「ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル」レビュー
ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル
幻の初代「ストリートファイター」から傑作「ストIII 3rd STRIKE」まで網羅した30年の歴史が詰まった究極のファンアイテム
- ジャンル:
- 格闘
- 発売元:
- カプコン
- 開発元:
- カプコン
- プラットフォーム:
- PS4
- Xbox One
- Nintendo Switch
- Windows PC
- 価格:
- 4,990円(税別、パッケージ版)、4,500円(税別、ダウンロード版)
- 発売日:
- 2018年10月25日
2018年10月24日 12:00
2017年12月に正式発表され、それから10カ月。ついに10月25日にプレイステーション 4/Xbox One/Nintendo Switch/PC用対戦格闘ゲーム「ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル」がリリースされる。
本作は「ストリートファイター」シリーズ30周年を記念して、歴代のシリーズ12作品+海外バージョン12作品を1本に詰め込んでおり、まさにアニバーサリーコレクションの名に相応しいタイトルである。
格ゲーファンの筆者としては、このソフトが発売されるのをどれだけ待ったことか。海外版は国内よりも数カ月早く発売されており、そちらを購入するという考えも一瞬過った――いや、正確にはものすごい悩んだ。でも最終的に買わなかった。理由は「ストリートファイター」シリーズは日本語版と海外版で仕様が異なり、海外版には当然海外版しか入っていないからだ。海外版はキャラ名の違いやゲームバランスに少し違いがあるので、厳密にいえば過去に遊び倒した懐かしのものとは別物である。悩みに悩んだ末、国内版をプレイした時の感動を薄めないために、国内版の発売日を待つことにしたのだ。
今回発売された国内版は、海外仕様のバージョンも12作品に加え、日本語版12タイトルも追加収録した、超豪華版だ。ようやく発売日を迎えることができた。当時プレイしていた過去の思い出を語りながらプレイしていきたいと思う。
全シリーズをプレイ! シリーズの進化の歴史を辿る!
本作に収録されている中で、意外に注目なのが初代「ストリートファイター」だと思っている。「ストリートファイター」シリーズといえば、やはり「ストリートファイターII」(以下ストII)というイメージが強く、初代はプレイしたことがないユーザーも多いのではないだろうか。初代「ストリートファイター」の家庭用は、「ファイティングストリート」とタイトルを変えてPCエンジンCD-ROM2に移植された1度きりなのだ。プレイする機会があまりなかったレアなタイトルである。
筆者も当時親戚の家でPCエンジン版を遊んで以来、数十年ぶりのプレイだが、初代は強烈なインパクトがあるせいか割と鮮明に覚えていたりする。プレーヤーが操作するのはシリーズおなじみのリュウ(隆)のみで、キャラクター選択はできない。対戦時のみ2P側はケン(拳)を使うことになるが、性能差は全くない。
ゲーム開始時に日本かアメリカのどちらのファイターと戦うかを選択できる。どちらの国のファイターとも結局両方戦うことになるので、ここは気分でアメリカを選んだ。最初のアメリカでの対戦相手は、ローリングソバットが得意技のジョー。慣らしの暇すらも与えてくれず、ローリングソバットの応酬で画面端に追い込んできて、そのまま為す術もなく「オーケーベイベー!(ジョーの勝ち台詞)」である。
初代「ストリートファイター」の特徴は、基本的に敵キャラクターの方が性能は圧倒的に上という点だ。パンチやキックの発生速度から威力にいたるまでこちらとは雲泥の差なのである。この能力差を埋めることができるのが必殺技だ。波動拳や昇龍拳、竜巻旋風脚などのお馴染みの技は初代の頃から健在。さらに、威力は「ストII」以降の作品とは比べ物にならない威力を持っており、体力がフルの相手でも必殺技を2~3発当てればKOできる。
それなら余裕じゃないかと思うかもしれないが、未プレイの人は驚くかもしれないが、必殺技がものすごく出しづらいのだ。コマンド自体は従来のものと同じなのだが、入力の仕方が本作独特のもので、「ストII」と同じ感覚で入力してもまず出ない。
必殺技を出す入力のコツは3つある。本作は入力の受付時間が短く、素早いコマンド入力が最重要。そしてコマンド入力の最後のキーは離さず入れっぱなしにすること。最後に、コマンド入力後にボタンを押して技が出るのではなく、押して離した瞬間に技が出るので素早く攻撃ボタンを離す必要がある。この3点を心がければ、結構な確率で技を出すことができる。これを知らずにやっていた幼少の頃は「何で波動拳出ないんだ!?」と激怒していた。
気を取り直してジョーと再戦。距離を保ちつつ波動拳を1発ヒットさせると、体力の1/3がゴッソリと減る。おまけにノックバック効果もあるので、連発すれば相手を寄せつけないで余裕で勝つことができる。技でハメて瞬殺したときはとてもスカッとする。
エンディングまで改めてプレイして、やはり何十年経ってもこのゲームバランスの悪さにはついついツッコんでしまう(笑)。正直ゲームとしては褒められたバランスではないのだが、筆者としてはまた初代に触れられて、幼少に遊んだときの懐かしさを感じられただけで大満足である。本作に初代が収録されたことに感謝したい。
それから初代から登場し、以降のシリーズにも続投で参戦しているキャラクターも数多く存在するので、未プレイのユーザーは現在との違いなども比べて楽しめるのではないだろうか。ここから始まったリュウとサガットの因縁の対決など「ストリートファイター」の原点を味わってもらいたい。
次にプレイしたのは、1991年にアーケードに登場した「ストリートファイターII」。現在の格闘ゲームの基盤を作ったタイトルである。当時小学生だった筆者は、スーパーファミコン版を友達とまるでサルのように繰り返しプレイしていた。裏技コマンドを使わないと同キャラを使うことができなかったので、ガイルの取り合いでよくもめたものだ。
無印の「ストII」は投げの威力がやたら高かったり、攻撃数発でスタンしたりと、現在と比較するとまだ荒削りな部分も多いが、初代と比べると完成度の高さが感じられ、しっかりとした格闘ゲームになっているのだ。まず初めに感動したのが“キャラクター選択の幅がある”ことと“技が出やすい”という2点。両方ともものすごい当たり前な事なのだが、初代をプレイした直後だと大きな進化を感じられる。通常攻撃から必殺技につなぐコンボの概念もここから登場し、対戦をかなり面白くさせた。
サクサクとプレイヤーキャラの8人を倒すと、CPU専用の隠しキャラである四天王が出てくるのだが、こいつらが当時の感覚ではめちゃくちゃ強かった。1人目のバイソンと対決したが、今の腕で戦ってみると大したこともなく波動拳としゃがみ強キックだけで倒すことができた。これは余裕でエンディングを迎えられるだろうとたかをくくっていたら、次の対戦相手のバルログとラスボスのベガに飽きるほど敗北画面を見させられた。結論、四天王は今戦っても手強かった。
ゲームバランスの調整や新キャラクターの追加などバージョンアップを重ねて、完成度の高いゲームに仕上がっていった「ストII」。本作にはその全てのバージョンが収録されており、全部で5タイトルも入っているのだ。
「ストII」の2作目に当たる「ストリートファイターIIダッシュ」では各キャラクターのカラーバリエーションの追加。それに伴い同キャラ対戦も可能になった。そして追加要素の中で1番の目玉は、過去に散々苦しめられた四天王がプレイヤーキャラとして追加されたのだ。あの四天王が自分で使えたらもう敵なしじゃないか! とテンションを上げたのを憶えている。そして、実際に自分で使ってみたら意外と使いにくく、すぐに使用キャラをリュウに戻したのもよく憶えている。
改めてベガを使ってみると、必殺技のサイコクラッシャーが相手にガードされてもゴリゴリと削りダメージを与えることができかなり強い。さらにダブルニープレスにいたっては技を出した後の硬直がほぼないという反則的な性能であった。対戦で使ったら間違いなく嫌われるだろうが、使っていてとても痛快であった。
3作目の「ストリートファイターIIダッシュターボ」では、これまでのもっさりとしたゲームスピードが高速化され、よりスピーディーな戦いが楽しめるようになった。前作までにあったハメ技なども調整され、「ストII」の完成系といっても過言ではないゲームバランスになっている。
続く「スーパーストリートファイターII」は、新たなハードウェアであるCPシステムIIを使っており、前作と比べてグラフィックとサウンドが大幅に進化した。さらに、今ではシリーズお馴染みとなっているキャミィ、ディージェイ、T.ホーク、フェイロンがここから初登場。フェイロンを初めて見たときは、ブルース・リーみたいなやつがいる! とすぐさま飛びついて使った。しかし主力技の烈火拳(ダッシュしながら拳を打ち込む)の見た目が余りにも地味で、やはり使用キャラをリュウに戻した。このバージョンではリュウの新技「ファイヤー波動拳」も追加され、そのカッコ良さにますますリュウ一筋になっていった。
そして「スーパーストリートファイターII X」は格ゲーブーム真っ只中の1994年に登場した。現在でもファンが多い「ストII」の最終進化系であり、筆者も初めてゲームセンターでプレイした「ストII」ということもあってかなり思い入れがある。同じ年にアーケードで稼動した「ヴァンパイア」と並行して遊びまくっていた。この頃は毎年のように新しい「ストII」がリリースされ続けており、これが一生続くんじゃないかとさえ思っていた。しかし本作を最後に、当分「ストII」はリリースされることはなかったのだ。
超必殺技の「スーパーコンボ」や空中コンボがここで初めて実装された。ド派手な演出に一撃必殺級の威力。スーパーコンボの魅力にとりつかれながらプレイしていた。
そして、ある一定の条件を満たすと乱入してくる隠しキャラクター「豪鬼」も本作が初参戦である。その頃はネットも普及していない時代なので、豪鬼の乱入条件は全く分からなかった。出現コマンドを入力することでプレーヤーが使用することもでき、ゲーム台に貼られていた雑誌のコピーで豪鬼の使い方を試すも、出現コマンドの入力がシビアで、よく失敗して茶色のリュウを使わされた。これと同じく同社の格闘ゲーム「X-MEN」にも隠しキャラで豪鬼が登場していて、使おうとトライするも、失敗の末、さほど使いたくもないシルバーサムライで延々プレイしていた苦い思い出も蘇った。
当時は豪鬼は拝むことができない謎に包まれたキャラであった。今回のレビューでも、1度でいいから豪鬼を使おうとトライしてみたが、やはり茶リュウにばかりなる。失敗してはリセットを繰り返し、20回目あたりに差し掛かったときはもう出ないなと思いながら惰性でやっていた。そんなとき、見慣れた茶リュウのイラストが黒塗りのシルエットに変化した。突然のことにビックリし過ぎてスクリーンショットを取り忘れそうになった。
ようやく念願の豪鬼を出現させることができた。基本の技はリュウやケンと同じだが、その全ての性能が上位互換である。攻撃力も高く、竜巻斬空脚で浮かせてからの豪昇龍拳で拾うコンボはお手軽かつ、かなり強力だ。スーパーコンボはないものの使っていてかなりの強キャラであった。まさか20数年越しに「スーパーストリートファイターII X」の豪鬼を使える日が来ようとは思ってもみなかった。次の日もう1度、豪鬼を使って遊ぼうとしたが、その後何度やっても茶リュウを拝むばかりで終わった。
「スーパーストリートファイターIIX」で「ストII」シリーズは一旦終わり、翌年には新シリーズの「ストリートファイターZERO」がリリースされた。最初に発表を見たときは、全く新しい「ストリートファイター」に衝撃を覚えた。グラフィックは美麗なアニメ調に進化。時系列は「ストII」の前ということもあって、リュウやケンの姿が若々しい。そして1番驚いたのが「ファイナルファイト」からガイとソドムが参戦していることだ。作品の枠を越えた競演に胸が熱くなったのを憶えている。
今までのように明確なボスキャラが存在せず、自分が使用しているキャラクターのライバルが最後の対戦相手になるのは斬新だった。リュウならサガット、ケンならリュウなど、最後の相手が全キャラ共通ではないのも、最後に誰が待っているのかというワクワク感があった。
そして「ストゼロ」といえば、この作品から登場したダンの存在を語らずにはいられない。本作の隠しキャラの一人なのだが完全にネタ要員で、最弱の格闘家という設定のキャラクター。ピンク色の胴着を身にまとうダンの流派は“サイキョー流”といういかにもなもので、技などの性能はリュウやケンの下位互換である。主力技となる(?)我道拳は、手から少しポッと気弾がでるだけですぐに消えてしまう。全く飛距離のない波動拳といった技で、とにかく性能が低いが、そのあたりもダンの面白さである。
ダンが持つ唯一の能力といえば、挑発が使い放題という点だ。普通のキャラは挑発は1ラウンドに1回しかできないのだが、ビッグマウスのダンは無制限に挑発を連発することができる。続編の「ストリートファイターZERO2」では開発の悪ふざけも爆発し、立ち挑発やしゃがみ挑発、さらにジャンプ挑発など無駄にバリエーションが増え、さらには“挑発伝説”なるスーパーコンボまで登場した。スーパーコンボゲージを必要とする技だがもちろん特に効果などはなく、挑発を連続で見せつける……ただそれだけの技だ。挑発伝説の最後の決めポーズ“余裕ッス”を見る前に大概途中で殴られて止められてしまうのが悲しい。使っていてもめちゃくちゃ弱いのだが、なぜか使ってしまう謎の魅力があり、大好きなキャラクターだ。
当時、ダンと同じぐらい目が離せなかったのはナッシュというキャラクターだ。ナッシュはガイルの親友で、「ストII」ではナッシュの仇を討つためにガイルは、ベガの組織「シャドルー」と戦っていたのだ。
初めから結末が分かっていた分、どういった最後を迎えてしまうのか……そこが「ストリートファイターZERO」シリーズで毎回注目していたポイントなのだ。
「ストリートファイターZERO」、「ストリートファイターZERO2」のエンディングでは流れは違えど凄惨な死を遂げてしまうナッシュ。「ストリートファイターZERO3」ではどんな形で命を落としてしまうのか――そんなこと考えながらエンディングに突入。そこで起こったのは、まさかのナッシュの逆襲。戦闘機に乗ってシャドルーの基地を爆撃で破壊。脱出したベガを機関銃で蜂の巣にして止めを刺す。歴史を捻じ曲げる唐突なハッピーエンドに笑ったものだ。
ゲーム性はもちろんのこと、ストーリー性も「ストII」の頃よりも格段に進化しており、物語の部分でもガッツリのめり込んだシリーズである。
「スーパーストリートファイターII X」から3年。待望のナンバリング作品、「ストリートファイターIII」(以下ストIII)が満を持して登場した。最新のハードウェアであるCPシステムIIIを使っており、かつてないほど滑らかなアニメーションが特徴的だった。ちなみに、CPシステムIIIで開発されたタイトルは「ウォーザード」と「ジョジョの奇妙な冒険」、そして「ストIII」のみである。「ストIII」は3つのバージョンがリリースされた。最終作であり、最も整ったゲームバランスの3作目はPS2やPS3などで発売され、触れる機会は多いと思うのだが、1作目と2作目はドリームキャストのみでしか移植がされていないため、今では結構レアな作品なのだ。
「ストIII」では、新主人公アレックスを筆頭にキャラクターの総入れ替えが行なわれ、リュウとケンなどの一部を除き、全て新キャラクターに一新された。主人公が変わっただけでも驚きだったのだが、その新主人公のアレックスがゴリゴリの重量キャラなのだ。主人公といえば飛び道具、そして対空必殺技を兼ね備えるという常識を覆し、アレックスはレスリングを主体としたファイティングスタイルで、チョップやパワーボムなどを駆使して戦う。「ストII」でいうなればザンギエフのポジションである。主人公キャラを好む傾向の筆者だが、アレックスはどうにも合わず、引き続きリュウを使って遊んでいた。
「ストIII」では超必殺技を、スーパーコンボからスーパーアーツへと名前を変え、3種類の中から1つを選択して使うことができる。スーパーアーツの違いだけで戦い方がガラリと変わるのも面白い。実用性としてはお馴染みの真空波動拳が鉄板なのだが、見た目のカッコ良さから真・昇龍拳をよく使っていた。
久しぶりにプレイして最初に感じたのはその映像力の高さ。“当時のゲームとしては”ではなく、今見ても全く見劣りのしないグラフィックスだ。ドットによる背景の描き込みなど、まさに職人技と言えるクオリティだ。
そして「ストIII」を象徴するシステム――それは「ブロッキング」システムだ。相手の攻撃にタイミングを合わせて方向キーを前(下段攻撃の場合は下)に入れると攻撃を完全にブロックし、どんな強力な技でもダメージを0にすることができる。ブロッキング後はガードと違って硬直もないので、そのまま相手の攻撃に割り込んで攻め込むことができるのだ。ブロッキングは強力なシステムなのだが、タイミングがかなりシビアで、失敗すると攻撃が直撃してしまうので、相当な自信がないと積極的に狙うのは難しい。斬新かつ、かなり尖ったシステムで対戦を盛り上げるのは確かなのだが、これによりブロッキングができる人とできない人とでは、実力に雲泥の差が生まれてしまった。結果として賛否両論分かれるシステムとなった。
1作目と3作目のラスボス・ギルもかなりの存在感があった。紀元前から世界を操ってきた秘密結社の総統で、自らを神と称している謎に包まれた男だ。赤と青の左右非対称な肌の色が特徴的で、炎と氷の力を操る。
筆者的に、歴代のシリーズで最も強いボスなのではないかと思っているギル。リーチが長く基本攻撃力が高いので、通常攻撃だけでも圧倒されてしまう。そしてこいつの凶悪なのは、スーパーアーツゲージがMAXのときに倒すと「リザレクション」が発動し、体力最大で復活するのだ。初めてこれを見たときは余りにもありえない事が起き過ぎて唖然とした。やっとのこと倒して、勝利の余韻に浸っているところにフル回復……まさに戦意喪失級の絶望感だ。
ギルの攻略法は、とにかくゲージが溜まる前に1ラウンドを取り、2ラウンド目は負けるのを覚悟し、復活をさせてゲージを使わせることだけを目的に戦う。そして3ラウンド目はまたゲージが溜まる前に倒すというのが筆者の攻略パターンだ。腕自慢なら復活後にまたもう1回倒せるのだろうが、そんな芸当は自分には無理なのでこの戦法が1番現実味がある。
この他にも、ギルの体力をギリギリまで減らして、スーパーアーツを使わせてから倒すというやり方もある。これも有効な手段なのだが、泳がせている際にスーパーアーツを直撃してしまうと1発で体力を7割も持っていかれてしまうので危険も伴う。
今回もエンディングを見るまで何度コンティニューをさせられた事か。何年経ってもやはりギルは強かった。「ストIII」を未プレイの人は是非遊んでもらい、こいつの憎さを共感してもらいたい。
シリーズを遊びつくし! かつて実現できなかった隠しボスの全攻略を目指す!!
今回「スーパーストリートファイターII X」で初めて豪鬼を使うことができたが、まだ対決することは叶っていない。そこで、この機会に最強の隠しボスである豪鬼と戦って撃破したいと思う。
少年時代に出現方法が分からず戦うことができなかった隠しボスも、本作のミュージアムモードから条件が確認することができるのだ。親切過ぎる設計に感激してしまった。
さっそく挑戦したのは「スーパーストリートファイターII X」だ。豪鬼乱入の条件は「ノーコンティニューで、経過時間が1,500秒以下で11人のファイターを倒すこと」。すると12人目のベガの代わりにラスボスが豪鬼に変化するのだ。
条件は分かったが、この条件をクリアするのはかなり難しい。1度でも負けたら即終了で最初からやり直し。途方も無い時間が掛かってしまい、とてもじゃないが現実的じゃなさ過ぎる。当時、豪鬼と戦ってた人はこんなに厳しい条件をクリアしていたのか……。
普通にプレイしてたら豪鬼を見られるのはいつになるかわからない。しかし、本作はそんな人のために用意された(と思う)どこでもセーブができる機能があるのだ。ファイターを1人倒すたびにセーブしていき、負けたらロードを繰り返せば、実質コンティニューし放題。これなら確実に豪鬼まで到達できるという訳だ。
ゲームを進めていくと多少想像はしていたが見事にバルログで足止めを食らい、8回目のリトライでようやく倒せて先に進めた。正攻法でやっていたら7回も頭からやり直していることになる。想像しただけで途方も無い作業だ。
バルログの後のサガット戦は特につまづきもせず、ついにノーコンティニューの条件をクリアしてベガのもとまでたどり着くことができた。制限時間は間に合っているのか? という不安要素はあったが、ベガとの戦いが始まるとどこからともなく豪鬼が現れ、ベガに瞬獄殺を決める。
乱入と同時にベガを一瞬で葬り去る豪鬼。まさにこの場面は昔ゲーム雑誌で見たシーンそのもの。少しズルはしたが、このシーンを自分の手で直に見ることができて感動した。
ゴールのような感動を味わったがここからがスタートだ。初めての豪鬼戦だが、一言でいえば反則級の強さであった。ジャンプをすれば豪昇龍拳で落としてくるのはもちろんのこと、こちらの通常攻撃にすらも超反応で昇龍を重ねてヒットさせてくる程だ。技の性能や威力も自分で使った豪鬼とは全く違い、完全にボス仕様のものになっていた。しゃがみ中Kからの灼熱波動拳だけで体力を5割奪われたときは唖然とした。
とにかく何十回と敗北を重ねながら、何とか突破口が見えないかと対戦し続けた。流れが良い試合だと稀に1ラウンドを取ることができるが、何度戦っても対策らしい対策は見えてこなかった。
大きなダメージを与えられるスーパーコンボが鍵になるので、安全な距離を取って弱昇龍拳や空中竜巻旋風脚を空撃ちしてゲージをどんどん稼いでいく。ガードを固めて、豪鬼の攻撃後に発生する僅かな硬直を狙って的確に真空波動拳を決めていく。この戦法でひたすらリトライを重ねた。
少なくとも30回以上はコンティニューしたであろうとき、ようやくチャンスが到来。良い流れでこちらが1ラウンドを先取。続く2ラウンド目もかなりの体力を握ったまま豪鬼を追い詰め、ゲージが溜まったところで真空波動拳を叩き込み撃破することができた。2時間以上掛け、終わりの見えなかった戦いにようやく決着がついた。撃破後のエンディングは通常のものと変わらなかったが大きな達成感を味わうことができた。
かなりの連戦で、豪鬼はもうお腹いっぱいではあったのだが、「ストリートファイターZERO2」と「ストリートファイターIII 2ndインパクト」にも隠しボスの真・豪鬼が存在している。これを残して終わるのも消化不良なので、やり残しなく全部攻略だ。
「ストリートファイターZERO2」での真・豪鬼の出現条件は「ラスボスに到着するまで1ラウンドも落とさず、3回以上パーフェクトを取る」といったもの。「スーパーストリートファイターII X」のときよりも条件が厳しくなっており、長期戦を覚悟した。
先に進めば進むほど敵は強くなっていくので、最初の2人で3回のパーフェクトを狙う。2人目までにパーフェクトを3回取れなかったらリセットし、これは想像よりも苦戦せず数回で達成することができた。後はセーブ&ロードを駆使して真・豪鬼までたどり着いた。
大体想像はしていたが、やはり真・豪鬼もゲームバランス崩壊レベルの強さだった。先ほどの豪鬼同様の超反応と高火力で初戦は文字通り瞬殺された。コンティニューして驚いたのが、再戦すると対戦相手が通常の豪鬼に戻っていたのだ。真・豪鬼に挑めるのは何と1回きり。まさかのワンチャンスで倒さなければいけないのだ。こんな鬼畜の仕様で過去に一体どれだけの人が倒すことができたのだろうか……。
絶望的な条件だが、ロード機能のおかげで何度でも再戦できる。10数回リトライを重ねるが1ラウンドすらも取れる気配がなく、全く手応えを感じなかった。普通に戦っても全体勝てないなと悟り、色々な戦い方を試してみた。すると、しゃがみ強Kの足払いでダウンを取り、起き上がりにまたしゃがみ強Kを重ねると立て続けに直撃する。運の要素もあるのだが、結構な確率でこのパターンにハマってくれる。
ハメパターンから抜けられてしまうと一瞬で返り討ちに合ってしまうが、辛抱強くこの戦法で戦い、何とか勝利することができた。少し汚い手だが勝ちには変わりないので良しとする。真・豪鬼撃破後は、何事も無かったかのようにラスボスの通常豪鬼との対戦に突入した。
最後に残るのは「ストリートファイターIII 2ndインパクト」の真・豪鬼だ。出現条件は2段階あり、初めに「1ラウンドも落とさずに3回以上パーフェクトを取り、ガードされての削り勝ちを3回未満に抑える」。次に「最後に登場する豪鬼との対戦で時間切れを1度もせず、いずれかのラウンドをスーパーアーツで決めるかパーフェクトを取る」という、シリーズを重ねるごとにどんどん条件が多くなっている。
後半に登場する憎きギルに何回もリトライさせられるものの、なんとか最初の条件は達成できた。残すは豪鬼戦での条件のみ。通常の豪鬼も隠しキャラなので結構強かったりする。パーフェクト勝利はまず無理なのでスーパーアーツフィニッシュを狙って豪鬼を倒す。すると、倒れた豪鬼が立ち上がり、真・豪鬼へと覚醒した。
「ストリートファイターIII」の真・豪鬼も攻撃力の高さは相変わらずだが、こちらの行動と同時に反応するといった理不尽な感じはさほどせず、前2作よりも戦いやすかった。
強いことには変わりないのだが、反則じみた行動を取ってこないだけで倒せるビジョンは見えた。10回程の再戦で真・豪鬼を倒すことができた。真・豪鬼を倒すと通常のエンディングではなく、特別仕様のスタッフロールが流れた。
数十年越しに、まさかこんなに豪鬼を倒すとは思ってもみなかったが、過去に実現できなかったことが今回全て達成できて感無量である。一気に20年分の豪鬼を堪能できるのは本作ならではだ。
ゲーム内容も充実しているが、ミュージアムモードで見られる開発段階の極秘資料やアートワークなどのファン向けコンテンツも膨大。ファンにはたまらない幻の設定や、ツッコミどころ満載の企画書など見どころが山ほどある。紹介してしまうと楽しみを奪ってしまうので、自分の目で確認してもらいたい。
今回プレイした「ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション インターナショナル」。格闘ゲームの古典といっても過言ではないタイトルなのだが、何十年経っても色褪せない面白さを改めて感じた。90年代の格ゲーブームを起こしたのもうなずける熱さがあった。
本作は、30年というシリーズの歴史が詰め込められた最高の1本。その一言に尽きる。過去にプレイしていたユーザーはもちろん、「ストリートファイター」シリーズに触れたことのないユーザーにもプレイしてもらいたいソフトである。今回のレビューでCPU戦はかなりやり込んだので、発売後はオンライン対戦をじっくりプレイする予定だ。
最後に、ミュージアムモードでは見られないシリーズの進化の歴史、ケンのエンディングに登場するケンの妻、イライザの変化をぜひ見てもらいたい!