「HP Reverb G2」レビュー

HP Reverb G2

SteamVRでゲームを試す。モニターでは得られない一段上の没入感に驚く!

 「HP Reverb G2」はゲーム配信プラットホームである「Steam」のVR対応版である「SteamVR」との連携が可能です。「SteamVR」は「Steam」から「Windows Mixed Reality for SteamVR」(連携ツール:無料)と「SteamVR」(ポータルソフトウェア:無料)のダウンロードが必要になります。ダウンロードするだけで特に設定もなく動作させられますのでとても簡単です。

【Steam:SteamVR関連ソフトウェア】
どちらも無料で入手できます

 どちらもインストールできたら「SteamVR」を起動してヘッドセットを装着します。ヘッドセットの後部を上部に跳ね上げ、片手で前部(本体)を目の部分に合わせてから後部をおろすとうまく装着できます。正しくSteamVRが起動できていればゴージャスな室内のような専用のVRポータル画面がVRヘッドセットのゴーグル越しに立ち上がります。部屋内を見回すと所持しているSteamVRに対応しているソフトウェアライブラリが表示されている棚が見えますので、そこから遊びたいソフトウェアを選びます。棚が正面に無い場合は右手に持っているコントローラーのサムスティックで見ている方向を変えることもできます。

【SteamVR:ポータルメニュー】
SteamVRに対応しているゲームが表示されます
【SteamからダイレクトにVRモードへ】
ゲームによってはSteamの画面から直接VRモードで起動できます
【VRヘッドセット:装着方法】
後部を跳ね上げた状態で被り、前方を押さえつつ、後部をおろすという装着方法が一番簡単で確実です。コントローラーがスリープ状態だとVR空間には現れないので、あらかじめ起動しておくと良いでしょう。手に取ったらコントローラー上のWindowsボタンを押して起動させます

 ちょっと残念なのが、「HP Reverb G2」で使われているケーブルです。摩擦係数が高く吸い付く感じの被覆で覆われています。さらに太めでもあるため洋服やイス、キーボードやマウス、乱雑になりがちな他のケーブル類とちょっとしたところで引っかかる印象です。滑らかさより、耐久性とコストを優先した結果でしょうか。HDMIケーブルやUSBケーブルで使われるようなメッシュタイプならスルスルっと引っかかることもないと思われますが開発検討での素材選びの結果でしょうから気になるならうまい具合に逃がしながらプレイしやすい環境を構築する必要があります。

VR対応ゲームにチャレンジ! モニター環境からは得られないその没入感に感動!

 筆者が主にプレイしているのはコクピットに座ってプレイする、レース物やフライト物が多いのですがこういったジャンルはVR機器との親和性が高いジャンルでもあります。今回はレース物を2種、フライト物を2種プレイしてみましたがいずれのゲームもモニターでは得られない没入感が得られて素晴らしい体験となりました。

「Project Wingman」

 まずはフライト物の「Project Wingman」です。2020年12月にSector D2というメーカーからリリースされたこのゲームはプレイステーション2時代の「エースコンバット」を彷彿とさせるフライトアクションゲームとしてじわじわと人気が高まっているゲームです。日本語ローカライズもされてはいますがまだまだ完全ではなく、妙な日本語で表示されますがそれもまた味として楽しんでドッグファイトに夢中になれる良作です。価格も執筆時点で2,570円と、とてもリーズナブルです。

 「Microsoft Flight Simulator」とはベクトルの全く違う戦闘ゲームになっていて、それをVRで楽しめるというだけでもワクワクします。VRであれば視界外の敵機を追いかけながら機体をコントロールするのが可能となり、実際のドッグファイト同様の動きが楽しめるのですが追いかけるのに夢中になっていると山肌や海に墜落することもたくさん……。VRによって自分が戦闘空間に”居る”という実感、さらに周囲は敵だらけだという状況がわかってその没入感に圧倒されます。そして敵機を撃ち落としたときの爽快感がたまらない!

【Project Wingman】
戦闘機パイロットはドッグファイト中は正面を見ていないそうです。このゲームのVRモードではそれを体感できます

【「Project Wingman」VRモード】
敵機の後ろに回り込め!

「Star Wars:スコードロン」

 次は同じフライト物「Star Wars:スコードロン」です。フライト物といってもこちらはあのスターウォーズを題材にしたスペースコンバット物になります。宇宙空間を舞台に敵味方入り乱れての乱戦が映画スターウォーズの戦闘シーンの醍醐味ですが、このゲームはその戦闘シーンに特化した作品になり、VRモードも搭載されていて臨場感たっぷりです。

【Star Wars:スコードロン】
スター・デストロイヤーを撃沈できるか!?フォースと共にあらんことを……

 スペースデブリ(宇宙ゴミ)の間をかいくぐってスター・デストロイヤー攻略戦に出撃します。宇宙空間ですから上下も前後も左右もありません。墜落することはありませんが激突はしてしまいますからここでもVRの力がいかんなく発揮させられます。対象に向かって回り込むにしても向かう方向に何があるのかを確認しながら進める必要があって気が抜けません。敵機も動きが素早く追うのが大変ですが宇宙空間を縦横無尽に駆け巡って撃破した時の感動はとても素晴らしいものでした。

【「Star Wars:スコードロン」VRモード】
宇宙空間で戦艦と戦闘機が乱れ飛ぶ!

「Assetto Corsa」

 それではレース物を見ていきましょう。おなじみ「Assetto Corsa」です。2014年にリリースされ、今となってはだいぶ古いタイトルではありますが、まだまだ第一線で評価され続けているタイトルでご存じの方も多いのではないでしょうか。これまで何度もバージョンアップが続けられVRにももちろん対応しています。筆者が昔からプレイしていたこともあり、今回のレビューの中でもひときわ感動したゲームでもあります。

 VRには対応してはいるもののメニュー操作などいくつか対応しきれていないところもありますが古いタイトルでもありますからそこは目をつぶる(実際にVRヘッドセットを着けたままマウス操作が必要です)として、さっそくレースを走ってみましょう。トヨタ86ワンメイクレースとして鈴鹿サーキットを走ります。VR視点だと周囲を見渡せるところが素晴らしいところですね。

【Assetto Corsa:トヨタ86ワンメイクレース】
周りは同じ86がずらり……負けられない!

 元86乗りだった筆者も納得の車内の様子で、手を伸ばせば届きそうな室内感覚が見事です。そしてレースがスタート!周囲の他車の動きをよく見ながら1コーナーへ進めていきますが、ストレートでもコーナーでも上半身と頭部を動かしながらVRならではの視点でどこか隙間が無いかを探して飛び込んでいくことができます。

【「Assetto Corsa」VRモード トヨタ86ワンメイクレース】
まさに実車と同じ感覚の車内

 そして「Assetto Corsa」からもう1本、かのアイルトン・セナがドライブするマクラーレンMP4/4であのモナコ市街地コースを観光してみましょう。ゲーム中に視点を切り替えてコクピットの左斜め後ろに設定すればクルマの操作はそのままコントローラーで行ないながら視点を違うところに置けます。その視点から右前を見るとセナのヘルメットが見えてちょっとドキドキします。レースじゃないのでゆっくり走りながら好きなところでクルマを停めて周りを見渡すことができるのもVRならではですね。モナコの美しい風景を堪能することができます。

【Assetto Corsa:モナコをセナとドライブ】
セナのドライブするF1マシンに同乗!

【「Assetto Corsa」VRモード モナコ市街地コース】
走ってみると実にとんでもないコースだとわかります

 最期にレース物のもう1本「DiRT Rally 2.0」です。ラリーのコースはとても狭くてVR視点だととても迫力があります。こちらは最近のゲームということもあり、メニュー操作もVR視点で問題なく行なえてとても快適です。メニューは3D空間に浮かんでいますが、ステージが始まったら自動的にVR視点に切り替わります。走り出すと周囲との距離感がリアルでとても怖いです! 今更ですがラリードライバーはこんなところをあんなスピードで走り抜けるんだから凄いものです。

【DiRT Rally 2.0:狭いコースに飛び込め!】
VR視点ではコ・ドライバーの様子を見ることもできます

 無理だと思われるコーナーに対してキッチリ速度を落として低いギアでアクセルを入れてテールスライドさせてクリアしていきますが、モニターでプレイしている時よりとてもやりやすく感じると共にスピード感が違うことに気付きました。VRだとモニター以上に視界が開けているのと周囲のブラー(揺れや流し)効果がなく無理やり作り出した速度効果ではないためゆっくりに見えることがあります。それだけ映像がリアルになったということでもありますね。

【「DiRT Rally 2.0」VRモード】
なるべくコースの先を見てコーナーを駆け抜ける!