【特別企画】

14年待った甲斐があった!「新すばらしきこのせかい」メディアプレビュー

“新”にして“真”。冒頭プレイで随所に見えた「すばせか」感

【新すばらしきこのせかい】

7月27日 発売予定(PS4/Nintendo Switch)

2021年夏 発売予定(Epic Games Store)

価格: 7,480円(税込)

 実に14年振りのシリーズ最新作となるアクションRPG「新すばらしきこのせかい」。ファン待望の新作はプレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(Epic Games Store)向けタイトルとして開発され、いよいよ7月27日(Epic Games Store版は2021年夏発売予定)に発売日を迎える。今回、本作のメディアプレビューが開催され、ゲーム冒頭部分を実際にプレイすることができたので、その気になるプレイフィールをお伝えしていきたい。

 「新すばらしきこのせかい」は、2007年7月27日に発売されたニンテンドーDS用アクションRPG「すばらしきこのせかい」の続編にしてシリーズ最新作。7日間に渡って繰り広げられる不条理なゲームから生き残るべく、謎の存在「死神」より日々課せられるミッションのクリアを目指していく。今作では3Dで表現された東京・渋谷を舞台に、新たな主人公「リンドウ」が自身の生死をかけた「死神のゲーム」に挑む。

 今回の試遊ではPS4版が披露された。これまでオリジナルのニンテンドーDS版、リマスターのAndroid/iOS版やSwitch版と、主にタッチ&フリック操作でプレイするスタイルの印象が強かった「すばらしきこのせかい」。新作ではボタン操作がメインとなるPS4でも登場するということで、今までの「すばせか」らしい独特の操作感はどのように表現されるのか、気になっている方も多いことだろう。

 また、携帯機から据え置き機へ、ニンテンドーDSよりPS4・Switchへと、およそ2世代分のハード性能の向上に伴い、前作に見られたコミックのような平面的な表現も、まるでアニメのような3Dの立体的な表現に進化。“2”ではなく“新”と称するのも納得の劇的な変化ながら、ひとたびプレイすればすぐにわかる、目新しくもあり、懐かしくもある、随所に散りばめられた「すばせか」感を味わうことができた。

 なお、試遊内容としては、ゲーム内冒頭・オープニングより2日目までの、約1時間半ほどの内容。今回のレポートでは、進化を遂げたマップやバトルといったゲームシステムを中心に紹介していく。やはりファンとしてはストーリーも気になるとは思うが、冒頭にしてトンデモナイことが起こってます!とだけ記しておくに留める。ぜひ心待ちにしていただきたい。

本作の主人公「リンドウ」。黒いマスクがトレードマークの男子高校生。スマホで様々な情報を見るのが好き
リンドウと同級生で友達の「フレット」(画面右側)。会話好きのお調子者で、本名は意外にも渋い名前
本作のキャラクターデザインは前作に引き続き野村哲也氏と小林元氏に加え、新たに山下美樹氏が参加。リンドウは野村氏が、フレットは小林氏が、ナギは山下氏が、というように3名による分業制でデザインを担当し、全体を野村氏が監修しているとのこと

 ちなみに、14年前に発売されたソフトの続編ということで、そもそも前作「すばらしきこのせかい」をご存じでない方にどんな作品かを説明すると、一言でいうならば“かなり尖った作品”だ。

 ニンテンドーDSの2画面を同時に操作する斬新なプレイスタイル、ほぼ忠実にかつ独特のグラフィティ調で再現された渋谷の街並み、魅力的なキャラクターと起伏に富んだストーリー、石元丈晴氏が手掛ける歌詞入りの楽曲など、作品の評価ポイントは枚挙にいとまがないほど。その強烈なまでの“個性”が国内外を問わず多くのファンを獲得。シリーズ化・ナンバリング化を経ずにたった1つの作品が愛され続け、今年14年の時を経てアニメ化、そして最新作が発表されるということからも「すばせか」人気のすごさを伺い知ることができる。

画像はSwitch版「すばらしきこのせかい -Final Remix-」のもの

テンポの良さは健在! フルボイスも堪能できるイベントシーン

 イベントシーンはコミック調の表現が採用されており、軽快なテンポでストーリーが進んでいく。1つ1つのセリフは短め、吹き出しの出方など前作にもあった演出はそのままに、今作ではフルボイスで展開されるイベントシーンと、ボタンを押して読み進めていくイベントシーンの2種類が用意されている。

 各イベントシーンの模様は以下の映像にて確認できる。なお、こちらはゲーム序盤のストーリーについて若干のネタバレを含んでいる。

【「新すばらしきこのせかい」イベントシーン - GAME Watch】

 前作では、石元丈晴氏が手掛けた歌詞入り楽曲を全て収録させることを優先したとのことで、当時のスクウェア・エニックス作品としては珍しく作中のプリレンダムービーは少なめであった。今作では通常のイベントシーンに加え、序盤にしてまるでアニメそのものだと感じさせる、かなり長めのムービーも用意されていた。

 そのほか、イベントシーンとしてだけでなく、渋谷の街を歩いているだけでも、画面上部に会話シーンが挿入されることがある。感覚としては「ファイナルファンタジーXIII」のような、会話している人に近づくとその会話が聞こえてくるという感じ。登場キャラクターたちのコミカルなやり取りや渋谷の雑踏など、移動中でも退屈させない工夫が施されている。時には、何気ない会話の中に次のミッション攻略へのヒントが隠されているということも。

3Dで生まれ変わる渋谷!「新すばせか」では本当に渋谷を“探索”できる

 本作において一目でわかる大きな進化として、3Dで表現された渋谷の街並みがある。例えば、忠犬ハチ公像前のエリアが「スクランブル交差点」として1つのマップに統合されるなど、1つ1つのエリアはより広く、密度の高いのものに仕上げられている。マルシ―でお馴染みの「104ビル」では階段を昇ったり、入口付近に近づくとカメラワークが変わるなど、前作での平面的な移動から、本当に渋谷を“探索できる”ようになっている。

 渋谷の街並みが平面から立体へ変化した一方で、「すばせか」ならではの“歪み”や“誇張”はそのままアーティスティックに表現されている。現在の姿にアップデートされた実在するランドマークと行き交う多くの人々、各ロケーションの“らしさ”が強調された独特のアートによって生み出される渋谷の街並みは、まさに「すばせか」のシブヤであり、実際の渋谷を訪れた人ならマップを見なくても移動できるほど、リアルで生きた街として再現されている。

【「新すばらしきこのせかい」渋谷の街並み - GAME Watch】

 さらに、画面左下にはミニマップが、またエリア間を移動する際には全体マップが表示されるようになった。前作では渋谷で迷子になってしまったプレーヤーも多かったと思われるが、こうした配慮はうれしいところ。「渋谷ヒカリエ」など前作では描かれてこなかった渋谷駅より東側のエリアも新たに登場し、再開発が進み日々変化する渋谷のロケーションを巡る旅行気分も味わえる。