インタビュー

高校生eスポーツを世に認められる存在に! JHSEF理事長久保公人氏インタビュー

久保理事長「30年前、囲碁部の設立で苦労した経験を活かしたい」

12月収録

 年の瀬の12月28日、29日に行なわれた高校生eスポーツ大会「第2回全国高校eスポーツ選手権」。学生スポーツ支援に長い歴史と実績を持つ毎日新聞社と、ゲーミングPC「GALLERIA」を展開するサードウェーブがタッグを組み、eスポーツを楽しむ高校生を支援し、新しい文化として発展させていくために行なわれている新時代のeスポーツ大会だ。

 この第2回大会から、新たに後援団体が付いたことに気づいた人はいるだろうか。一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF、ジェセフ)。2019年11月に毎日新聞社とサードウェーブが中心となる形で設立された高校生eスポーツに特化した団体となる。理事長には2015年まで文部科学省 スポーツ・青少年局長を務め、現在は学校法人尚美学園理事長兼尚美学園大学学長の久保公人氏が就任した。

 JHSEFはまだ生まれたてホヤホヤの団体だが、高校生のeスポーツを統括する団体として、今後プロを目指す学生eスポーツアスリートや、学生達を預かる学校にとっては、非常に気になる存在だろう。何を目的として、どういう活動を行なっていくのか、そもそもJHSEFは学生達の味方なのか。

 その概要については、11月7日に行なわれた発表会レポートでお伝えした通りだが、いよいよ1月中にも学校会員の募集を開始し、本格的な活動を開始する。GAME Watchではこれに先立ち、JHSEFの久保理事長に、単独インタビューを行なった。久保氏のパーソナリティにはじまり、JHSEFの理念、その活動内容、将来の目標まで、様々なことについて話を伺った。高校生eスポーツに関心のある方はぜひじっくりご一読いただきたい。

【高校生eスポーツ】
第2回全国高校eスポーツ選手権の模様(参考記事)。数年前まで影も形もなかった高校生eスポーツ。毎日新聞社やサードウェーブの尽力により、日本に新しい文化が生まれつつある

eスポーツは文化とスポーツ、2つの流れがある

――11月に一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟(Japan High School Esports Federation、JHSEF)の設立が発表され、JHSEF(ジェセフ)という団体が世間に認知されました。しかし、まだどのような組織なのか、理事長がどんな方なのかといったことについては、まだゲームファンやeスポーツファン、それから主役である高校生たちには、まだ十分に知られていないと思います。今回は、JHSEFとeスポーツコミュニティの距離を縮めるようなインタビューにしたいと考えております。

JHSEF理事長 久保公人氏(以下久保氏): 良い機会をありがとうございます。

【JHSEF設立会見】

――まず、久保さんがこれまでどういったキャリアを積み上げてこられたのかを、改めてご自身の口からご説明いただけますでしょうか。

久保氏: 社会人になってからというか、私は社会人としての人生は、ほとんど文部科学省(文科省)の公務員、役人として過ごしてきたんですね。その中でも学校教育行政、小・中・高等学校・大学行政が長かったのですが、最後の方はスポーツ行政ということで、スポーツ青少年局長として、オリンピック招致ですとか、スポーツ基本計画の策定とか、暴力追放・根絶とかいろいろなことに携わってきました。

――現在は、尚美学園大学(埼玉県川越市)の学長を務められているわけですが、JHSEFは高校生を対象とした団体です。大学と高校、このギャップについては久保さんの中ですんなり受け容れられたのでしょうか。

久保氏: 大学の長だからということで声がかかったのかどうか、必ずしもそうなのかどうかよくわからないのですが(笑)、毎日新聞社さんが、教育や文化など公益的な事業をずっとされていた関係で、文科省時代から、毎日新聞社さんを含めて各新聞社さんとの繋がりがあったんです。その中でやはり学校教育として、学校の中に、あるいは小中高校生に、もっと言えば現実は高校生に、eスポーツを普及していくにあたって、やはり文科省出身者の顔がいると思われたのではないかとも思いますね。

 自分自身は、尚美学園大学で2020年4月からスポーツマネジメント学部というのを作るのですが、そこでeスポーツも授業科目として立ちあげることにしていましたので、自分自身にとってもちょうどいいかなという感じではありました。

【尚美学園大学スポーツマネジメント学部】
久保氏が学長を務める尚美学園大学でもeスポーツに関連した学部の募集を開始する

――設立発表会で久保さんが理事長に就任することが発表されて、新たな人生が幕を開けたわけですが、世間の反応といいますか、大学や周囲の反応はいかがでしたか。

久保氏: 世間に対してというような話ではありませんが、大学の教員や職員にとっては、大学の名前が出るということ、それからこれからやろうとしている新しい学部で取り組もうとしているeスポーツにも、学長自身がeスポーツにコミットしているということは、今後入ってくる学生の興味関心をひくということもありますし、大学の知名度が上がることにもなるので非常にありがたいという反応ですね。

――それは良かったですね。JHSEFにおける久保さんの役割というのは、ご自身でどのようにお考えですか?

久保氏: このJHSEFの全体の目的は、一番大きいのはeスポーツの普及です。高等学校の中で異論なく受け入れられてみんなが正々堂々とeスポーツをできるようになって、JHSEFの会員が増えて、さらに全体の底上げが図られるという、それが一番の目的だと思います。ただ、そこにあたっては、やはりいろいろ課題があると思うので、学校現場をよく知っている立場で、文部科学省にいろんな情報を聞くことができたり、あるいは、全国の高校会の動き、教育委員会の立場もよくわかっている私が、そのつなぎ役になれればいいなということがひとつあります。このeスポーツ連盟自体が非常に公益性の高いものだということの、象徴という立場にもなれるかもしれないなとも感じています。

――“国とeスポーツ”という点では、eスポーツは、国から認められて補助・援助・支援を受けられるような存在ではまだないわけですが、久保さんは今まで教育、それからスポーツの行政に携わってこられて、eスポーツはどのような方向に進むべきだと考えておられますか。

久保氏: 一口に“スポーツ”といいますけれども、eスポーツは2つの流れがあって、1つは文化ですね。TVゲームとカラオケとアニメ、この3つは、日本が作り出した3大戦後の文化だと言われていますが、現代の文化として、非常に価値の高いものを日本が生み出してきているというそちらの流れと、もうひとつは、オリンピックのラインに象徴されますようにスポーツとして、この2つがあると思うんです。

 ゲームといえば私の世代では囲碁も将棋、トランプなどが一般的でしたが、これらもやはり文化であると同時に、それ自体が“マインドスポーツ”ということでスポーツの流れに組み込まれていると思うんですね。

 ゲームが文化ということは、基本的に国内でも世界中でも認知されていると思うのですが、今度はスポーツとして認知されて広がっていくことでよりスポーツマンシップですとか、健全性ですとか、公平性ですとか、あるいは国を越えての結びつきとか、今まで文化というだけではできなかった、“オール世界”での、地球全体での一致した動きの流れに日本も入っていける、あるいはそこをリードできる、そういう意味はあると思いますね。

 それから、これだけ普及して日本国民に根付いているゲームですが、その歴史はまだ30年ぐらいで「ドラゴンクエスト」ぐらいから始まっていて、私は最初のゲームに対して違和感のない世代なんですね。これが、毎年毎年何十万人という単位でゲーム人口を増やし、ゲームに違和感なく育った人たちが増えていく世の中になっていき、市場規模はそれだけ増えていっています。

 それと同時に、今まで個人でやっていたものが集団でできるようになったり、あるいは、他のいろいろなツールとして、医療用のツールですとかあるいは、独り身の老人の慰めであるとか、子供の引きこもりを解消するなどといったいろいろな手段として使う可能性があると思うんですね。そういったものに貢献できる可能性がもの凄くあると思いました。

――久保さんは、ゲームをスポーツとして捉えるeスポーツという存在に対して率直にどのような印象をお持ちですか。

久保氏: 非常にポジティブな印象を持っています。私はそもそもスポーツ青少年局長をしていましたが、個人的な趣味として、囲碁とコントラクトブリッジをやっています。囲碁は一応6段で学生の頃からやっていますし、コントラクトブリッジも好きで、日本コントラクトブリッジ連盟の理事もしています。私がスポーツ青少年局長の時には、東京オリンピックに合わせてこれらのマインドスポーツも大会として招致して、国から補助金も出してもらおうということを個人的に動いていたぐらいなんです。

【日本コントラクトブリッジ連盟】
日本コントラクトブリッジ連盟。役員一覧の業務執行理事/副会長に久保氏の名前がある

――それは国としてではなくて個人活動としてですか?

久保氏: ええ、個人的に動いて、みんなが乗っかってくれたら、それを国の動きにしていこうと思って、水面下で動いていたのですが、なかなかマインドスポーツ団体が動かなくて、それは形にならず残念でした(笑)。

――実現しなかったんですね(笑)。

久保氏: そうなんです(笑)。でも、逆にいうと、マインドスポーツはもう既に、トランプのひとつであるブリッジとチェスは、国際競技連盟に属していて、すでに国際オリンピック連盟(IOC)が認める公認競技なんですね。だからオリンピックの種目になり得るんですよ。実際、アジア大会では、この前インドネシアではブリッジが公認の種目になっていました。日本からも代表選手も出しました。

 次の中国大会でも、囲碁やブリッジといったマインドスポーツは多分出るでしょうし、eスポーツも競技として認められると思います。eスポーツも、いずれマインドスポーツと同様に、文化だけではなく正規のスポーツとしての位置づけに組み入れられて、世界の垣根をなくしたオリンピズム、つまり平和活動ですね。その中に組み込まれて、重要なスポーツとして今後より伸びていくのではないかと感じています。その時に、日本はその発祥の地として重要な役割を果たしてもらいたいなと思っています。

――久保さんは、スポーツではなく、マインドスポーツから入られているので、eスポーツはスポーツのひとつだということに対して全く抵抗がなく、むしろ「当たり前じゃないか」という認識なんですね。

久保氏: そうなんです。

――やはり、特に年齢が高ければ高いほど「こんなものが」という拒否感みたいなもののある方が多いと思うのですが、久保さんはそういう意味では、逆にすっと入られたんですね。

久保氏: そうですね。

――では、お話が来た時に「やっと俺の所にきたか」と?

久保氏: いやいやいや(笑)。そこまではないんですけど、まさか私に白羽の矢を立てていただくとは思っていなかったのですが、ラッキーだなとは思っていました。ちょうど大学でもスポーツマネージメント学部、スポーツの学部の中でeスポーツを授業科目としてやろうと踏み出していたところですし、非常に良いタイミングだなとは思いました。

私の時代では囲碁部を作るのにももの凄く時間が掛かった

――JHSEFはeスポーツ普及に極めて適した人材を理事長に据えたと言えそうですが、JHSEFの活動として、国際機関との協力や、大会の支援など、5つの柱を掲げられています。久保さんは、このJHSEFという団体の理事長として、個人としては今後eスポーツをどのようにしていこうと考えておられるか、そのビジョンを教えていただけますか?

【JHSEF 5つの活動基本方針】

久保氏: 一番は高校で普及してもらいたいということです。もうひとつは、ちょうど、アメリカの団体とも連携できまして、eスポーツが抱えている負の側面を払拭していきたいなと。全ての人種や障害者など、すべての人々の中で、共有できるスポーツだということを、すべての人々と共有できるようにもっていきたいと思っています。その2つの面で言えば、高校で普及するというのはなかなか難しいんです。たとえば、私の時代では囲碁部を作るのにももの凄く時間がかかりました。

――どれぐらい掛かりましたか?

久保氏: 私が高校時代に囲碁部を作ろうとしたのですが、けんもほろろに断わられました。

――囲碁や将棋がダメというのは今の感覚から言うとちょっと信じられないですね。そういう時代があったんですね。

【囲碁が認められない時代】
コンピューターゲームとしてもお馴染みの囲碁。囲碁・将棋と言えば、全国大会も行なわれるほどマインドスポーツとしてお馴染みの存在だが、30年前はまだ認められない存在だった

久保氏: もう30年以上前ですが、私はそれまでスポーツ、陸上競技をやっていたんですがそれを辞めて、小さい頃やっていた囲碁を、囲碁部を作って、日本一になろうかなという運動をし始めました。まずやはり担任の先生というか、全体を取り仕切る部活動を取り仕切る先生が、「そんな花札とか麻雀と同じようなものをできるわけがないだろう」と、こう言われました。(笑)。当時はそういう認識でした。

――そういう意味では30年前に、すでに今のeスポーツにおける世間の抵抗を経験されているわけですね。

久保氏: そうなんです(笑)。

――今回は2回目なので、そんなに難しい話ではないと。

久保氏: そうですね。それだけに難しさもわかるんです。eスポーツを経験していない世代にとっては、全く理解ができない。我々60代前半になると、ゲームについてはわかってきていると思うんですけどね、それで育っていますので。漫画やアニメにも全く違和感はないのですが、やはり、その上の世代には、凄く違和感があると思います。

 それから世代に関わらず、高校生の保護者とかは、高校にゲームを取り入れることについてまだまだ違和感があるケースも多いでしょうし、高校は勉強第一ですからね。そこはスポーツも同じなんです。スポーツだって、スポーツばかりをしていると、それもどうかと言う話も出ますし。囲碁やブリッジもそればかりやると問題です。スポーツはやっぱりおもしろいですから。私が好きなコントラクトブリッジだって最大の欠点はおもしろすぎることだと言われていますから(笑)。

――なるほど、eスポーツが抱えている問題と同じかもしれないですね(笑)。おもしろすぎてずっとやってしまうと。

久保氏: そうそう、そうなんです(笑)。囲碁だって、寝ても天井に碁盤が見えるくらいおもしろいんです。それと同じだと思いますね。そこはみんなわかっていることですから、それだけにそこの拒否感というか、高校はなかなか入り込むのが、理解をさせていくのが難しい。でもそれは高校教育に必要なことだからやっていかなくてはいけない。そこに一番大きな役割があると思うんですね。

 それから、勉強がおろそかになると同様の話として、いわゆる依存症のような病気になるのではないかと言う問題もありますよね。でも決してそうじゃない、ルールを守ってやればそうじゃないんだということも、そのルールを示して伝えたいと考えています。

 逆に、アメリカが進んでいるなと思ったのは、こんなにプラスの効果があるんだという、そこの発信がうまいところですね。我々もそこをもっともっと発信していければなと思うんですね。囲碁も昔は「勉強をしなくなる」と言われていたのですが、今は記憶力が非常に良くなるとか、思考力が良くなる、相手の立場をわかるとか、非常にプラスの面があると言われています。見直されてきているからこそ、「市」とか「区」単位で大会をやって、市長や区長が出てきて挨拶をしたりして開催されていますよね。そういう風にまでなれば最高だと思います。

――久保さんの考えるeスポーツのメリット、強みはどのあたりだと考えられていますか。

久保氏: ひとつは集中できるということ。それから、これは他のマインドスポーツでも同じなのですが、相手の立場に立って、戦略を立てられることですね。相手の立場に立てることというのは、社会としても大きなプラスになると思うんですね。

 それからスポーツマンシップですとか、公平性、スポーツ一般のラグビーなどと同じように相手を讃えるとかということもありますし、なおかつ、国を越えて、あるいは性別、障害を越えてみんな仲良くなれる。そういう意味ではオリンピズムの目標である、世界平和とかにつながるようなものだと思うんですね。いろいろな友達もできる。教えていただいたんですが、留学生が来てもeスポーツを通じて凄く結束がみられるというような動きもありますし。さらに言えば、結構引きこもってずっと学校に行かなくなった子なども、eスポーツを通じて再び人の輪との繋がりができてきたり、社会に復帰できたり、いろいろな可能性があると思うんですよね。

 この前アジア大会の、eスポーツで優勝した学生も、1人はN高です。そういう通信制の学校からでも立派なプロになれたり、eスポーツで活躍したことでいろいろな所に就職できたりするという、いろいろな効果があると思いますね。

【集中力】
第2回全国高校eスポーツ選手権(参考記事)で選手達が見せる凄まじい集中力

――JHSEFさんの発表会で、私が凄く印象に残ったのは、ユニバーサルスポーツという視点です。これは私もeスポーツをずっと見ていますが、まだ世界であまり語られていなかった視点で、凄くおもしろい部分だと思いますが、久保さんはその点をどのように考えていらっしゃいますか。

久保氏: 繰り返しになる面もありますが、国を越えて、世界を越えてすべての人たちが共通のテーマで競い合って、仲良くなれる。これこそ、オリンピック、スポーツの究極の目的でもあるんですね。文化ということだと、どちらかというと、“それぞれの文化性を守る”ということがあります。例えば、剣道などですと、それぞれが育ててきた精神性が壊れるので、オリンピックには参加しませんが、柔道などは、むしろそれを通じて国際平和に貢献する、ユニバーサルに全ての世界の人たちと仲良くなれるという意味で参加していますよね。その流れにeスポーツも乗っかれるということですね。

――その一方で、久保さんが考えられるeスポーツの懸念される部分はどういったところでしょうか?

久保氏: 最初に戻ってきますけれども、子供でいえば勉強がおろそかになってくる。これはスポーツも同じですね。野球ばっかりして勉強がおろそかになるというのと一緒です。それから依存症のようになるということ。若干どうしても、こういう集中してやるもの、熱中してやるものというのは、共通の課題だと思います。それはでも、全てのスポーツや、文化部でも同じように、直面しながらクリアしていっている。それを上回るメリットがあるから、認知されていると思うんですね。それを社会全体が認知して、認めて、支援するということできることが大事ではないかと思います。

 それからもうひとつ。eスポーツをスポーツとして考えた場合には、暴力性の排除、ここが必要不可欠だと思います。IOCのバッハ会長は、「まだ(eスポーツはスポーツとして)認められない」といったのは、暴力性のあるものは相容れないんだと。オリンピックを頂点としたスポーツの世界はやはり、平和運動の流れにありますから、人を傷つけたりする、つまり世界から暴力をなくそうというのがセットなんですね。今のゲームソフトはそういうものがまだ多いですから、そこをどうするかですね。他方で、ゲームは文化でもありますし、そういうもの(暴力性)を扱ったゲームソフトもたくさんありますから、全部無くすというわけにもいかない。だからそこは切り分けながら整理していくことが必要なのではないかなと思います。

eスポーツをどう浸透させていくか

――久保さんは30年以上前に、囲碁ですでに学校と戦われた経験を持つということですが、学校には「ゲームとは所詮遊びであって、スポーツとはいえない。こんなものは教育として認められない」という意見は根強く存在する訳ですけれども、その考え方を変えていくためにJHSEFとしてどのような取り組みを行なっていく予定でしょうか。

久保氏: まず大事なことは、一番批判が起こりそうな高校界の理解を得ていくために普及していくこと。これが一番だと思うんですね。やっぱり高校は勉強第一ですし、それは高校の教員だけが思っているわけではなくて、保護者、それから地域の議会、マスコミ、みんな同じようなベクトルを向いています。

 でも勉強だけではダメなんですよね。やっぱり人間にゆとりとか、あるいは何かがあった時に逃げ込める、熱中できるものがないと、潰れてしまう。そういうことを、他のスポーツ、あるいは囲碁・将棋、ブリッジと同様に必要な分野なんだということを了解してもらって、普及していく。これによって、一番そのあたりの神経質になっている層の理解が図れるということが日本全体の底上げ、人口の増、それから支援者の増加に繋がっていくのではないかと思うんですよね。

 これは高校だけの話で、我々eスポーツ連盟の与えられた使命の範疇ですから、その枠組みを越えることはなかなか難しいのですが、本来はそれをあらゆる分野で、小中学校から、大学から、社会に至るまで、いろいろな所で理解に努めていくというのが大事なことなのではないかと思いますね。

【山形県立酒田光陵高等学校 ITサイエンス部 eスポーツ班】
山形県立酒田光陵高等学校のITサイエンス部 eスポーツ班は、2019年度に設立されたばかりの新しい組織(参考記事)。全国高校eスポーツ選手権をきっかけに、新たな息吹が全国の高校で芽生えつつある

――JHSEFは、eスポーツに取り組む高校や大会を支援していくということを目標のひとつとして掲げられていますが、それは具体的にどのように支援していかれるんでしょうか?

久保氏: それはこれからの課題だと思うんです。今は、そもそも毎日新聞社さんとサードウェーブさんが昨年から始められた大会が凄い成功して、こんなに実は人気があるんだということがわかって、ではそれを支援する団体を作って支えていこうと、それが同時に普及につながるはずだ、そこに大きなマーケットがあるはずだということで始まったわけで、まだ踏み出したばかりです。

 ですから、大会の参加者をどんどん増やしていくというのが当面の課題だと思うんですけど、さらにJHSEFの会員を増やしていく。会員が増えるということは我々に対する理解者が増えているということですから。そして会費が増えると、もう少しいろいろなことができるようになる。そこからはさらにスポンサーですとか、いろいろな賛助会員も増えていって、いろいろな次なるステップに入ることができると思うのですが、それはもう少し財政基盤も安定してからの課題かなと思うんですね。

――まずは、現在進行形の全国高校eスポーツ選手権を大成功させて、団体会員を増やして基盤を作っていく、まずここをやっていくと。

久保氏: まずはそこです。そして次は地方です。地方でやる大きな大会の成功に向けての努力を続けていきます。後はやっぱりいろいろな機会を設けて、eスポーツ自体は、非常に健全な良いものなんですよということを、この連盟として、全国の高校に情報を発信していくことだと思うんですね。

――JHSEFとしての情報発信はどの様に行なうのでしょうか?

久保氏: 当面はホームページです。そこで見てもらえるようにするでしょうし、あるいはいろいろな手段を通じてパイプができればそこに送ったり、いろいろな手を考えていく必要があると思います。

eスポーツの「する・観る・支える」には今後大きく伸びる要素がある

――ちなみに久保さんは今までeスポーツの大会やイベントに参加されたことはあるんでしょうか。

久保氏: 観たことはたくさんあるのですが、直接参加をしたことはないです。

――なるほど、観戦をされたことはあるんですね。どのような感想をお持ちになりましたか。

久保氏: 凄くリアルでびっくりしますね。昔のTVゲームで見ていたイメージと全く違って、やっぱり通信技術とかソフトの進展にもよるんでしょうけど。手に汗握るというか、実際のリアルスポーツとあまり変わらなくなっている上に、するだけではなく観戦する人にとっても面白くなっているので、リアルスポーツ以上におもしろいなと感じました。

【eスポーツの演出】
eスポーツの演出は、従来のスポーツ寄り遙かに派手で、観客のエキサイトメントを高める工夫が随所に凝らされている。写真は、第1回全国高校eスポーツ選手権の模様(参考記事

――実際に選手達がやっていることはリアルスポーツというよりはどちらかというとマインドスポーツに近いと思うのですが、将棋や囲碁が何万人も観客を集めて中央で戦うなんてことはありませんからね(笑)。

久保氏: ないです、ないです(笑)。

――ですので、風景としてはフィジカルなスポーツに凄く近いですよね。

久保氏: そうですね。

――私もその辺りがeスポーツはユニークな存在だと思っているのですが、久保さんはそのあたりはどのように感じていらっしゃいますか。

久保氏: おもしろいと思いますよ。実際に観ていておもしろく感じられるような工夫がありますよね。だから、たくさんの観客も集まりますし、それを狙っていろいろなスタジアムとかアリーナができはじめていますよね。

 スポーツというのは「する・観る・支える」という3つで、それぞれ増やしていこうというのが、スポーツ基本計画です。スポーツはするではなくて、それを観る人も楽しめる、支える人も楽しめる、こういう風にしていこうと。その点eスポーツは「する・観る」、このエンタテインメント性の高さが特徴で、今後大きく伸びる要素があると思います。

 リアルスポーツもようやくそこに踏み込んできて、フェンシングみたいに観て楽しめるように、映像と音響を取り入れるとかやりはじめています。ところがeスポーツは最初からeスポーツはそこがかなり進化していますから、そこの集客力というかエンタテインメント性は凄いものがあると思います。そういう意味で私はeスポーツはエンタテインメント産業としても凄く伸びる要素があると思うんですよ。

――私は20年ぐらいeスポーツを観ていて、ここ数年の特徴として、逆にスポーツ産業の方がeスポーツを参考に観に来るというケースが増えているんですよね。それはやっぱりeスポーツは見せ方を凄く工夫していて、来場者にいかに楽しんでいただくか、エキサイトメントを高めていただくかをしっかり練り込んでいるからだと思うんです。

 今までスポーツ界は、人口が右肩上がりを続けていく中で、黙っていても競技人口が増えるという恵まれた環境があって比較的楽にマーケットを広げることができたと思うのですが、今は人口が減るのに合わせて、スポーツ人口もどんどん減り、競技人口を増やすのに苦労しています。そうした中でスポーツ界の方々も、大会の見せ方を工夫しなければならないということに気づいて、その取り組みの1つがeスポーツ大会を観に行くという現象に繋がっているのだと思っています。eスポーツという比較的新しいムーブメントから学んで良い所を取り入れるという逆輸入的な動きがあるのが私の中ではおもしろいなと思っていますが、久保さんもすでに同じような感想を持たれているんですね。

久保氏: まったく同感ですね。スポーツ庁がスポーツ基本計画を作った時も、アメリカでスポーツ産業がなぜこれだけ産業としてものすごい市場になりながら日本ではダメなのかといった時に、1つは「エンタテインメント性がない」という結論でした。会場に行っても体育館で遠くから観戦するだけで何の解説もない。お腹が空いても食べるところもない。来た人が楽しめないんですね。一方、アメリカでは、ホットドッグが売られていたり、グッズも売られているし、いろいろな応援グッズなども売っていたりする。

――eスポーツではサイン会なども当たり前ですが、ファンがわくわくする仕掛けがたくさんあるんですよね。

久保氏: そうですよね。それをやらないとスポーツの未来はない、スポーツ産業は伸びないと言われたんですね。それから、それを支える映像とか音響とかの進化も必要だと。日本のスポーツも、少しずつそこに向かいつつありますけれども、eスポーツは世界的に見ても、スポーツの何年も先をいっているように見えますね。“観るスポーツ”としての未来性が凄くあると思います。それは今いわれていたように、スポーツ以外にも、囲碁や将棋ではあり得ない事です。eスポーツの強みだと思いますね。

【eスポーツ大会のサイン会】
eスポーツ大会ではサイン会は頻繁に行なわれている。主催が全出場チームを対象に場所と時間を設ける形で、人気チームには長い行列ができる

――今回、JHSEFさんは、アメリカのNASEFさんと提携されて、一緒にやっていこうということですが、最初から本場のアメリカの団体と組んだのは、やはりそういったエンタテインメント性だったりという所を吸収していこうという狙いがあるわけですか?

久保氏: ひとつはそうですね。もうひとつはやはりeスポーツのプラス面の検証。このプラス面を科学的に検証しているというのは他にありませんから。やっぱりそういうことをやっていかないと世間の理解を得られないので、この両方で組んだというかんじですね。

【NASEF】
今後パートナーのNASEFと共同の取り組みを行なっていくという

――今おっしゃった科学的な検証を今後実証して明らかにしていくと、それによってeスポーツはプラスな面があるんだよということを啓蒙していくというお話なんですが、それは具体的にどのように行なっていこうと考えていらっしゃいますか?

久保氏: 幸いアメリカの団体がいろいろやっておられる成果もありますけれども、日本では、朝本先生(JHSEF理事 朝本俊司氏)に新しい理事になっていただいていまして、アメリカを参考にしながらいろいろ検証したいとおっしゃっています。朝本先生は元々脳科学の方で、eスポーツは脳科学の観点からも非常に興味のある分野なので、これからいろんな検証をしていきたいとおっしゃっていたので、まさにこの連盟自体の理事が中心となってそういったことをやっていただけるのではないかと思っています。

【朝本理事】
久保氏が頼みとする朝本理事。スポーツ医学の視点から、eスポーツの分野に新たな提言を行なっていくという

――アウトプットはどのような形を想定されていますか? 何かイベントを開催して、そこで発表をするとか、あるいは学会に発表をするとか、いろんなアプローチがあると思いますが。

久保氏: それは出てきた内容と、内容によりけりだと思います。いろいろな手法があると思いますが、ホームページに載せることもあり、各都道府県に発信することもあり、あるいは科学研究費を必要があればとって学会に発表することもあり、内容とレベルによっていろいろな発表の仕方ができると思います。ずっと発表をし続けて、啓蒙を図っていきたいなと思っています。

JHSEFが目指すもの

――ちなみにJHSEFの会員は、まだ募集が始まっていませんが、開始はいつ頃を予定していますか?

JHSEF事務局次長 加藤樹氏: 現在会員細則をつめているところで、どういう内容、あるいは会費のことにもなっていくんですけれども、それらをきちんと受け入れられる形に整えた上で正式に会員を募集させていただこうと急務でやっているところです。1月中には、正式にご案内ができるようにというスケジュールで進めています。

【JHSEF会員制度】

――JESEFの会員のメインとなるのは高校です。発表会では2,000校ということをひとつの目標に掲げられましたが、久保さんはこの点についてどのようにお考えでしょうか?

久保氏: これはやってみないとわからないんですね。2,000校といっても、学校単位にこだわらず、同好会とか、非常に好きな子供達がいてそれを指導する先生がいて、そういうグループ単位で入るところとかもあるかもしれませんので、そういうところも含めればできるだけたくさん入ってくれるのではないかと思うんですね。

 今の参加校が、第1回が110校、第2回目が140校ぐらいと、少しずつ増えています。今後PRが進んで、加速度的に増えていってくれればなと思います。こういうのは、やっぱり最初はハードルが高いので、ある時期がくれば急に進むと思うんです。その時期を早めたいなと思いますね。

――久保さんとして、どれぐらいまでに実現したいと考えていますか?

久保氏: 2026年に愛知県でアジア大会が開かれますよね。その時にはeスポーツが正式種目となる可能性が高いと思うんですよね。すでに杭州(2022年に中国・杭州市で開催される第19回アジア競技大会)では、正式種目となると思うんですよ。それを日本のJOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)がどう受け止めるかですけれども、正式種目となった以上は選手を選んで、他の競技と同様に制服を作って選手団として送り出す。旅費もJOCが負担するということになると思うんですが、それがもし愛知で開かれれば凄くブームになると思うんです。そこがひとつの、凄く話題になる頂上になるかなというかんじはありますよね。

【第20回アジア競技大会】

――2026年までに準備を整えたいなと。

久保氏: ええ、かなり普及をできるようにしたいなと。これは個人的な思いです。

――久保さんは先ほどからオリンピックに対して繰り返し言及されていますが、ご存知のように、一昨年から去年にかけて日本でeスポーツが盛り上がったタイミングで、「eスポーツをオリンピック競技に!」という動きが凄く活発化した時期があります。実際に水面下でどの程度動いていたのかは想像するしかありませんが、やはりIOCのバッハ会長であったり、鈴木大地スポーツ庁長官などのトップの発言によって、現実が見えてきて、今少し落ち着いて冷静に物事が見える段階にあると思うのですが、久保さんとしては、最終的には、eスポーツはオリンピック競技になるべきだという風にお考えでしょうか。

【パリオリンピック】
2024年開催予定のパリオリンピック。eスポーツが目指す次のターゲットはここになる

久保氏: 「なるべきだ」とまではいきませんが、「なればいいな」という考えはありますよね。他のマインドスポーツと同じ流れにあると思いますから、なればいいなとは思います。

 ただ、現実問題として、オリンピック競技は全種目が50種目に限られていて、それが同じ都市のエリアで開催しなければいけません。凄く制約が多いので、たとえば、柔道を押しのけてeスポーツが入れるのかとか、卓球を押しのけて入れるのかというのは非常にハードルが高いと思うのです。

 ただ、少なくともその前段階としてアジア大会は十分実現可能だと思います。アジア大会の種目になるためにはJOCの準加盟団体になる必要があるので、そこに入って、そして国際競技団体まで行かないと加盟できませんからね。まずオリンピックに入る前に、国際競技団体が結成できるかどうか、そこがひとつのハードルというか、ひとつの目標かもしれませんね。

――それを目指している団体として日本にはJeSU(ジェス、一般社団法人日本eスポーツ連合)が存在しますが、今はまだJeSUとJHSEFはまったく別の団体で、直接のリレーションもない状態ですが、今後についてはどのように考えていますか?

久保氏: 2つの団体は扱っている局面が違うんですね。JHSEFというのはこの大会(全国高校eスポーツ選手権)を成功させると同時に、高校レベルの普及を図るというのが第1目的ですね。

 JeSUというのは、オリンピックを目指す上で全体が集まってオリンピックに向けて選手選抜をするためには、統一的な団体がないと資格がありませんので、いずれアジア大会のある2022年、3年後にはそういう団体がないと、代表選手を出せませんので、そのためにまずは作ったのだと思います。ですからJeSUは、どの程度中身を充実させるというよりは業界が一枚岩になって選手を送り出して、アジア大会で優勝させて普及を図るという、そういった大目的のために結集したんだと思います。

 そういう意味では、目的とレベルが違うので、接点はないのですが、いずれは日本の団体みんなが一緒に普及も含めて、これは高校だけですけれども、日本全体の中で理解と協力と支援を得るために大同団結する時期が来るんじゃないかという感じはありますけれどもね。どういう形になるのかはわかりませんが。

【JeSU】
久保氏は「JeSU(日本eスポーツ連合)とは目的とレベルが違う」と語る

――イメージとしては、最終的に一緒になるんでしょうか。それとも団体としては2つが残ったまま並行して一緒に仲良くやっていく感じなのでしょうか。

久保氏: それは後者でしょうか。まだわかりません。そこはスポーツでもいろいろなんですよ。野球の場合だと高野連があり、オリンピックのためにプロ選手と統一の機構を作って参加していますけれども、サッカーなどはJFAが統括団体として、その下に全部あるんですね。だからどうなるのかというのは、その流れとか、状況にもよります。いろんなパターンがあると思うので、現段階ではわからないと思うんですけれど、いずれにしても、ひとつを一緒にして、日本という中でやっていくという時期は来ざるを得ないんじゃないかなとは思いますけど。

――その時の久保さんの役割というのはどのように考えておられますか。

久保氏: それはわからないです(笑)。私の今の使命は、高校の段階での普及を果たすことによって、eスポーツというのはこんなに素晴らしいものだ、こんなに意義のあるものだということを、その団体の中で他ではできないことを医学的にも検証し、それから高校会でも理解を得、他でできないことをやる唯一の非常に頼りにされる団体だという風になって、そのために何かお役に立てる存在であれればなと。

――全国高校eスポーツ選手権には、今回よりJHSEFが後援として入っているわけですが、JHSEFの後援によって、全国高等学校eスポーツ選手権はどのような変化というのを期待できるのでしょうか。

久保氏: やっぱり、今までは毎日新聞社さんとサードウェブさんが主催されていて、どちらかというと企業色が強かったのですが、それを、高校生eスポーツの普及を図る社団法人という公益的な団体がサポートすることにしたということ。それからトップに私が就いたということで、きちんとした公に認知された団体が後押しをするということで、より一層受ける側にとっては、勧めやすくなると思いますね。

 現在はまだ、高校側にとっても「勝手に行ってきなさい」という感じだと思うんですね。これを学校教育活動の一環としては認められないから「事故が起きても知りませんよ」と、「授業を休んで行くなら欠席扱いです」と、そういう状況だと思います。しかし、高校野球は公休にはならないんですね。それからいろんな事故が起きた場合の保険も完備されています。全国高校eスポーツ選手権も回数を経ることでだんだんそういった公に認められた競技に近づくのではないかと思いますね。

――確かに、学校教育の一環として認められるのか、保険が適用されるか否かというのが大事な問題ですが、それもJHSEFさんの活動の1つということですか?

久保氏: いえ、それはJHSEFの役割というよりは、競技自体、あるいはこれが後援する競技自体がどう捉えられるのかによって変わってくると思いので。まさに高校野球みたいに、全国から出て、毎日新聞社がサポートし、もの凄く公益的な、どの学校でも部活動があるとまでなりますと、その団体が日本体育協会に加盟したり、高校野球でいえば高野連がそれぞれの地域でも指導的な役割を果たすことになりますから、そこまでいくことができればだいぶ変わると思います。

 今はとりあえず普及を全国的に図ろうというとりあえず旗をあげた段階で、各地域に拠点もありませんので、これを受けて各地域で旗振りをするものが育っていくことになると、大会に出ること自体も公益的な、学校教育そのものとみなされるようになるんじゃないかと思いますね。

――そういった意味では、第1回から第2回も変わりましたし、第3回も変わっていくし、続けることで徐々に公益性が高い、学校が認めるような大会になっていくのではないかということですか?

久保氏: そう思います。今でも、毎日新聞社さんがついていること自体、凄く公益的なイメージがあると思いますよ。やっぱり、普通のゲームメーカーさんなどが主催でお金を出して、自分のソフトを売り込んでいたりするだけではなくて、毎日新聞社さんに限らず、新聞社さんがついているというのは大きいんですよね。信頼性や親御さんの受けも違ってきますので。新聞社が悪いことに手を出すはずがないというか(笑)。今までやってこられた歴史的に見ても。凄く意味があると思います。さらに、そこが主体して、eスポーツ連盟を作って、なんとなく高野連のような全国組織に向けて動き出されているんじゃないかというイメージを与える感じがあって、やっぱり年々、これから益々信頼が高まっていくんじゃないかと思いますね。

――改めてJHSEFのゴールを教えてください。

久保氏: ゴールとしては、高校の普及に大きな役割を果たして、高校でeスポーツが違和感なく普及する、そして、多くの学校やグループの方に会員、賛助会員となっていただいて、賛助資金も増やし、いろいろな事業を展開していけるようにしていく。結果として、それがいろいろなeスポーツの振興に中心的な役割を果たしていくことですね。あるいは業界としてやっていることを引っ張っていける存在になれればいいなと思っています。

【JHSEFの目的と使命】

――最後に、eスポーツに関心を持つすべての方にJHSEFの理事長としてメッセージを是非お願いいたします。

久保氏: ありがとうございます。eスポーツは、歴史は新しいですけど、世界ではプレイ人口が多いスポーツでもあり、国を越えて性別、人種、障害の有無、あるいはひきこもっている人も含めて、みんながワールドワイドに、ユニバーサルに親しくなれるそういう理想的なツールでありますし、スポーツマンシップ、公平性など、他のスポーツと同様の効果を得られるツールでもありますから、是非理解をいただいて子供さんたちが将来にわたって、興味のある人が取り組めるようサポートしていただけるよう理解していただきたいと思いますし、そういう風に努力を我々もしていきたいと思います。

――ありがとうございました。