「サイバーパンク2077」レビュー

浴びるほどのナイトシティ生活が待っている!

 ナイトシティには本当に多くの人がいる。モブという意味でもそうだし、クセ者という意味でもそうだ。

 だからこそ、良いやつも悪いやつも含めて人々との出会いが変化に満ちていて楽しい。この世界の人は誰もが体を何かしら改造していて、見た目も趣味も精神状態もバラエティに富んでいる。依頼の内容によってはナイトシティの王者になったような気分になれるものもあるし、口の中に害虫が入り込んだような最悪の気分にもさせられたりもする。

フィクサーのデクスター・デショーン
ある事件から会社をクビになり、憤怒する日本人傭兵のタケムラ。こんな世界でもサラリーマンの悲哀を感じさせてくれる
政治家のペラリス夫妻。表面上は優しいが……

 依頼が出会いを呼び、その出会いがまた依頼を呼ぶ。そうして、興奮に満ちた冒険へ自らを投じていく。これだから、ナイトシティでの傭兵稼業はやめられない。そう言っているそばからさっそく、次期ナイトシティ市長候補の政治家からお呼びがかかった。物言いは穏やかだが、ほかの政治家やフィクサーと同じく、腹の中では何を考えているかわからない。でも、行く。それがナイトシティでの過ごし方だし、何よりスリルを味わえるからだ。

 そしてやはり、腐敗が凝縮したようなナイトシティは、どこかしら今いる現実世界と地続きなのだと感じる。世界観的には「裏切って当たり前なんだよバーカ!」みたいな殺伐とした街なのだが、だからこそ、そこからは家族や信頼など心がじんわりと温まるようなものがテーマとして浮上してくる。誰を信頼し、誰を叩き潰し、誰を救うのか。そんな普遍的な部分も内包しているのが、「サイバーパンク2077」の懐の深さではないだろうか。

 さて、ナイトシティにはまだまだ知られざる魅力が詰まっている。この絶望と希望の街に再び降り立ち、時間の許す限り、登場人物たちの数奇な運命をもっと見届けることにしたい。