2018年6月29日 20:24
タカラトミーは、同社の人気おもちゃ「ゾイド」の新シリーズ「ゾイドワイルド」を、6月23日に発売した。1983年から展開されているシリーズの第3期となるこのゾイドワイルドは、生物をモチーフとしたメカ生命体の設定や、組み立てと可動という基本部分は継承しつつ、組み立て方法やスケールなどを一新し、より幅広い世代のファンが親しみやすいコンセプトを確立している。
第2期の販売終了から12年ぶりに、完全新規のデザインで6月23日に発売された6製品のうち、その主要キャラクターとなる「ZW01 ワイルドライガー」の製品版をレビューしていこう。
“発掘”と“復元”をコンセプトにゾイドの“骨格”組み立てていく楽しさ
「猛る獅子王」というキャッチコピーが付けられたこのワイルドライガーは、ゾイドシリーズでは特に人気の高い、ライオンをモチーフとしたライガーシリーズのデザインを踏襲。タテガミを備えた四足歩行のゾイドで、7月7日より放送開始のアニメーションでは、主人公のアラシの相棒として登場する。
製品は今年2月に開催された発表会にて明かされた通り、“発掘”と“復元”をコンセプトに設計されている。このワイルドライガーの場合は、箱の中にパーツを袋詰めにした「発掘パック」が3つ(S、A、B)と、動力源の「メカユニット」、ワイルドブラスト(後述)用の「WB(ワイルドブラスト)ユニット」、そして説明書「復元の書」が入っている。
発掘パックに袋詰めされたパーツは全て切り出されていて、ユーザーはこの中から復元の書の「発掘見取り図」を参考にパーツを“発掘”するように探し出して、元の形に“復元”するように組み立てていくのだ。復元の書では、各パーツにはナンバーが振られているが、パーツ自体にナンバー表記はなく、徹底して“探して組み立てる”ことにこだわった仕様だということがわかる。
発掘パックの内容もちゃんと考えられていて、1番最初に開けるSパックは、駆動系に使用するリンクパーツや関節を固定するZキャップなど、組み立て全般に使用するもの、Aパックは骨格、Bパックは装甲で、パーツの色でも小分けされている。さらに形が似通ったものパーツは、復元の書に「かたちチェック」が入っているので、どれがどのパーツかわからなくなってしまうこともなさそうだ。
組み立て手順は、動力源となるメカユニットにパーツを組み付け、可動するパーツをキャップで固定するという、かつてのゾイドを踏襲した仕様で、体験したことがある人は懐かしく感じるかもしれない。1つ違うのは、このゾイドワイルドシリーズは、全身の骨格を動かして歩く様子を再現しているため、「骨格形態」と呼ばれる状態でも可動するということ。
それゆえ、ゾイドシリーズ独自のパーツである樹脂製キャップ(当シリーズでは「Zキャップ」と呼称)は全て骨格形態の組み立てで使い切ってしまい、装甲の固定などには使用しない。もちろんキャップはゾイドのトレードマークでもあるので、このワイルドライガーは後付けの装甲パーツがキャップを隠さないような形状でデザインされていた。
装甲をまとい、戦闘的なフォルムへ!
組み立て自体はプラモデルや過去シリーズのゾイドを作った経験があるなら非常に簡単で、ランナーから切り出す必要がないぶん、時間も短縮される。今回のワイルドライガーやガノンタスは、大人なら1時間前後で組み立てられるだろう。
またタカラトミーの公式YouTubeチャンネルや公式アプリから、詳しい組み立てサポート動画を見られるサービスもあるので、迷うことはないかと思う。
こうして発掘と復元を経て完成したゾイドは、正しく組み立てられていれば、歩行するアクションを楽しめる。ワイルドライガーはモーター駆動のゾイドで、動作には別売りの単四電池1本が必要だ。35年のノウハウがあるおもちゃの最新版であり、しかも定番のライガーシリーズということで、四足歩行も非常に安定している。
必殺ワイルドブラスト! ワイルドライガーは自動で発動
そして最大の特徴となる本能開放ギミック「ワイルドブラスト」は、種類によって自動発動と手動発動があり、このワイルドライガーは前者となっている。内部には固有のWBユニットを採用していて、歩行中に少しずつ首が下がっていき、1番下まで下がると背中にある3本の「タテガミクロー」が前方に展開し、これを上下させつつ、それまで閉じていた口を開閉させながら歩行を続けるという、かなり凝ったものとなっている。
自動発動のワイルドブラストの場合、歩行時は必ずこのギミックが発動するため、通常時の歩行を維持することはできない。今回一緒に紹介している「ZW05 ガノンタス」のワイルドブラストは手動発動で、通常時と本能開放時を選択可能という仕様の違いがある。
自動発動の面白さは手動発動のゾイドでは体感できないものではあるが、ワイルドライガーは通常時のシルエットもかなりスタイリッシュなので、贅沢を言わせてもらうなら、通常歩行を続けられる選択肢があればさらによかったのではないかと思う。
この発売に併せて配信されたゾイドワイルド公式アプリについても簡単に紹介しておきたい。こちらは前述の組み立てサポート動画閲覧機能のほか、ゾイドワイルドと連動する撮影機能「ZFX」や、基本プレイ無料のバトルシミュレーションゲームを収録。製品同梱の復元の書にあるQRコードを読み込むと、アプリ内のデジタル特典を受け取れる機能なども搭載している。
ゾイドワイルドをより楽しむためのアプリなわけだが、ちょっといただけなかったのは、撮影機能や動画閲覧機能を使いたいのに、ゲームを強制的にプレイしなければならないということ。アプリの初回起動時は各機能を選べるのだが、機能選択に戻ろうとするとゲームに強制移行し、長いチュートリアルを体験しなければならず、その間は他の機能を選ぶことができない。
撮影や動画閲覧のためにアプリをダウンロードした人にとっては、この仕様はとてもまだるっこしい。今後のアップデートでスキップ機能をつけるなどの改善をしてほしいと思った。
より幅の広い世代が楽しめるコンセプトのもとに復活を遂げたゾイドの新シリーズ。世代によっては親子でも楽しめ、親世代には懐かしく、子供世代には斬新なおもちゃとして体感できるのではなかろうか。本体の素材はABSが主体なので塗装はあまりオススメしないが、シャープペンシルなどを使ったスミ入れなどを施してみるのも面白いかもしれない。
6月29日現在、このワイルドライガーは好評につき品切れ状態が続いていて、再販が待たれているわけだが、同時発売された他の機体はまだ手に入るかと思うので、見かけたらぜひ手に取ってみることをオススメしたい。また7月28日の発売分では、早くも大型ゾイド「グラキオサウルス」(ブラキオサウルス種)もラインナップされていて、その完成度や以降の展開などにも期待がかかるところだ。
(C)TOMY/ZW製作委員会・MBS