インタビュー

「ファイナルファンタジーXVI」吉田直樹氏、髙井浩氏、鈴木良太氏インタビュー

バトル構築で意識した“技術介入性”とは。誰でも楽しめるが奥深い「FFXVI」のアクション

【ファイナルファンタジーXVI】

6月22日 発売予定

価格:9,900円~

 6月22日発売予定のプレイステーション 5用アクションRPG「ファイナルファンタジーXVI」(以下、「FFXVI」)について、「FFXVI」のプロデューサー吉田直樹氏、ディレクター髙井浩氏、バトルディレクター鈴木良太氏へのインタビューをお送りする。

 GAME Watchでは「FFXVI」についてはすでに2回のインタビューを実施しているが、今回は初めて本作に触れた上で話を聞くことができた。特に体験会のテーマとなっていたバトルアクションについて多く聞いている。

 なお奥深いやり込み要素のあるバトルと、誰でも簡単に遊べるストーリーフォーカスモードを見事に両立させたアクションゲームとしての体験は、別稿のファーストインプレッションを参照してほしい。

※このバージョンはメディア体験用の特別版であり、リリース時のものとは異なる場合があります。

左から吉田直樹氏、髙井浩氏、鈴木良太氏

バトルの遷移はもちろんのこと、音楽も素晴らしい

――まずはひと通り、非常に楽しく遊ばせていただきました。先ほど吉田さんもプレゼンで仰っていましたけれども、ノーロードで進むイベントとバトルとの遷移が本当に素晴らしかったです。

髙井氏:遷移という部分は最初から気にしていまして、特にバトル中に暗転が挟まって次のフェーズに行く、みたいな流れではプレーヤーの皆さんも興覚めするだろうと思いました。最初からそこはシームレス……遷移が途切れないように、ということを意識して開発を始めたので、本当にバトル中、途切れることはありません。

 技術的にはもちろん、PS5のメモリーがこれだけあればこれだけのことができるだろう、SSDもこれだけ早ければ、というところは当然あるのですが、基本的には途切れることなく、プレーヤーが興覚めする瞬間がないものを作る、という大前提があったのが今回のバトルですね。

――イベントなのかなと思って一瞬気を抜くと、QTE(クイックタイムイベント)で攻撃入力のタイミングがあったり、回避入力のタイミングがあったりもして、とにかく最後まで気を抜けなかったですね。

髙井氏:ずっとカットシーン的なものが長々続いてしまうと、それはそれで見ているだけになってしまうので、ある程度プレーヤーが介入できる要素と緊張感を持ってプレイをしていただきたいなということで、入れています。

 とは言っても、本当に気を緩めて物語を見ている時にいきなり入力を求められても、それはそれで困りますよね。なので、大きな戦闘が始まって、最終的にはリザルト画面でバトルが終わっていたと思うんですけれど、実はあの間しか介入要素はありません。


バトル中、イベントシーンでの介入要素。ボタン入力をすることでシーンが続いていく

――なるほど! シーンとシーンの合間があまりに流れるようだったので、そこは気が付かなかったです。

髙井氏:物語を見ている時に不意にプレーヤー介入が行われる要素が入ることはなく、物語をちゃんと熱心に見てほしい場面では、見ることに集中してもらえるような割り振りになっています。

 今回の体験版はバトルの部分にフォーカスして切り取った部分なので、これがずっと続くのかなと思われちゃうかもしれないですけど、そういう風な振り分けにはなってはいません。

――ちなみにオートドッジ(回避)のアクセサリをつけていても、イベント中の回避などが発生するところは入力しないとダメなんですよね?

髙井氏:そこはオートにはならないので、入力してください(笑)。

――はい(笑)。遷移といえば、音楽の遷移も素晴らしかったですね。切れ目がわからないというか、流れるように音楽が変わっていくと言いましょうか……。

髙井氏:そこはサウンドディレクターの祖堅(祖堅正慶氏)以下、サウンド班がかなり細かくやってくれているところなんですが、ひとつのバトルシーンでもかなり細かく曲を分けていて、実はものすごく多くの曲数で割り振って、ひとつの曲にしているんです。

 シチュエーションと曲の遷移は、よくよくしっかり聞いていれば全くわからないわけではないのですけれど、上手くこのタイミングでこの曲に切り替えるというのは、ほぼ気にならないレベルの形になっていると思います。サウンドがようやく乗った時には、僕も「おお……!」と感動しました。

――楽曲の発注で気を付けられた部分とかはあるんですか?

髙井氏:僕のほうからは特にはなかったですね。バトル音楽だけ、あまりしんみりしないようにというのは言いましたけれど。僕が激しめの曲のほうが好きなので(笑)。

吉田氏:今回サウンド周りは、僕も結構絡んでいます。祖堅には「FFXIV」のサウンドディレクターもやってもらっていますが、「XIV」は音のデパートなんです。ボサノヴァがかかるところもあればロックがかかるところもあって、ある意味で何をやってもいい、みたいな。

――「天晴大鯰音頭」みたいな曲もありますしね(笑)。

吉田氏:そうそう(笑)。一方で、今回の「FFXVI」に関しては、ストーリーデザイン、絵作り、全てがひとつの物語に特化したゲームデザインなので、「この曲調だって決めたら、それで全編押し切ってくれ」とは言いました。ただ祖堅は「これはこれで勇気がいるなあ」というのはずっと言っていましたね。そこは本人としても怖かったところなのかな、と思います。

――祖堅さんでもそんな風に迷われるんですか……。

吉田氏:とにかく「全部フルオケ、真っ直ぐ」とそればっかりでしたからね。僕らから「参考に」と提示する曲も、世界中のクラシックの名曲ばかり。イメージが全部同じ系統、本格クラシックをド直球、みたいな曲だらけで、祖堅が不安がっているのを、僕は「大丈夫だから」となだめていました。あ、でも一か所抑えきれなくなったらしく、「やりやがったな!」みたいなところはあります。お楽しみに(笑)。

髙井氏:そんな中でも祖堅は各キャラクターのテーマみたいなものを決めて起こしてくれて、そのアレンジが随所に流れるという形でオリジナリティを出してくれたので、聞いていただくお客様からは「全部単調だな」と思われてしまうような感じにはならなかったと思っています。

――各キャラクターのテーマとは、各ドミナントのテーマですか?

髙井氏:そうですね。ドミナントと召喚獣になった時の曲は、ベースのメロディは一緒なんですが、実はアレンジが違ったりという形になっています。

――祖堅さん、そういう曲お上手ですものね。今回はベネディクタ周りの曲が聞けて素晴らしかったので、他のドミナントのテーマ曲やアレンジ曲も楽しみにしています。

ベネディクタ