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★ PCゲーム ファーストインプレッション ★
■ あの「ミスト」の世界を歩く グラフィックアドベンチャーゲームに画期的な進化をもたらした「ミスト(MYST)」が登場したのは、いまから7年前の'94年2月のこと。当初はMacintosh版としてリリースされたが、その後まもなくWindows版にも移植され、全世界で実に600万本の売り上げを記録した。当時ようやく普及し始めたCD-ROMを媒体にして、大量の、そして緻密に描かれた映像を惜しげもなく使った「ミスト」は、その後のアドベンチャーゲームに少なからぬ影響を与えることになった。デフォルメされていないスーパーリアルな世界をドラマの舞台にしたこと。そして言葉ではなく行動で謎を解いていくシステムは、現在のアドベンチャーゲームの基礎を築いたといってもいいだろう。また当時は「ミスト」をプレイしたいがためにCD-ROMドライブを購入したユーザーもいたほとで、ゲームメディアがフロッピーディスクからCD-ROMへと移行する流れを加速する役割も果たしたのではないかと思う。
旧作では、他のアドベンチャーゲームと同じように、すでにレンダリングした絵を切り替え各シーンが独立した1枚の絵で構成されていたが、「リアルミスト完全日本語版」ではこの世界を丸ごと3D化し再構築し、自由に動き回れるようになった。視点の変更も自由自在で、足元を覗き込んだり、周囲をぐるりと360度見回すこともできる。ストーリーや謎解き部分は旧作をそのまま踏襲しているものの、舞台を3D化することによってよりダイナミックに楽しめるようになったというわけだ。
■ 動きはスムーズ、映像も超美麗!!
今回筆者が利用したパソコンはAthlon 750MHz + GeForce MXという構成だが、プレイはとても快適だった。移動や視点の変化もスムーズで、ストレスはまったく感じない。静止画をなんとかフルカラー表示していた時代から、わずか数年でこんなにグリグリと動かせる時代になったのかと思うと、さすがにちょっと感動する。旧作の「ミスト」をプレイしたのはだいぶ前なので正確な比較はできないものの、32ビットフルカラーで描かれた「リアルミスト完全日本語版」の映像は、かつて使われていた静止画よりも美しく感じるほどだ。移動にともなうズームアップも滑らかで、ぎこちなさはない。地面や建物のくすみ具合やうっすらと霞む遠景、波打つ海面の描写も見事だと思う。 ただしところどころ……何らかの謎が仕掛けられているであろう部分に来ると、突然ハードディスクへのアクセスが発生し、その間マウスの反応が鈍くなることがある。次の展開に備えて大量のデータを読み込むのだから当然といえば当然のことだが、今回プレイしていて唯一気になった点だ。
■ 奥行きのあるサウンドがプレイを盛り上げる 「リアルミスト完全日本語版」では、映像だけでなく効果音やBGMもリメイクされている。もっとも大きな変化は、4スピーカー対応の立体音響が使われているということ。対応のサウンドカードに4スピーカー、もしくは5.1ch対応のヘッドフォンを使うと、まるでその場に立っているかのような感覚を楽しむことができる。もちろん、2スピーカーでもかなりの奥行きを感じるはずだ。謎解きを進める上でさまざまな音が重要な意味を持つゲームだけに、ぜひ良好なオーディオ環境でのプレイをおすすめしたい。
■ 架空の島「ミスト島」の謎を解け
「とりあえず読んでみるか」とページを繰った刹那、「あなた」は自分を取り巻く世界が暗闇に消えるのを感じ、次に意識を取り戻したときにはその架空の島「ミスト島」に佇んでいた。何がどうなったのかわからないまま、とりあえずこの島を探索するところからプレイは始まる。島には人影がなく、完全な無人島らしい。にもかかわらず、怪しげな建造物や宇宙船までもが用意されている。「あなた」はこの島から脱出して、元の世界に戻ることはできるのだろうか? いったいなぜこの島に引き寄せられたのか? 「MYST」は誰が何のために書いたのか? 島での謎解きを続けるうちに、隠されていた謎が少しずつ明らかになる。 シナリオには一応はエンディングが用意されているものの、そこにたどり着くことだけがこのゲームの楽しみ方ではない。謎解きに直接関係ないトリックもたくさん散りばめられているので、それを見つけて楽しむのもよし。気に入った風景を探すのもよし。プレーヤーが自分の思うがままに行動し楽しみ方を発見していくのが、この「リアルミスト完全日本語版」の醍醐味だろう。
■ 正統派アドベンチャーゲームの進化形として とても味のあるゲームだ。くすんだ色づかいや、奥行きのある風景が美しい。時間の変化と共に変わる空や海の色も綺麗だ。仕掛けられている謎は少々難しく感じるときもあるが、しかし延々悩むというほどではない。ほどよい難しさで、ちょうどいいドキドキ感やワクワク感が楽しむことができた。プレーヤーの視点で世界を眺め、謎を解きながら一歩ずつ進む正統派スタイルのアドベンチャーゲームのもっとも進化した形が、この「リアルミスト完全日本語版」だと思う。旧作を知っている人にも、そして知らない人にも、ぜひ一見をおススメしたい。
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□マイピックのホームページ http://www.mediaquest.co.jp/ □「リアルミスト完全日本語版」の製品紹介ページ http://www.mediaquest.co.jp/hot2/myst_c.html □CYANのホームページ http://www.cyan.com/ (2000年12月22日)
[Reported by 駒沢丈治] |
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