2018年4月20日 18:37
Blizzard Entertainmentは、PC/モバイル向けデジタルカードゲーム「ハースストーン」の新拡張パック「妖の森ウィッチウッド」を4月13日に配信した。今回は登場したばかりの新しいカードパックをいち早く購入してプレイしてみた。新たなルールや、レアカードなど、期待の膨らむ新要素を紹介したい。
MMORPG「World of Warcraft(WoW)」のキャラクターたちが活躍する「ハースストーン」だが、今回の舞台となるのは、同作に登場するアゼロスで最怖の場所、呪われた都市「ギルニーアス」。住人は全て2つの形態を持ち変身できるファンタジックな種族「ウォーゲン」という狼人間だ。今回の拡張パックは、このウォーゲンたちを活かすセットとして登場した。さらにこの森には、他にも恐ろしい怪物たちが存在する。
新拡張版「妖の森ウィッチウッド」は、9名のヒーローそれぞれに10枚、合計90枚と全クラスで使用できる中立カード45枚の合わせて135種類の新カードと、ウィッチウッドをモチーフとした1人プレイ用のアドベンチャー「怪物狩り」とで構成されている。カードアートを含め、隅々までアーティストの手で描かれており、ロゴやUIも全て手描きだという。新ヒーローのうち、ドルイドのヒーロー「ルナーラ」は、スタンダードのランク戦またはカジュアルの対戦で10回勝てば獲得できるので、カード購入直後には、この「ルナーラ」を手に入れるためにせっせと戦うことになるだろう。
ちなみに筆者はざっと6時間ほど戦った末に、何とか手に入れることができた。この6時間の間に、様々な新カードを試すことができた。新カードパックのキーカードも、この6時間の中でなんとなく見えてきた。研究の成果はこの記事にも活かすことができているはずだ。
新拡張パック「妖の森ウィッチウッド」の配信開始に伴い、4月から「旧神のささやき(2016年4月)」と、「ワン・ナイト・イン・カラザン(2016年8月)」、「仁義なきガジェッツァン(2016年12月)」のカードはワイルドでしか使用できなくなり、スタンダードでは、基本・クラッシックカードと「大魔境ウンゴロ(2017年4月)」、「凍てつく玉座の騎士団(2017年8月)」、「コボルトと秘宝の迷宮(2017年12月)」のカードで構成されたデッキで戦うことになる。
新カードから登場する「木霊」や「急襲」
新カードには、「木霊(こだま)」や「急襲」を備えたミニオンや、偶数もしくは奇数のコストのみでデッキを組んだ場合にのみ能力を発揮するミニオン、“狼人間ウォーゲン”の呪いを受けたミニオンなどが存在する。
「木霊(こだま)」は、自分のターン時、持っているマナ数だけ、何度でも使えるカードだ。後半、2マナのカードであれば、最大5枚並べることができる。さらに、挑発を持つカードであれば一気に盤面に壁を作ることも可能だ。
一方「急襲」は、これまでの「突撃」に似ているが、使用したターンで攻撃できるのがミニオンだけに限られている。
アートが2つずつ存在する「ウォーゲンカード」
ウォーゲンカードには、アートが2枚ずつ存在するという。中立カードの「カボチャの農家」は、このカードが手札にある場合、毎ターンこのカードの攻撃と体力が入れ替わる。入れ変わった時に異なるアートになるようだ。盤面に出てしまえば入れ替わることはない。
偶数もしくは奇数のコストカードだけで組んだデッキでのみ能力を発揮するミニオンの場合、そのカードが使われると、相手にあらかじめデッキの内容が知られてしまうというデメリットがある。その反面、ヒーローパワー自体がアップするものや、ヒーローパワーのマナコストが通常2のところ1になるものがある。
例えば、「パラディン」で奇数コストのみのデッキの場合、レジェンドカード「月を食らうものバク」を入れれば、ヒーローパワーで通常1体召喚される「シルバーハンド新兵」が2体召喚できるようになる。偶数デッキの場合には、1マナでヒーローパワーを打つことができる。「月を食らうものバク」と「ゲン・グレイメイン」は中立のレジェンドカードなので、全クラスで使用できる。この2枚は対戦開始時にデッキに入っていることがわかるようになっている。
さらに、雄叫びで呪文ダメージがあがったり、すべてのミニオンの体力が2倍になるものなども存在し、ヒーローの特性に合わせて使用すれば、より効果があがるものとなりそうだ。
「メイジ」と「ドルイド」で対戦を実施
ヒーローは、メイジとドルイド。
メイジは、今まで秘策のシナジー効果を持つカード「メディブの従者」や、ランダム要素がありつつも、3ダメージを3体に打てて後半の盤面除去に役立っていた「上級魔力の矢」などが使えなくなったため、代わりに自分が呪文を使うたびにそのターンの間攻撃力+2を獲得できるクラッシックカード「マナ中毒者」や、獲得できたレジェンドカード「大魔術師アルガル」を入れて組み直した。
一方ドルイドは、低マナで使いやすく、大会などではおなじみのバフカード「仁義なきガジェッツァン」の「蓮華紋」がスタンダード落ちしたため、新カードパックから木霊を備えた中立カード「幽霊民兵」を入れて、挑発を持つカードを軸にデッキを構成し、それぞれオンライン対戦を実施した。ランク20にやっと到達できるレベルだが、挑戦した結果、何枚かの注目するカードがあったので紹介したい。
1枚目は中立の「ヴードゥー人形」。ミニオン1体を選択して、断末魔そのミニオンが破壊できる。3マナでスタッツは1/1と低めだが、メイジの場合、ヒーローパワーでの1攻撃で除去ができるので、挑発を持つミニオンや、体力が大きいミニオンなど、1回の攻撃では倒しにくい敵をそのターンで倒せ、有効に使えそうだ。
次に注目したのは、ウォーロックのレジェンドカード「ロード・ゴッドフリー」。7マナでスタッツは4/4。自身を除く全てのミニオンに、2ダメージを与え、もしミニオンが1体でも死んだ場合、これを繰り返す」というもの。「凍てつく玉座の騎士団」のウォーロックの呪文カード「冒涜」に似た効果を持っている。登場するとほぼ盤面が一掃されてしまうので、今後キーカードとして登場する機会が多くなりそうな気がする。
次のカードは、シャーマンのレジェンドカード「シャダウォック」。9マナで、スタッツは6/6。雄叫びが「この対戦で、自分がこれまでに使用した、これ以外の雄叫びを全て繰り返す」で、簡単に言えば「それまで対戦相手から受けてきた攻撃などを、もう1度ランダムで一気に受ける」ということだ。はじめ「一体何が起こっているのか」と思うくらい、呆然としてしまった。「実装が大きな挑戦だったカードで、史上最高に複雑なカード」と開発者がコメントしているのも納得できる。
「旧神のささやき」のレジェンドカード「希望の終焉ヨグ=サロン」を思わせるカードで、実際使用されるとかなりきつい。逆に自分が手に入れれば後半の巻き返しに使えるかもしれない、ランダム要素が強いカードだ。
アドベンチャー「怪物狩り」は4月27日より開始
アドベンチャー「怪物狩り」は、森に巣食う闇を浄化するため、ギルニーアスの熟練の怪物ハンター達が登場する。これは「コボルトと秘宝の迷宮」のダンジョン攻略モード似ていて、プレーヤーはボスたちを倒し、報酬を集めて自分のデッキを強化しながら、ウィッチウッドの奥へ奥へと進んでいく。今回シャーマンのレジェンドカードとして登場する「魔女ハガサ」にも挑むことになる。
4人の怪物ハンター全員で怪物狩りを最後までクリアし、ハガサを倒せればカード裏面デザイン「怪物狩り」が入手できる。アドベンチャー「怪物狩り」は4月27日より楽しむことができる。
4人の怪物ハンターたち
【ゲン・グレイメイン王】
職業:ギルニーアスの王
以前の趣味:尊大であること。下手な外交政策。復讐(バンシー・クィーンのシルヴァナスに対して)。
現在の趣味:君主の仕事。父親業。カクテル作り。
【テス・グレイメイン王女】
職業:ギルニーアスの王女、王位継承者
趣味:スパイ活動、お茶、暗殺、焼き菓子作り、ナイフ、下水道のインテリアデザイン、秘密結社
【リアム・グレイメイン王子】
職業:生前はギルニーアスの王子友好的な幽霊
趣味:草葉の陰から善行をする
【アッシュモア伯爵夫人】
職業:未知の伯爵夫人
趣味:謎めいた存在でいること、魔法、危険な友達を作ること
今回遊んでみて感じたのは、このカードパックは以前のパックに比べ、よりストーリーに沿ったユニークなカードが多いということだ。新たなキーワードとなる「木霊」や、“狼人間ウォーゲン”の能力を持つウォーゲンカードなど、今までのデッキに入れて使用すると、思ってもみない効果を発揮してくれる。ルナーラ獲得に役立った挑発カードを軸に構成したドルイドデッキでも、後半「木霊」を備えた「幽霊民兵」を使って壁を作り、勝利することができた。さらに、カードデザインも1枚1枚を眺めるだけでも物語を想像できるようなアートに仕上げられている。1点少し惜しかったのは、テーマとなっている「魔女VS狼人間」の「魔女」にまつわるカードがもう少しあったらなということだ。27日から楽しめるアドベンチャー「怪物狩り」で登場することを期待したい。今までのパックを持っている人も、新拡張パックのユニークなカードを是非遊んでみてほしい。
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