【特別企画】

ゲームの境界を越えろ! TVアニメ「すばらしきこのせかい The Animation」ワールドプレミアレポート

原作の登場より14年の時を経て「すばせか」が再び動き出す!

【すばらしきこのせかい The Animation -UG SHIBUYA FES-】

3月14日より開催

【すばらしきこのせかい The Animation】

4月9日より放送開始

 “あの「すばせか」が遂にアニメ化決定!”原作の登場より早14年、その発表を待ちに待った方も多かったことだろう。いよいよ4月9日より、TVアニメ「すばらしきこのせかい The Animation」が、MBS/TBS系全国28局ネット「スーパーアニメイズム」枠にて放送開始となる。

 3月14日、TVアニメの放送開始に先駆けて、オンラインイベント「すばらしきこのせかい The Animation -UG SHIBUYA FES-」が開催された。本イベントは「ワールドプレミア」及びデジタル展覧会「UG SHIBUYAミュージアム」の2つを軸としたイベントで、とりわけ「ワールドプレミア」では初回放送予定のアニメ第1話「死神ゲーム」の世界同時最速上映が行なわれた。

 本稿では、その「ワールドプレミア」にて披露されたアニメ第1話の内容を紹介するとともに、同イベントにて実施された舞台挨拶・キャストトークの模様もお伝えしていく。大迫力の「ノイズ」とのバトルシーンやアニメ版オリジナルの要素など、懐かしさと新しさを兼ね備えるアニメーション作品として甦る「すばせか」の世界。全世界が注目するアニメ版の完成度のほか、14年前のゲームをアニメ化する監督やキャストの本作への意気込みにも迫っていく。

そもそも「すばせか」とは? ゲームからアニメへ、その魅力をおさらい!

 本アニメの原作は、2007年7月にスクウェア・エニックスよりニンテンドーDS用向け発売されたアクションRPG「すばらしきこのせかい It's a Wonderful World」。当時の東京・渋谷がほぼ忠実に再現されたマップ、上下の画面で別々のバトルを同時にプレイするゲームシステム、プレーヤーの予想を遥かに上回るシナリオ展開等とにかく評価の高いタイトルで、日本国内では“すばせか”の愛称で親しまれ、発売より14年が経過した現在においてもいまだ多くの根強いファンを持つ。

 原作の制作は同社の「キングダム ハーツ」シリーズのスタッフが担当し、クリエイティブプロデューサー&キャラクターデザイナーは野村哲也氏が務めた。その後は2012年にAndroid/iOS版「-Solo Remix-」、2018年にはNintendo Switch版「-Final Remix-」と移植版も発売。そして来たる2021年夏には最新作「新すばらしきこのせかい」のリリースが控えている。また海外向けにも「The World Ends with You」のタイトルで発売され、日本国内に留まらずアメリカやヨーロッパを中心に海外でも高い人気を誇る作品となっている。

右の画像は左手の十字ボタンで上画面のキャラクターを、右手のタッチペンで下画面のキャラクターを同時に操作する「ストライドクロスバトル」のもの。ニンテンドーDSの2画面が最大限に活用され、慣れれば快感となる新感覚のバトルが楽しめた。(画像はニンテンドーDS「すばらしきこのせかい It's a Wonderful World」より)

 物語の舞台は東京・渋谷。現実の渋谷と重なりあう“UG(アンダーグラウンド)”のシブヤで繰り広げられる「死神のゲーム」に挑む、主人公の少年・ネクこと「桜庭音操」を中心に物語は展開。“7日間以内にミッションをクリアしなければ自分の存在が消滅する”という不条理なゲームへの参加を強要された少年少女たちは自らの存在を賭け、シブヤを駆け巡り現実の境界を越えていく。

 本作の斬新な点は、コンポーザー・石元丈晴氏による洗練された「音楽」にある。作中にも「ノイズ」といった音楽に纏わる単語が重要なキーワードとして多数登場すると共に、バトルやストーリーを盛り上げる代表曲「Calling」や「Twister」、「サムデイ」など収録楽曲のほとんどが歌入りの楽曲となっており、Switch版「-Final Remix-」においては新曲、アレンジ曲、オリジナル曲を含め、1作品中に全92曲もの楽曲が実装されている。

 その音楽への徹底ぶりは、ニンテンドーDSにて石元氏が手掛けた歌入り曲を全て流すために「予定していたムービーを入れるのをすっぽりやめ、その分を全て音楽にまわすことで」実現させたと、ディレクターを務めた神藤辰也氏が「すばらしきこのせかい オリジナル・サウンドトラック」のライナーノーツにて語るほどのもの。バトルごと、シチュエーションごとにランダムで曲が切り替わり、様々なタイプの曲が物語を補完していく石元氏の「音楽」という要素こそ、本作の最大の魅力といっても過言ではないだろう。

 今回のTVアニメ化にあたってはキャラクターデザインを野村哲也氏と小林元氏が、音楽を石元丈晴氏が担当するなど原作の制作陣の全面協力のもと、監督・市川量也氏がアニメならではの「すばらしきこのせかい」の物語を描くという。声の出演も原作でネク役を演じた内山昂輝さんをはじめとするメインキャストが続投するほか、ライム役は2012年に発売されたニンテンドー3DS用RPG「キングダム ハーツ 3D[ドリーム ドロップ ディスタンス]」にゲスト出演した際に同役を担当した竹達彩奈さんが引き続き演じる。TVアニメ版では舞台となるシブヤの再現度やキャラクターの動きはもちろんのこと、石元氏が手掛ける音楽がどのような形で物語を彩るか、その演出に大いに注目される。

主人公・ネクは常にヘッドフォンを身につけ、他人との関わりを嫌うグラフィティ好きな少年。「死神のゲーム」への参加を通じて他人の思考が見えるようになるネク。誰かと分かり合うことに意味はあるのか、そのテーマが物語の根幹となる
参加者に襲い掛かってくるバケモノ“ノイズ”はパートナーと契約することで初めて倒すことができる。ネクはシキたちとパートナーとなり不条理なゲームに挑む
ゲームでは「サイキックスキャニング」という能力が使用できる。周囲にいる人々の思考の断片を読み取ることでミッションクリアのためのヒントが手に入る
名称こそ異なるものはあるが「スクランブル交差点」や「忠犬ハチ公像」、ファンにはお馴染みの通称“マルシ―”こと「104」のビルなど、作中では現実の渋谷に存在する多くのランドマークが再現されている。(画像はNintendo Switch「すばらしきこのせかい -Final Remix-」より)