2018年4月20日 13:00
ついにNintendo Switch版「Neo ATLAS 1469」が発売になった!! 「アトラス」シリーズのファンとしては、なんともうれしい限り。また航海に出られる日がやってきたのだ。
ご存じアートディンクの「THE ATLAS」シリーズ、「Neo ATLAS」シリーズは、かの大航海時代のヨーロッパを舞台に、まだ見ぬ海の向こう、世界の果てを船で旅をする壮大なる冒険シミュレーションゲーム。言うなれば、大航海時代そのものをシミュレートするゲームだ。
「Neo ATLAS 1469」はシリーズ最新作
今回発売のNintendo Switch版「Neo ATLAS 1469」は、2016年10月27日に発売されたPlayStation Vita版、2017年4月21日に発売されたWindows版に続く「Neo ATLAS」シリーズ最新作の第3弾となる。「Neo ATLAS 1469」は、シリーズ前作「Neo ATLAS III」から数えても16年ぶりとなる新作、初代の「The ATLAS」から25年という時を経て誕生した、ファン待望の人気シリーズ。
ちなみにシリーズを簡単に説明すると、パソコンが主体だった「The ATLAS」シリーズでは、黙々と自分の好き勝手に世界を旅する自由度の高い冒険だったのに対し、家庭用ゲーム機が主体となった「Neo ATLAS」シリーズでは、世界を旅するのは一緒なんだけど、そこに登場人物等が現われて、ちょっとしたストーリーや謎が展開するエピソードが加わった冒険シリーズに変わったというのが大きな違いかな。
さてさてNintendo Switch版「Neo ATLAS 1469」ですが、いやー、先にプレイした感想を言っちゃうと、もう何度も「THE ATLAS」シリーズ、「Neo ATLAS」シリーズを遊び尽くしている高橋ですけど、それでもNintendo Switch版は買いですな。
何度、プレイしてもいいものはいい。というか、何回でも遊べるのがこのゲームのいいところでもあるんだけど、そういう人にとってもNintendo Switch版は操作性がよく、快適にサクサクとプレイできるので、なんというか思い通りに航海ができる感が、ここにきて極まったなという印象で、かなり没入感が高まった気がする。
他の「Neo ATLAS 1469」との違い
「Neo ATLAS 1469」は、PS Vita版をオリジナルと考えると、Windows版、そしてNintendo Switch版ともに、ゲーム内容についてはまったく同じ、完全移植と言えるんだけど、その操作性は飛躍的に良くなっているよね。PS Vita版で導入されたタッチパネルと各種ボタンを併用した操作方法については、それまでの家庭用ゲーム機のコントローラーで遊んでいた「Neo ATLAS」シリーズに比べると遙かに良かったんだけど、ゲームが進むにつれて処理が重くなっていくので、もうPS Vitaでは限界なんじゃないかなというハードウェア的なスペックの限界を感じるほど、ゲームは壮大になっていたよね。それがWindows版になってマウス操作はやっぱりいいなぁってなって、処理的にも余裕が出てきてサクサクだし、ってね。でもパソコンだと、いつでもどこでもなかなかできないよね……。
というわけでNintendo Switch版「Neo ATLAS 1469」は、良いのだな。まずね、Nintendo Switchだから、もちろんタッチパネルによるタップ操作も可能なんだけど、ボタンが豊富なNintendo Switchだけあって、コントローラーだけの操作もまた快適。つまり携帯モードでもTVモードでも遊べるようになっているわけ。ゲーム中に新たな機能が加わると、その都度対応ボタンも教えてくれるので、やりながら操作方法も覚えられるようになっているのが良い感じ。10分も遊べば、もう自在に操作できるようになっていると思う。
それとWindows版とNintendo Switch版には、PS Vita版にはなかったヒストリーマップという機能が付いていて、自分がどのように航海をして何を発見したのか、どんなふうに陸地を発見してきたのかを、歴史絵巻のように年表として見ることができるというのも、スペック的な余裕ですな。つまりNintendo Switch版は、Windows版と同じで、かつ操作性も良くなって、それでいていつでもどこでも遊べるってわけだから、これはもうたまらないでしょ。早い話、何が言いたいかというと、「Neo ATLAS 1469」の面白さを知っている人ほど、Nintendo Switch版の快適な環境はありがたく感じると思うのだ。
ここからは、ゲーム内容のお話。
「Neo ATLAS 1469」を含め全シリーズに共通なのは、時は15世紀、プレーヤーは大航海時代のポルトガルで貿易商を営む商会のオーナー。当時のヨーロッパの世界観は、ヨーロッパ全土とアフリカ大陸の北部のみが、すべての世界。この世は平らで、海の果ては滝であると信じられていた世界で、国王の命と援助を受け、商会で雇い入れた提督らを大海原へと派遣し、世界地図を作成するという大事業に挑む。大航海の先には、まだ見ぬ国、人々、生物、お宝、文化、怪物等々、喜びや苦難が待ち構えているのだ。
そんな中で国王から与えられた権利が、各地で発見した産物の貿易の権利。商会は、航海先で発見した交易品は、貿易航路の本数に制限はあるものの自由に取引が許される。そこで得た利益は、もちろん商会のもの。また各地で見つけたお宝については、国王から褒美として報奨金が出るので、それもまた商会の報酬となる。さらに毎年、世界地図作成の進行具合に応じても報酬を受け取ることができるので、これらを元手として、提督を雇ったり、船を買ったりして、航海を続けるというのが、ゲームの基本ルール。
この部分は、商会の経営シミュレーション的要素と言えなくもない。ま、実際には意味もなく高価な船を買ったり、無意味な貿易を始めたり等、余計なことをしなければ、まず商会が破綻をするようなゲームではないので、国王の援助、お宝発見の繰り返しで、商会はまかなえるはず。でも、航海には資金が必要であることだけは覚えておこう。
そして「Neo ATLAS 1469」のもうひとつのゲームの流れが、エピソードという簡単に言うとクエストのようなもの。これを解き明かしながら、世界を航海していくのがもうひとつの目的となる。
始まりはゴメスの捜索から
ゲームは、提督の航海日誌から始まるんだけど、それは2年前に航海の途中に消息を絶った我が商会の提督アントニオ・ゴメスの日誌の回想で、かなり深刻な様子。
内容は、凶暴で名高い海賊モーガンの来襲にあい、水夫に航海日誌を託し、船団とアントニオ・ゴメスはそのまま消息不明になったという話だった。以来、この商会には提督が不在で、早い話、開店休業状態。それを執事のミゲルがこれまで見守ってきたんだけど、商会の復活のために新たなる提督を雇い入れたく、候補としてミゲルが白羽の矢を立てたのが名門サラマンカ大学を弱冠18歳で首席卒業された、天才フランシスコ・ペレス教授だったのだ。
しかし研究熱心なペレスは、アラビアの伝説の天文学書アルマゲストを手に入れるために必死で、忙しいときている。
そこで我が商会とミゲルは、ペレスを提督として迎い入れるべく、まずは天文学書アルマゲストを探すお手伝いをするのであった。
ゲームのこのくだりは、商会の運営方法やマップの見方、宝箱の探し方とその開け方、そしてモノの見つけ方、移動等、ゲームの基本操作が学べるチュートリアルとして存在する。実はこの時点では、まだすべてのゲームの機能がオープンになっておらず、ここを経験し、そしてペレスが仲間になり、ペレスとともにゴメスを見つけ出してから初めてメニュー内の全機能が使えるようになるという初歩の初歩的パートなのだ。
ネタバレになるので、ゴメスを探す手がかりなど詳しいことははしょるけど、「Neo ATLAS 1469」では、まずはマップの移動を使って、とある場所を見つけ出し、そこに提督を調査派遣するという方法で、何かを得るという手段を航海の前にゴメスを発見することで習得する。とある場所やお宝は、すべて宝箱としてマップ上に現われるので、宝箱を見つけたらとにかくタップするというのがこのゲームのセオリーであることも同時に知る。
ゴメス発見後は、ゴメスが提督として復帰するまでの時間、まだタップできなかったヨーロッパの都市や産物、宝物をタップしながら、最後の機能を学ぶ。ここで有益な貿易品となる産物について、また貿易の仕方を国王の使いで来たバルディ宰相に学びながら、いよいよ国王の勅命を受け、晴れて航海へと出ることができるようになる。
これでようやく大航海に出られる準備が整ったことになる。やっと海の男になれるのはここからなのだ。で、ここから我が商会は何をすればいいのだろうか?
国王と貿易特権契約を結んだ我が商会ではあるが、まずは国王の勅命である、30年以内に黄金の国と言われている遙か東の国ジパングを目指すという目標を達成させることが最優先だ。まずはアフリカの最南端を目指し、そこからインドに向かい、さらに東へと進み、ジパングを発見せよというお言葉通り、それを実行していくことになるのだが……。
まずは船団を組み、提督を乗せて、大海原に派遣しよう。そして調べてきた事実を世界地図に記していこう(未開の地を調べることで、地図は勝手にできあがっていく)。
「Neo ATLAS 1469」が面白いのは、ここだ。未開の地に行った提督は、しばらくすると戻ってくるのだが、提督ら船団は帰港と同時にその航海で見たものを報告してくる。それが海だったり、陸地だったり、はたまた怪物、海賊、精霊等々、いろんなものを見ては報告に上げてくるのだ。
ゲームは、報告を信じることで世界が確定する。信じなければ、また一から航海をし直すだけなのだが、これが当時の大航海時代を彷彿とさせる要素になっていることは言うまでもない。当時の世界観は、誰かが行って見てきた話をそのまま情報として信じるしかなかったのだから。つまり提督が見てきたものがこの世界なのだ。そしてそれを世界地図に記すかどうかは、商会の主人であるプレーヤーしだいということになる。
こうやって世界の未確定地域をすべて航海し尽くすのが、我が商会の使命なのだ。その間に、いろんなものを発見するだろう。様々なエピソードを体験するだろう。ゲームは、エピソード等、全体の流れこそ同じだが、毎回、遊ぶたびに陸地が変わり、そしてお宝の出現場所が変わるから、何度でも遊べるというわけ。エピソードを解く順番も発見するものによって変わっちゃうしね。そしてできあがった世界地図が人それぞれプレイするごとに異なるので、楽しいよね。
気がつけば海賊と戦っているうちに、あのバルディ宰相が仲間の提督になり、我が商会には国王が直々にお出ましになり、ご褒美をくださったり、お茶目な一面を見せてくれたりと、つらい大航海もなかなか楽しいものになっていったり(笑)。
提督にはそれぞれ得意のパラメーターがあって、バルディ提督は実は攻撃力が半端ない。なので海賊や怪物に勝ちたい人は、バルディ提督を鍛え、すべての大砲を彼の船団に積み込むだけで、前半、かなり楽になるはずだ。
それぞれ提督の持ち味をいかして派遣していこう。そんなこんなでどんどん未開の地域を確定させていくことで、我が商会の運営も安泰となるので、頑張っていこう。
と、まぁ、こんな感じ。ほかにもいろいろなエピソードやイベントがあるんだけど、それ言っちゃうとネタバレになっちゃうしね。自分の目で見てほしいしなぁと思うので、あまり詳細は触れないけど、とにかくいろいろ(笑)。各エピソードを解く鍵や、進め方について迷ったときは、巷に現われる人々のウワサをしっかりと聞くことも大事だよ。
そんなこんなで、頑張って東にたどり着くと、ほら、なんだか見慣れた光景が現われるよ。
「Neo ATLAS 1469」は、ジパング発見がひとつの解だけど、ここでゲームが終わるわけではない。このあと、さらに東の端に到達することで、晴れてこの世は球体であることも証明できるのだ。
というわけで、高橋やりましたぞ。Nintendo Switch版「Neo ATLAS 1469」のレビュー中に、早々に球体を証明することができて、ホッとしたよ。でもね、実は「Neo ATLAS 1469」の世界観って、他にこの世は平らで海の果ては滝だったという世界観と、世界は巨人によって支えられていたという世界観、この世界は平らで象亀蛇に支えられている世界観の4つがあって、実は球体を証明するのが1番簡単なんだな。
つまり、次はこの世界観を目指すぞという遊び方ができるので、そう、これも何回でも遊べる要素になっているんだよね。それに球体を証明した今回だって、まだ世界を16パーセントしか覚醒させていないんだな。
と、ここまでがレビュープレイ。あとはちょっとじっくりと時間をかけて遊びたいかな。Nintendo Switch版だからどこでもできるしねー。ちょこちょこ暇をみつけてプレイしてみたいと思う。
最後に
今回、Nintendo Switch版「Neo ATLAS 1469」のレビューを担当させていただき感謝です。というのも、私、高橋ピョン太は、1980年頃からフリーでコンピューターゲームを作る傍ら、1980年代前半、1990年代は、アスキーという出版社で「LOGiN(ログイン)」という雑誌の編集をやっており、編集者時代にアートディンク担当として日々取材に出向いていたわけですが、1991年にアートディンクから発売された「The ATLAS」にいたく感銘を受けて、以来、「The ATLAS」の大ファンとなり、LOGiNでは、レビューを書いたり、モノクロ連載ページを企画したり、「The ATLAS」の記事なら任せろ!! といいながら、記事を書く際には必ず船長や海賊の格好をして自ら記事に出演するということをし続けた結果、こうして20数年という時を経たにも関わらず、お仕事がいただけているのかなーと思うと、感無量です。
これからも、高橋、海賊としても頑張っていきたいと思うので、「Neo ATLAS」シリーズは全力でいかせていただきますので、何かありましたらよろしく(笑)。
THE ATLAS:© ARTDINK
Neo ATLAS:© FlipFlop
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