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★ PCゲームレビュー ★
地球上の全海域を網羅する豪儀な海戦SLG「提督の決断IV」が、いよいよ3月9日に発売される。5年ぶりのシリーズ新作となる提督の決断IVは、日本、アメリカに加えて、海の狼U-boatを擁するドイツと、伝統の海軍国家イギリスが新たに仲間入りしたほか、4作目にしてついにリアルタイム制の海戦システムが導入された。新機軸満載の最新作を、発売より一足先にたっぷりご紹介しよう。 ■ 独特の緊張感がたまらない「提督の決断」 5年ぶりの新作ということで、ゲームファンの中には「提督の決断」と言われてピンとこない方もいるかもしれない。何しろ前作「提督の決断III」はPC-9801版で発売されたほどだ。
それからもうひとつ、提督の決断を語る上で忘れてはならないのが、膨大なデータ群の存在だろう。日米双方の数百隻の艦船、数十機の軍用機、それから戦局を一気に覆す可能性を秘めた多数の新兵器(技術)などが、びっしりデータ化されており、かつゲーム内の諸要素と有機的に結びついている。これに関しては、戦史に興味のない人にとっては単なる数値の羅列としか写らず、事実、これが敷居の高さの一因にも繋がっているが、戦史ファンにとってはたまらない魅力になっている。以上が、非常に簡単ながら提督の決断のゲーム内容である。これらの要素をすべて活かしつつ、新規ユーザーでも問題なく遊べるよう徹底的にインターフェイスに改良を施し、さらに冒頭でも触れたような新しい要素をたっぷり盛り込んだのが最新作というわけである。
■ 「提督の決断IV」のゲームシステム 本作には、開戦から最後まで戦い抜く「キャンペーンモード」と、ミッドウェー海戦、坊の岬沖海戦(IIIでは大和特攻)など9本の有名な海戦がいきなり楽しめる「ショートシナリオモード」の2種類が用意されている。ここではキャンペーンモードをじっくり見ていくことにしよう。 今作の戦場は、地球上のすべての海域となっている。これは主にドイツ、イギリスがプレイ可能な国として新しく参戦したためだが、太平洋側、大西洋側とも特に移動制限はないため、大和や武蔵が北海地方やフォークランド諸島沿岸まで出撃したり、反対にU-Boatを太平洋に進出させることもできるなど、さらに懐の深い仮想戦が楽しめるようになっている。世界の海は50の海域に分けられ、それぞれの地域に大陸沿岸や島々の情景が丁寧に描かれた海戦マップが用意されている。海軍の維持・強化に欠かせない各種資源(金、石油、鉄鋼、アルミ)は、これら海域を確保し、輸送船を配備することにより得られる仕組みとなっている。50の海域のうち、14カ所は「重要海域」となっており、これをすべて獲得すれば勝ち、失えば負けとなる。といっても、日本で日本海域を獲られれば、ほかの重要海域を押さえていても、ほぼ負けは確定だ。
IVでは、1週間ごとにターンが回ってくる。1ターンは、戦闘以外のすべての行動を行う「戦略フェイズ」と、3日間かけてリアルタイムで激闘を繰り広げる「戦術フェイズ」とに分けられている。戦略フェイズでは、艦隊の編成、艦船の建造、航空機の生産、技術の研究開発、基地の設置、スパイの派遣などが行なえるが、特に重要なのは艦隊の移動だ。といって軽々しく1艦隊だけ移動させても早々に敗退するのがオチで、国家の命運を掛けて完全確保するつもりで侵攻するのだから移動は常に最大の3艦隊。それも空母艦載機は積めるだけ積み、1艦隊の編成は最大の16隻ずつというフル装備状態で移動したい。というのも、敵には基地航空隊の強力なバックアップがあるからだ。基地は、1海域に最大3つまで設置でき、それぞれ最大250機の航空機が収容できる。まさに浮沈空母といった印象だが、当然、基地は移動できないため、夜間砲撃に弱いという弱点がある。しかしその一方で、1艦隊の総力を結集して徹底的に叩かないと陥落しないぐらいのねばり強さを持つため、油断してると痛い目に遭う。基地航空隊は、特に装甲の貧弱な空母にとって脅威的な存在といっていい。
ところで、IVでは研究開発できる新兵器が圧倒的に増加している。開発ルールは前作と同じで、自国の技術レベル(砲熕、鋼材、電子、機関、航空、通信、工業)が必要値に達すれば開発に成功する。新技術は大きく分けて、開発に成功すると自国の兵器に自動的に配備されるもの(三式弾、各種レーダー、ロケット弾など)と、新兵器が生産可能になるもの(双発ジェット機体、全翼機体、51cm主砲など)との2種類がある。航空レーダーなどは、資金を集中的に投入すればすぐ開発に成功するが、双発ジェット機体ともなると、ジェットエンジンの開発が必須だったりと条件がいろいろとやかましく、金をいくら注ぎ込んだとしても実用化は数年先になってしまう。 それにしても、これだけたっぷりと新兵器が用意されていると自国の技術レベルと相談しながら、じわじわ技術を上げていく作業も実に楽しい。じっくり上げていきたいところだ。余談だが、ドイツ海軍は史実では一度も空母を実戦に投入したことがないが、史実どおりにイギリス海軍と戦わせると戦力的に圧倒的に不利になるため、イタリア海軍をそっくりドイツ陣営に編入しているほか、空母の新規建造を可能にし、さらにメッサーシュミット Bf109シリーズやユンカース Ju87シリーズなどが艦載機として空母に搭載できるようになっている。以前、インタビューで開発者から直接聞いた話では、新兵器を開発することにより、ドイツが誇る双発ジェット戦闘機メッサーシュミット Me262も艦載機として運用可能なようだ。このあたりは、もはや完全な仮想戦といってもいいが、U-boat以外はほとんど活躍できなかったドイツ海軍が空母機動部隊を持ったら? というIF戦を心ゆくまで試せるのは嬉しい限りだ。
■ 一瞬の判断が勝負を左右するリアルタイム海戦 さて、シリーズ初のリアルタイム海戦の出来はどうなのか。これはシリーズファンなら誰しも気になるところだろうが、個人的には大満足だった。敵の空母艦載機が味方艦隊に殺到すればほぼアウト、という航空機圧倒的有利のゲームバランスもそのままだったし、偵察機による索敵の重要性の高さ、航空隊発進までの絶妙な待ち時間、砲撃戦の凄まじい迫力などなど、(実はちょっと心配だったけど)リアルタイムになって良かったと思える見事な出来映えだ。演出にも大変凝っていて、航空隊は標的艦を軸に弾薬がなくなるまでイヤというぐらいぶんぶん旋回するし、至近弾の際に海中より吹き上がる水しぶきも大迫力。海中を進む魚雷の束の表現も恐ろしくていい。あえて難癖を付ければ、主砲弾は視認できなくて良かったように思うのと、艦を選択した際に表示されるワクが少し目立ちすぎる印象があるぐらいだ。
先ほども軽く触れたが、戦闘に一度に参加できる艦隊数は3つまでという制限が定められている。3艦隊ともプレーヤーが操作することも可能だが、慣れないうちはひとつの艦隊すら満足に動かせないので、ほかの2艦隊はコンピュータに委任してしまった方がいい。航空隊発進後は敵機による反撃を避けるため、艦隊と逆方向に逃げるなど、コンピュータに教えられることも意外と多かったりするからだ。
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□コーエーのホームページ http://www.gamecity.ne.jp/ □「提督の決断IV」の公式ページ http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/tei4/index.htm (2000年3月6日)
[Reported by 中村聖司] |
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