「HP Reverb G2」レビュー

HP Reverb G2

「HP Reverb G2」でVR酔いするか

 以前レポートした「Microsoft Flight Simulator」同様、VR酔いに関して書いておこうと思います。通常の3D酔いも感じない筆者の感覚ですが「HP Reverb G2」は軽く、トラッキングが高速なこともあって頭を動かしてもまったく違和感がありません。今回のゲームでもまったく酔いませんでした。

 特にフライト物は酔うんじゃないかと心配があったのですが全く皆無で、夢中で敵機を追いかけていました。どちらかというとヘッドセットの締め付けによる圧迫や、VRヘッドセット内のレンズ越しの視界ということに気づく場合もあるので、そちらのほうがストレスになるかもしれません。適度な休憩をしながら楽しむ方がよいと思います。

 過去のVR機器を使っていて「やっぱり酔っちゃうんだよね」ということで二の足を踏まれることもあるのではないでしょうか。筆者が「HP Reverb G2」で酔わなかったのは4眼カメラによる高速トラッキングでリアルとバーチャルの乖離が起こりにくいことを筆頭に、90Hzという高速リフレッシュレートで更新される2,160×2,160ピクセルの高解像度LCDがドットの網目を見せることもなく、高輝度で明るい映像をValveとの共同開発のレンズを通してみることで目が疲れにくいこともVR酔い防止に一役買っていると思います。

 VR酔いが発生するのは処理能力が足りないVRヘッドセットでは映像を表示するのがやっとでカクカクだったり、頭を振ると遅れて反応したりあらぬ方向を向いてしまったりして三半規管と脳の処理がメタメタになってしまうところがあったためではないでしょうか。「HP Reverb G2」では前述の通りすべてが段違いの性能を持つことでこの問題を解決してくれています。VRヘッドセットの軽い装着感と密着しないスピーカーで頭部を密閉しないことで疲労感を低減することもVR酔い防止の効果があると感じました。ぜひ、店頭などで試してみていただきたい逸品だと思います。

「HP Reverb G2」を使っていくつかのゲームを遊んでみて

 まず「HP Reverb G2」の感触ですが、映像は前述の通りの高解像度で網目も感じずに文字も敵機もなにもかもがクッキリ表示され、高輝度であるため目に優しいので疲れにくかったのが印象的でした。詳細に見てみると非常に複雑な構造のレンズに見えます。さらに奥の高解像度LCDはゴーグル由来の黒い境界が最初は目につきやすいので少々残念なところはありますが、それこそゲームスタートしてしまえばまったく気にならなくなって一段上のその没入感は素晴らしいの一言です。

 そしてこちらもValveと共同開発されたスピーカーは耳から10㎜ほど離れたところに位置しており、耳に密着させなくても位置合わせすることで良好な音質で直接耳の中に音を届けてくれます。今回試したフライトゲームでの無線の音声もクリアに聞こえてきたので素晴らしい音質だ思いました。密着しないので開放感にもつながり、疲労感を低減させてくれます。この形式であれば外部アンプに音を流してゲームを楽しむこともできるのでいい仕様だと思いました。

 両手用のコントローラーは人間工学を意識させていてい指のある位置にボタンが用意されていて直感的でとても使いやすかったです。形状的にも尖った部分がないのでけがをする心配もありませんでした。今回はメニュー操作でしか使いませんでしたがこちらもセンサーがパワーアップしているとのことでゲームだけではなく医療やデザインといった分野にも十分使えるのではないでしょうか。ただ電池の持ちが今一つな印象でしたので充電式だともっとよかったように思います。

【使ってみてすばらしい感触だった「HP Reverb G2」ハードウェア】
たったこれだけの構成であの没入感が得られることに、いまさらながら未来を感じます

 Windows Mixed Reality対応機器である「HP Reverb G2」ですが、一通り使用した上で感じたのは安定性です。特にSteamVRで使う際の安定性がまだまだ発展途上ではないかというのが第一の印象でした。

 無事に起動してゲーム内のステージなどが始まってしまえばあとは最高なんですが、そこに至るまでの部分、具体的にはSteamVRポータルやゲーム内メニューなどでVRヘッドセットを認識しなくなるなどうまく動作しないこともありました。そういう場合に、困るのは何が問題なのかわかりにくいことです。

 そういう場合は、VRポータルやゲーム自体の再起動、場合によってはPCやVRヘッドセット自体を再起動させることもありました。そんなところで詰まってしまってはVRゲームやるぞ!というテンションが落ちてしまいますよね。今後の技術的な考え方やアップデート等で改善していくものとは思いますが、現時点では少々残念なところでした。もっともっとOSの根幹部分で組み付いてほしい印象です。

【セットアップが簡単だったのに驚き】
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この手軽さは一度味わうと病みつきになります

 もともと筆者はVRに懐疑的で、3画面マルチモニター構成でPCを組んでいるぐらいです。しかし、今回「HP Reverb G2」をテストすることができて、いろいろと不具合もありながらもちょっとVRに惹かれ始めています。めんどくさそうなVRのセットアップも実際にはとても簡単でしたし、この没入感は3画面マルチモニター構成では体験不可能なことだというのがはっきりわかりました。

【VR視点で走るモナコは迫力満点】
VRだからできるガードレールへの幅寄せのコントロールが楽しい

 VRもマルチモニターも一長一短があります。例を挙げればVRは視界のみで現実にあるデバイスが視認して確認することが難しく、ほぼ見えない状態での操作になってしまう点、マルチモニターではトラッキングでオブジェクトの”面”が見れなかったりモニター外への自由な視点移動ができない点、などです。そういうところから現時点ではどちらが最強ということも言えない状態だと感じました。

【敵機を追いかけたくなる衝動】
すぐにまた飛びたくなるVRモードに惹かれる!

 この「HP Reverb G2」は以前のVR機器と比べて画素数も飛躍的に向上してドットが網目のように見えることもなくなりましたし、頭のトラッキング性能も文句なしのレベルに到達しています。一長一短があるならVRと3画面は共生させれば互いを補完しあえるようなレベルに来たぞ!と思わせてくれた今回のレビューでした。