「サムライジャック:時空の戦い」レビュー
サムライジャック:時空の戦い
日本よ、これがサムライだ!!敵の武器を奪い、正義の心と魔力の刀で悪の権化に立ち向かう
- ジャンル:
- アクションRPG
- 発売元:
- DMM GAMES
- 開発元:
- Soleil
- プラットフォーム:
- PS4
- Nintendo Switch
- Windows PC
- 価格:
- 4,980円(税別、PS4/Nintendo Switch版)
- 3,619円(税別、DMM GAME PLAYER版)
- 発売日:
- 2020年1月21日
2021年1月20日 18:00
DMM GAMESは、プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)用アクションRPG「サムライジャック:時空の戦い」(以下、“時空の戦い”)を1月21日に発売する。
「時空の戦い」は2001年から米国の「カートゥーン ネットワーク」で放送され、2002年には日本でも吹替版が放送されたアニメシリーズ「サムライジャック」の新作ゲーム。オリジナルのアニメは、あの「ザ・シンプソンズ」や「カンフー・パンダ」なども受賞した「エミー賞」を獲得しており、米国では絶大な人気を誇るシリーズだ。本作は、そんな「サムライジャック」の知られざる物語を描く完全新作の3DアクションRPGであり、プレーヤーは主人公のジャックとなって、刀や槍、弓といった様々な武器を駆使して、悪の軍団に立ち向かう。
今回は発売前に本作のNintendo Switch版を触る機会が得られたので、アニメのキャラクター・世界観を再現したゲームデザインや、簡単操作で楽しめる爽快かつ骨太なアクションなど、「サムライジャック」らしさが存分に詰まった本作の魅力を語っていきたい。
3DアクションRPGとして蘇る、ジャックと悪の軍団の戦い!
「サムライジャック」は、魔力の刀を携えた正義の侍「ジャック」と悪の権化である悪魔「アク」が、過去と未来を股にかけた戦いを繰り広げる米国の人気アニメシリーズだ。2001年の初放送から長い時を経て、アニメは2017年のシーズン5で完結。だが、日本国内ではシーズン5が未放送のため、物語の完結を日本語で楽しみたいというファンも多いことだろう。そんなファンの期待に応える形で、物語の完結へと連なる新たな物語を描いたのが、本作「サムライジャック:時空の戦い」だ。
本作は、ステージクリア型のアクションゲームとなっており、プレーヤーは主人公のジャックを操りながら、過去や未来の様々な時代・場所で悪の軍団と戦いを繰り広げることになる。ゲームの流れ自体は、3Dフィールド上で出現する敵を倒しつつ、ステージの最後で待ち構えるボスを倒せば次に進めるというシンプルなもの。だが、そこにちょっとした謎解きや探索要素がスパイスとして加わり、さらに原作のアニメ同様に刀だけでなく、槍やハンマーといった様々な武器を操ったり、時には敵から武器を奪い取ったりと、幅広いアクションが楽しめるようになっている。
なお、原作アニメとの関連で言えば、本作はアクとの最終決戦中という正にシーズン5の終盤から物語が始まる。そのさなかに、ジャックは時空の狭間に落とされ、いくつもの時代・場所をさまようことになる、というのが本作の大まかなストーリーだ。そのため、読者の皆さまの中には「話の流れや世界観についていけないのでは?」と心配される方もおられるかもしれない。が、結論から言えば、その心配は無用だ。というのも、筆者も原作アニメは未視聴の状態でプレイしたのだが、物語の大まかな流れが勧善懲悪というシンプルなものであり、道中では味方のサポートを受けつつも基本的にはジャックの一人旅となるため、最後まで話の筋や人物関係に戸惑うことなく、エンディングを迎えることができた。また前述のとおり、アニメのシーズン5自体が日本では未放送のため、古参のアニメファンも新規プレーヤーも、ある意味では同じ目線で本作を純粋なアクションゲームとして楽しめるはずだ。
とはいえ、原作アニメを視聴済みの方に向けたファンサービスを、本作は決して忘れていない。「時空の戦い」では、未来都市や採掘場といった原作でも登場した場所が、そのままステージの舞台となっている。また、ジャックが操る武器についても、魔力の刀である「マジックソード」や己の拳は壊れないが、他の武器は使用すると耐久度が減って壊れる可能性があるなど、原作の設定が徹底的かつ忠実に再現されている。さらに敵味方を問わず、原作のキャラクターが多数登場するのも、ファンの心をくすぐること間違いなしだろう。
敵から武器を奪いつつ、様々な攻撃手段やスキルを駆使した骨太なアクションが秀逸
主人公のジャックは侍ということもあり、基本的には刀や鍛え抜かれた体術(拳)で戦うが、本作ではアニメと同様に多彩な武器をも操ることができる。メイン武器は大きく分けて、刀、ハンマー、槍、棍棒、拳の5種類があり、ダ・サムライのショップで鍛錬・修理したり、スキル習得によって攻撃のコンボルートを増やしたり、攻撃力を上げたりできる。その他にも、サブ武器として弓矢や銃器といった遠距離攻撃用のものが存在し、こちらもショップでの修理やスキル習得による強化が可能だ。また前述のとおり、本作の多くの武器には耐久値が存在するが、壊れる際には強力なスキルの習得に必要なアイテムを獲得できるので、損傷は決してデメリットばかりでもなく、うまくゲームシステムに落とし込まれている。武器は宝箱や道中にいる味方から獲得できるほか、一部はショップでも購入できるので、いろいろ試してお気に入りの武器を見つけ、自分だけのプレイスタイルを確立するのが面白い。
さらに武器といえば、何と言っても敵から奪えるのが本作の大きな特徴だろう。本作では、スキルを習得することで「掴み攻撃」が可能となるが、これは攻撃のバリエーションが増えるだけでなく、拳を装備した状態で武器を持った一部の敵を掴み攻撃で倒すと、その武器を奪えるようになる。奪った武器はその場で装備できるうえに、ショップで売ることもできるので、換金手段としてもどんどん奪うのがお勧めだ。余談だが、この仕様のおかげで筆者はプレイ中ほとんど拳で戦い、敵の銃器を奪っては乱射するという某ランボー的なゲリラ戦法に明け暮れたことを告白したい。侍としては些か邪道な(?)楽しみ方をしてしまったので、みなさんはくれぐれも真似しないように!
本作のスキルは侍らしく、心・技・体の3種類に分かれる。各スキルを入手すると、新たなアクションやコンボを習得したり、攻撃力や防御力を上げたりできるが、中でも特筆すべきは、ガード系のスキルの充実ぶりだろう。それもそのはずで、「時空の戦い」は比較的難度が高め。そのカートゥーン調のキャラクターデザインに反して、かなり骨太な作りとなっている。序盤はノーマルモードでも何とかなるが、敵の攻撃力が高いうえに、攻撃を受けた時の無敵時間が短く追撃を受けやすいので、後半になるほど戦闘がシビアになっていく。さらにボスはもちろんのこと、道中の敵も攻撃をガードしてくるので、攻撃ボタンの連打によるゴリ押しだけでは容易に進めないのだ。
そのため、守る際は各種ガード・回避スキルで敵の攻撃を捌いて反撃に転じつつ、攻める際は遠距離攻撃で敵を仕留めたり、時にはヒット&アウェイに徹したりと、ノーマルモードでも冷静な対処が求められる。特にマシンガンなどで遠距離攻撃を仕掛けてくる敵が多い時は、敵の一斉射撃によって一方的に蹂躙されることも多々あるため、やられる前にやる!くらいの気構えで処理していかないと、世界の平和は守れない。アクションRPGではあるものの、本作にはレベルの概念はないため、プレーヤーの技量に依存する部分が多く、正直こちらが追撃を受けやすい仕様には理不尽さを感じる場面もあった。しかし、考えてみれば武の達人といえども、ジャックはあくまで普通の人間。敵の攻撃一発で吹き飛ぶくらいのほうが、生と死が紙一重の世界に生きる侍らしく、死地に追い込まれてから逆転した時の快感は一種の爽快感を覚えるほどだ。
とはいえ、「アクションはどうも苦手……」という読者もいることだろう。そんな方のために、本作ではイージーモードもしっかり用意されているので、ご安心を。敵をバッサバサと倒せるので、ノーマルモードよりも手軽に爽快感を味わえるはずだ。また、スキルで「奥義」を習得すると奥義ゲージを溜められるようになり、発動中は敵の無敵状態を無視して強力な攻撃を繰り出せるようになるので、アクションが苦手な場合は積極的に活用するとよいだろう。一方で本作にはハードモードや更に上の難易度も存在し、自身の腕前に応じて好みのモードを選べるようになっている。初心者からコアゲーマーまで存分に遊べる、どんなプレーヤーでも楽しめる設計となっているわけだ。
原作のアニメを彷彿とさせる、遊び心が詰まった演出の数々が濃い!
本作の開発陣が徹底的に拘った演出の数々は、アニメを観たことがない方でも楽しめるので、この場を借りて少しご紹介しておきたい。特にイベントシーンは原作の特徴的なカット演出を再現しており、場面によっては戦闘前にコマ割りの演出が入ったり、戦闘後もスローモーションでジャックのドヤ顔がアップで映ったりと、細部に至るまで原作を尊重した作りがなされている。
さらに、体力ゲージの減少に伴ってジャックの服装が破れていき、髷がほどけたロン毛の姿に変化していくなど、戦闘中も演出の凝り方が尋常ではない。というか、こんなダメージ演出、筆者はお色気ゲームくらいでしか見たことないんですけど!?この服装の破れなどはイベントシーンにも反映されるので、瀕死の状態でボス戦に突入すると死線を潜り抜けてきた感が半端なく、否が応でもテンションが高まるのだ。
豊富なやり込み要素も含め、ジャックの活躍はまだまだ続く!
原作の世界観や演出を再現しつつ、アクションRPGとしての手応えも追及した本作は、やり込み要素においても抜かりがない。クリア後に挑める高難度の「ミッション」のほか、ステージに散らばる家紋をすべて破壊すると見られるシークレットエンドなど、本編をクリアしても、ジャックの冒険は終わらないのだ。
最後に、本作の日本語版の発売を記念して、アニメ「サムライジャック」のリマスター版が1月15日の深夜より、カートゥーン ネットワークで絶賛放送中であることも付け加えておきたい。吹替版は当時、主人公のジャックを俳優の宇梶剛士、敵の親玉アクを俳優の菅原文太が務めたことも話題となっていたので、この機に名作を履修するのも一興だろう。ゲームを遊んでから観るもよし、アニメを観てからゲームに勤しむもよし……心の赴くままに、「サムライジャック」の世界を堪能しよう。
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