ゲーミングPC「GF63 8RD-067JP」レビュー

GF63 8RD-067JP

お財布に優しいエントリーモデルを「フォートナイト」などの人気タイトルで実力をチェック!

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • MSI
開発元:
  • MSI
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
173,000円(税込)前後
発売日:
2018年8月11日

 eスポーツの人気がじわじわ増してきているのと同時に、筆者が住んでいる地方の家電量販店でも、ゲーミングPCのコーナーが日々勢力を拡大している。かつては大きい、重い、高いと三拍子揃っている印象が強かったゲーミングノートだが、最近ではMax-Qデザインに対応した薄型・軽量かつパワフルなモデルが続々と登場して、ゲームファンのみならず、これまで前記のような理由でゲーミングノートを敬遠していた人でも、PC購入時の新たな選択肢として考えることができるようになっている。

 8月よりGAME Watch編集部では、新しいPCレビューの形態として「GAME Watch認定プログラム」をスタートさせている。これはベンチマークのスコアよりも、実際のゲームプレイでのパフォーマンスを重視し、人気タイトルや新作タイトルがどの程度動くのかを認定する仕組みだ。

 今回は、MSIの薄型・軽量ゲーミングノートPC「GF63 8RD-067JP」を紹介したい。本製品は、MSIのゲーミングPCブランド「Gシリーズ」の中では、エントリーモデルと位置づけられているモデル。というと、価格重視で性能は妥協しているような印象を受けるかもしれないが、本製品に限ってはこの価格でこの性能が手に入るのかと、嬉しい驚きを感じるはずだ。

Max-Qデザインの薄型モデルに、6コア/12スレッドのCore i7-8750HとGTX 1050 Tiを搭載

 小さな体に秘めた底力を見る前に、まずはスペックを確認しよう。本製品はNVIDIAが提唱する薄さ、静音性、そしてパフォーマンスを備えたMax-Qデザインに対応しており、14インチサイズの本体は重さ1.86kg、薄さ21.7mmと、片手で小脇に抱えて持ち歩いてもまったく違和感のないサイズに収まっている。

【GF63 8RD-067JP】
CPU:Core i7-8750H
GPU:GeForce GTX 1050 Ti(Max-Qデザイン)
チップセット:インテル HM370
メモリ:16GB DDR4(8GB×2、最大32GB)
ストレージ:256GB SDD/1TB HDD
光学ドライブ:-
ディスプレイ:15.6型ノングレア1,920×1,080ドット表示(フルHD、60Hz)、狭額縁デザイン
有線LAN:クアルコム・アセロス AR8171 GbLAN
無線LAN:インテル wireless-AC 9462
サイズ:約359×254×21.7mm(幅×奥行×高さ)
重量:約1.86kg(バッテリー含む)
OS:Windows 10 Home 64ビット

 CPUには、インテルがRyzenに対抗すべく発売した、ノートPCでは初めてとなる6コア/12スレッドの第8世代CPU「Core i7-8750H」が搭載されている。また、GPUには、コストパフォーマンスに優れたNVIDIA GeForce GTX 1050 Tiが使用されている。ストレージはSSDとHDDのデュアルであり、メモリも余裕のある16GB。液晶ディスプレイが60Hz止まりなのは、やや惜しい部分ではあるが、ゲーミングPCが備えるべき要素はだいたい揃っていると言っていいだろう。

 MSIのゲーミングノートPCといえば、他にはないデザインへのこだわりや高級感ある素材も見逃せない。本製品の外見は従来からのシリーズと比べて、よりフラットでスタイリッシュなデザインへと進化している。ヘアラインデザインが施されたアルミニウム合金パネルのすっきりとした天板には、赤いMSIのドラゴンエンブレムが刻印されている。ゲーミングPCのいかつい感じが苦手という人でも抵抗なく受け入れられるデザインだ。

 サイズは約359×254×21.7mm(幅×奥行×高さ)で、パッと見た目の印象は13インチのモバイルPCクラス。これは筆者が所有している同じMSIのゲーミングノート「GS63VR 6RF Stealth Pro」より一回り小さいサイズなのだが、最薄部が4.9mmというベゼルレスデザインを採用しているため、実は液晶のサイズは筆者のPCと同じ15.6インチであり、ぱっと見の小ささからは想像できない迫力あるゲーム画面でのプレイが可能だ。

製品上部には赤いMSIのドラゴンエンブレムが刻印されている
製品の背面にはHDMIポートがある
製品右側にはマイクとヘッドホン、USB、LANなどのポートが並んでいる
製品左側には電源と、USB3.1タイプAのポートが1つ備えられている
製品の底面にはXデザインのエアスリットがある
赤いLEDが輝くテンキーレスキーボード

 厚めの底面ゴムで支えられた底面にはXデザインのエアスリットがあり、熱を持ちがちな底面に空気を送り込みやすい設計になっている。正面から見て右側には手前からイヤホンとマイク、USB3.1Gen1 Type-Aのポートが2基、USB3.1Gen1 Type-C×1が1基、LANの差し込み口、セキュリティロック用ケーブルの差込口が並んでいる。右側は USB3.1Gen1 Type-Aが1基と電源。背面にはHDMIポートが1基ある。

 キーボードはレッドのシングルカラーバックライト内蔵のテンキーレス日本語キーボードが採用されている。キーピッチは約20mm程度でたっぷりだが、ストロークは浅め。きびきびした確かな打鍵感が返ってくるので打ちやすい。バッテリー駆動時間は仕様書スペックでは7時間(JEITA 2.0)と、ビジネス用途などでも使いやすい容量になっている。

 サウンドは、MSIのPCでは定番のバーチャルサラウンド機能対応サウンドユーティリティ「Nahimic 3」が使われている。またMSIが独自に開発した、PCのパフォーマンスコントロールアプリ「Dragon Center」を使えば、CPUやGPUの温度をモニターしたり、ファンや電源の設定を簡単に変更することができる。

【Dragon Center】

eスポーツの競技種目として人気の3タイトルで快適さをテスト

 続いてゲームでの検証に移ろう。今回は、エントリーモデルのチェックと言うことで、「ストリートファイターV ARCADE EDITION」、「オーバーウォッチ」、「フォートナイト」の3タイトルで実際の使い心地をテストしてみた。いずれもeスポーツ種目としてはおなじみで、まさにゲーミングPCの主戦場の最前線にいるタイトルであり、今回のテストにふさわしいだろうと判断した。

 テストでは、なるべく実際に遊んでいる状態でのプレイフィーリングで比較できるよう、それぞれのタイトルでメインとなるモードでの測定を行なった。測定方法にはFrapsを使用。各タイトルのプレイを60秒間、各10回ずつ測定したデータを基に、最低FPS、最高FPS、平均FPSを算出している。使用したドライバとクライアントのバージョンは以下の通り。

ドライバ、クライアントバージョン情報
OS1803
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 398.35
「ストリートファイターV ARCADE EDITION」バージョン 03.070
「オーバーウォッチ」1.28.0.1.50951
「フォートナイト」バージョン5.40(4352937)

「ストV」では全ての設定で60fpsを維持。「最高」設定でも余裕の快適プレイが可能

 カプコンの対戦格闘ゲーム「ストリートファイターV ARCADE EDITION」では、1人でCPUを相手に遊ぶ「アーケードモード」と、オンラインで対戦する「ネットワーク対戦」の2つのモードで計測を行なった。

 本作はPCゲームとしては珍しくフレームレートの上限が60で固定されている。これは本作がアーケードゲーム、コンソールゲーム出身であるためだが、このため60Hzモニターを採用するGF63でも100%の性能を発揮することができる。

 テストでは、対人・対CPUの両方で、「最高」、「高」、「中」、「低」という4つの設定すべて上限FPSを記録した。下限FPSには多少差が出ており、アーケードモードでは綺麗に負荷の順に並んでいるが、ネットワーク対戦ではややばらつきがある。

 これは、ネットワーク対戦では、相手によってプレイのやり方やキャラクターが違うため、対戦によっては演出付きの大技を連発したり、あるいはお互いに通常技で殴り合うだけだったりと、CPUを相手にしたときよりもプレイにムラがあったせいではないかと想像している。ただし、平均値はほぼフラットになっており、対戦相手とのイコールコンディションが重要な対戦格闘タイトルらしい結果となっている。

 こういったネットワーク対戦のタイトルでは、特にランクマッチを日常的にプレイしている人は、少しでもパフォーマンスを上げるために敢えてグラフィックス設定は「低」を選択するという話もよく聞く。大会で上位を目指すような人なら少しでも勝利に近づくために必要なことかもしれないが、GF63ではどの設定を選択してもほとんど変わらないという結果が出ているため、「最高」設定の美しいグラフィックスで、独特なタッチで描かれた世界を楽しみながら遊んだ方がいいだろう。

「フォートナイト」は設定によってFPSに大きな差。グラフィックスと快適さの兼ね合いでは「高」がおすすめ

 Epic GamesのオンラインTPS「フォートナイト」では、FPSを無制限設定にしたうえで、100人が2つのチームに分かれて戦う「フライング50」モードで計測を行なった。このモードは、50人ずつの2つのチームが、島の中央あたりにある境界線をはさんで戦う大規模なチーム戦。スタートから時間が経つと、マップ上にある白い円にめがけて周辺部からストームが接近してくるため、生き残っている全員がそこの小さなエリアで戦うことになる。従来からあった「50VS50」モードに階段の上からのグライダー飛行が加わっており、スピーディな移動が可能になっている。

 「フォートナイト」は空飛ぶバスから降下するところからゲームがスタートするが、今回は地上に降りたところから計測を行なった。本作は時間経過によってプレイスタイルが「武器を探しながら素材を集める」、「素材を使って拠点を作る」、「大勢での乱戦」と変わっていく。そのため、テストでもこれらバトルロイヤル中に起こる様々なシーンでの計測をした。結果は下図の通り、設定によってかなりFPSに差が出た。

 ちなみにオート設定では以下のような設定がおすすめされていた。本作は設定によってゲームの見た目がかなり変わる。個人的には、「高」設定がグラフィックスと快適さのバランスが最もよく取れているのではないかと思う。

【システムのおすすめ設定】

「オーバーウォッチ」も最高環境で60fps以上を維持

 Blizzard EntertainmentのオンラインFPS「オーバーウォッチ」では、フレームレート上限を、本作で設定できるFPSの上限値である300に設定したうえで、自分とレベルの近いプレーヤーと自動的にマッチングされる「クイック・プレイ」でのプレイを測定した。「クイック・プレイ」はレベルに関係なくマッチメイクされ、気軽に色々なヒーローを使う練習ができる12人参加のオンライン対戦。参加すると、まずは「スカーミッシュ」でロビーのような場所でマッチングを待ったあと、本番のマップに移動してキャラクターを選択。待機時間の後バトルがスタートする。FPSの計測は、このバトルスタートから勝敗が付くまでの間に行なっている。

 結果は「フォートナイト」と同様に、「エピック」、「ウルトラ」、「高」、「NORMAL」、「低」という設定の負荷とFPSが正比例している。だが、「オーバーウォッチ」では最も綺麗な「エピック」設定でも、FPS平均は60以上を確保しており、本製品では美しいグラフィックスで快適なプレイを楽しむことができた。ただ、FPS上限が300の状態では、10回のプレイ終了後に確認したCPUとGPUの温度は80度を超えており、パフォーマンスの低下こそなかったが、キーボードの部分もやけどをしそうなくらいの熱を持っていた。何時間も連続でプレイするようなスタイルなら、多少落とした設定で遊んだほうがPCに無理な負荷をかけずに済みそうだ。

確かな冷却性能と静穏性がゲームプレイの環境をさらに快適にしてくれる

「フォートナイト」の「EPIC」設定でのテスト中の温度。CPUもGPUも80度を超しているが、本機の高い冷却性能のおかげで快適にプレイできる

 今回の測定では、10回測定している間に次第にFPSが落ちてくるという、熱によるパフォーマンス低下を感じることもあった。念のため、1つのテストが終わった後には、毎回PCが完全に冷えるのを待ったのだが、その際のスピードで図らずも本機の冷却性能の優秀さを実感することができた。また、これまで筆者が使ってきたゲーミングPCは内部の温度が上がってくると、ファンが唸りを上げ始めたものだったが、本製品では騒がしいと思うほどのファンの唸りは感じなかった。もちろん無音ではないが、ゲームのBGMが鳴っていれば、気にならない程度だった。

 場所を選ばず60fpsの快適なプレイを楽しむことができるような、小型でパワフルで、しかも静かというかつては妄想にしか過ぎなかった理想のゲーミングノートPCが、手の届く価格帯で登場してきたのは、旅先でも常にゲームで遊びたいという筆者のようなゲーマーには嬉しいことだ。ゲームが快適に動作するということは、PCで行なうほぼすべての行為が快適に行なえることを意味する。GF63は、ゲームのみならず、外からの動画配信や旅先での画像編集など、趣味からビジネスまで様々な用途で活躍してくれそうだ。

【GAME Watchは「GF63 8RD-067JP」について以下の項目を認定します】

・「ストリートファイターV ARCADE EDITION」がアーケードモード、最高設定環境で平均58fps、最高61fpsで動作すること(フルHD/60Hz環境)
・「フォートナイト」が高設定で平均67以上、最高82fps以上で動作すること(フルHD/FPS無制限環境)
・「オーバーウォッチ」がエピック環境で、平均76fps、最高92.4fpsで動作すること(フルHD/60fps環境)
・上記性能を備えながら厚さ2.17cm、重量1.86kgを実現した薄型ゲーミングノートPCであること。