インタビュー

「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」超特大インタビュー

「パッチ3.4」の手応えと、吉田氏のレイドに対する想いについて

機工城アレキサンダー:天動編
屈指の高難易度で数々の冒険者を退けてきた「大迷宮バハムート:侵攻編」

――「パッチ3.4」で実装された「天動編」についてですが、クリア状況はおおむね想定した通りですか?

吉田氏: ワールドファースト争いは、ほぼ想定通りでした。初日に1層を2時間で、2層も2時間半と予想していました。結果、2層はほんの少し遅くなったんですが、3層がチーム内でも意見が割れました。あと6時間持つかどうか、という僅差の意見の割れ方ですが。4層がもう一晩もつか、もたないかくらいの誤差だったので、イメージに非常に近くなりました。トップチームの腕もDPSもログデータなどで拝見していますので、おおむねどれぐらいの時間で突破するのか、予測は立てやすいのです。数学的ですね。

――何カ月も掛けて開発されるエンドコンテンツがたった2日で突破されるんですか。「大迷宮バハムート:邂逅編」の5層は、実装してからなかなか破られなかったのが強く印象に残っていますが、あの時とはもう時代が違うんですね。

吉田氏: あの時は、「FFXIVのレイド」という競技が、この世に誕生した最初のトーナメントでした。あれ以降、試合を重ねる毎にその競技に挑む「光の戦士」たちも鍛錬し、トレーニングし、数々のトラップやギミックを打ち破ってきました。当時との違いは、「経験の差」に尽きると思います。

 たった2日と思うかもしれませんが、延べにして48時間。1日3時間零式だけプレイしても、16日掛かります。例えば僕と中村さんが「零式:天動編」をクリアするのに、48時間らしいから1日2時間ずつトレーニングしていった場合、「これって2日間じゃないわなw」ということです。彼らはすべての準備を事前に行ないます。攻略チームは直前まで律動零式などで、自分たちにアイテムレベル制限やジョブ制限を課してトレーニングする。素材を集めるチーム、マテリジャを集めるチーム、パッチと同時に3.4新式を作り、提供するチーム。彼らは役割を分担し、自分たちのFCを世界一にするために、役割ごとに全力を尽くします。レイド攻略チームだけが偉いわけではない。そんなたくさんの人の努力が結集した48時間なのです。

――まるでプロゲーマーみたいな世界ですね。

吉田氏: 1軍、2軍、3軍がある世界ですしね。だから簡単に言う“2日間”なんかでは全然ないと思うのです。そのレベルの彼らであれば、2日だろうね、というのが開発チームの予想でした。

――話は変わりますが、レイドファインダーのアイテムレベル255の制限が結構きついですね。

吉田氏: うーん、きっとでもあれ以下にしたら、RFではもっとクリアできないと思いますよ……。

――だからまだ3層へ到達してないプレーヤーも結構多いんじゃないかなと思います。

吉田氏: 多いと思います。練習だけでも、という声はお聞きしますが、やはりモチベーションを合わせないと、あっさりギブアップになるだけです。PT募集を使うのは1番です。トップ層が255以下のアイテムレベルで突破できるのは、彼らだからなわけで、そこを僕たちが緩めるとかえって混乱すると思います。

――ノーマルの3層も難しくないですか?

吉田氏: ああ……ノーマル3層は、確かに難しいですね。

――よく事故っているところへ遭遇することが多くて。僕はある種意図的に零式は今回は早く抜けてもらうためにちょっと楽にした、ノーマルは逆に少し歯ごたえを出したのかなという印象があったのですが。

吉田氏: それは違うんです。バトルシステム斑、モンスター斑の連中は、ゲームプレーヤーとして腕が高く、僕も含めて調整をやるときに、いつも忘れることがあって……。全員を対象とするAoEは、僕らは回避地点を特に決めずにプレイしています。たまに事故りますが、クリアできないほどでもないですし。しかし、今回の3層でも、やはり散開系はどうしても苦手な方がいらっしゃる。範囲が広く、重なりやすいものだと特に。

――同じ方向に逃げていくんですね。

吉田氏: 僕らは「見たら避けられるだろう」と、簡単なギミックに分類してしまっているのですが、あれがダメだというのがすごくよくわかりました。あれは、すみません、僕らの調整ミスだと思います。3層はちょっと難しいです。

――レイドの話から少し外れますが、私は「FFXIV」には3つの層ができていると思いますよ。ビギナーとコアの間にどっちつかずの中間層が。アライアンスレイドラブな私なんかがそうですが、そういう層を代表して言うと「中級者の館」が欲しいですね。

吉田氏: 悩ましいですね、50までは良かったのですが、そこから格段に各ジョブの特徴が先鋭化したため、中間層のフォローが弱いといえば弱いんですよね……。

――レイドに参加している人間の意見としては、そこはちゃんと自分で調べてこそ、ゲームを楽しむという感じだと思うのですが。

吉田氏: もうそんな時代ではない気がしますね。自分で調べられる勢は、どんどん上に行って、その周辺でコミュニティを形成します。

――でも、その上の人達は教えないですよね。自分たちがそうやってきたから。

吉田氏: いいえ、本当に滅茶苦茶上手い人は、アドバイスが欲しいと言えば、すごく真剣に的確に指摘をくれます。あまり気遣い無く。その代わり、徹底的に丁寧に教えてくれます。なぜなら、一緒にプレイする以上、仲間の愚痴を陰で言うヒマがあれば、その時間一緒に練習して、仲間に上手くなってもらったほうが、クリアまでの時間が早いからです。このレベルの人は、自分よりスキルの低い人と自分を比較しないですね。悦にも浸らない。自分より上手い人を見つけて、その人を目標にするタイプです。ただ、この手の人は「教えて欲しい、なんでも指摘して!」と言わない限り、自分たちからは動かない傾向にあります。相手がどれぐらい真剣なのかを見ないと、相手を傷つけるのを知っているからですね。

 だから、「その程度は調べてこいよ!」で止まってしまうのは、ミッドコアの方の思想です。他人に期待する時点で時間をロスしていると思います。トップ層は、他人にまったく期待しないし、他人に期待しないぶんだけサポートが手厚い。チームでクリアできればいいので、そのチーム内で誰がトップかなんて、どうでもいいのです。

 「なんで俺がこんなに努力しているのに、お前らその程度しかやらないんだ」というのもよく見かけるのですが、それは自分じゃなく他人だから仕方がないのかな、と思うのです。ですので、せめて時間が合うときは、「よーし、短い時間だけど、一緒に練習しようぜ!」という考えの方が、結果、相手も上手くなると思います。仲良くもなれますしね。

――レギオンとしての共通意識があるかどうかに差が?

吉田氏: うーん、共通意識は、低レベルで存在していれば十分だと思うのです。モチベーションは、限界までくるとバラバラで当然で、1番高いモチベーションを出している人が、全員の面倒を見ればいいと思います。

 日本人は本当にゲームが上手いと思います。動画を拝見していても、攻略記事を拝見していても、全体の平均レベルで言えば、世界一だと思います。e-Sportsが本当にオリンピック化されたら、腕前だけなら日本も金メダルを十分に狙えると思います。ただ、まだパーティプレイや競技になると、急にバラつく感じがあります。スポーツになりきれてないので、当然なのかもしれないのですが……。恋愛もそうだと感じますが、あまり相手に期待しすぎないことと、自分なりのベストを常に尽くしているのかが、大切なのかなと思います。

――日本だと、結構技術が上のほうのプレーヤーでもその傾向が強いと思います。本当に一部だと思います。

吉田氏: ドロップした武器の振り分けとかもそうです。割と揉めますね。翌週も楽にクリアするために、もっとも上手な人に渡した方が良いと思うのですが……。その分、来週、再来週はより楽にクリアできるようになるから、そうなればいずれ回ってくる。もしくは、最初から決めておけば。

――日本の場合はとったやつがもしかしたら抜けるのかもという認識がちょっとあるのかもしれないですね。

吉田氏: 抜けたら抜けたで、「あ、そういう人だったんだ……」でスルーでもいいのかなあ、と。

――今回も早かったですね。海外チームはワンツーフィニッシュで。

吉田氏: ヨーロッパは狙ってましたね。前回のレイドレースでも良いところいっていたので。今回のワールドファーストはついにヨーロッパが取りました。僅差ですが、結果は圧勝の1、3、4層ファーストですもんね。

――なぜそんなにヨーロッパ勢は強いんですか?

吉田氏: レイドとなると、軽微なラグでもかなり厳しい判定になるので、やはりヨーロッパデータセンターの設置は大きかったと思います。ですが、彼らは以前から非常に良い成績でしたし、今回はサポート体制もかなりしっかりしていました。狙っていたと思いますね。

――かっこよかったですね。

吉田氏: エリシュオンの独壇場かと思われていたので、ライバルチームがまた幾つか出てきて、おもしろくなりましたね。日本でもてっくさんのチームは惜しかったですね。あまり派手に告知や活動をせず、コツコツ準備をされていたんだと思います。

――どうなんでしょう、レイドを全力でプレイする数は全体数としては減ってきているのですか?

吉田氏: 面白さに触れる機会が少ないのも要因かもしれません。日本でもレイド文化は「FFXIV」で始まったばかりですし、他にそれが可能なタイトルが少ない。悩ましいところですね。

――天動編で若干難易度を下げたことで、挑戦している人達の数はかなり変わっていますか?

吉田氏: 明らかに増えましたよ。クリアできるから行くし、クリアできるかもと思うから行くので、難易度としてはこれくらいが丁度良いのかもしれません。今の世の中、かけた時間の分だけ、頑張った成果は欲しいというのが普通だと思うので。12週やって何のリワードも得られないけど、練習だけは裏切らない、というのはスポ根的にはありなのかもしれませんが、それが多くの人に受け入れられるわけではない。特に今回の1層、2層はかなり簡単なので、1層、2層は毎週火曜日になったらさくっと突破して、3層、4層の練習に行くという大迷宮バハムートの頃に戻ったかなと思います。僕らも勉強になりました。

 ただやはり気になるのは1番上のところです。4層を8周したら武器が揃って終わっちゃうという部分は、何か新しいことを考えなければと思います。ノーマルとハードでシナリオだけでも変えてくれ、というオーダーも多かったですが、今回天動編をクリアできて、あまりその声も出なくなりました。バハムートに比べて、シナリオが地味だというお声も多数頂いていましたが、天動編でレイドシナリオとしても、満足したというお声を頂戴したので、やはりノーマルとハードで何かを変えるというよりも、ハードを突破したご褒美を別の形で用意できればなと思います。

――バハムートもクライマックスまでは長かったですね。

吉田氏: そうですね、クライマックスは真成編からだったので、侵攻編4層のネールまでは、ほとんどお話も進んでいませんでしたし。

会場で公開されていたプロトアルテマ戦は、パッチで本サーバーにも実施される予定

――ちなみに今日会場限定の24人コンテンツとしてプロトアルテマ戦が公開されていましたが、ファンフェス限定のコンテンツですか、それともいずれゲーム内に実装しますか?

吉田氏: もちろんファンフェスに来られなかった人のために、パッチでも実装する予定です。どこに入るかを楽しみにお待ちください。前回のオーディンと同じです。前回の反省点としては、オーディンは単体コンテンツでしたので、マッチングしなくなっていくという問題があったのですが、また新しい場所に工夫して追加します。お楽しみに。

――ファンフェスでまずは一通り来た人に遊んでもらうのが優先ですか?

吉田氏: 今のファンフェスバトルの難易度のまま、公開パッチにいれるかどうかはわからないです。クリア率を見て、簡単すぎるなどがあれば調整します。

――今日後ろから何戦か観戦しましたが、どちらかというとぬるい?

吉田氏: かなりぬるくしましたので、難易度はかなり低いですね。

――マハとかも難易度議論がありましたね。実装直後は難しい難しいといって。天動編もあともう一段階難しかったら、なんだよやっぱり難しいじゃないかと。

吉田氏: 難易度は本当に難しい……。「もっと難しく!」のお声には、もうあまり乗らないようにしようと思います(笑)。「その手には乗らないぞTシャツ」でもマエヒロに作ってもらおうかしら……。

――でもみんな楽しんでいる感はありますね。

吉田氏: みんなクリアできるから行こうぜ!という感じにはなっているので、やはりよかったと思います。クリアできる見込みがあるから、次も頑張れるという気持ちはとてもよくわかります。結果的に、満額でよかったとは思っています。

――今回だけのサービスという感じではなく?

吉田氏: それを約束するつもりはやっぱりなくて、じゃあ今回の零式の難易度が今後のレイドの難易度の基準になるかというと、それは別問題です。プレーヤー側のジョブ操作難易度に変更が入れば、もう少しコンテンツ側が厳しくてもいい、ということもあるかもしれないので、常に最適なバランスを探して頑張ります。

ミスターオズマ中川氏について

会場で大人気だったミスターオズマこと中川誠貴氏。中川氏のセッションは現地レポートで詳しくお伝えしている

――ところで今回「4.0」の発表という大事なタイミングで中川さんを呼んだ理由は何ですか?

吉田氏: スクウェア・エニックスアメリカのマーケティングチームもPRチームも、北米のファンフェスは絶対にバトルコンテンツのセッションをやってくれという強いリクエストがあったからです。

――バトルというと、権代さんですよね。

吉田氏: 権代は昨年出演しましたし、彼はバトルシステム全体の統括です。ですので、今年はもう少し「コンテンツ」そのものにスポットを当てることにしました。

 中川君は入社のキャリアもおもしろいですし、英語がある程度できるのは知っていたので、「北米行くかい?」と聞いたら「ベガスいけるんですよね」というから、「いけるよ」と。で来てもらったんですが、もう3週間前くらいからガチガチに緊張してて、昨日は一睡もできなかったようです(笑)。

――英語もするっと出てきたし、結構タフな人材だなと思ったのですが。

吉田氏: 昨日の夜に緊張で寝られなくなって、壁に向かってずっと練習してたみたいです。今日も始まるまで、グリーンルームっていう僕らの控室で、壁に向かってずっと練習してました。彼はとても緊張してましたが、やりきってホッとしているでしょうね(笑)。

――無事に終わってよかったですね。

吉田氏: よかった。一段乗り越えた感のある顔をしてましたね。

――ゲームの開発者パネルって毎回面白いですが、今回は特に面白かったですね。

吉田氏: そういってもらえると、すごく喜ぶと思います。

――ミスターオズマの話が聞けて良かったです。オズマは良い意味で変態的なコンテンツだと思うんです。誰がこんなの考えたんだろうと。その誰が出てきて話をしてくれるのはファンとしてはうれしいですよね。

吉田氏: 次の日本ファンフェスでも、コンテンツを中心にセッションがあります。プレーヤーを絶望させたコンテンツを作った人物ですが、彼は本当におもしろいのでお楽しみに。でも中川君も、「ミスターオズマ!」って会場でどんどん声をかけて貰い、サインを求められるようになったので、モチベーション高く、また新たなコンテンツ制作に向かってくれると思います。

――ちなみに彼は「4.0」でもいろいろなコンテンツを?

吉田氏: もちろんです。

――どんなものを作っているんですか?

吉田氏: 彼はまだ「4.0」の作業にはかかってないですよ。3.5をいまやってますね。あいつはアライアンスレイドが多いので、次はマハ完結編がでるので、そっちのラストをやってますね。で、またいろんなセクションからブーイングを食らってます(笑)。

――オズマに匹敵するような?

吉田氏: どうなりますか……演出も含めて、また新たな挑戦をしてくれています。他のグラフィックス、プログラムスタッフにも無理をお願いしつつ。本当にありがたいです。

――しかし、オズマ戦は、吉田さんよく許しましたよね。ボス戦の途中でフィールドに移動するって凄い発想ですよね。聞いたときどう思ったんですか?

吉田氏: いや、ぜんぜんアリ!でしたよ。でも絶対にHPだけは引き継いでくれ、と。シーンをまたぐ旅にHP全快だと「結局これって違うボスに入れ替えてるだけじゃん」という興ざめ感が出るからですね。そういったところを注意して貰うようにしています。

――HP自体は引継ぎですが、ヘイトは一旦リセットされてますよね。

吉田氏: あれはどちらかというと気遣いです。移動した世界で仮にタンクが死んでいた場合、戻りのタイミングがロードもあってまちまちなので、めちゃくちゃになってしまうのを防ぐ意味があります。これらはコンテンツごと、ボスごとに気を遣っているので、みんなレベルの高いレイドやコンテンツ作りをしてくれていると、手前味噌ですがいつも感心します。

そのほかの要素について。フィジカルボーナスは廃止へ

顔の表情を含めた豊かな表情で、ぐいぐいストーリーを引っ張ってくれた闇の戦士たち

――パッチ3.xで特に気に入っているのが闇の戦士たちのフェイシャル表現です。カットシーンのたびに面白いなと思っていて、闇の戦士はネガティブな表現が多かったですが、これをプレーヤー側にも適用して、ポジティブな表現を加えた形で、エモーションの一段の進化は考えていないのですか?

吉田氏: それはプレーヤーが自分でコントロールするという意味ですか?

――それもありますし、メインクエストでポジティブな表現を使って、よりいろんな応用の仕方をするような。あれ私はよりグッと来ると思ったので。憎らしいとか頭に来るとか感情移入しやすい要素として。

吉田氏: 今回3.4のセリフの中に「わかるだろ? わかれよ!」は共感していただいた部分だと思うのですが、それに対して光の戦士側のリアクションは、今以上に演技させてしまうと「自分とキャラクターの乖離」が激しくなると思うのです。「え、オレ、そんな風に思ってない!」みたいなものです。このあたりはドラクエにも通じるところが少しあります。

 「FF」は、例えばクラウドならクラウドというキャラクターの物語を追っていく。ある意味、プレーヤーはクラウドではなく、物語を読み手として楽しむ。しかし、「FFXIV」は、主人公=自分=光の戦士なので、さじ加減がとても難しいのです。でも、少しずつ感情を出すようには、調整されてきていますね。

――「FFXIV」は比較的そういうエモーショナルな表現を主人公がしているゲームだと思いますが、それでも結構抑え気味なんですね。

吉田氏: 少しずつ増やしてきたからでしょうか。毎回手探りです。例えばオルシュファンのシーンなんかも、「悲しい顔で微笑む」というのをやりました。それでも微笑むことなんてできない!という人もいるかもしれないですし、ギリギリでしたね。でも、やるからにはということで、あのシーンは相当数のリテイクを出しましたので、上手くまとまったとは思います。

――「4.0」の新ジョブも、「3.0」に引き続いてクラスはなしだと思いますが、ジョブとクラスシステムの統合はやらないのですか?

吉田氏: あるとしても「5.0」以降でしょうか。

――クラスシステムはもう有名無実化してますよね。

吉田氏: それは否定できないと思います。

――「旧FFXIV」から引き継いでいるレガシーな存在ですよね。統合はやはり時間がかかってしまいますか?

吉田氏: データ引き継ぎも含めて、根幹に食い込んでしまっているので、かなり大変ですね。「旧FFXIV」から考えると、残っている最大の課題かもしれません。

――フィジカルボーナスもなくさないのですか?

吉田氏: フィジカルボーナスのポイント割り振りはなくすと思います。特に新規の方がまったくポイントを割り振っていないので、ああ、やっぱりダメだ……と。

――ぜんぜん振ってないんですか?

吉田氏: レベルが上がるのも早いですし、体感を得にくい。

――ではポイントが30とか40とか貯まったまま遊び続けているわけですか?

吉田氏: そうですね。最近のゲームは、よほど大きなシステムで無い限り、自分のパラメータを好きなようにデザインすることが無くなってきましたね。だから、新規の方は、そもそもそういう習慣がない。

――レベルが上がったら強制的にダイアログをバーンと表示して、フィジカルを振るまで閉じられないくらいにしないとダメってことですか?

吉田氏: はい。でも、そこまでビルドして差が出るものではないですし、であればその役割は他のシステムにして、フィジカルのボーナスは無くしても良いのかなと。

「FFXIV」を始めたばかりのビギナーには嬉しい「初心者の館」。今後要望が大きければ「中級者の館」も開発されるかもしれない

――「3.0」ではビギナー向けコンテンツとして「初心者の館」がありました。「4.0」でもそういう大きめのコンテンツは追加されますか?

吉田氏: 先ほどもチラッと出ましたが「中級者の館」は割と話題にはなりますね……。

――はい、欲しいです(笑)。

吉田氏: 極蛮神くらいまで行くプレーヤーの方向けに、スキルローテーションを教えてくれる。開発チームには、意外と乗り気な人もいますね。

――最後にこの後のファンフェスを待ち望んでいる方へのメッセージをお願いします。

吉田氏: 今回の北米での発表は、本当にプロローグに過ぎず、これからが本番です。謎はいっぱい今日の発表の中にちりばめたつもりでいます。例えばティザートレーラーを見ても、なぜこいつらはラールガーの像の上でのんきに摸擬戦やってるんだろうというところから、そもそもこの赤い金髪のお姉さんはだれだろいうというところもそうですし、よくよく見てもらえれば下で戦いの準備をしているやつらもいれば、ある意味ちょっと世界観が見える引きカットがありつつ、後々のヒントになるようなものは入れたつもりです。あと今日の基調講演のセリフの中にも、ヒントがありますので、色々と議論していただけると嬉しく思います。

 これからまだパッチ3.5があります。パッチ3.5の情報が出てきたら、今日の講演と組み合わせて予測。その後はフランクフルトでのヨーロッパファンフェス。これらが一体となって「紅蓮のリベレーター」の全容が見えると思いますので、どうぞ各パッチ、各イベントを思い思いにお楽しみください。

――今回の初夏は、前回「3.0」の春と同じくらいのタイミングと思っておいていいですか?

吉田氏: 僕は前回ポジティブにスプリングと発表しましたが、結局遅れて初夏になってしまいました……。今回は正座しなくても済むように、初夏と表現しましたので、初夏は初夏という認識でお願いします(笑)。きちんと期待していただけるタイミングでお届けできるようにがんばっていますので、ポジティブに楽しんでいただけると僕らも嬉しいです。

――ありがとうございました。