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激闘に次ぐ激闘! 「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」決勝大会レポート

世界各国の最強プロゲーマーたちによる王者決定戦! その頂を手にしたのは……!?

【CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア】

9月22日、23日開催

会場:幕張メッセ

 9月22日と23日の2日間、「ストリートファイターⅤ アーケードエディション」の世界大会である「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」が幕張メッセで開催された。22日の予選大会の様子は先日より掲載しているが、今回は予選大会を勝ち抜いた8名の選手がぶつかり合う、23日の決勝大会のレポートをお届けしたいと思う。

 この大会ではダブルエリネーション形式を採用しており、2ライフ制のトーナメントとなっている。試合に負けてライフを1失うと「Winner's side」から「Loser's side」に移り、さらにもう1度試合に負けてライフが0になってしまうと敗退となる。決勝に残った8名は、このたった2つのライフを守りながら723名の猛者を相手に勝ち抜いてきた最強プレーヤー達なのだ。

 ダブルエリネーションルールの過酷さは、予選で失ったライフは決勝でもそのまま継続されるところだ。予選で1度負けている選手は残りライフが1なので、決勝大会で1度でも負けたらその場で終了となってしまう。予選でライフを落としていると、決勝大会で大きく響いてくるのだ。

 今回決勝に進んだ選手を紹介していこう。予選大会で無敗の「Winner's side」からは「ネモ」、「NuckleDu」、「ふ~ど」、「Oil King」の4名。そして「Loser's side」からは「ときど」、「trashbox」、「NL」、「ZJZ」の4名。両サイドの計8名が頂点を目指し、しのぎを削っていく。予選大会では2セット先取制であったが、決勝大会では3セット先取制となっている。会場を震撼とさせた、ベストバウトの様子を解説していきたいと思う。

【スクリーンショット】
最強の座に着いた者だけがその手にできる優勝盾

予想のはるか上をいく、世界トップレベルの戦いが開幕!

 最初の1試合目は「Winner's side」から、ネモ選手(ユリアン)対NuckleDu選手(ガイル)の戦い。ネモ選手は昨年のTGS 2017で開催された大会「昇龍拳トーナメント」の優勝者でもあり、優勝最有力候補の選手だ。対するアメリカのプレーヤーNuckleDu選手も、さまざまな大会で優勝経験がある実力者である。

【スクリーンショット】
ユリアン使いのネモ選手
ガイル、レインボー・ミカ、キャミィなど様々なキャラを使いこなすNuckleDu選手

 試合は一進一退の攻防で、どちらも引けを取らない試合展開。しかし、ユリアンのVトリガー「エイジスリフレクター」を巧みに使うネモ選手。バリアの壁で飛び道具を返されたり、コンボに持っていかれたりと苦戦を強いられるNuckleDu選手。結果は1セットを奪うことも叶わず、ネモ選手のストレート勝利となった。

【スクリーンショット】
相手のダウンに重ねてエイジスリフレクター置く。起き上がりと同時にガードを固めざるをえない状況に運び、そこに投げを決める。この状況はNuckleDu選手にとっては相当キツいところ

 第2試合はふ~ど選手(レインボー・ミカ)対Oil King選手(ラシード)の対決。

【スクリーンショット】
レインボー・ミカ使いのふ~ど選手
プレーヤーネームそのままに、ラシードを使うOil King選手

 豪快な攻めに定評のあるOil King選手。素早い動きでまとわりつき、一方的に自分のターンを握り続ける怒涛の攻め込みで、あっという間にスタン状態に持っていかれるふ~ど選手。Oil King選手が速攻で1セットを先取した。2セット目も、先ほどとまるで同じような光景。ガンガン攻めるラシードの前になす術なく1ラウンドを奪われる。

 2ラウンド目も一方的な展開が続き、ラシードの残り体力は8割。そしてレインボー・ミカは残り3割という崖っぷちの状態。しかし、そんな窮地で底力を見せるふ~ど選手。ラシードの飛び道具に合わせてクリティカルアーツを見事に決め、1ラウンドを奪う。そこからは流れがガラリと変わり、2セット、3セットと立て続けに勝利を収めた。

【スクリーンショット】
ラシードの怒涛の攻め込みに手が出せず、苦戦を強いられる
ラシードの飛び道具をよく見ていた! 竜巻をすり抜けてクリティカルアーツ

 3試合目は「Loser's side」の戦いに移り、ときど選手(豪鬼)対trashbox選手(バーディ)。trashbox選手はなんとこの日にプロになったばかりの新人プロゲーマー。しかし、「ストリートファイターⅤ アーケードエディション」のオンライン対戦でのLP(勝利すると得られるポイント)が世界ランキング1位という実績を持っている。

【スクリーンショット】
豪鬼使いのときど選手
バーディを使うtrashbox選手

 オンラインでは世界でトップということもあり、新人とは思えない実力のtrashbox選手。だが、相手はときど選手。ときど選手は1セットを取られるも、安定の立ち回りで大ベテランの実力を見せつけた。

【スクリーンショット】
ときど選手と互角に渡り合うtrashbox選手。これからの成長が楽しみな選手である

 第4試合は海外プレーヤー同士の対決。NL選手(キャミィ)対ZJZ選手(メナト)。

【スクリーンショット】
韓国最強のリュウ使いの呼び声も高かったNL選手。シーズン2からは持ちキャラをキャミィに変えた
多彩なキャラクターを使いこなす台湾プレーヤー、ZJZ選手

 近距離が強いキャミィは、とにかくメナトに詰め寄り、近距離戦で勝ち目のないメナトは牽制で水晶を投げながら、どうにか得意な中距離の間合いを維持しようとする。この戦いは分かりやすく、どちらがいかに自分のホームに引き込むかの戦いであった。スパイラルアローで距離を詰め、自分のターン握ったキャミィが3セットを先取した。

【スクリーンショット】
互いの強味を押し付ける戦い。制したのはNL選手

 ここで全選手の試合が1巡し、「Loser's side」で敗れたtrashbox選手とZJZ選手が敗退となった。

戦いはいよいよ後半戦! 誰が浮上し、誰が沈むか……。

 第5試合は「Winner's side」から落ちたOil King選手と、「Loser's side」で勝ち進むときど選手の対決。ラシード使いのトッププレーヤーのガチくん選手と手合わせすることも多く、ラシードにはまず負けることはありえないと強気なときど選手。ふ~ど選手に破れて後がなくなったOil King選手。どちらも負けられない試合である。

 開幕から流れを掴んでいるときど選手。まさに有言実行といったところで、危なげなくOil King選手から1セットを先取した。しかし、その勢いは続かず、2セット目では互角の戦い。互いにあと1撃といった場面で、瞬獄殺を狙うときど選手。しかしジャンプでかわされ、そのまま手痛いコンボをもらいOil King選手が勝ち星を上げる。その後、一進一退の攻防が続き、互いに2セットを先取。最終戦にまで食い込んだ。

 最終戦で先に1ラウンドを取ったのはOil King選手。リーチが掛かった状態のラシードにガンガン攻められ、体力残り僅かの状態で画面端まで追い込まれる豪鬼。すかさず勝ちにいくOil King選手はガードをされても削り倒せるクリティカルアーツを繰り出す。

 会場からは「あーーっ!」と落胆の声。そこにいる全員が勝負あったと確信した。Oil King選手も技の演出中にヘッドホンを外して片付けに掛かろうとしていた。しかしその瞬間、巨大な竜巻から豪鬼が阿修羅閃空で抜け出てきたのだ。そこからコンボを叩き込み驚きの逆転劇を見せる。会場は割れんばかりの歓声に包まれた。

 そのまま流れに乗って、勝負を制したのはときど選手。

【スクリーンショット】
一瞬の判断でこの回避法を思いつくのはまさに神業。Oil King選手もこれには驚きを露にしていた

 第6試合はNuckleDu選手対NL選手の対決。

 NL選手のキャミィがNuckleDu選手のガイルに速攻をかけようとするも、ソニックブームで牽制。そして飛びには対空のサマーソルトキックでうまく落としていく。危なげなくキャミィを追い込み、Vトリガーでソニックブームを連発し畳み掛ける。ガードを固めているところを回り込み、ソニックブームと挟み撃ちにする形でガードを崩して勝利した場面では大きな歓声が上がった。

【スクリーンショット】
キャミィの動きを封じるような、的確な立ち回りで勝ち星を上げるNuckleDu選手

 「Winner's side」で決勝進出をかけた第7試合。ネモ選手VSふ~ど選手。これまで無敗で進んできた両選手。勝てば決勝戦、負ければ「Loser's side」に落ちてしまう重要な1戦だ。

 1ラウンド目は接戦の両者。ふ~ど選手のレインボー・ミカがユリアンの上を飛び込み、それを見て対空技を繰り出すも、タイミングをミスってハズしてしまうネモ選手。飛び攻撃を許してしまい、そこからクリティカルアーツを絡めたコンボでフィニッシュ。

 そこからはレインボー・ミカの猛攻に、ネモ選手のユリアンは防戦一方。実況でも言われていたのだが、ネモ選手がミスをしている場面がある訳ではないのだが、ふ~ど選手がうま過ぎて何も手出しができないのだ。結果、1ラウンドも取られることなく、ふ~ど選手の勝利。決勝進出が決定した。

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反応が早過ぎるがゆえ、対空技のタイミングをミスしてしまうのは痛かった

 「Loser's side」の戦いも大詰めの第8試合。ときど選手対NuckleDu選手。豪鬼を相手にガイルでは不利だと悟ったか、NuckleDu選手はレインボー・ミカを選択した。

 レインボー・ミカでも豪鬼相手は厳しかったか。波動で牽制されながら、飛びはきっちりと豪昇龍で落とすときど選手。触れることすらままならない圧倒的な試合展開でまずはときど選手が1セット先取。

 メインの持ちキャラのガイルに戻して再戦。レインボー・ミカよりは善戦するものの、圧倒的な強さの前にはなす術なく敗れるNuckleDu選手。ときど選手の勝利。

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強豪選手を相手でも、実力の差を見せつけるときど選手

 第9試合はネモ選手VSときど選手の対決。この組み合わせは去年の昇龍拳トーナメントの決勝戦のカードでもある因縁の対決。互いに負けられない1戦である。

 調子付いているときど選手を何度も止めてきたというネモ選手。開幕の流れを掴むのはネモ選手。画面端でエイジスリフレクターを使い、ときど選手に圧をかける。投げられるのを警戒し過ぎたか、エイジスリフレクターに触れてしまうと、そのままクリティカルアーツを絡めたコンボをもらって勝利をモノにするネモ選手。

 1セットを取られて、ときどが選手も黙っていなかった。豪鬼の持つ高い火力を活かしてガンガン攻めていき圧倒。空から奇襲するユリアンのEXバイオレンニードロップにも超反応の豪昇龍拳で切り返して完封。勢いに乗って3セットを奪い、ときど選手が決勝に進出する。

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最初は優勢だったネモ選手だが、段々と押されてしまい、ふ~ど選手へのリベンジ戦は実現しなかった

 そして最後の決勝戦。「Loser's side」で勝ち上ってきたときど選手と、ここまで1度の負けも許さなかったふ~ど選手の対決。ときど選手は、この戦いを楽しみに待っていたかのように笑みを見せている。

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対戦前にめずらしい笑顔を見せるときど選手

 開幕はふ~ど選手が優勢。無敗の風格を見せつけ、コンボやコマンド投げで畳み掛けるレインボー・ミカ。激しい攻撃を前にみるみる体力を奪われる豪鬼。残り体力は1割といったところ。これは巻き返しは難しいと思えたが、Vトリガーを発動して技の威力をアップさせる。これが起点となって流れが変わったか、強力なコンボを連続でヒット。最後にはクリティカルアーツも織り交ぜて、ほぼフルパワーだった状態から一気にラウンドを取るときど選手。

 逆転勝利で勢い付いたか、ときど選手の攻めの勢いが明らかに増している。ラウンドを重ねれば重ねるほど圧倒的な試合展開となり、1セットも取られず3:0のストレートで勝利するどきど選手。

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追い風が吹き、もはや敵無しのときど豪鬼

 ふ~ど選手はここまで無敗だったので、もう1度チャンスがある。インターバルを挟んで、本当の最終戦。ふ~ど選手はキャラクターはレインボー・ミカで変更はなく、コスチュームとVトリガー2に変えて再戦。

 開幕から豪鬼の激しい攻めに手が出せないレインボー・ミカ。試合開始からわずか18秒でスタン状態にまで持ち込まれ、あえなくKO。新しいVトリガー2を使うもさほど大きな効果は得られず、そのままときど選手がふ~ど選手から6セット連続で勝利し、優勝を手にした。

 「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」の優勝に輝いたのは、ときど選手。会場からは割れんばかりの大歓声が上がった。

 優勝盾を授与され、ときど選手は「こんな大観衆の中、自分でも納得のいくプレイができました。とても良い大会で(力を)出し切ることができました。ありがとうございました。」と優勝コメントを残した。

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 大会終了後、会場では「ストリートファイターⅤ」のプロデューサー小野義徳氏から重大な発表が行なわれた。

 1つはeスポーツの新たなイベント「STREET FIGHTER LEAGUE」を2019年の春から実施すると発表。詳しい内容は不明だが、3on3の団体戦になるとのことだ。

 そして、待望の「ストリートファイターⅤ」のアーケード稼動が決定。「ストリートファイターⅤ アーケードエディション」をベースに、シーズン1から3までの追加キャラクターも全て使用可能とのこと。筐体にはUSB端子も付いており、自分の使い慣れたアーケードスティックやパッドを持ち込んで使用することも可能。10月5日からロケテストも実施されるので、気になる人は是非チェックしていただきたい。

 これからもまだまだ広がりを見せる「ストリートファイターⅤ」。eスポーツとともにこれからもさらに盛り上がっていくことをイチ格闘ゲームファンとして願っている。

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