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「LINE NFT」4月13日よりサービス開始。サービスの説明やトークセッションを行なう発表会を実施

【LINE NFT】

4月13日 サービス開始予定

 3月23日、LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVCは、「『LINE NFT』 戦略発表会」を開催。NFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」を4月13日より開始すると発表した。

 「LINE NFT」では、ローンチラインナップとして吉本興業などの計17コンテンツと連携し、7ジャンル100種類以上のNFTを販売。今後、ソフトバンクやZホールディングスなどのグループ企業との協業を通じて、様々なNFT体験を提供するとのことだ。

 発表会にはLVC 代表取締役社長CEOの林仁奎氏と、LVC ブロックチェーン事業部事業部長の上遠野大輔氏がそれぞれ登壇し、「LINE NFT」の発表と、サービスの説明等を行なった。また、発表会の後半には、ローンチラインナップからスクウェア・エニックスとジェイアール東日本企画からそれぞれの担当者が登壇し、トークセッションを実施。NFT事業の今後の展開や、「LINE NFT」導入の理由等を語った。

登壇したLVC 代表取締役社長CEOの林仁奎氏(左)とLVC ブロックチェーン事業部事業部長の上遠野大輔氏(右)

 「LINE NFT」が扱う「NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)」とは、替えが効かない唯一無二のデジタルコンテンツのことを指す。暗号資産に使われているブロックチェーンの技術が用いられており、そのデジタルコンテンツが、世界で1つしか存在しないものであると証明することができ、どれが本物なのかが簡単にわかる。そのため、デジタルコンテンツの複製ができなくなり、デジタル上で唯一無二のものを所有することが可能となる。

【【LINE NFT】好きがもっと見つかる、ひろがる。】

「LINE NFT」を発表。LINEは「Web3.0」に挑戦

 林氏は、まずメディア向けにNFTについて説明を行ない、NFTがグローバル市場において爆発的成長をしていることを踏まえ、「日本での新しい市場が広がることを期待している」と語った。また、LINEが2018年より行なっているブロックチェーンの研究・開発に関する取り組みについても紹介。NFT体験に必要なパーツを国内外で開発、提供し、揃えてきたとした上で、「LINE NFT」の開始を発表した。

 林氏によると、「LINE NFT」では、どこにもなかった、様々なコンテンツや新しい体験がユーザーを待っている、コンテンツホルダーやクリエイター、ユーザーが中心となる世界に、誰もが簡単に参加することができるようになるとのこと。また、「LINE NFT」を第一歩として、一方向からの発信だった「Web1.0」を踏まえて、インタラクティブな「Web2.0」で誕生した「LINE」は、次のステージであり、「個人によるデータ所有が可能なインターネット」である「Web3.0」に挑戦すると語った。

2018年に「LINE Blockchain Lab」を設立。開発者が簡単に「LINE Blockchain」上でNFT等のトークンを発行しサービスを構築できる環境や、ユーザーがLINEアカウント1つで手軽にNFTなどのデジタルアセットを管理できるウォレット「LINE BITMAX Wallet」などを提供してきた。また、2021年6月には、LINE Blockchain基盤のNFTが取引できる「NFTマーケットβ」の提供を開始し、NFT体験に必要なパーツを揃えてきた
本サービスはLINEにとって「Web3.0」への挑戦の第一歩となるとのことだ

「LINE NFT」サービス説明

 続いて、上遠野大輔氏が登壇し、「LINE NFT」のサービス概要と、ローンチラインナップの説明を行なった。

 上遠野氏は、国内のNFTの現状について「昨年盛り上がりを見せたが、まだ一部のユーザーに偏ったもの」と語り、多くのユーザーに届けるための課題として、手数料といった体験への複雑な経路と、NFTを保有する価値や意味に対する無理解が存在するとした。そのうえで、こうした課題を解決するサービスを提供していくとし、その一歩目が「LINE NFT」になるとのことだ。

 「LINE NFT」では、全てのNFT体験をLINEで提供、簡単な操作で購入・取引が可能な他、NFTを所有することで得られる楽しさを提供するとのこと。昨年から運営していた「NFTマーケットβ」と異なり、LINE Payを使用した日本円決済に対応し、一次販売サービスも追加される。これにより、NFTの発行から一次販売、二次流通までをワンストップで提供できる。

 購入したNFTはLINEのアカウントで登録ができるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」で保管が可能。ユーザーは手軽に自分のNFTを、LINEの友だちと交換したり、送りあったりすることができるとのことだ。

β版から日本円決済や、一次販売サービス機能が追加され、NFTの発行から一次販売、二次流通までをワンストップで提供可能となった
本サービスでは簡単なステップでNFTを購入できるとのこと
ブロックチェーンから、ウォレット、決済まで、NFTに係る全てのパーツをLINEで用意し、9000万人のユーザーがいる「LINE」から始められることが本サービスの強みとなる

 本サービスではNFTの楽しみ方も提案していくとのこと。まず、LINEが運営するキャンペーンプラットフォーム「LINEで応募」などとの連携を進め、購入特典やキャンペーン景品などとしてNFTを付与する機会を増やし、ユーザーにとって気軽なNFT体験を提供する。

 また、NFTを所有するだけでなく、それを自慢したり、自分のコミュニティで見せることで会話が広がっていったりといった「日常のすぐそばにあるNFT」を目指し、「LINE」の機能にもNFTを導入する。LINEのプロフィールへのNFT設定や、LINEスタンプにおいて、NFTを活用する予定とのことだ。

 上遠野氏はさらに、「永続的に権利元に収益が還元される仕組みがNFTの魅力の1つ」とし、幅広いジャンルのコンテンツをパートナー企業と用意し、ユーザーに応援してもらえるようなラインナップを目指すとのことだ。

「LINE」の機能にもNFTを導入する
ソフトバンクや、Zホールディングスなど、グループ企業と連携をし、様々なNFT体験を提供する予定

 「LINE NFT」では、4月13日のサービス開始以降、計17コンテンツと連携し、エンターテインメントやスポーツ、ゲーム、アーティスト、アニメ、キャラクター、イベントの7ジャンルで100種類以上のNFTを順次販売していく。

 代表的なラインナップとして、吉本興業ホールディングスによる人気芸人の渾身のネタをNFT用として完全撮りおろした限定NFT動画「よしもとNFT劇場」や、歌手や俳優としても活躍するNissy(西島隆弘)さんの今後の活動と関連したNFT、LINEスタンプとして人気を誇る「ヨッシースタンプ」のNFTが販売される予定。ゲームジャンルでは、昨年「NFTマーケットβ」でも絶大な人気を博したスクエアエニックスの「資産性ミリオンアーサー」が展開されるとのことだ。

ローンチラインナップとして吉本芸人渾身のネタなどが提供される。ゲームでは「資産性ミリオンアーサー」が展開

トークセッション。各企業が「NFT」への期待を語る

 発表会後半に実施されたトークセッションでは、ローンチタイトルからスクウェア・エニックスブロックチェーンエンタテイメント事業部、事業部長の畑圭輔氏と、ジェイアール東日本企画メディアマーケティングセンターセンター長の直井伸司氏が登壇。上遠野氏も交えてNFT事業の今後の展開や、「LINE NFT」導入の理由等を語った。

登壇したスクウェア・エニックスブロックチェーンエンタテイメント事業部事業部長の畑圭輔氏
ジェイアール東日本企画メディアマーケティングセンターセンター長の直井伸司氏

 まず、「LINE NFT」で販売するコンテンツについて、スクウェア・エニックスの畑氏は、昨年の10月から提供している「資産性ミリオンアーサー」のセカンドシーズンの制作が決定したと発表。セカンドシーズンでは、デジタルシールの愛着を増す機能や要素をふんだんに盛り込んだゲームコンテンツを、サービスの中に統合する試みを検討しているとのことだ。

 一方、ジェイアール東日本企画の直井氏は、3月25日にオープンするバーチャル空間「Virtual AKIBA World」の無料プロモーションに「LINE NFT」を活用。「記念入場券 NFT」の配布を行なう。

 両者が提供するサービスについて上遠野氏は、「『資産性ミリオンアーサー』は『NFTマーケットβ』の時代からローンチ頂いていて、新しいものが販売されると数分で完売してしまう人気のサービス。ただ売るだけでなく、ユーザーの皆様に楽しんでいただける要素を盛り込んでいて、参考になる」、また「『Virtual AKIBA World』は全く新しい取り組みで、鉄道ファンのみならず、色んな方にNFTを楽しんでいただけるのではないかと思う」と語った。

「資産性ミリオンアーサー」2ndシーズンの制作が決定
「Virtual AKIBA World」は3月25日にオープン予定

 続くNFT所有の魅力は何かという質問に対しては、畑氏は「サービス設計をするうえで、デジタルデータがブロックチェーンを用いて紐づき、記録されることが魅力的」としつつ、「ゲームメーカーとして、『ブロックチェーン』という用語を使用せず、サービス設計をすることを心がけ、ユーザーに自然にNFTコンテンツを楽しんで頂けるようになったと思っている」と話した。

 直井氏は「今まで資産価値がないんじゃないかと思われていたもの、捨て置かれたり、古臭くなってしまったものも、様々な視点をつけることによって、新しい価値を見出せるのではないかということが気付きとしてあった。今後色々な展開を考えていきたいと思っている」と語った。

 「LINE NFT」の導入理由を尋ねられると、畑氏はゲームにおいて、ブロックチェーンを利用すればユーザー側でデジタルアイテムの長期保有が可能となることから注目し、ユーザー数の多い「LINE」を用いれば取引の際に必要となる本人確認やウォレットの発行といったハードルを下げられると述べた。購入ハードルを下げられる点が「LINE NFT」の魅力だったようだ。また、直井氏も同様に、「LINE」のユーザー数や、ユーザーの幅広さ、コミュニケーションツールとしてのインフラ的側面に注目したと語った。

 最後に、NFTマーケットへの期待を両氏は語り、畑氏は「コミュニティの場としてNFTマーケットを活用したい。UI/UXの観点から、検索機能、見つけやすさなどを強化してほしい」と語った。

 直井氏は「幅広いユーザーと、色んなコミュニケーションをとっていきたい。その新たな手段としてNFTを使いながら、新たな資産価値を発掘できたらと思う。また新しい発見がありしだい、皆様に情報を発信できたらいいと思います」と語った。

 上遠野氏は、「力強いパートナーシップが組めている」とし、「『LINE NFT』の発表以降、様々な問い合わせがきており、今後多様なジャンルでNFTの企画が進んでいくので、皆さまご期待下さい」と述べた。

 多くの人にとって、まだ未知の存在であるNFTは、ゲーム業界でも度々話題になっている。多くのユーザーが存在するLINEがNFTサービスを開始することで、市場や業界がどう動くのか、今後、ますます目が離せなくなりそうだ。