今度の“シーマン”は恋のキューピッド?
エージェントソフトに生まれ変わった「シーマン for Windows」

ビバリウムの斎藤由多加社長
2001年第1四半期 リリース予定

価格:未定



日本アイ・ビー・エムのソフトウェア事業開発担当の岡部春樹氏
 株式会社ビバリウムは、日本アイ・ビー・エム株式会社の新しい音声認識技術「Via Voice-EasySnap」を使ったエージェント型ソフト「シーマン for Windows」を開発中であると発表した。シーマン for Windows Ver1.0は2001年第1四半期を予定しており、具体的には1月から2月頃にリリースしたいとしている。また、アップデートが頻繁に行なわれることから当初はパッケージでの販売を見送り、プロバイダとのキャンペーンなどで無料で配布して広めていきたいとしている。協業するプロバイダに関しては、現状ではISAO.netにおいてキャンペーン展開を行なう予定

 Dreamcast版の「シーマン」は基本的に育成型のゲームソフトだったが、今回Windows版の制作にあたりエージェント型ソフト (ユーザーと会話などを行なう対話型ソフト) へと変更されている。パソコンを起動すると自動的にラウンチされ常駐。アプリケーションのバックでたえず泳いでいる。シーマンは3Dで描画されるが、Windowsの環境下では他にもアプリケーションが稼働している事が考えられるため、Dreamcast版に比べ小さくなっている。また、ポリゴン数もWindowsではコンシューマ機のパワーに比べ劣るため少なくなっている。
 Windowsの環境下ということに関してはこのほかにも考慮されており、会話のテンポも若干遅く設定されている。これはコンシューマゲームが“集中してプレイ”するものであるのに対し、Windowsが“色々なことをしながら”シーマンと会話するスタイルとなるため、テンポを落としたほうが心地よいと判断したためという。会場で行なわれたデモにおいても一度会話が途切れてもしばらくはなにも話さない時間が過ぎ、また色々と会話が行なわれるといった感じだった。

 シーマン for Windowsは、ただユーザーと会話するだけではない。ユーザーとの会話はデータベース化され、ユーザーの指向を学習するという。2001年第2四半期のバージョンアップ (Ver1.2) ではこの情報をもとにWEB上から情報を勝手に引き出してくる機能も追加される予定。その後、iモードやワイドバンド携帯電話、ゲーム機への展開も考えられており、最終的にはユーザーが機種を選ばずにアクセスし、シーマンを通じてコミュニケーションをとれるようにしたいという。

シーマンのポリゴンはDreamcast版に比べ少ないという シーマンは育つのだがこれまでのゲームのような育成が目的ではない

■ シーマンは恋のキューピッド?

 シーマンのエサはなんと“Eメール”。シーマン for Windowsには簡易メール機能が搭載されており、特定の相手にバイナリ添付のメールを送信。受信側はヘッダに記録されているシーマンのメール情報を解析し、到着を確認し展開する。

 会場で行なわれたデモでは、シーマンが発表会のことに触れ「相手が今日の仕事に満足しているか聞いてきてやろうか?」と聞き「聞いてきて」と答えると相手のパソコンにメールを送信。
 相手のパソコンにはポストペットのように、もう一匹のシーマンが現われ「あいつが今日の仕事に満足しているか聞いて欲しいってよ」と聞いてくる。「満足している」と答えるとさらに「あんた独身?」とか、勝手にスケジュールを読み込み「クリスマスのスケジュール空いてるねぇ。どうだいデートでもしてくれよ」と聞いてくる。断固として断わるとまたメールで返信され「彼女が独身だって知ってた? クリスマスにデートでもって誘ったんだけどダメだって。でも、仕事には満足してるってさ」と報告していた。

 デモでもわかるように、相手の個人情報を勝手に読んでしまうため、情報の漏洩に繋がる可能性があり、この点に関しては「会話の内容をデータベース化し、対人関係をシミュレートしており、情報を漏らしてはいけない相手などの判断を自動で行なうが、詳しくは検討中だ。ただ、“友達リスト”といったチェックボックスで判断することになるのではないか」としている。

 デモは、今回のために用意された特別なものでイメージとしてのものだったが、こういった会話が交わされるという。Dreamcast版では一種のシナリオが存在し、このシナリオが終了すると会話もできなくなりゲームも終了するが、今回のWindows版では成長してもゴールはなく、言葉の組み合わせで会話を構成するため、これまで以上に自然な会話になるという。

 なお、簡単なテキストメールを送信することもでき、この場合はデスクトップ上でダイレクトに文章を打ち込むとシーマンがメッセージを抱え相手に送信。相手のデスクトップに付箋紙のようにペタッと貼り付けていくという。

 ビバリウムの斎藤由多加社長は「これまでWindowsの音声認識ソフトはCD-ROM1枚という巨大なもので、それを使って常駐ソフトを作ることは現実的ではなかった。また、これまではヘッドセットマイクを付けなければならず、“話さなければならない”というユーザー側の意識が必要だった。今回採用されたVia Voice-EasySnapは250KBと容量が少ないだけでなく、特別なマイクを必要としないため、より自然な音声を拾ってくる」と今回の開発について語った。

もう1匹のシーマンはメールを届けに来たシーマン 個人情報の漏洩に関しては議論がされている最中。チェックボックスで情報を流したくない人を設定できるようにする予定

(C)1998,2000 vivarium inc. all rights reserved.

□ビバリウムのホームページ
http://www.vivarium.co.jp/home.html
□日本IBMのホームページ
http://www.ibm.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.jp.ibm.com/NewsDB.nsf/2000/12191

(2000年12月19日)

[Reported by 船津稔]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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