レビュー
「バイオミュータント」レビュー
2021年5月25日 00:00
バトル前のセーブ必須!大迫力の超大型ボス「ワールドイーター」
メインストーリーを進める上で、プレーヤーの障壁となるのが、4体の「ワールドイーター」だ。本作におけるラスボス的な存在は別にいるが、これらはエリアボスのような物だ。主人公たちとは進化の方向性が明らかに異なる巨大な体躯と、話し合いなどが通用しなさそうな凶悪な性格、そして無尽蔵な体力と、「ワールドイーター」の存在は本作を進める上では避けて通れない強力な敵である。
いきなり行なっても会えないため、そもそも彼らと対峙するためには、地元で「ワールドイーター」を倒すために活動している仲間と協力する必要がある。仲間たちは「ワールドイーター」と戦うために必要な移動手段と、「ワールドイーター」を弱めるためのアイディアを提供してくれるので、これらを揃えた上で挑む。
仲間たちの指示通りに進めないと「ワールドイーター」とは戦えないので、「ワールドイーター」と対峙できる状態になった時は、一応戦闘準備ができた証だ。ただし、仲間たちが教えてくれない「ワールドイーター」との戦いの細部とクセの強さについて、ここで触れておこう。
まず、「ワールドイーター」との戦いが開始されると、以後、倒すまでは戦場から抜ける事ができなくなる。ちょっと様子を見てみようなんて軽い気持ちでいくと後悔する事になるので、回復アイテムの補充をしておくとか、レベルを上げてスキルを強化するなど、事前の準備は必須だ。
そして万が一、想定よりも回復アイテムが足らなかった、などの事態に陥ってもいいように、セーブ可能で脱出可能なポイントにおいて、事前に“手動”でのセーブを心掛けておくのがいいだろう。本作では基本的にオートセーブでほぼ問題なくプレイできるし、「ワールドイーター」戦においても、単純に何度かリトライすれば倒せる状況というのもある。このような場合は普通にオートセーブのポイントからのリトライでいいのだが、万が一の時に「ワールドイーター」戦から一度離脱したくなった時のために、手動で意図的なセーブをしておくのが重要だ。
ここからは「ワールドイーター」戦の流れを簡単に説明しておく。「ワールドイーター」は通常時、こちらの攻撃を一切受け付けない。この状態の時は画面上部のライフ表示のところに「無限大」のマークが表示されている。この状態で弱点への攻撃や、特殊攻撃を受けることで、3段階のライフ表示に変化する場合がある。ここが狙い目ポイントなので、ガンガン攻撃をぶちかまそう。
あとはこの繰り返しとなるが、3段階のライフ表示の区切りのところでは、「ワールドイーター」の行動パターンが変化する区切りだ。相手の攻撃パターンが変わるような場合もあれば、逆にこちらの攻撃パターンを変える必要が出てくる場合もあるので、画面上の指示に注力しておこう。
「ワールドイーター」戦が一番クセの強さを感じるポイントとしては、移動手段として馬のような「ムート」や巨大ロボ「メクトン」、1人乗りの高速ボート「グーグライド」、潜水艦の「オクトポッド」といった通常のバトル時とは異なる乗り物に乗ったままの状態で戦う必要があるからだ。これについては、バトル前の自由に動けるタイミングのところで動き回ったりして、慣れるようにしていくしか方法はないだろう。
さらには、通常とは異なるバトルが展開することになるため、それぞれの「ワールドイーター」戦だけ、いつもの戦い方ではなく、そこだけみんな一律のバトルを展開する必要がある、という点についてもちょっとクセの強さを感じたポイントだった。
パワーアップで更なる強化も!サブクエストで強化されるアイテムたち
本作はオープンワールドであり、やろうと思えば、ストーリーとは無関係に世界各地を巡る事もできる。ただ、その場合もある程度メインのストーリーを進めて手に入れておいた方が、よりスムーズに世界を巡れるメカもある。それが前述の「ワールドイーター」戦の準備段階で手に入る各種メカだ。
そのうち「グーグライド」や巨大ロボ「メクトン」、馬のような「ムート」は方向キー下を押すと表示されるコマンドから呼び出して、ワールドイーター」戦以外でも使えるのだ。
これらのうち「グーグライド」や「メクトン」はパワーアップパーツで強化する事ができる。強化するとさらに強くなったり、今まで行けなかった場所が通過できるようになるなど、パワーアップが確実にこちらの役に立つものばかりなのだ。強化パーツは「残骸ボックス」と呼ばれるボックスがフィールドのあちこちに隠されており、サブミッションとして用意されているので、これをたどる事で入手が可能だ。
今回のプレイでは全ての強化パーツを追い切れなかったのでその全貌は語れないが、「グーグライド」については、実際に強化パーツの恩恵を感じられる場面があったので紹介したい。
本作の世界の南部には水面が多数を占めるエリアがある。このエリアを自由自在に移動するのに「グーグライド」は最早必須に近い搭乗機だ。ところが水質によって移動できないエリアがあり、そこを移動するためには「グーグライド」の強化が必要だったのだ。
サブミッションを調べると「グーグライド」と名付けられたサブミッションがあり、このサブミッションを追跡することで、最大9つの残骸ボックスがあり、強化が可能なのだ。そこでこのサブミッションを追って強化パーツをゲット、「グーグライド」に取り付けて強化してみたところ、今まで移動できなかった水域が移動できるようになったのだ。このように既存のメカのパワーアップをサブミッションでパーツを探して行なえるという仕掛けは非常に面白くて感動した。
また序盤で登場する、ビジュアルの演出が驚くほどド派手でカッコいい武器「旧世界のクロンクフィスト」や、チュートリアルで登場した「バール」のようなものなども、道中のサブクエストでパワーアップしてもらうことで、より強固な壁を破壊したり、固い扉を開けるようになる仕組みが用意されているのは胸が熱い。こちらも最大限までの強化は試していないが、サブミッションを進める事で強化が可能となっている。
さらに驚くのはこんなに凝ったアイテム強化の仕組みがゲームクリア上で必須のアクションになっておらず、あくまでもオプションの1つに留めている点だ。このように直接のストーリークリアと関係しないところに数多くのギミックが隠されているのも、「バイオミュータント」の魅力の1つと言える。
その他にも本作において、主人公に常についてまわる、バッタのようなメカ、オートマトンの機能強化も見逃せない。
本作では「過去」からの因縁も重要なテーマの1つとなっているが、物語の道中で、たまに唐突に「蜃気楼」と呼ばれるサブクエストが発生する場合がある。このサブクエストは、唐突に画面の中に過去の記憶に導いてくれる案内人が登場し、彼に触れることで過去の記憶が甦ってくる。そしてこの蜃気楼のイベントをクリアする事で、常に主人公について回るオートマトンの機能強化が行なえるようになる。
オートマトンの機能強化は全部で4種類あり、戦闘中の援護射撃や、グライダー機能など、どれも強力な物ばかりなので、他のイベントは差し置いてでも「蜃気楼」のサブミッションが発生した際には最優先でトライするのをお勧めしたい。
「光」と「闇」の解釈の奥の深さ
本作のメインのストーリーを進める上で避けて通れないのが「光」と「闇」の選択に迫られる事だ。筆者がプレイしていて感じる本作における光の定義は自己犠牲と献身、命あるものはなるべく生かす道を模索する。つまり現在瀕死の「生命の樹」についても生かせる道を模索するのがストーリーの流れとなる。そして本作の「闇」は強き者が生き残り、弱者は消える。つまり現在瀕死状態の「生命の樹」もそのまま殺してやるのがいいという考えとストーリーの流れとなるわけだ。
これら2択について、どちらがいいとか悪いわけではない。だが実際にゲームをプレイしているとゲーム内のキャラクターたちのリアクションは「光」の行動に対しては前向きに受け入れてくれるが、後者に対しては否定的になるキャラクターたちが多い。そのため本作をプレイしていると「闇」の選択をする事はマイノリティである事も意識しながらの行動が必要になる。否定されてでも前に進むだけの覚悟が必要になるのだ。
筆者のプレイはそういう意味では中途半端だった。当初は「闇」の道を選択した。ボロボロになった「生命の樹」に無理に生き永らえてもらうよりは、いっそ一思いになくしてしまった方がいいのではないかと考えたからだ。ところがプレイしていると「闇」の選択肢は心が苦しい物が多いのでどうしても選択できない場合が出てくる。
例えば本作では盗賊たちの住処にいくと巡礼者たちが囚われの身になっていることがある。これらを解放したのち、会話をしていると、手助けをするか放置するかの2択となる。放置なら別に問題はないかと思っていたのだが、実際にそちらを選択するとなぜか巡礼者に罵られた挙句、主人公は彼らを殴り飛ばすのだ。え?放置しておけばいいだけじゃないの?と思うのだが、こうした想定外の行動は小さなストレスとなるので、結局後半では「闇」の選択をする事なく、ゲームを進めてしまったため、最終的に「光」と「闇」のバランスが非常に中途半端になり、光がちょっと強いみたいな感じになってしまった。
これ以上語るとエンディングのネタバレになるのでやめておくが、上記の筆者のプレイスタイルの結果だと、光というより闇に近いエンディングとなった印象だ。そしてその後セーブデータを使って、わざと「闇」の要素を増やして「闇」が「光」を上回る状態にして再度エンディングを見てみたが、多少のセリフの変化はあったものの、その結末はほぼ変化しなかった。
つまり、本作におけるエンディングはこの「光」と「闇」のバランスをもっと極端にどちらかに寄せるか、または道中でキーとなる行動があり、そこでの選択がエンディングに関与する可能性が高そうだ。
そういう意味で、筆者は実質1種類のエンディングしか確認する事ができなかった。だが、本作は様々なキャラクターが楽しめる作りのため、あえて「闇」一択のスタイルでプレイしてみたり、近接メインからサイ能力メインで遊んだりと、様々な遊び方が楽しめる。何度もプレイする事できっと「光」と「闇」に秘められた思いについて深く知る事ができる日も来るだろう。
今回のレビューでは、近接メインの脳筋キャラでのプレイスタイルを紹介する事になったが、おそらく知識に全振りしたサイ能力メインのキャラクターでプレイすると、また違った道が見えてきそうだ。ということで次はサイ能力をフルに使えるサイフリークでまずは「光」の道を突き進んでみようと思う。このように「バイオミュータント」は末永く遊べるタイトルとして非常に魅力的な1本と感じた。是非「光」と「闇」の真実を突き止めてみてほしい。
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