PCゲームレビュー「Civilization: Beyond Earth」
Civilization: Beyond Earth
文明の戦略を支配する新要素「アフィニティー」を追求せよ
(2014/10/23 22:00)
文明の戦略を支配する新要素「アフィニティー」を追求せよ
前述のように本作では、地球版の戦車ユニットのように速く出せば勝ちが確定するような“必勝パターン”は簡単には見つけられない。だが、プレイの基本として、常に追求する価値のある要素がある。本作のオリジナル要素となる「アフィニティー」だ。
「アフィニティー」は、文明の特徴と進歩レベルを図る3種のバロメーターのようなものだ。かつての地球そのままの姿で理想の人類を目指す「純血」、新惑星でのやり方を柔軟に取り入れて高みを目指す「至高」、新しい環境への完全な土着化を目指す「調和」。この3種にそれぞれレベルがあり、新しいレベルに到達すると、その「アフィニティー」に対応した恩恵がアンロックされていく仕組みだ。
特に大きいのは、軍事ユニットのアップグレードが完全に「アフィニティー」のレベルに依存していることである。地球版では、騎兵隊を戦車にアップグレードするためには金銭が必要だったが、本作では、「アフィニティー」が上がれば自動的に「兵士」が「マリーン」に、「マリーン」が「センチネル」等に強化されていく。1回のアップグレードでユニットの戦闘力が一世代分変わる感じで、2世代の差が付けば、もう戦争は勝負にならないほどの差が付く。
アップグレードは3種のうち最も高い「アフィニティー」が前提になる。このため、3種のアフィニティーを同列に伸ばすよりも、どれかに特化したほうが有利だ。それに、各「アフィニティー」はレベル毎に文明全体に恩恵を与える効果が付随している(調和:エイリアンに襲われなくなる、至高:道路の維持費が無料になる、など)のだが、これもやはり上位のレベルになるほど効果が強い。
だから基本的には、文明を発展させる中でいずれかの「アフィニティー」を徹底的に伸ばすことが重要になる。そして、各「アフィニティー」のレベルを上げる最も基本的な方法は、それに対応する技術を開発することだ。また、そのうちのいくつかの技術でアンロックされる「アフィニティー」毎のユニークユニットや建物は強力な効果があるかわり、対応した戦略資源が生産のために必要だ。
その対応は「純血」なら「浮遊石」、「至高」なら「フィラクサイト」、「調和」なら「ゼノマス」となっている。自分がメインにした「アフィニティー」に対応した戦略資源が入手できない場合はユニークユニットが生産できないなど痛い目を見るので、1ターン目の入植地付近で豊富に手に入るモノを基準に伸ばす「アフィニティー」を決める、というのが序盤の基本的な判断になるのだ。
これさえわかってしまえば、数ある勝利条件のうち、全てのライバルの首都を落とす「制圧による勝利」は簡単に目指せる。これを足がかりに他の勝利条件に近づくことができるので、本作のプレイに慣れるまでは、まず軍事的にプレイしてみることをおすすめしたい。
「アフィニティー」を伸ばしていく中で面白いのは、それが本作の様々な新要素に有機的に結びついていることだ。それは「テクノロジーウェブ」で次の開発技術を選ぶ際の方向性を決め、軍事ユニットが何にアップグレードされるかを決め、そしてエイリアンとの付き合い方をも決めていく。例えば「調和」アフィニティーの最強固有ユニットは、戦闘力100を超える巨大エイリアン・ミュータントだ。
そして本作のプレイを通じて取り組んでいくもうひとつの要素「クエスト」も、やはり「アフィニティー」の成長に強く関わってくる。「クエスト」はゲームの進行に応じて発生する様々なタスクのことで、単に与えられた選択肢から1つを選べばちょっとした報酬を得られるものから、達成するために何十ターンも取り組む必要があるような、連続したタスクもある。
それぞれの「クエスト」は本作のSF的なバックグラウンドを反映した筋書きになっているものが多く、想像を膨らますことができて面白い。使役動物として訓練したエイリアンを愛玩ペット化するかどうかの選択、不時着してきた機械人間たちのために新たな都市を用意するか、同化を迫る連続タスク。その中の選択によって、対応する「アフィニティー」レベルにも影響を与えていくのだ。大いに利用すべし!
ただ、「クエスト」の全てをこなす必要はない。たとえば新しい都市の建設を必要とするクエストは、小規模文明でやっていく戦略を取るなら無視すればいいし、とあるステーション(独立企業のもので、交易することで利益が得られる。地球版の小文明に相当)を破壊せよ、といった「クエスト」は、状況によってリワードが見合わない事がある。そういう、やらなくてもいい「クエスト」に引っ張られた結果、取ろうとしていた当初の戦略が崩れてしまうこともある。だからプレーヤーは、何かにつけ常に自らの意志で決定を下さなければならないのだ。それが本作の面白いところでもある。