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【E3 2014】文明シム最新作「Civilization: Beyond Earth」プレビュー

宇宙時代の人類を描く「Civ」。環境も都市も技術も、全てがエキゾチックな作品に!

6月10日~6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

本作のデモルーム前には長蛇の列。熱心なファンの多いシリーズだけに高い注目度だ

 北米大手パブリッシャーのひとつ、2K Gamesが今秋発売を予定する「Sid Meier's Civilization: Beyond Earth」。1999年に発売された往年の傑作「Sid Meier's Alpha Centauri(SMAC)」から15年ぶりに、太陽系外惑星を舞台とする文明シミュレーションゲームの登場だ。

 4月に発表されたばかりの本作だが、既にゲーム仕様も固まり、発売に向けた最終調整の段階だ。E3 2014の2K Gamesブースでは本作のライブデモが披露されており、気になるゲームの流れや、未知の惑星が舞台となる作品ならではのエキゾチックな要素の数々を見ることができた。さっそくその内容をご紹介していこう。

【Official Sid Meier's Civilization: Beyond Earth Announce Trailer -- "A New Beginning"】

人類の未来。未知の惑星で始まるコロニーの衝突!

未知の惑星へ降り立った入植者。周囲は見るからに危なさそうな地形に覆われている

 今回、見ることができたのは20分ほどのプレイデモ。惑星の大半が未探索の状況からのスタートで、ゲーム序盤と見られるところから探索、外交、戦闘、研究、その他の要素をぐるりとチェックした。

 本作の主人公となるのは、太陽系外に進出し、様々な地球型惑星へ植民を開始した未来の人類だ。「Civ」シリーズでいう“文明”に相当するのは、地球時代以来の民族的・資本的バックグラウンドを持つ各コロニー支援組織だ。

 その内訳は、アジア系の「Pan-Asian Cooperative」、アフリカ系の「The Peoples' African Union」、インド系の「Kavithan Protectorate」、アメリカ系の「American Reclamation Corporation」。地球環境の悪化により引き起こされた“Great Mistake”事件を契機に、太陽系外に新たなユートピアを求めてそれぞれに飛び出した組織であり、地球内部の勢力争いをそのまま引きずっているという状態だ。

 未来人類とはいえ、なにしろ、外宇宙探索のために国家を超えた共同体を必要とする程度の技術レベルである。ほうほうの体でたどり着いた未知の惑星では、在来の非知的エイリアンに生命を脅かされ、有毒のガスに怯えつつ、貧弱なコロニーを建設して新たな文明を創りあげなければならない。それも、他のコロニーと貴重な資源を奪い合いながら……というわけで、従来の「Civ」同様、ライバルを出しぬき、出し抜かれという文明の衝突が始まる。

「Pan-Asian Cooperative」のリーダー
「The Peoples' African Union」のリーダー
「Kavithan Protectorate」のリーダー
「American Reclamation Corporation」のリーダー

通りがかるだけで都市を破壊する威力のシージワーム
都市が勢力の基本となる点は「Civ」そのもの
宇宙へ飛び出しても、戦争はやめられない!

 母なる地球とは大違いで、未知の惑星は危険でいっぱいだ。地球で言えば蛮族に相当する非知的エイリアンはウヨウヨしているし、「Siege Worm(シージワーム)」と呼ばれる巨大生物が都市に通りがかろうものなら、それだけで建物がドカドカ破壊されてしまう。テクノロジーを回収できる墜落ポッドや先史文明の遺跡は序盤の助けになるものの、やはり発展の基礎となるのは都市だ。

 本作における都市は、勢力圏内の環境を“地球化”する基地のようなイメージ。周辺のタイルに農場など各種施設を作れる点では従来の「Civ」と同じで、勢力全体の力の源泉となる存在だ。

 もちろんライバル組織たちもそれぞれにコロニーを建設している。これらとは外交、戦争を通じてやりあっていくことになるが、直接軍事力で叩かずとも、「Covert Ops(秘密活動)」により直接的な妨害工作を仕掛けたり、あるいはシージワームを誘導して派手に破壊させるといった嫌がらせ手段も多彩に用意されている。

 戦争に訴える場合、軍事ユニットが主役になる。ロボット歩兵に巨大殺人メカ、海上に展開して都市砲撃を加える戦艦相当のユニットもあって、戦闘の進め方はおおむね「Civ5」相当。宇宙時代らしいプラスαとしては「衛星」のシステムがある。

 例えば軍事衛星「Tacnet Hub」の影響範囲内では各戦闘ユニットの能力が大きく上がるという効果(前作の“大将軍”的な感じ)があり、範囲内での戦闘が非常に優位に進む。ゲームを通してどこに衛星を配置するかが、勢力の力が及ぶ範囲を示すバロメーターになりそうだ。

土地の確保と都市の建設、各所に散らばる戦略資源の取得や活用など、基本的なルールは「Civilization V」と共通になるようだ

勢力の個性を広げる「テクノロジーウェブ」に注目

 その上で、本質的に勢力の能力と特質を決めるのは、やはり技術だ。本作では従来の技術ツリーをやめ、「テクノロジーウェブ」という蜘蛛の巣状の技術開発スキームをとっているのが面白い。

 各技術は「エンジニアリング」、「コンピューティング」、「ロボティクス」というふうに大きなジャンル毎にまとめられ、それぞれの項目のレベルを上げることで、それに属する新技術がアンロックされるという仕組み。ただし各項目は関連するもの同士が糸で結ばれていて、それぞれの発展度合いが影響しあうというのがポイントだ。

 例えば「ロボティクス」を高く発展させるためには、関連項目である「コンピューティング」と「フィジックス」、「エンジニアリング」のそれぞれも相応に高めておく必要がある。従来の技術ツリーの概念とは違って、単方向に技術を伸ばしていくだけでなく、どの技術分野に重点を置くかを柔軟に決定できる仕組みだ。プレイを通じて、勢力の個性が強く現われることになりそうである。

 こうして本作では和戦両面の戦略を駆使しつつ、複数の勝利条件のいずれかを目指していくことになる。ライバルを全員倒す、ワープゲートを作り地球人類を移民させる、逆に地球に軍隊を送り込み母星を支配する、あるいは古代文明や外宇宙の知的存在との接触、融合による勝利。

 往年の傑作「SMAC」と同様、ゲームの環境、プレイ手段から勝利への道筋まで、未来技術や外宇宙の持つエキゾチックな雰囲気がたっぷり詰まっている。「Civ」シリーズの例にもれず、ファンの皆さんにはまた眠れぬ夜を約束してくれるに違いない。

(佐藤カフジ)