2018年7月11日 06:00
ユービーアイソフトが発売した「ザ クルー2」は実際のアメリカ全土を舞台としたオープンワールド型のレースゲームだ。各地の観光名所などもありのままに再現されており、ドライブシミュレータとしても楽しめる作りになっている。前作では車のみの選択だったが、本作では車以外にバイクやボート、さらに飛行機にも乗れるようになっているので、より幅広い層が楽しめるようになった。また、登場する車両などはほぼ全て、実在のメーカーと車両がラインナップされているので車が趣味な人にはこの辺りも魅力と言える。
筆者はこれまでも車や飛行機などで街中を自由に飛び回れて、単体のレースも遊べるようなタイプのオープンワールドを多くプレイしてきた。ただ、ドライブ以外に銃を乱射したり、車両が爆破できてしまうような類のクライムオープンワールドでは車両や街並みが実名のまま登場することはなかったので車にはあまり詳しくないが、「ザ クルー2」では実在の観光名所を巡ったりして楽しむことができた。早速この手触りをお伝えしていきたい。
ストリートレースでお金とフォロワーを荒稼ぎ
「ザ クルー2」は車やバイク、飛行機やボートなどに乗ってアメリカ全土を好きなように走りまわり、その広大な世界を楽しめるオープンワールド仕立てのレースゲームだ。「レース」と一口に言っても車両の動きはタイトルによって、リアルなシミュレーター寄りのものから、カジュアルに乗り物での移動を楽しむタイプまで様々。
その点で言うと本作での車両の挙動は全体的にカジュアルで、高速域ではそれなりのブレが生じるが、減速してやればきちんと曲がれるし、ちょっとの誤操作でスピンしてしまうような事はほとんどなく、癖は少ないと感じた。この手のカジュアルなレースゲームをプレイしている人なら、あまり違和感なく入り込めると思う。
ゲームを開始すると、カットシーンのあといきなりレースが開始する。とはいうもののこれはレースというよりチュートリアル的なもので、順位は特に表示されず、車、ボート、飛行機に一通り乗って操作を試すようなものだ。これをクリアした後はまだ手元に車がないため、最初にレースを1本クリアする必要がある。このレースをクリアすることで、カットシーンのあと、車両が1台無料で獲得できる。これ以降はフリードライブモードとして、街中を自由に走り回れるようになる。
フリードライブモードについては後述するとして、まずは本作の最重要コンテンツであるレースについて語っていきたい。
本作の基本は何といってもレースだ。各レースにはクリア条件が設定されており、これらの条件を達成することでクリアとなる。クリアすることで賞金と車両のパーツ、フォロワーを獲得でき、一定数以上のフォロワーが付くことで、ストーリーが進行するステージに参加できるようになる。レースはマップを開いた時に地図上に散らばるマーカーから選択することができ、中には一定のランクに達していないと参加できない物もあるし、後述のように特定の車両を購入しないと参加できない物もある。
レースのメインはストリートレースで、街の中などのフィールドがそのままレースのコースとなる。コースとなる道路上にはチェックポイントが設置され、道路のいたるところにコースが明示的にわかるように柵が設置される。
本作のストリートレースの面白いところは、このチェックポイントとチェックポイントの間に関してはどこを走っても問題がないことだ。つまり従来の道路以外の道なき道をショートカットすることで、さらにタイムを稼ぐことができるようになっている。普通に道路上を走行してもいいし、歩道やさらには一見コースから外れた場所を利用したジャンプでのショートカットなどを行なう事で、うまくハマると劇的にタイムを縮めたり、ライバル車を出し抜くことも可能だ。
これが何とも奥が深くて同じレースに何度もトライしたくなってしまう。ショートカットと言ってもどれもこれもがタイムに繋がるわけではない。特に路面の状況や障害物の位置によっては、距離的に短縮できても速度が低下してしまって、かえってタイムが落ちてしまう場所も多い。それらを試行錯誤することで、よりタイムを短縮できるルートを模索するのが病みつきになる。
車両は稼いだお金を使って購入することでよりよい車にアップグレードできるほか、バイクや特定の車両を購入することで、特殊なレースにも参加できるようになる。車両のカスタム要素はレースやアクティビティなどで得られる強化パーツを装着することで車両のレベルを上げていく仕組みとなっていて、パーツは各部位ごとに用意されている。一部のパーツにはレベルの上昇に加えて追加効果があるものもあるようだが、最初のうちはレベルアップの数字を重視して装着し、数字が同じ物で追加効果がある場合のみそちらに変更する程度の考え方でもよさそうだ。
レースはストリートレース以外にも、ドリフトレース、ドラッグレース、ハイパーカーなどがあり、これらに参加するためには、それぞれ専用車両の購入が必要になる。
例えばドラッグレースは、ほぼストレートのみの直線コースで、ルールは各コースごとに設定されたタイム以内にゴールすることが条件となる。使用する車はドラッグレース用に改良された車両を利用するのだが、通常の車の倍以上の最高速度が出る驚異的なスピードカーなので、乗っていてテンションが上がる。また、ドラッグレースでは通常の車の操作に加えてシフトチェンジの操作が追加される。最初は操作に慣れるのに苦労したが、1度コツが掴めるとぐんぐんとタイムが伸びていき、最終的には規定タイムを余裕でクリアできるようになった。
また、本作では通常の車以外のレースも楽しめるのが特徴だ。ボートやオフロード車のレースに加え、飛行機はレース以外にアクロバット飛行などにもチャレンジできる。
ボートレースにおいて、ボートその物の挙動は割と素直な印象だ。もちろん水上なので地上を走る車両のようにキビキビと動作するわけではないが、感覚的に操作しても違和感なく操縦できる。ポイントとしては、ボートは全体的に速度が遅めなので、左右に舵を取る時以外は常時左のスティックを下に倒したままにしておいて、速度を稼いでおく事だ。あとはコース取りを常に早めにするようにしておくことで上手くボートを乗りこなすことができる。
飛行機については2、3ほどアクロバット飛行にトライしてみた。アクロバット飛行は画面の指示通り、背面飛行や直滑降などにトライすることでポイントを稼ぐ方式となっており、ポイントの入り具合を確認しつつ飛行機の挙動を制御していくといったたコンテンツになっている。
また、アクロバット飛行を行なう舞台が海上や山の中など、広い場所での開催が多かったため、障害物も少なくプレイしやすい感覚だった。今回そこまではたどり着けなかったが、もう少しストーリーを進めるとエアーレースにチャレンジしたり、ヘリコプターにも乗れるようになるようだ。
オフロードのレースはストリートレース以上にショートカットが重要になる。舞台が主に山の中など、木々や川、沼などが多い地域な上に、悪路を走っても速度があまり落ちないオフロードカーの場合、本来の道路をそのまま走るよりチェックポイント間を直線で繋ぐ道なき道を抜ける方が速く走行できるからだ。
そのため、木々の間を抜けたり、沼の中を抜けてショートカットしていきたいところだが、木々の間を抜くショートカットは一歩間違うと木に衝突してしまい大幅なタイムロスになってしまうし、沼は深みにハマると走行不可能になってしまう。他の車の動向をチェックしつつ、少しずつショートカットを織り交ぜるような走り方でタイムを縮めていくのがいいだろう。
ちなみにこれらで使用する乗り物については、最初の1台についてはストリートレースと同様に、最初のレースをクリアすることでプレゼントされるようになっているので、個人的には最初のうちにこれらを全てクリアしておいて、最小限の乗り物を全て揃えておく事をおススメしたい。
フリードライブは魅力がいっぱい
本作ではレース以外にも楽しみがある。それがこのフリードライブモードだ。これこそ本作の真骨頂とも言えるモードで、入手した乗り物を自由に乗り換えて、街中を自由にドライブしたり、飛び回ったりできるのが魅力だ。
街中のドライブは最高に気持ちいい。何しろ本作では、どの車両も他の車と激突してもダメージをくらう事なく、ほぼ無傷。つまり気兼ねなくスピードを出して遠慮なくオーバースピードで突っ込めるから最高に気持ちいいのだ。また、不可抗力で歩道を歩く人々のところに突っ込んでしまった事も多々あったが、1度たりとも人が車に轢かれて死ぬ場面を見ることはなかった。
よく人の動きを観察していると、本作の街中で暮らす人たちは何かの体術を会得しているかのように、突撃してきた車両をスルスルと小気味よくかわしてくれるのだ。つまり本作のアメリカは、車が壊れる事もなく、人身事故も起こらない、正に理想的な車社会というわけだ。
さらに乗り物の切り替えはいつでもすぐに行なえる。この切り替えの優れているところは、車両だろうと飛行機だろうと、その場ですぐに切り替えができることだ。車でドライブをしていていい感じでくぐれそうな橋を見つけたら、その場で飛行機に切り替えて橋の下をぐるっと通過する、といった遊び方も可能だ。飛行機も墜落したり、何かに激突して飛行不能になった瞬間に画面が切り替わり、悲惨な事故がなかった事になってくれる。飛行機乗りにとっても理想の世界と言えるだろう。
このフリードライブモードを遊ぶためにも、初期のレースは一通りクリアして、ボートと飛行機、レースカーとオフロードカーは最初のうちに押さえておくのがおススメだ。ちなみにバイクについては別途購入が必要になるので、トライ可能なレースに何度かチャレンジして、金を稼いで購入する必要がある。
街の中を車でドライブしたり、飛行機による山間部の空中散歩、バイクでのツーリングはどれも非常に面白い。何しろ広大なアメリカ全土が舞台なので、いくら飛んでもいくら走っても先が見えない。しかも各地の観光名所もきちんと再現されているため、こうした観光地巡りをするだけでも十分に楽しめる。
筆者はアメリカ未経験のため、ラスベガスの派手な街並みにはテンション上がりまくりだったし、ニューヨークの自由の女神もゲーム内とはいえ初めてその姿を拝むことができて、かなり満足だ。正直、あまりの自由さにかなりの時間を街中のドライブに費やしてしまったほどだ。
しかし、本作の基本は前項で触れたとおり、レースでの金稼ぎとフォロワー稼ぎ、更に車両の強化パーツ集めも重要だ。このままブラブラ遊んでいるだけだとお金が稼げず、フォロワーも増やせず、車両も強化できなくなってしまうのではないかと不安に思っていた。
だが実際に街中をドライブしていて気が付いたのだが、本作では実はレースをしなくても、ある程度は金を稼いだり、フォロワーを増やしたり、強化パーツを集めることができる。というのも、街中をドライブして回っていると、フリードライブモードでチャレンジできるアクティビティに遭遇することがあるからだ。
例えば、特定のポイントを通過すると開始される「ESCAPE」では、開始後、どんどん大きくなっていく円形のフィールドに巻き込まれないようにひたすら遠くに逃げる。一定の距離を逃げ切れれば、報酬とフォロワーが獲得できる。他にも「SPEEDTRAP」では、一定速度以上でポイントを通過するとボーナスがもらえる。こうしたアクティビティは街中で偶然通りがかる場合もあれば、マップ上から直接ファストトラベルで飛ぶこともできる。
また、特定ポイントを通過すると「PHOTO ALBUM」という、写真撮影のアクティビティが開始できる。ここで指定された写真を撮影することでも、金とフォロワーを稼ぐことができるのだ。
本作の写真撮影の機能はユニークで、カーソルの左を押すことでいつでも写真撮影が開始できる。写真撮影モードにすると、これまで走行してきた過去の映像からカーソルを押した瞬間までの時間を一定時間遡って写真を撮ることができる。
映像は主人公の視点だけではなく、カメラワークを既定の範囲内であれば自由に変更できる。例えば華麗なアクロバットを偶然決めることができたら、その瞬間でなくても着地後すぐにカーソルを押すことで先ほどのアクロバットのシーンにまで時間を戻して、しかもアングルを自由に変えて撮影することができるのだ。
個人的におススメの写真撮影アクティビティの攻略方法としては、飛行機をフル活用することだ。街中や山の中を飛行機で飛んでいて、写真撮影のアクティビティが出現した時はとりあえず受けて、指定の内容を確認してみよう。写真撮影の指定項目は被写体のみの場合と、自身が特定の場所に行く必要があるもの、他にも時間指定や、特定の乗り物に乗る必要があるものなどがある。乗り物や時間など指定が細かいものは適したロケーションを探すのに苦労するのでパスしても構わない。ここでもし被写体のみが指定されている場合は比較的ラクに写真で稼ぐチャンスだ。
まずはそのまま飛行機で周辺をブラブラと飛び回ってみる。うまくヒットすると、画面上の指定被写体のアイコンがグレーになってピコンと音が鳴る。これが鳴ったらすぐに写真撮影モードを起動する。あとはカメラや時間をずらして、指定の被写体を探すだけだ。観光名所のように誰でもわかる物や、平原を走る動物など、比較的探しやすいものであれば、かなり短時間で被写体を確認して写真が撮影できる。被写体がフレームに入ると、指定被写体のアイコンが緑色になるので、この状態で撮影を完了すればクリアだ。
他にもLIVEリワードと呼ばれる、パーツ獲得のボックスを探すのも、フリードライブモードの醍醐味だ。フィールド内をドライブしていると、突然画面右下のマップ表示部がピコーン、ピコーンと潜水艦のソナーのように点滅を開始する場合がある。これが発生すると近くにLIVEリワードがある合図なのだ。あとは車などで移動して、音がどんどん早く、大きくなる方に近づいていくと、画面上に不自然な四角い箱が置かれているのが発見できる。
このLIVEリワードを開けると、レースで勝利することでしか入手できなかった車両を強化するパーツが手に入る。しかも本来強化パーツを獲得するには、それぞれのカテゴリの乗り物のレースで勝利すると、その乗り物の強化パーツが手に入る仕組みなのだが、このLIVEリワードは開ける直前に乗っている乗り物のパーツが出現するようになっている。そのため、普段あまりレースをやっていない乗り物に切り替えることで、レースをこなさなくても乗り物が強化できるのだ。
なお、LIVEリワードの位置は発見してもマップ上に痕跡は残らないが、現時点ではLIVEリワードは起動する毎に同じ場所に復活するようなので、ポイントを発見したらマメに通うようにすることで、レースなしでもある程度乗り物を強化することが可能だ。
クルーを結成してレースやドライブを楽しもう
本作では最大4人までのプレーヤーと「クルー」を結成して一緒に走り回ることができる。クルーでできることは、街中を一緒にドライブしたり、同じレースに参戦することだ。今回は筆者のフレンドの1人が、前作「ザ クルー」経験者とのことで、今回は一緒に遊んでもらった。
実は本作は常時オンラインに接続される仕組みだ。そのため、特にオンラインである事を意識することなく、プレイを開始すると同じセッション内に複数のプレーヤーが存在している。フレンド以外のプレーヤーは最大7人が同じセッションでプレイすることになるようだ。同セッション内のプレーヤーはマップ上にマーカーが表示されるので、実際に会いに行ったりすることもできるし、クルーの招待を送って一緒に遊ぶことも可能だ。
それとは別にフレンド枠が用意されており、ここにはフレンドの現在のゲームプレイ状況が表示される。ただし、常時フレンドと同じセッションになるとは限らないようで、もしフレンドが同じセッションにいない場合は、PSNのフレンド機能で同じセッションに移動する、などの工夫が必要になる。
フレンドのプレイ状況は現在の状況以外にも、各種アクティビティのスコアやレースのタイムなども自動的に競われる。フレンドのスコアを更新するとメニュー画面で更新したという情報が表示されるため、互いのスコアを意識しつつ楽しむことができる。
さて、まずはクルーメンバーでレースに挑戦してみた。クルーメンバーでレースに挑戦する最大のメリットは、レースのクリア条件をメンバーの誰かがクリアすれば残りのメンバーが失敗しても成功となる点だ。例えば3位までに入賞する必要があるレースでは、メンバーの誰かが上位入賞すれば、残りのメンバーがビリでもレースクリアとしてカウントされ、強化パーツなどもゲットできるようになる。
また、クルーメンバーと一緒に走ると、それぞれにショートカットの取捨選択が分かるのも面白いし、コース取りの勉強にもなるので、クルーを組んでのレースはお互いのメリットが多い楽しみ方と言える。
レース以外の楽しみは街中のフリードライブだ。今回はレース後に軽く車をスピンして遊ぶくらいしか行なえなかったが、ある程度知り合いのフレンド同士でクルーを組んで、観光地をドライブしたり、飛行機で編隊飛行したりして遊ぶとかなり面白そうだ。
以上、「ザ クルー2」の遊び方を一通り紹介してきた。本作の最大のポイントはやはり何といっても街中のドライブとレースに特化した作りだろう。しかもあまりレースに縛られる事なく、街中をブラブラとドライブしたり、飛行機で飛び回って観光するだけでも十分に楽しい。 本作はリアルな街の中をドライブしたり、ひたすらレースに打ち込みたい人には最高の選択肢の1つだ。是非1度プレイしてみていただきたい。
© 2018 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. The Crew 2, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.