感が味わえる。

 「休日は飛行機に乗って」の楽しさの秘密は、雰囲気作りに全力を尽くしているところにある。機内プレイでは、旅客機独特の甲高い音が入り交じった轟音が常時響き、通信の音声や機内アナウンスも実際のそれと同じタイミングで流されるなど、飛行機に乗った経験のある人なら、思わずニンマリしてしまうリアルさだ。また、Professional版では、一般人は決して覗くことのできない一般業務を含む、各種映像がムービーとして収録されており、よりいっそう雰囲気を盛り上げてくれる。なお、これはマシン環境にもよるが、スピーカーで聞くと、轟音に通信やアナウンスがかき消される印象があるので、ヘッドホンでのプレイをオススメしておきたい。各種通信やアナウンスがくっきりと聞こえ、さらに臨場感が増すはずだ。

 ところで、本作はDirect3Dに対応したれっきとした3Dゲームでありながら、ウィンドウ表示ゲームとなっている。なぜか? これにはれっきとした理由があって、添付ソフト「休日はGPS」を使うためなのだ。「休日はGPS」は、巡航中にしか意味をなさないが、旅客機の現在位置を日本地図で示してくれる。こういった細かいこだわりも嬉しいところだ。
 テクノブレインのゲームタイトルは、マニア度の極めて高い要素をさっくり遊ばせてくれる頑固親父の職人芸的作品が多いが、「休日は飛行機に乗って」もまさにそのひとつ。飛行機のパイロットにあこがれたお父さんにぜひオススメしておきたい1本である。

ゲームモード設定画面。Professionalで新しく追加された便は「福岡空港~新千歳空港」

ゲーム中に流れるムービーの数々

(C) Copyright 2001 TechnoBrain CO.,LTD.


【動作環境】
  • CPU:Pentium II 300MHz以上(Pentium III 600MHz以上を推奨)
  • メモリ:96MB以上 (64MB以上を推奨)
  • HDD:400MB以上
  • CD-ROMドライブ:8倍速以上 (起動時必須)
  • ビデオカード:800×600ドット/6万色以上


□テクノブレインのホームページ
http://www.technobrain.com/
□関連情報
【2月8日】テクノブレイン、「休日は飛行機に乗って JAS虹の翼」のプロフェッショナル版を発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010307/jas.htm

(2000年4月6日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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