レビュー
「バイオミュータント」レビュー
2021年5月25日 00:00
ゴミ漁りまくり生活で時間がいくらあっても足らねえ!
本作のメインストーリーはシンプルに言えば、冒頭でも触れた世界の4か所に存在する「ワールドイーター」を全て倒すのが目的だ。また本作の世界には6種類の「トライブ」と呼ばれる思想の異なる組織が存在するのだが、これら組織を1つにまとめあげる、という目的も存在する。
メインストーリー自体は非常にシンプルなため、主目的のみをプレイするなら攻略時間は比較的短めで済むだろう。だが、本作の魅力は何といってもスカベンジャーだ。簡単に言うと要するに廃墟内のアイテム漁りのことだ。
本作では広大な大自然のフィールドを歩き回る事になる。世界の中央には、世界を支えるという「生命の樹」の巨大な幹が存在しており、そこから4方向に向かって、巨大な枝がそれぞれ伸びている。
初見では大自然のビジュアルの印象が強いが、その大自然に埋もれた形で過去に人類が見放して廃墟となった建物が多く点在しており、目的地までの道中にはこの手の廃墟や、自動車やトラックなどのなれの果てを見かける事も多い。
こうした廃墟などに近づいてみると、その廃墟を根城にしている盗賊たちがいる場合がある。こうした連中は叩きのめしてやることで、経験値が稼げたり、アイテムが稼げたりする。またこうした廃墟をくまなく探すとその中には現在でも役に立つ、愛すべきガラクタたちが数多く眠っているのである。つまり目的地に向かう間に、非常に多くのこうした廃墟を通る事になるわけで、そりゃ時間がいくらあっても足らなくなる。
廃墟のエリアに侵入すると、画面上には「ロケーション」として、そのエリアに何が隠されているか、の情報も提示される。これら情報を基にして、エリア内に設定されたガラクタなどを全て回収し終えるとエリアクリアとなるような仕掛けもある。エリアクリアは実績解除以外に役に立つ要素は不明だが、落ちてる物は価値のない食器でも拾え、という教訓の元に生きている人たちなら迷うことなく全部かっさらいたくなるだろう。なお、このロケーション設定に含まれないアイテムも存在する。全部見つけ出さずにはいられない。
なお、メインストーリー進行上においてもこうした廃墟への寄り道は重要だ。本作では失った体力や気は基本的に自動で全開する。一方で戦闘中は体力の自動回復がストップ。強敵相手の場合は、こまめに手動で回復アイテムを使っていく必要があるのだが、こうした回復アイテムも、廃墟では非常に多く見つかるのだ。
本作では、道中に商人とのアイテム売買を行なう事もできるのだが、商人によって扱うアイテムが異なるため、出会った商人が必ずしも回復アイテムを取り扱っているとは限らないのだ。また、扱っていた場合もその在庫は有限のため、その商人が持っているアイテムを全て購入しても数が全く足りない、といった事がざらにある。そのため、道中の廃墟などに立ち寄って、回復アイテムを補充しておくことは、命の保証に繋がる大事な作業なのだ。
なお、こうした廃墟で手に入るアイテムとしては、装備可能な服や、武器などの装備品、またそれ単体では装備できないが、手持ちの武器や服などに装着することで利用できる「アドオン」ギア。そして単体では役に立たないが、ゲームを進める事で行なえるようになるクラフトで使用する、装備品の材料となる「ギア」が見つけられる。
なお、入手するアイテムにはそれぞれレア度が存在しており、レア度が高いほど強力な能力を保有し、レア度が低いほど能力は地味となる。一方でレア度が高いアイテムについては利用条件が設けられており、低レベルでは利用できなかったり、特定のステータスが高くないと使えないといった物もあるので注意が必要だ。
入手して利用できる実用的なアイテムとは別に、過去の遺物として登場する「旧世界の保管庫」シリーズは、実際にダンジョン内の仕掛けとしての電装盤などを指す場合もあるし、本当に役に立たないアナログ電話機を指す場合もあるなど、とにかくバラエティ豊かだ。こうしたアイテム探索用のサブクエストも用意されているので、それらをクリアしていくのも本作の楽しみ方の1つだ。
また、もう1つ重要な要素として、本作における「環境問題」についても触れておきたい。前述のようにメインストーリーを進めつつ世界各地を巡ってお宝探しをしていると、唐突に画面上に「焦熱ゾーン」や「寒冷ゾーン」といった表示が出て驚く場合があるだろう。これらのエリアでは、それぞれの過酷な環境に対して適応していない場合、継続ダメージを受け続けていずれ死に至る。
フィールド全体がこうした過酷ゾーンになっている場所もあれば、特定の建物内のみ、過酷な環境になっている場合もある。いずれにせよこうした環境で必要になってくるのがキャラメイクのところで説明した「耐性」だ。耐性を高めた物が条件に合致していれば、ダメージを抑えることができ、より長生きできるようになる。
だがキャラクターがいくら耐性を上げても100%無効化できるようになるまでには時間がかかる。そこで役に立つのが、これら環境に対する耐性を持った防護服だ。それぞれの劣悪環境に合わせた防護服が各地に隠されているため、取りに行ける場所にあるものは、序盤のうちに予め揃えておくことで、さらに広範囲の探索が可能となるので、おススメしておきたい。
アイテムクラフトが“沼”、レアギア求めて三千里
前述のギアを集めたらクラフトに挑戦してみるのも面白い。クラフトは普通にメニュー上から利用できるほか、各地に点在する「アップグレードベンチ」で強化する事も可能だ。クラフトの作業その物はとても簡単で、クラフトメニューで、メインハンドを選んでから「新規近接武器作成」か「新規遠隔攻撃武器作成」を選ぶだけだ。近接武器の場合、素体を選択して、その素体の上に各種パーツを取り付けていくだけだ。素体の種類がそのまま武器の種類となるため、難しい設定など不要でガンガン作れるのは面白い。
近接武器の場合、素体のレア度や種類で全てが決まるため、以降のアドオンや柄などのカスタムはビジュアルや名前などの微調整になる印象だ。こうして柄や素体の名前がもとになった新たなオリジナルカスタム武器が作成できる。シンプルな操作なのに、自分で作成したという実感が感じられるので、素材を集めてクラフトもマメに行なっておきたい。
武器が強化されることで、使い勝手は変わる。恐らくダメージ表示は誰もが注目するポイントだが、近接武器で特に注意したいのは重量や攻撃スピードだ。重量のクラスと攻撃スピードがどれだけ高いかで実際の取り回しが変わってくる。後半になると敵の動きもスピーディーとなり、こちらの連続攻撃中に反撃してくるケースが増える。いくら単発ダメージが高くても、当たらなければ何の役にも立たない。この辺のバランスはうまく調整されており、軽量武器で高速に立ち回るか、重量武器でダメージを取るか、状況に応じた武器の選択もポイントとなる。
遠距離武器についても基本的なやり方は変わらない。素体から銃の種類などを選択し、そこに銃口やグリップ、マガジン、トップなど各部のギアを選択して新たな銃の誕生だ。銃の場合、素体選びの際に、どんな銃を組みたいかを想定して選ぶ事が重要だ。例えばスナイパーライフルのような銃を作るなら射程距離が重要になるし、とにかくダメージを重視するならダメージのみをチェック、射撃スピードは撃つ時の速度なのでこちらも高い方がありがたい。
クラフトで悩ましいのは、部位毎にギアが必要になるが、必要な部位全てにちょうどいいレアパーツがフィットしない場合だ。こうなると各地を点在する廃墟などを散策して、求める部位のギアを探したくなる。
なお、頭部に装着するヘルメットや顔に備えるマスク、上半身の服と下半身の服についてはクラフトは行なえず、代わりにスロットの空きがある場合は、そこにアドオンギアを装着できる。これはシンプルに装着することで、ステータスが強化されたり、特殊能力が付与されたりの恩恵がある。デメリットがないので、ガンガン取り付けていくのがいいだろう。
なお、クラフト完了後も、作成したアイテムは解体する事で元のギアに戻せるし、一部の部品交換なども行なえる。また、取り外したアドオンも再利用が行なえるので、レアなギアがあったとしても、臆することなく使っていけるのは、クラフトを心置きなく楽しめるのでありがたい。
こんな感じでレアなギアを探し回って自身の手でクラフトする事で、フィールド上ではあまり拾う事のない、強力なオリジナル武器を作成する事が可能なのも、「バイオミュータント」のハマり要素の1つと言える。
こうしたメインストーリーと無関係の探索を行なう上で、ちょっと残念なポイントが、何もないところに「ウェイポイント」を設置できない点だ。ウェイポイントとはいわばミッションやサブミッションとは異なるところに設置できるマーカーなのだが、本作では、ランドマークや施設といった特定の位置にしかこのウェイポイントを設置することができない。
例えば、とあるエリアにきてみたが、諸事情で別のミッションを済ませたあとでまた戻りたいといった時、そこにウェイポイントを手動で設置して、また戻るというプレイができないのが非常に残念。これは恐らくアップデートなどで対応できそうな内容なので是非実装してほしい機能だ。
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