レビュー
「バイオミュータント」レビュー
世界を救うか滅ぼすか?バトルに収集、廃墟巡りまで楽しめる骨太オープンワールド
2021年5月25日 00:00
- 【バイオミュータント】
- ジャンル:アクションRPG
- 開発元:Experiment 101
- 発売元:THQ Nordic
- プラットフォーム:PS4/Xbox One/PC
- 発売日:5月25日(※Steam版は5月26日配信)
- 価格:
- 7,590円(税込、PS4版)
- 7,600円(税込、Xbox One/Steam版)
5月25日発売の「バイオミュータント」は突然変異により知恵を持ったケモノたちによるオープンワールドタイプのSFアクションRPGだ。発売はTHQ Nordicで、開発はExperiment 101。
物語の舞台となるのは、放射能などの徹底的な環境破壊の挙句に人類によって見放された地球のような惑星で、こうした劣悪な環境の中で生きられるように突然変異したと思われる知恵を持ったケモノたちが主人公だ。環境汚染による星の終焉が近づく中で、主人公に与えられた使命は、現在の星の支えになっているとされる謎の巨大な樹木「生命の樹」を蝕む巨大なモンスター「ワールドイーター」を倒して、「生命の樹」を救うか、または星を支える「生命の樹」を破壊して、星その物を終わらせること。
究極の2択をつきつけられた形だが、主人公はいきなり答えを出す必要はなく、物語を通じてどちらの道に進むか、プレイスタイルから判断されるという仕組みだ。
本作最大の魅力は、そこかしこにちりばめられたSF設定の数々だ。とにかく遥かなる未来が舞台にも関わらず、夢のような未来都市ではなく、環境汚染により荒廃し、そんな中でもたくましく土に根を張り、草木を実らせる大自然の脅威が感じられる世界。この世界の中で生き抜く住人たちと主人公たちのドラマは、単なるディストピア物とは異なるユニークで独特な世界観に仕上がっている。
そしてアクションゲームとしても装備する武器に応じて技の種類などが変化し、シンプルな操作ながらもド派手でカッコいいブルース・リーさながらのカンフーアクションや、爽快かつ緩急あるジョン・ウーばりのガンアクションが楽しめるのも魅力の1つだ。本作で驚くのはこれら2つの異なるアクションがスムーズにどちらも楽しめるという欲張りな作りになっているところだ。
今回はPS4版「バイオミュータント」をとりあえず1周クリアしたところまでガッツリプレイした上で、本作の魅力について語っていきたい。
ミュータント感満載のキャラメイク、脳筋は「腕力」、サイ能力者は「知性」で決まり
本作では初期のキャラクターメイキングで6種類の種族からどれか1つを選んでゲームを開始する。種族は本作オリジナルの世界観で構築されており、「プライマル」、「ダムドン」、「レックス」、「ハイラ」、「フィップ」、「マーゲル」といった感じで、名前を聞いただけではイメージしにくい物が多いが、この辺りはあまり気にせず、説明文とステータスの変化を見ながら、自分がプレイしたいタイプを想定しながら種族を設定するといいだろう。
また、種族を選ぶと「キャラクターのミューテーション」という項目からステータスの調整が行なえる。ここでステータスと外見が連動する円形の枠の中をカーソル移動させることで実に様々なキャラクターが構築できるようになっている。元々選んだ種族の特性を突き詰める形でステータスを強化させたり、あえて種族の不得意な領域を伸ばす、といった調整も行なえるので、これらは2つで1つと考える方がキャラメイクはやりやすい。
具体的には近接武器を使った戦闘をメインでいくなら腕力の高い種族、道中の交渉や会話をスムーズに行ないたいならカリスマ、魔法……は存在しないが超能力ならぬ「サイ能力」メインで戦うなら知性を上げておく、といった感じだ。もちろんバランスよくどれも器用にこなせる万能キャラで進めるのもアリだ。特に本作の場合、こうした万能キャラでも楽しく遊べるような作りになっているので、均等にステータスを上げていくのも面白そうだ。
続いて耐性。「焦熱」、「バイオハザード」、「放射能」、「寒冷」と項目があり、それぞれ均一に設定してもいいし、脳内のキャラ設定に合わせて耐熱を強化するなどの調整をするのもいいだろう。これらはゲームをプレイすると必要な理由が分かってくるが、ゲーム内でも対策が用意されており、ここの設定が理由でプレイが詰んでしまうような事はないため、気楽に選んでも大丈夫だ。筆者はデフォルトのまま進めた。
そのあとは毛皮の生え方やカラーなどの外観を設定して、最後に「クラス」の選択となる。クラスはステータス選択時に想定したゲームを進める上でのメインのプレイスタイルに直結するポイントだ。例えば「デッドアイ」や「コマンドー」はガンアクションメイン、本作における超能力であるサイ能力をメインで戦う場合、「サイフリーク」、近接武器メインなら「サボター」や「センチネル」といった感じだ。
今回の筆者はとにかく脳筋の近接バトル特化のキャラクターにした。そのため、ステータスも腕力に全振り、クラスはサボターを選択することで、最初から二刀流スキルを備えられた。
サイ能力、銃撃戦、カンフーなどなんでもアリなバトルの数々!
さて、こんな感じの脳筋ファイターでプレイを開始してみたが、近接戦闘チョイスはやはり気持ちいい。本作では「ドッジ」と呼ばれる気のエネルギーを消費して敵の攻撃を回避したり、ぐるぐると転がりながら移動することで混戦の中からスムーズに離脱する操作があるが、このドッジを多用しやすい特性を持っているのがサボターなのだ。
そして敵とのバトルだが、ドッジで回転して回避しつつ、近づいて手持ちの近接武器を使って敵を切り裂き、再び離脱、または一気に連打で敵を仕留めるなど近接武器の攻撃はリズミカルであり、正にカンフー映画のテイスト満載で気持ちいい。そして本作の魅力の1つは、近接攻撃の武器と遠距離武器の銃とをシームレスに切り替えを意識する事なく攻撃できるスタイルとなっている事だ。
PS4版の本作では、近接攻撃は「□」ボタン、銃撃は「R2」トリガーとなっており、特に武器の切り替えなどを行なわなくても、それぞれボタンを押したタイミングでそれぞれに該当する攻撃を行なってくれるのだが、これが非常に快適なのだ。
銃と武器を切り替える作業が発生するとその切替自体が面倒になってしまうので、結果的に銃のみだったり、近接武器のみだったりと偏った行動パターンになりがちだが、こうした武器の種類を切り替える事なく、コントローラのボタンを押し分けるだけでこれらが簡単に交互に利用できるのは、両方楽しめる贅沢な作りだ。
また、本作が遊んでいて面白い要因の1つは、近接武器や遠距離武器など装備の種類ごとにそれぞれ「ワン・フー」と呼ばれるスキルが設けられている点だ。さらに言うと、それらのワン・フーはコマンドで発動するのだが、これらコマンドがほぼ共通になっているのもポイントと言えるだろう。
例えば、基本的なワン・フーは全て何か別のアクションと攻撃という連携で行なう。ジャンプをしてから近接攻撃、ドッジの直後の攻撃などの組み合わせで通常の攻撃とは異なるワン・フーアクションが披露される。そして近接攻撃を5連続行なうことでこれまた別のワン・フーアクションへと変化するなど。
こうした特殊なワン・フーに加えて、さらに上位のワン・フーとして通常攻撃2回+「△」という普段は戦闘で使用しないボタンを合わせることで、強力な特殊攻撃が繰り出せる。この特殊攻撃が決まると、画面上に技の名前が華麗に飛び出るというゴージャスな演出が用意されている。威力も強力なので使っていてテンションが上がる事は間違いない。またこれに加えて、遠距離武器で2回射撃した後、さらに「△」で特殊な攻撃が発動するワン・フーもある。これら上位のワン・フーはレベルアップ時などに手に入るアップグレード・ポイントを消費する事で取得する必要がある。
また、銃などの遠距離武器については、ドッジと近接攻撃の後に遠距離武器を使うことで発動する特殊攻撃や、2段ジャンプ後に遠距離武器を使うと発動する特殊攻撃が用意される。
これだけ充実したワン・フーの数々に加えて、さらに上位となる「スーパー・ワン・フー」も存在する。これは異なる特殊攻撃を命中させてスタンプを溜めることで発動できる。「スーパー・ワン・フー」状態となり、この状態で放つことができる必殺技も用意されているのだ。筆者のプレイスタイルの場合、異なる特殊攻撃を使用する事がなく、何度かトライしてみたが、このスーパー・ワン・フー状態になることができなかったので、これについては是非プレイして試してみてほしい。
こうした近接攻撃と遠距離攻撃の他には、サイ能力、そしてバイオジェネティクスという特殊な能力も用意される。これらについては、「L2」ボタンを押下し続けることで、画面上に4種類のキーが表示され、そこに割り当てられたサイ能力、またはバイオジェネティクスの能力が表示されるので、あとは割り当てたキーを押す事で、それぞれの能力が発動できる。
ざっと書いたが、実際のところ本作においては、上記で全ての技が発動できる。コマンドがシンプルに体系化されているので、遠距離武器と近接攻撃、あとは特殊能力の攻撃方法とこれらのコマンドの体系を覚えてしまえば、あとは新しい武器を装備しても、コマンドが全く変わらないため、装備している武器を意識することなく、スペシャルなビジュアルのワン・フーが発動できる。
プレイスタイルにもよるが、例えば筆者の場合、とにかくレベルが上がるたびにひたすら腕力に能力値を割り当ててきた。その結果、近接攻撃を使うと一撃でかなりのダメージを与えられるようになったため、普段の戦闘では近接武器を使う事が多い。1発のダメージが少しでも大きくなるように両手剣を装備している。
一方で体力が少ないため、一撃のダメージがでかい巨大な敵との戦闘では、この猪突猛進のスタイルを貫くと、体力が一気に持っていかれて死にやすい。そのため、相手の攻撃をかわした直後など、敵の隙が見えたところで、懐に飛び込んで近接攻撃、そしてドッジなどで離脱したら、即座に銃で威嚇射撃と体力削りのスタイルだ。遠距離武器については、色々変えて試しているが、未だに迷っており、短射程のショットガンと射程が長めのライフルの2つがメインとなっている。
サイ能力やバイオジェネティクスは元々の知性のステータスが低いため、殆ど使わない。ドッジの際にも気を消耗するため、サイ能力などを使いすぎるとすぐに気がなくなってしまうからだ。だが、ビジュアル的にどうしてもカッコよすぎたので、装着してたまに使っているのが、地面の下から巨大な拳が出現して、敵に攻撃を仕掛けるバイオジェネティクスの「マッドパンチ」だ。他にも強そうかなと思う能力を色々導入しては試しているが、筆者のスタイルにマッチしたのは、この「マッドパンチ」のみだった。
こんな感じの近接メイン、時々遠距離、ところによりサイ能力というスタイルでバトルすることで、かなりの修羅場をくぐり抜けることができた。
また、クリア後に再度、サイ能力を中心に戦うキャラクターを作成してプレイし直してみた。こちらも知性特化でステータスを上げる事で、サイ能力のダメージが格段に高くなり、気持ちよく戦えた。一方で気がなくなるとサイ能力が使えなくなるため、その間は、近接攻撃や銃による遠距離攻撃で敵をしのぐ。気が回復したところで、再度サイ能力で敵を殲滅するスタイルだ。サイ能力メインで使っていると緊急回避時のドッジが使えない場合などもあるので、気を使い切る少し手前で回復するようなサイクルの方がより確実に戦えそうだ。
なお、サイ能力者の場合、高ランクのサイ能力の取得に「光」のポイントが条件になる。逆に言うと「闇」メインでプレイするサイ能力者は、取得できるサイ能力に制限が発生してしまうので、サイ能力メインでプレイする人は「光」メインで進める選択も考慮した方がよさそうだ。
なお、前述のとおりサイ能力は他の戦闘と操作ボタンが異なるので、均等に育てた場合は遠距離射撃と近接攻撃、さらに超能力やバイオジェネティクスをシームレスに切り替えて戦えるので、万能キャラを作った場合なら多彩な攻撃をガンガン使えるので非常に気持ちよくバトルができそうだ。
もう1点、本作の銃などの遠隔攻撃のターゲッティングについて補足しておこう。本作の銃などのターゲッティングはオートエイムではなく、セミオートだ。そのため、正面の敵に対してある程度はターゲッティングしてくれるが、微調整はこちらで行なう必要がある。ちなみにサイ能力のターゲッティングはほぼオートエイムなのだが、たまにこちらの望まない敵にターゲッティングされるのが悩ましい。
また、カーソルキーのアイテムショートカットについても触れておこう。カーソルの右を押下し続けることで、近接武器が、左なら遠距離武器、上なら消費アイテムがチョイス可能だ。消費アイテムのショートカットは事前にメニュー上で登録しておく必要があるので、ボス戦の前など、ピンチになってから設定せずに事前に設定しておこう。また、下の場合は乗り物がチョイスできる。特にイベントで手に入る乗り物についてはここからしか呼び出せない点には注意が必要だ。
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