★ PCゲームレビュー ★
臨場感溢れる戦場で
特殊任務の恐怖をたっぷり味わえ Project I.G.I |
|
|
- ジャンル:3Dアクションシューティング
- 発売元:アイドス・インタラクティブ
- 価格:8,800円
- 対応OS:Windows 95/98/Me
- 発売日:3月16日
|
アイドス・インタラクティブの「Project I.G.I」は、ミッション遂行型の3Dアクションシューティング。基本的なゲームシステムは、「QUAKE III」や「UNREAL TOURNAMENT」といった1人称視点型の3Dアクションシューティングとほとんど変わらないといっていいが、グラフィックエンジンにフライトシミュレータ製のものを採用したことで、恐るべき臨場感を実現している。超のつく本格派3Dアクションシューティングの登場である。
■ 激ムズのミッションがやる気にさせるリアル系FPS
プレーヤーの分身である主人公の名はデビッド・ジョーンズ。タイトル画面に使用した彼がライフルを構えている1カットなどは「ゴルゴ13」のデューク東郷を彷彿とさせるが、彼が実行していく内容はトム・クランシーの「ジャック・ライアン」シリーズにおけるジョン・クラークやドミンゴ・シャベスらが得意とする強襲作戦ばかり。もちろん、スナイパーライフルも使用できるが、スコープを覗くゆとりがなかなか取れないほど、せわしいゲーム展開だ。
|
シナリオ開始時のムービー。ヘリが空を飛ぶ情景が実にリアルに表現されている |
ゲームの目的は、トップシークレット級の情報を握ったままテロリストに拉致されたヨセフ・ブリボイを、テロリストの根拠地から救出すること。ゲームスタート時に所持している武器は、ナイフとピストル、サイレンサー付きのMP5のみとなっている。あとは戦場に落ちているものを拾ったり、敵が所持している銃と弾薬を奪うなどして随時強化していく。本作においてもウージーは使い心地抜群の高速連射銃だが、このウージーに限らず、すべての銃器類は弾持ちが悪く、QUAKE感覚でズババババンと派手にプレイしようものなら、ミッション中盤以降はナイフだけとなってしまい、監視カメラすら破壊できなくなってしまうので注意したい。
そこで銃やナイフと同等以上に活用したいのが2つの携帯アイテム。ひとつは、スパイ衛星からリアルタイムで敵の位置情報が送られてくるPDA“マップコンピュータ”、もうひとつは、両眼で覗くと遠距離の様子がわかることに加え、双眼鏡から視認できる範囲の敵の位置を赤いカーソルで知らせてくれる“デジタル双眼鏡”だ。ミッションクリアのためには、この2つのアイテムのフル活用が欠かせない。敵根拠地には、見張り台や監視カメラ、警報装置、詰め所などが至る所に配置されており、細心の注意を払いながら移動する必要がある。特に監視カメラに引っかかると、とたんに警報装置がワンワン鳴り出し、敵がどこからともなく大量に出現するので、監視カメラの位置は、ミッション開始時にPDAでチェックしてしっかり暗記しておきたい。
|
敵から奪える銃器のひとつAK47 派手なエフェクトが連射心を誘うが、これもめっぽう弾切れが早い |
基本的なゲームの進め方は、ミッションの開始前に唯一の相棒であるアンヤから無線で指示が送られてくるので、それに従って動けばいい。といっても具体的な移動経路や倒すべき敵の情報などは教えてくれないので、PDAや双眼鏡を駆使して、周囲に敵が居ないかどうか確かめながら、ゆっくり進んでいくしかない。屋外に関しては、スパイ衛星で敵や監視カメラの位置を確認できるのである意味安心して進めるが、スパイ衛星が効かない屋内はかなり緊張する。扉を開けたら敵が目の前にいたり、ひとりをシュートしたら次々に敵が現れたり、しかもある程度口径の大きい銃で撃たれると、家屋の壁やタル、木箱などは、リアルにぶち抜いてくれるので、まったく油断できないのだ。
マップには電線(ロープ)やPC、ハシゴ、金網、スイッチといった、主人公がアクションキーを押すことで動作/機能してくれるオブジェクトが多数配置されているので、これらを最大限有効に活用しながら進みたい。特にPCは、一定時間操作する(アクションキーを押しっぱなしにする)ことで、監視カメラを一定時間止めることができるので、必ず利用しておきたい。
|
|
|
多彩なアクションを見せる主人公。アクションモードになると自動的に主人公を中心としたビューに切り替わる。自由に視点を回せるので敵の接近に注意を払いつつ、同時に敵情偵察も行なっておこう |
|
|
|
これが無敵のPDA「マップコンピュータ」。自分の様子が見えるぐらい拡大できる。使用中は完全無防備状態になるので、敵の来ない安全な場所で呼び出そう |
デジタル双眼鏡。敵の位置ばかりでなく、敵がいる位置の距離まで正確にわかるので大変便利だ |
PCを使用しているところ。どうやら敵根拠地の防衛システムへ侵入しようとしているらしい |
■ アクションファンをも唸らせる優秀な3Dグラフィック
|
屋内の様子。屋内にはミッションクリアに欠かせない貴重なアイテムが落ちていることが多いので、くまなくチェックしよう |
さて、冒頭でも触れた3Dグラフィックだが、遠景に関しては圧倒的な臨場感とリアリティを実現している。具体例を挙げるのが難しいが、Looking Glass Studiosの傑作フライトシム「Flight Unlimited」シリーズでの低空飛行を彷彿とさせるような、限りなく実写映像に近い雰囲気だ。特筆すべきは、四方に広がる遠景は単なる風景ではなく、実際にてくてく歩いていけることで、この点にフライトシム製のグラフィックエンジンをアクションシューティングに採用した凄みが感じられる。もちろん、わざわざ時間をかけていったところで、何があるわけでもないが、裏手の山に登ることで敵根拠地を一望できたり、敵の視界外から迂回して侵入できたりなど、意外なところで戦術に深みを加えることに成功している。ただ、肝心の近景、というか目の前の3Dグラフィックの描かれ方は、少々荒っぽい。特に気になるのは、主人公を含めたキャラクタたちの不自然な造形。遠景の描写は素晴らしく、ミッション間に流されるムービーもかなり丁寧に作られていて好感が持てるのに、人が出てくると途端にリアリティが失われる印象がした。次作では、このあたりの調整に期待したい。
本作は、濃いシナリオをじっくり楽しむタイプのシングルプレイ専用の3Dアクションシューティングとなっている。この“どこまでも歩いていける”ユニークなゲームシステムでマルチプレイが楽しめないのは大変残念だが、3Dアクションシューティングファンは、手を出して間違いのない名作である。
|
|
|
監視カメラは即破壊が基本。PCを使って無効化すれば素通りしてもいい |
ナイフで刺殺。連射が効かず、レンジも限られるため、使用ケースはひどく限られる |
実は、スナイパーライフルを使わなくても結構遠距離の敵を狙撃できる |
|
|
|
というわけで、山に登ってみた。急勾配でもぐいぐい登れてしまうのはご愛敬だが、頂上から見渡せる展望の素晴らしさ! 敵根拠地の状態もバッチリ把握できる。ちなみに右手に持ってる物体は、フラッシュバンだ |
(C)Developed by'Innerloop Studios Limited'. (C)and Published by Eidos Interactive Limited 2001.All Rights Reserved
【動作環境】
- CPU:Pentium II 300MHz以上 (Pentium III 以上を推奨)
- メモリ:64MB以上 (128MB以上を推奨)
- HDD:500MB以上
- CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
- ビデオカード:VRAM8MB以上 (16MB以上を推奨)
- 解像度:640×480~1,920×1,440ドット
|
□アイドス・インタラクティブのホームページ
http://www.eidos.co.jp/
□「Project I.G.I」の公式ページ
http://www.eidos.co.jp/title/IGI/IGI_index.htm
(2000年3月12日)
[Reported by 中村聖司]
|