インタビュー

「FFXIV」、いよいよ始まる「新たなる冒険」。絶竜詩戦争からハウジングまでパッチ6.1の見どころを吉Pに聞く

久しぶりのオリジナルレイド「ミソロジー・オブ・エオルゼア」は直球ファンタジー

――「ミソロジー・オブ・エオルゼア」について、エオルゼア十二神の秘密が明かされるということで、だいたい24人レイドはわちゃわちゃと面白い内容になってると思うんですけど、今回はどういったところが見どころになるのでしょうか?

吉田氏:あまり回りくどくなく、ストレートなストーリーに仕上げていきます。お話し的には、大きな謎に踏み込みますが、構造としては単純明快にしたいと思っています。それほどひねった話にはしていませんので、真っすぐお楽しみください。

 バトルに関しても、ボスに関しても真っ向勝負タイプになっており、それぞれのボスの特徴を生かしたギミックになっています。その上で、新しいチャレンジもしていますし、いつも通り、大人数でワイワイ楽しんでいただけると思います。

【ミソロジー・オブ・エオルゼア】
新アライアンスレイドではエオルゼア十二神の秘密が明らかになる

――ここ2回のアライアンスレイドシリーズでは、ゲスト開発者が参加されていましたが、今回はどなたも参加されていないんでしょうか?

吉田氏:はい、今回はどなたも参加されていません。「シャドウ・オブ・マハ」以来、久しぶりに部内だけでの開発です。

――クリスタルタワーのように、将来的にメインストーリーに組み込まれていくような内容になる可能性はありますか?

吉田氏:いいえ、ありません。どちらかというとクリスタルタワーが特殊なのです。グ・ラハとアモンを使う以上、もう外せないというのが理由だったので……。

――難易度的にはどうなんでしょうか。今回は第1弾だからそれほど難しくはないんでしょうか。

吉田氏:そうですね、極端に難しくなるような調整はしていませんが、僕が8割くらい組みあがった状態でプレイした際は、「あら、結構難しいね」という印象でした。僕からのフィードバックが反映された内容で、初見24人の開発運営チームのチェックは、このインタビュー時点ではまだなんですが、程よく着地させるつもりです。でも最近は、初週はわちゃわちゃと3ワイプくらいするほうが楽しい、というお声も多いので、あまり簡単にしすぎないよう、程よく手ごたえがある、という調整をしていきます。

――「影の国ダン・スカー」の最初のボスでは、所見の時ほとんど全員落ちちゃったりしましたね。

吉田氏:うー、あそこまではしたくない、と思いつつ、新ギミックがなぁ……(笑)。

「外伝」が取れるのはヒルディが愛されている証拠

――ヒルディ・ブランドシリーズについて、前回のPLLでも少しお話されていましたが、今回ヒルディが復活、しかも外伝ではなく新シリーズということですが。

吉田氏:「2.X」シリーズのヒルディブランドは、尋常じゃないカットシーンコストをかけているんです。信じられないぐらい、盛りに盛って作ったのです(苦笑)。それが「蒼天のイシュガルド」でヒルディを作ろうとした時に我に返った。「ちょっと待てよ、こんなペースで作り続けられない」って(笑)。下手したらメインストーリーよりコストかかってるシーンがある……みたいな感じです。そんな「2.0」シリーズのヒルディと、「3.0」からの我々が正気を取り戻した後のヒルディでは、ちょっと比較されるのが辛いだろう、と。

【ヒルディ・ブランド新シリーズ】
ヒルディが刺さっているのは第一世界だろうか?

――だからヒルディ・ブランド外伝 蒼天編」とついているんですか?

吉田氏:そうです(苦笑)。外伝なのでコストのかかり具合はまあまあです、という……。でも意外なことに、規模やコスト面のフィードバックはあまりなく、だとすると、皆さんの意識としても、あくまで「事件屋ヒルディブランドシリーズ」としてみてくださっていそうだと思ったのです。

 だとすると、この「蒼天」や「紅蓮」にくっついている“外伝”という言葉の役割は終わっていて、そうなのであれば、もう外してしまおうと考えたのです。実際のところ、内容は外伝もなにもないですしね。ですので、今回からは改めてヒルディブランドの物語を描いていくのなら、事件屋らしく、しっかりタイトルを付けてあげよう、と考えました。シャーロック・ホームズシリーズであったように、「ヒルディの冒険」「ヒルディ、最後の挨拶」とか……。

――ヒルディの顔芸は、「FFXIV」の楽しみの1つではありますよね。

吉田氏:幸か不幸か、ヒルディブランドのおかげで、開発チーム内のフェイシャルアニメーションテクニックが上がったりもしていますね(笑)。

――先日のPLLでもおっしゃっていましたが、報酬も何もないのに人気があるのは、やはりそれだけ力が入っていて、そこでしか楽しめないストーリーがあるからですね。

吉田氏:ヒルディ本人は事件を解決しようといつも本気なのですが、視聴者としては、肩の力を抜いて見ることができるコメディ。貰える報酬ではなく、そこに価値を見出してもらっている、というのは今の時代なかなかないのかなと思います。可処分時間が少ないという状況の中で、やはり2時間ぐらいはプレイ時間がかかるものなので。

 でもそれに対して復活を望む声とか、再登場、再活躍を望む声が大きいというのは、キャラクターとして、我々が思っている以上に受け入れていただけているのだと感じました。「漆黒編」をやらず充電させていただきましたので、きっと大暴れしてくれると思います。

焦らず3カ月くらいの期間でクリアを考えて

――絶竜詩戦争についてお伺いします。先日のPLLでお話されていた内容から、ひょっとすると今までで一番難しいのかなと思えたんですが、今回の難易度についてはどうなんでしょうか。

吉田氏:正直なところ、絶同士の難易度を比べるのはもう難しいと思うのです。その理由は幾つかあって、例えば実装時期から少しとは言えアイテムレベルが上がっていること。更に言えば、拡張パッケージを挟むことで、ジョブアクションが大きく変わっていることなどです。

 実装当時は軽減を持っているジョブと持っていないジョブがあったり、ジョブ自体の使いこなしが難しかったりしました。しかし今ではバリアーヒーラーとピュアヒーラーが明確化され、それぞれヒール特徴が大きく出ていたり、ジョブ自体の使いやすさも向上しています。もちろん、皆さんが常にレイドコンテンツなどに挑戦し、そもそもプレイヤースキルが向上している、というのも大きな要因です。

 当時、軽減も含めてまだまだジョブの使いこなしが難しかった「絶バハムート」の難しさの印象と、今いろいろ使えるようになって、そのプレイヤースキルが発揮しやすい状態になった状態でのコンテンツの難しさの印象は、違って当然なのです。とはいえ、今回はそれも踏まえて「難しく作ろう」という意識は持っていますので、フェーズもギミック数も多く、初見では「何が起きてるかさっぱりわからん」にはなると思います(笑)

【絶竜詩戦争】
戦いの中で竜詩戦争のIFを巡っていく

――今までの絶はフェーズの切り替わりで風景が変わっていましたが、今回はスクリーンショットを見る限り、物語のようになっていて、戦う場所が移動していくんですか?

吉田氏:プレーヤー自身がダンジョンに潜っていくような感じではなく、フェーズによって紡がれる竜詩が切り替わっていき、竜詩の章節が先に進んでいくというイメージです。

――フレースヴェルグとニーズヘッグが並んでいるシーンはかなり衝撃的でした。どういう戦闘になるのかは?

【フレースヴェルグとニーズヘッグ】
2大天竜がそろい踏みする、本編では決して見ることができなかったシーン

吉田氏:すみません、言えないです。攻略のヒントになってしまいますので……。

――これから絶竜詩戦争に挑む人へのメッセージをいただけますか?

吉田氏: そうですね、本当に久し振りの絶になることもあり、6.0リリースまでに多くの皆さんが、過去の絶も含めて挑戦されてきたと思うんです。僕の周りでも、6.0が出るまでにちょっと絶に挑戦してみようかという人たちが結構多かったのです。じっくり時間をかけ、絶をクリアしていく周囲のプレイヤーを見ていていました。

 やはり攻略方法が確立され、アイテムレベル的にも多少楽になり、拡張によってジョブのバランスが変わったりしている部分もありますので、やはり実装当初のイメージと異なっているな、と感じました。そして、それは全然悪いことではないですし、皆さん楽しそうだったんです。

 でも、その楽しさは、周囲と自分たちを比較しないからの楽しさでもあり、焦りもあまりない。自己目標をゆったり立て、ジリジリと進んでいく楽しさと達成感だと思うのです。一方で、やはり実装直後の絶は恐らくイメージが違います。過去の絶をクリアしてきたことで、恐らく自信がついている、という部分もあると思います。

 結果、「よし、目標一か月だ! 俺たちならいける!」となっている固定さんもいらっしゃる気がしていて。あまり意気込まずに、3カ月超くらいの目標でぜひ……。実装初期は周囲の進捗も気になってしまうと思うのです。「ああ、フレンドの固定は次のフェーズ行ってるらしいのに、俺たちはここで一週間進んでない!」など、これまでの攻略では無かった、比較意識も出てきてしまいます。

 もちろん、早期攻略でワールドファーストを狙うぞ!という、異次元のプレイスキルをお持ちの皆さんとはまた別ですが、普通にクリアを⽬指していこうという感じなら、とにかく焦らずにお願いします。進捗を感じられるように、その辺りは意識して制作をしていますが、ぜひ、心に余裕を持って挑んでいただけると嬉しいです!

――6.1は絶竜詩戦争、6.2で零式がきて、6.3でまた絶とエンドコンテンツ攻略組の人たちは忙しいですよね。

吉田氏:確かに。6.5で絶を……ということも考えたんですが、絶コンテンツには本当に尋常じゃないコストと調整コストがかかります。今回改めて全体のコスト計算をしてみて、拡張パッケージの制作準備と絶の並行開発は本当に無理だ、と。でも拡張の間に2回の絶実装は望まれるだろうから6.3でなんとか、という形になりました。

 また、絶は週制限でアイテムを得るようなコンテンツではありませんので、長期的に攻略していただければ、それが一番良いのではないかなと。メジャーパッチのアップデートが一段落し、僕たちが拡張パッケージの開発に集中している頃、じっくり向き合って攻略していただくにも、最適なコンテンツなのではないかなと思っています。